【短編集】

●やきいもほくほく●

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ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!

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「マーヴィン様、今日はどうされますか?」

「本当にマーヴィン様は聡明ですわ」

「マーヴィン様が居れば他に何にもいりません」

「マーヴィン様、大好きですわ」


そんなマーヴィン・セレクト至上主義であった、わたくしベアトリス・シセーラ。


目が覚めましたので、婚約者であるマーヴィン様とサヨナラします。







ベアトリスはシセーラ侯爵家に生まれた。
蝶よ花よと育てられたベアトリスは、娘を溺愛する両親と、超シスコンである兄のブランドにより更に甘やかされる事になる。

そしてとある令息に一目惚れしたベアトリスは、周囲が驚くほどに猛烈なアタックを開始する。

マーヴィン・セレクト。
セレクト公爵の嫡男であるマーヴィンは同年代の令息と比べると色気があり、大人っぽくて女性の扱いがうまい。
笑顔が素敵で他の令息には無い魅力を持っていると感じたベアトリスはマーヴィンに夢中になった。

しかしマーヴィンは色んな御令嬢との噂が絶えない恋多き令息であった。

マーヴィンは誰とも婚約関係を結ばずに遊び歩いていた。

そんなマーヴィンを射止めようとベアトリスはマーヴィンが出るお茶会やパーティーに出ては必死にアピールしていた。

ベアトリスは1にマーヴィン、2にマーヴィン。
兎にも角にもマーヴィン第一の生活を送っていた。

どうしてもマーヴィンと婚約したいからと両親に泣きながら頼み込んだ。
「マーヴィンと結婚出来ないのなら死んでやる」それがベアトリスの口癖だった。

公爵家が資金難だと聞いたシセーラ侯爵は毎月の援助と多額の支度金を約束する事でマーヴィンとの婚約を勝ち取った。

ベアトリスは両親のお陰でマーヴィンと婚約する事が出来たのだ。

しかし、あまりにも熱烈なベアトリスにマーヴィンはドン引きしていた。

愛が重過ぎたのだ。

そんな事にも気付かないベアトリスはマーヴィンと婚約出来た事で有頂天。

マーヴィンに結婚式はいつするのか、子供は何人欲しいのか、2人の部屋はどんな内装がいいかなど問い詰める毎日。

そんなベアトリスに心の底からうんざりしていたマーヴィンは、ベアトリスという婚約者がいながらも、以前のように他の御令嬢の元へと逃げるようになった。

それを知ったベアトリスが屋敷から刃物を持ち出して、デート現場へと乗り込もうとするという事件が頻発した。
それは全て兄のブランドが先回りして未遂に終わるのだが、一歩間違えれば大惨事である。

それなのにマーヴィンは堂々と他の令嬢と不貞行為を繰り返す。
そしてベアトリスが自分の手首にナイフを突きつけるという痛ましい事件が起きた。
それも兄であるブランドが見事に防いで未遂に終わったが、マーヴィンは何も変わらずベアトリス以外の御令嬢の元へと逃げてしまう。

2人の関係は、一向に良くならずに悪化の一途を辿った。

家族はベアトリスを止めたが、ベアトリスは聞く耳を持たなかった。
しかしある時、ベアトリスの中で何かが限界を迎えた。

ベアトリスは涙ながらにマーヴィンに訴えた。
「もうしつこく付き纏わないから、他の令嬢の元へ通うのをやめてください」と。
けれどマーヴィンは何の悪びれた様子もなく「嫌なら婚約破棄すればいい」とベアトリスに言ったのだ。

婚約破棄してしまえばマーヴィンは他の御令嬢と愛を育む事になる。

(それだけは絶対に嫌よ‥!)

ベアトリスが自分からマーヴィンの手を離す事は出来る筈がなかったのだ。

(何故、マーヴィン様はわたくしの気持ちを知っていて平気で婚約破棄などと‥!どうしてそんな酷い事を言えるの?)

ベアトリスは泣き暮れた。

こうなってしまえばマーヴィンへの愛が重いベアトリスが一気に不利になる。

それからマーヴィンは"婚約破棄"という言葉に味を占めたのか、ベアトリスがマーヴィンに意見すると直ぐに婚約破棄を持ち出すようになった。

マーヴィンは更に自由に振る舞うようになった。
ベアトリスはマーヴィンを止める術を知らなかった。


(どうして‥?こんなにマーヴィン様が好きなのに)
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