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氷の魔公爵は、愛妻を膝に乗せて王都を征く
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王都へ向かうための準備は、瞬く間に整えられた。
というよりも、クラウス様の怒りのオーラに当てられた使用人たちが、恐ろしい速さで馬車や荷物を用意したのだ。
私は、部屋に運ばれてきた新しいドレスに袖を通していた。
「……これ、すごいですね」
鏡に映る私は、かつて神殿にいた頃とは似ても似つかない姿だった。
ドレスを着るのは初めてではない。いちおうルーク王太子の婚約者だったので、社交の場に出るときには、最低限のドレスを貸してもらっていた。
けれども、このドレスは、桁が違う。とてつもなく豪華できらびやかだ。
クラウス様の瞳と同じ、深く透き通るアイスブルーのドレス。生地には銀糸で魔方陣のような刺繍が施され、動くたびにキラキラと光を放つ。
首元には、大粒のサファイアのネックレス。これは魔力を抑制する魔道具も兼ねているらしい。
「よく似合っている」
着替えを終えて部屋を出ると、廊下で待っていたクラウス様が目を細めた。
彼もまた、正装の軍服に身を包んでいる。黒地に銀の装飾、そして肩に羽織った純白のマント。その姿は、絵本に出てくる王子様どころか、国を統べる王のような威厳があった。
「あの、クラウス様。本当に私も行くのですか? 私が行けば、また『魔力過多の役立たず』と笑われるだけでは……」
素敵なドレスとアクセサリーで着飾っても、中身は追放された聖女のままだ。不安でうつむくと、ひやりとした手が私の顎を持ち上げた。
「ジゼル。鏡を見てみろ」
「え……?」
「今の君は、みすぼらしい捨て聖女などではない。この俺、クラウス・シルヴィアンが選び、愛用している『最高級の抱き枕』兼、公爵夫人だ」
……言い回しに若干の引っかかりはあるけれど、彼の瞳は真剣そのものだった。
「俺の横に立つのだ。堂々としていろ。誰かが君を笑うなら、その口を永遠に凍らせてやる」
物騒なことをサラリと言って、彼は私の手を取った。
その手の冷たさが、今の私には何よりも心強かった。
***
王都までは馬車での移動となる。
公爵家の紋章が入った豪奢な馬車の中は、広々としていてクッションもふかふかだった。
けれど――。
「……あの、クラウス様。向かいの席が空いているのですが」
「遠い」
クラウス様は私の腰をがっちりと抱き寄せ、当たり前のように自身の膝の上に私を座らせていた。
いわゆる、お膝抱っこ状態だ。
「移動中は揺れる。君のような華奢な体では、座席から転げ落ちるかもしれない」
「そ、そんな馬車の揺れで転がるほど軽くはありませんっ」
「それに、俺の『充電』が必要だ。……これからの戦いに備えてな」
そう囁くと、彼は私の肩に頭を預け、すー、と深く息を吸った。
私の体から発せられる過剰な熱が、彼に吸収されていく。同時に、彼の体から伝わる冷気が私の火照りを鎮めてくれる。
魔力の循環。それは、言葉にできないほどの心地よさだった。
「……ん、いい具合だ」
クラウス様の手が、私の背中をゆっくりと撫でる。
まるで大事な宝物を確かめるような手つき。
馬車の窓から流れる景色を見ながら、私はぼんやりと考えた。
元婚約者のルーク殿下は、私の手を握ることさえ嫌がった。「熱い」「汗ばんでいる」と言って。
でも、この人は違う。
私の熱が必要だと言ってくれる。私のそばが一番落ち着くと言ってくれる。
(私、王都に行くのは怖いけど……)
私はそっと、私の腰に回された彼の手の上に、自分の手を重ねた。
(この人のためなら、頑張れる気がする)
クラウス様が、重ねた私の手を握り返してくれた。
言葉はなかったけれど、それだけで十分だった。
***
数時間後。馬車は王都の城門をくぐり、王城の前庭へと到着した。
馬車を降りた瞬間、肌を刺すような視線を感じた。
出迎えに並んでいた騎士や文官たちが、ギョッとした顔でこちらを見ている。
「おい、あれを見ろ。公爵様が連れているのは……」
「まさか、追放された聖女ジゼルか?」
「なんて派手な格好を……いや、公爵様のエスコートを受けているぞ!?」
ざわめきが波紋のように広がる。
私は思わず身を縮めそうになったが、クラウス様の言葉を思い出した。
『堂々としていろ』。
私は背筋を伸ばし、彼の腕に手を添えた。
そこへ、見覚えのある豪奢な服を着た男が、近衛兵を引き連れて大股で歩み寄ってきた。
金髪に、傲慢そうな吊り上がった目。
元婚約者、ルーク王太子だ。
「遅いぞ、ジゼル! 呼び戻してやったというのに、いつまで待たせる気だ!」
ルーク殿下は、隣にいるクラウス様の存在を無視して、私に向かって怒鳴りつけた。
「しかもなんだその格好は! 聖女らしく清貧な格好をしろと言っただろう。色気づきおって……さあ、こっちへ来い。結界が弱まっていて不便で仕方がないんだ!」
彼は乱暴に私の腕を掴もうと手を伸ばした。
その手が私に触れる、寸前。
――パキィンッ!!
