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第五章 傷ついても立ち上がる、愛する者のために
決着
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「確かに……その通りです。私はアンネリーゼを裏切っておりました。ここにいるセリーナは、不義の子です」
嗚咽の合間に、エルヴィシア伯爵は言葉を絞り出した。その顔が激しく歪む。
「しかし、まさか、まさか……! アンネリーゼが自然死ではなかったとは。イヴェットが、まさかそんなことを……!」
王の合図で、兵士たちが伯爵、イヴェット、セリーナの両腕を捕らえた。
引っ立てられながら、セリーナは激しく泣きわめいた。
「いや、いやよ! こんな終わり方、絶対いや……! お姉様、とりなしてよ。竜王妃様なんでしょ、偉いんでしょ? 私を処罰しないよう、陛下にお願いして!」
伯爵は涙に汚れた顔で、アリアーナをみつめた。
「すまない、アリアーナ。私は……弱かったのだ」
二人のどちらにも、アリアーナは答えなかった。
答える必要はない、と感じていた。
彼女は竜王妃。人間界とは、もう関係ない。
「その者たちについては、人の世の法と慣習に従い、裁かれるがよかろう」
映像を消して、竜王が淡々と述べた。
「私としては……ゼノギア王が平和を望んでいると知れただけで、満足だ」
「もちろんだ、竜王殿。人間と竜族の平和は永遠だ。私の目の黒いうちは――そして私を継ぐ者たちにも、決して戦いなど起こさせはせぬ」
ゼノギア王が力強く言い切った。
前庭を囲む群衆から、歓声があがった。
平和。――それは、誰もが望むものだったのだ。
二人は、王に別れを告げた。
アリアーナは、再び竜型に戻った竜王の背に乗り、城を後にした。
眼下で王都が見る見る小さくなっていく。
――あそこに、自分の過去がある。
けれど、もう振り返らない。
自分の未来は、竜王と共にある。
「さあ、帰ろう。わが家へ」
竜王の言葉に、アリアーナは微笑んだ。
「はい。帰りましょう。私たちの城へ」
竜たちは、山脈を越えて飛んだ。
夕日が、空を茜色に染めている。
美しい光景だった。
その日の夜、アリアーナは竜王と共に寝室でゆったりした時を過ごしていた。暖炉の炎をぼんやり眺めていると、
「疲れたか」
と、竜王が後ろから抱きしめてきた。
アリアーナは、彼の腕に身を任せた。
「はい、少し。でも……すっきりしました」
「そうか」
竜王は、彼女の髪に顔を埋めた。
「お前は、立派に戦った」
「あなたがいたから」
アリアーナは、竜王の手を握った。
「一人では、できませんでした」
「これから先も、ずっと一緒だ」
愛する人の腕の中で、アリアーナは猛烈なだるさを覚えていた。
これは、最近ときどき感じるようになった倦怠感だった。
きっと疲れているのだ。昨日の夜は眠れなかったから。
アリアーナはそう自分に言い聞かせた。
嗚咽の合間に、エルヴィシア伯爵は言葉を絞り出した。その顔が激しく歪む。
「しかし、まさか、まさか……! アンネリーゼが自然死ではなかったとは。イヴェットが、まさかそんなことを……!」
王の合図で、兵士たちが伯爵、イヴェット、セリーナの両腕を捕らえた。
引っ立てられながら、セリーナは激しく泣きわめいた。
「いや、いやよ! こんな終わり方、絶対いや……! お姉様、とりなしてよ。竜王妃様なんでしょ、偉いんでしょ? 私を処罰しないよう、陛下にお願いして!」
伯爵は涙に汚れた顔で、アリアーナをみつめた。
「すまない、アリアーナ。私は……弱かったのだ」
二人のどちらにも、アリアーナは答えなかった。
答える必要はない、と感じていた。
彼女は竜王妃。人間界とは、もう関係ない。
「その者たちについては、人の世の法と慣習に従い、裁かれるがよかろう」
映像を消して、竜王が淡々と述べた。
「私としては……ゼノギア王が平和を望んでいると知れただけで、満足だ」
「もちろんだ、竜王殿。人間と竜族の平和は永遠だ。私の目の黒いうちは――そして私を継ぐ者たちにも、決して戦いなど起こさせはせぬ」
ゼノギア王が力強く言い切った。
前庭を囲む群衆から、歓声があがった。
平和。――それは、誰もが望むものだったのだ。
二人は、王に別れを告げた。
アリアーナは、再び竜型に戻った竜王の背に乗り、城を後にした。
眼下で王都が見る見る小さくなっていく。
――あそこに、自分の過去がある。
けれど、もう振り返らない。
自分の未来は、竜王と共にある。
「さあ、帰ろう。わが家へ」
竜王の言葉に、アリアーナは微笑んだ。
「はい。帰りましょう。私たちの城へ」
竜たちは、山脈を越えて飛んだ。
夕日が、空を茜色に染めている。
美しい光景だった。
その日の夜、アリアーナは竜王と共に寝室でゆったりした時を過ごしていた。暖炉の炎をぼんやり眺めていると、
「疲れたか」
と、竜王が後ろから抱きしめてきた。
アリアーナは、彼の腕に身を任せた。
「はい、少し。でも……すっきりしました」
「そうか」
竜王は、彼女の髪に顔を埋めた。
「お前は、立派に戦った」
「あなたがいたから」
アリアーナは、竜王の手を握った。
「一人では、できませんでした」
「これから先も、ずっと一緒だ」
愛する人の腕の中で、アリアーナは猛烈なだるさを覚えていた。
これは、最近ときどき感じるようになった倦怠感だった。
きっと疲れているのだ。昨日の夜は眠れなかったから。
アリアーナはそう自分に言い聞かせた。
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