【完結】生贄にされた私が竜王陛下に溺愛されて、陥れた妹たちにざまぁしたら、幸せすぎて困ってます

深山きらら

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第五章 傷ついても立ち上がる、愛する者のために

良くない知らせ

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 季節が巡り、冬が訪れた。
 城の周囲は雪に覆われ、白銀の世界になった。

 アリアーナは、竜王妃としての生活に慣れていった。
 城の管理、使用人たちの世話、竜族との交流。

 以前の彼女なら、こんな責任ある立場に耐えられなかっただろう。
 けれど、今は違う。
 半竜となり、力を得た。そして何より、竜王という支えがいる。

「お前は、素晴らしい妃だ」

 ある日、竜王が言った。

「使用人たちは皆、お前を慕っている」
「本当でしょうか」

 アリアーナは微笑んだ。

 使用人たちと良い関係を築けている自覚はある。
 人間だった頃も――エルヴィシア家にいた頃も、使用人とは仲良くしていた。



 彼女たちと話して、わかったこともある。

 竜王は、アリアーナが生まれ育ったゼノギア王国だけでなく、いくつもの人間の国と契約している。
 すべて、竜族と人間が平和に共存していくための契約だ。

 各国から十年に一度、生贄が捧げられるので――竜王の城にはある程度の人数の女性がいるのだ。

 平和は、努力しなければ、守ることはできない。
 生贄が大きな役割を果たしているが、それだけでは足りない。

 世界の各地で起きる小競り合いやトラブルを収め、竜と人との戦争の芽を摘む。
 そのために竜王が出向かなければならないことも多い。


 でかけていく竜王を、アリアーナは笑顔で見送る。不安を顔に出さないよう、懸命に努力しながら。
 竜王がいない間、城のことを差配するのは、アリアーナの仕事だ。

「大丈夫ですよ、奥様。陛下はすぐにお戻りになります、ご無事で」

 クロエはいつも、アリアーナが欲しい言葉をくれる。




 ある冬の日。人間界の連絡用に使われている大きな水晶玉を見て、竜王は表情を曇らせた。

「奇妙なことを言う。『契約違反』とは、いったいどういうことだ?」

 竜王の傍らの椅子に座り、本を読んでいたアリアーナは、顔を上げた。

「私たちが人間との契約に違反した、というのですか? 誰がそんなことを?」
「ゼノギア王国の神殿だ。王家からの伝言を送ってきた。『捧げたはずの生贄が生きているのは契約違反ではないか』と言っているようだ。愚かな」
「どうしてわかったのでしょう、私がまだ生きていると? ……ああ、そうだわ。あのお医者さんですね」

 アリアーナの頭に、白髪の老人の顔が浮かんだ。
 ゼノビア王家の侍医長だ。アリアーナが体調を崩していたときに、竜王が人間界から連れてきた。
 アリアーナの回復後には人間界へ戻されたはずだが――きっと彼が、アリアーナが生きていることを、皆に話したのだろう。
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