甲高い音が鳴り響き、ルーク殿下の足元から巨大な氷柱が突き出した。
「うわぁっ!?」
殿下が無様に尻餅をつく。
周囲の騎士たちが慌てて剣を抜こうとするが、一瞬で地面が凍りつき、誰も動けなくなる。
絶対零度の空気が、王城の前庭を支配した。
「……俺の妻に、気安く触れるな」
クラウス様が、冷たく言い放った。
その瞳は、ゴミを見るような目で殿下を見下ろしていた。
「妻だと? 何を言っている、その女は王家が管理する聖女で――」
「捨てただろう? 不良品だと言って」
クラウス様が一歩踏み出す。
パキパキと霜が広がる音が、彼の怒りの大きさを物語っていた。
「お前たちが捨てたゴミを、俺が拾って磨き上げた。……今さら返せなどと、どの口が言っている?」
王城の正面玄関前。
氷の魔公爵による、国一番の大喧嘩が幕を開けた。
というよりも、クラウス様の怒りのオーラに当てられた使用人たちが、恐ろしい速さで馬車や荷物を用意したのだ。
私は、部屋に運ばれてきた新しいドレスに袖を通していた。
「……これ、すごいですね」
鏡に映る私は、かつて神殿にいた頃とは似ても似つかない姿だった。
ドレスを着るのは初めてではない。いちおうルーク王太子の婚約者だったので、社交の場に出るときには、最低限のドレスを貸してもらっていた。
けれども、このドレスは、桁が違う。とてつもなく豪華できらびやかだ。
クラウス様の瞳と同じ、深く透き通るアイスブルーのドレス。生地には銀糸で魔方陣のような刺繍が施され、動くたびにキラキラと光を放つ。
首元には、大粒のサファイアのネックレス。これは魔力を抑制する魔道具も兼ねているらしい。
「よく似合っている」
着替えを終えて部屋を出ると、廊下で待っていたクラウス様が目を細めた。
彼もまた、正装の軍服に身を包んでいる。黒地に銀の装飾、そして肩に羽織った純白のマント。その姿は、絵本に出てくる王子様どころか、国を統べる王のような威厳があった。
「あの、クラウス様。本当に私も行くのですか? 私が行けば、また『魔力過多の役立たず』と笑われるだけでは……」
素敵なドレスとアクセサリーで着飾っても、中身は追放された聖女のままだ。不安でうつむくと、ひやりとした手が私の顎を持ち上げた。
「ジゼル。鏡を見てみろ」
「え……?」
「今の君は、みすぼらしい捨て聖女などではない。この俺、クラウス・シルヴィアンが選び、愛用している『最高級の抱き枕』兼、公爵夫人だ」
……言い回しに若干の引っかかりはあるけれど、彼の瞳は真剣そのものだった。
「俺の横に立つのだ。堂々としていろ。誰かが君を笑うなら、その口を永遠に凍らせてやる」
物騒なことをサラリと言って、彼は私の手を取った。
その手の冷たさが、今の私には何よりも心強かった。
***
王都までは馬車での移動となる。
公爵家の紋章が入った豪奢な馬車の中は、広々としていてクッションもふかふかだった。
けれど――。
「……あの、クラウス様。向かいの席が空いているのですが」
「遠い」
クラウス様は私の腰をがっちりと抱き寄せ、当たり前のように自身の膝の上に私を座らせていた。
いわゆる、お膝抱っこ状態だ。
「移動中は揺れる。君のような華奢な体では、座席から転げ落ちるかもしれない」
「そ、そんな馬車の揺れで転がるほど軽くはありませんっ」
