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第五章 傷ついても立ち上がる、愛する者のために
形勢逆転
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「竜王殿……信じてもらいたい。わしは決して、戦いなど望んでおらぬ。人と竜族との平和は大切だ。エルヴィシア嬢を生贄に捧げたのも、そのためなのだからな」
ゼノギア王は叫んだ。
緊張でその髭は震えている。声も固い。しかし、その言葉には誠実さがあり、嘘はなかった。
群衆はどよめいている。
王がこんなにもはっきりと「戦争はない」と宣言したのだ。
誰もが、憑きものが落ちたような、拍子抜けしたような、戸惑いの表情を浮かべていた。
――悪意ある噂が打ち消された瞬間だった。
アリアーナは、セリーナがプレストン公爵子息に向かって目くばせを送るのを見た。「何とか言いなさいよ!」と言わんばかりに。
「口先だけなら何とでも言える。竜など信じるのは危険だ……!」
子息がよく通る声で叫び始めたとき。
竜王が呪文を唱え、前庭の上空に巨大な映像を出現させた。
エルヴィシア家の応接間で、セリーナとイヴェットが悪だくみの相談をしている映像だ。
王や貴族たちが顔色を変えた。群衆のどよめきが高まった。
「彼、私の言うことなら、なんでも聞いてくれるんですもの」というセリーナのせりふに、プレストン公爵子息がはっきりと顔をひきつらせた。
竜王が展開する映像は、それだけではなかった。さまざまな場面が次々と現れた。アリアーナが水晶玉で見たもの以外にも、たくさん。
セリーナがプレストン公爵子息にしなだれかかり、王に戦争を直訴してほしいとねだっている場面。
セリーナが怪しい人々に金を渡し、アリアーナについて悪い噂を広めてほしいと頼んでいる場面。
「これは……本当のことなのか。まさか、そなたが……」
王が愕然とした様子で、セリーナを見た。
「ち、違います! これは竜の魔法です! 偽物です!」
必死に否定するセリーナ。
「いや……これは本物だ。僕は確かに、彼女とあんな会話を交わした。一言一句、間違いはない……」
プレストン公爵子息が、蒼白な顔をしてつぶやいた。打ちのめされた様子だ。
もはや愛情のまったくこもらない目で、セリーナを見据える。
「君は僕を利用したんだな、セリーナ。父上が僕に家督を譲らないかもしれない、と言っていたのも、嘘なんだろう? 戦功を上げなければ父上に見捨てられるかもしれない、と……」
「ちがっ、違うわ! 私は嘘なんかついたことはない! だまされないで! お姉様が竜の力を借りて、私をおとしめようとしているのよ。お姉様はずっと私のことを憎んでいたから。ひがんでいたから。私の名誉を傷つけるためなら、お姉様は何だってやる……!」
セリーナは髪を振り乱して絶叫した。
ゼノギア王は叫んだ。
緊張でその髭は震えている。声も固い。しかし、その言葉には誠実さがあり、嘘はなかった。
群衆はどよめいている。
王がこんなにもはっきりと「戦争はない」と宣言したのだ。
誰もが、憑きものが落ちたような、拍子抜けしたような、戸惑いの表情を浮かべていた。
――悪意ある噂が打ち消された瞬間だった。
アリアーナは、セリーナがプレストン公爵子息に向かって目くばせを送るのを見た。「何とか言いなさいよ!」と言わんばかりに。
「口先だけなら何とでも言える。竜など信じるのは危険だ……!」
子息がよく通る声で叫び始めたとき。
竜王が呪文を唱え、前庭の上空に巨大な映像を出現させた。
エルヴィシア家の応接間で、セリーナとイヴェットが悪だくみの相談をしている映像だ。
王や貴族たちが顔色を変えた。群衆のどよめきが高まった。
「彼、私の言うことなら、なんでも聞いてくれるんですもの」というセリーナのせりふに、プレストン公爵子息がはっきりと顔をひきつらせた。
竜王が展開する映像は、それだけではなかった。さまざまな場面が次々と現れた。アリアーナが水晶玉で見たもの以外にも、たくさん。
セリーナがプレストン公爵子息にしなだれかかり、王に戦争を直訴してほしいとねだっている場面。
セリーナが怪しい人々に金を渡し、アリアーナについて悪い噂を広めてほしいと頼んでいる場面。
「これは……本当のことなのか。まさか、そなたが……」
王が愕然とした様子で、セリーナを見た。
「ち、違います! これは竜の魔法です! 偽物です!」
必死に否定するセリーナ。
「いや……これは本物だ。僕は確かに、彼女とあんな会話を交わした。一言一句、間違いはない……」
プレストン公爵子息が、蒼白な顔をしてつぶやいた。打ちのめされた様子だ。
もはや愛情のまったくこもらない目で、セリーナを見据える。
「君は僕を利用したんだな、セリーナ。父上が僕に家督を譲らないかもしれない、と言っていたのも、嘘なんだろう? 戦功を上げなければ父上に見捨てられるかもしれない、と……」
「ちがっ、違うわ! 私は嘘なんかついたことはない! だまされないで! お姉様が竜の力を借りて、私をおとしめようとしているのよ。お姉様はずっと私のことを憎んでいたから。ひがんでいたから。私の名誉を傷つけるためなら、お姉様は何だってやる……!」
セリーナは髪を振り乱して絶叫した。
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