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小競り合い
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それから、カイルとルーファスの間に、微妙な火花が散るようになった。
カイルがアディに話しかけようとすると、ルーファスが「アディ、執務室に来い」と業務を口実に引き離す。
カイルが「明日の護衛は僕が」と言えば、ルーファスが「騎士は調査団の任務に専念しろ」と却下する。
ある日、アディとカイルが畑のそばに立ち、笑顔で薬草の話をしていると、ルーファスが突然現れて、
「アディ、薬の発注書について確認がある」
と連れ去ってしまった。
執務室に着くと、アディはおそるおそる尋ねた。
「あのぉ……発注書の確認というのは?」
ルーファスに呼び出される心当たりがないので、ドキドキする。知らないうちに何かミスをしてしまっただろうか。
「……ああ」ルーファスは少し視線をそらした。「これだ」
彼が差し出した書類は、すでに完璧に記入されており、確認する必要などまったくなかった。
「えーっと……これ、もう完成していますよね?」
「……そうだな」
「じゃあ、なぜ?」
ルーファスは答えなかった。というより、答えられなかった。
(お前がカイルと楽しそうに話しているのが、気に入らなかったからだ)
そんなこと、口が裂けても言えるはずがない。
「……私の思い違いだったかもしれん。この発注書に問題はないな?」
「は、はあ……」
アディは首をかしげたが、ルーファスを相手にそれ以上追及できるはずもない。その場はそれで終わった。
使用人たちの間では、この状況が大きな話題になっていた。
「領主様ったら、完全に嫉妬してらっしゃるわね」
「カイル様とアディ様が話していると、必ず割って入るもの」
「でもアディ様、全然気づいていないみたい」
「鈍感なのかしら、それとも……」
ハンナは穏やかに笑った。
「アディ様も、領主様のことを特別に思っているのですよ。ただ、ご自分の気持ちに気づいていないだけ」
「まあ! それじゃあ両想いじゃない!」
「ええ。でも、両方とも不器用だから、なかなか進展しないのよね」
使用人たちは、恋の行方を見守るのが楽しくて仕方なかった。
事態が動いたのは、ある雨の日のことだった。
アディは予定していた薬草採集を中止し、研究室で調合作業をしていた。
そこへ、カイルが顔を出した。
「アディ様、お忙しいところすみません」
「カイル様。……どうされましたか?」
「実は、母への贈り物に薬草茶を作りたいと思いまして。教えていただけませんか?」
「もちろんです」
アディは快く引き受け、薬草茶の作り方を丁寧に説明し始めた。
カイルは真剣な表情で聞いていたが、時折、アディの横顔をじっと見つめていた。
「アディ様」
「はい?」
「あなたは、本当に素晴らしい方です」
カイルは微笑んだ。澄んだ瞳が熱を帯びてアディをみつめる。
「優しくて、賢くて、そして一生懸命。こんな素敵な女性には、初めて出会いました」
「そ、そんな……」
アディは恐縮してしまった。人から褒められるのには、いつまで経っても慣れることができない。「自分は過大評価されている」という思いをぬぐうことができないのだ。
「褒めすぎですよ」
「いいえ、本当のことです。もし今、あなたに想い人がいないなら……」
カイルがアディに話しかけようとすると、ルーファスが「アディ、執務室に来い」と業務を口実に引き離す。
カイルが「明日の護衛は僕が」と言えば、ルーファスが「騎士は調査団の任務に専念しろ」と却下する。
ある日、アディとカイルが畑のそばに立ち、笑顔で薬草の話をしていると、ルーファスが突然現れて、
「アディ、薬の発注書について確認がある」
と連れ去ってしまった。
執務室に着くと、アディはおそるおそる尋ねた。
「あのぉ……発注書の確認というのは?」
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「……ああ」ルーファスは少し視線をそらした。「これだ」
彼が差し出した書類は、すでに完璧に記入されており、確認する必要などまったくなかった。
「えーっと……これ、もう完成していますよね?」
「……そうだな」
「じゃあ、なぜ?」
ルーファスは答えなかった。というより、答えられなかった。
(お前がカイルと楽しそうに話しているのが、気に入らなかったからだ)
そんなこと、口が裂けても言えるはずがない。
「……私の思い違いだったかもしれん。この発注書に問題はないな?」
「は、はあ……」
アディは首をかしげたが、ルーファスを相手にそれ以上追及できるはずもない。その場はそれで終わった。
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「カイル様とアディ様が話していると、必ず割って入るもの」
「でもアディ様、全然気づいていないみたい」
「鈍感なのかしら、それとも……」
ハンナは穏やかに笑った。
「アディ様も、領主様のことを特別に思っているのですよ。ただ、ご自分の気持ちに気づいていないだけ」
「まあ! それじゃあ両想いじゃない!」
「ええ。でも、両方とも不器用だから、なかなか進展しないのよね」
使用人たちは、恋の行方を見守るのが楽しくて仕方なかった。
事態が動いたのは、ある雨の日のことだった。
アディは予定していた薬草採集を中止し、研究室で調合作業をしていた。
そこへ、カイルが顔を出した。
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「実は、母への贈り物に薬草茶を作りたいと思いまして。教えていただけませんか?」
「もちろんです」
アディは快く引き受け、薬草茶の作り方を丁寧に説明し始めた。
カイルは真剣な表情で聞いていたが、時折、アディの横顔をじっと見つめていた。
「アディ様」
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