「それに、俺の『充電』が必要だ。……これからの戦いに備えてな」
そう囁くと、彼は私の肩に頭を預け、すー、と深く息を吸った。
私の体から発せられる過剰な熱が、彼に吸収されていく。同時に、彼の体から伝わる冷気が私の火照りを鎮めてくれる。
魔力の循環。それは、言葉にできないほどの心地よさだった。
「……ん、いい具合だ」
クラウス様の手が、私の背中をゆっくりと撫でる。
まるで大事な宝物を確かめるような手つき。
馬車の窓から流れる景色を見ながら、私はぼんやりと考えた。
元婚約者のルーク殿下は、私の手を握ることさえ嫌がった。「熱い」「汗ばんでいる」と言って。
でも、この人は違う。
私の熱が必要だと言ってくれる。私のそばが一番落ち着くと言ってくれる。
(私、王都に行くのは怖いけど……)
私はそっと、私の腰に回された彼の手の上に、自分の手を重ねた。
(この人のためなら、頑張れる気がする)
クラウス様が、重ねた私の手を握り返してくれた。
言葉はなかったけれど、それだけで十分だった。
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数時間後。馬車は王都の城門をくぐり、王城の前庭へと到着した。
馬車を降りた瞬間、肌を刺すような視線を感じた。
出迎えに並んでいた騎士や文官たちが、ギョッとした顔でこちらを見ている。
「おい、あれを見ろ。公爵様が連れているのは……」
「まさか、追放された聖女ジゼルか?」
「なんて派手な格好を……いや、公爵様のエスコートを受けているぞ!?」
ざわめきが波紋のように広がる。
私は思わず身を縮めそうになったが、クラウス様の言葉を思い出した。
『堂々としていろ』。
私は背筋を伸ばし、彼の腕に手を添えた。
そこへ、見覚えのある豪奢な服を着た男が、近衛兵を引き連れて大股で歩み寄ってきた。
金髪に、傲慢そうな吊り上がった目。
元婚約者、ルーク王太子だ。
「遅いぞ、ジゼル! 呼び戻してやったというのに、いつまで待たせる気だ!」
ルーク殿下は、隣にいるクラウス様の存在を無視して、私に向かって怒鳴りつけた。
「しかもなんだその格好は! 聖女らしく清貧な格好をしろと言っただろう。色気づきおって……さあ、こっちへ来い。結界が弱まっていて不便で仕方がないんだ!」
彼は乱暴に私の腕を掴もうと手を伸ばした。
その手が私に触れる、寸前。
――パキィンッ!!
甲高い音が鳴り響き、ルーク殿下の足元から巨大な氷柱が突き出した。
「うわぁっ!?」
殿下が無様に尻餅をつく。
周囲の騎士たちが慌てて剣を抜こうとするが、一瞬で地面が凍りつき、誰も動けなくなる。
絶対零度の空気が、王城の前庭を支配した。
「……俺の妻に、気安く触れるな」
クラウス様が、冷たく言い放った。
その瞳は、ゴミを見るような目で殿下を見下ろしていた。
「妻だと? 何を言っている、その女は王家が管理する聖女で――」
「捨てただろう? 不良品だと言って」
クラウス様が一歩踏み出す。
パキパキと霜が広がる音が、彼の怒りの大きさを物語っていた。
「お前たちが捨てたゴミを、俺が拾って磨き上げた。……今さら返せなどと、どの口が言っている?」
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