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ふしぎの国の悪役令嬢はざまぁされたって構わない!〜超塩対応だった婚約者が溺愛してくるなんて聞いていませんけど!〜
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デレデレしながらもトレイヴォンにドレスを見せていた。
彼は複雑そうな表情を一瞬だけ浮かべた後にいつもの表情に戻った。
「じゃあ、今日のドレスを選びに行く予定は中止だな」
「あー……うん、そうね!そうなるわね」
「全く。その様子だと俺との約束も忘れていただろう?」
「大変、申し訳ございませんでした」
「はぁ……」
今日はトレイヴォンと共に街に行って、マスクウェルと出席するパーティーのためにドレスを選びに行こうと思っていたのだ。
やはり男性目線と女性目線ではタイプが違うのではと思い、いつも暇そうにフラリとブラック邸に現れるトレイヴォンの意見を取り入れようと思っていたのだが、マスクウェルから直接プレゼントされた以上、もう必要なくなってしまった。
それにより「今日は気合いが違うわ!時間厳守で来てよね!あ、街に行く時の格好で来てよ!ただでさえ、レイはイケメンなんだから」と、口うるさく言っていたせいか申し訳ない気持ちになる。
実際、トレイヴォンは言われた通り時間を守り、服装も指定された通りだ。
いつも綺麗にまとめてある真っ赤な髪に銀色のメッシュの髪はボサっとして結えており、切長の銀色の瞳を眼鏡で隠している。
約束を破ってトレイヴォンを振り回してしまったことに罪悪感を感じていた。
三年間で後略対象者である彼ともすっかり仲良くなる。
今ではマスクウェルの護衛をしているトレイヴォンに様子を聞くのを必死に我慢しながらチラチラと視線を送っていると、トレイヴォンからマスクウェルの様子がどうだったのかを説明してくれる。
以前の表情は固く令嬢達から怖がられていたトレイヴォンだったが、ファビオラがいつも楽しげに話していたからか、誤解はあっという間に解けていき、トレイヴォンは婚約者がいないこともあり、今や王太子のマスクウェルを超えて凄まじい人気を放っている。
令嬢達が放っておかないそうで、よくファビオラのところに避難してくる。
しかしこれだけトレイヴォンと関わっているのにアリスと顔を合わせないのも不思議なところだ。
約束をしておいてこのままでは申し訳ないと思ったファビオラは、いいことを思いつく。
「なら、今から街に行きましょう!」
「はぁ!?」
「エマ、街娘風にお願い!」
「かしこまりました」
そうして予定通りにトレイヴォンと共に街に出かけることになった。
馬車の中でいつものように話していた。
隣にはエマが限りなく空気を薄くして座っている。
「さっきのドレスに合う髪飾りを探しに行こうと思うの!レイ、さっきわたくしのドレス姿を見たでしょう?マスクウェル殿下のドレスに合う髪飾りを選んでちょうだい!」
「マスクウェル殿下、マスクウェル殿下って、よく飽きないな」
「全然……!むしろ年々、好きが増していくの。不思議よねぇ」
「ふーん」
「どれだけ嫌われたって少しの希望に縋りたくなってしまう。たとえ自分が散るとわかっていても、最後まで側にいたい……まぁ、レイにはわからないかもしれないけど」
「いいや……わかる」
「え……?」
今日のトレイヴォンはいつになく大人っぽく思えた。
眉を寄せて困ったように笑ったトレイヴォンの笑みを見て、呆然としていると御者から声が掛かる。
「ビオラ、そろそろ行くぞ」
「…………」
「マスクウェル殿下のために頑張るんだろう?」
「も、もちろんよ!」
そう言ったトレイヴォンはいつもの彼と同じだった。
先程の言葉の意味を問おうとしても、何故かいつものように聞くことができなかった。
騎士として腕が確かなトレイヴォンと共に行動すれば護衛いらずだ。
いくら仲がいい友人とはいえ婚約者でもない令息と二人きりになるわけにもいかずに、エマにも同席してもらっている。
トレイヴォンとエマを連れて色々な店を巡った。
「わぁ……!ここの店可愛いっ」
「ビオラ、声でかい」
「レイ、見てみて!これ、コレっ!」
「見てる」
「マスクウェル殿下にこのピアス、とても似合いそうね。でもわたくしがプレゼントしたものを受け取ってくれるかしら。でもドレスの御礼をしたいし」
「……。喜ぶと思うぞ」
「ほっ、ほんとかしら!どうせならお揃いにしましょう!」
トレイヴォンの言葉を信じて、ファビオラはハートのピアスを購入する。
赤と黒のハートを半分ずつにできて、合わせるとひとつにハートになるというものだ。
調子に乗りすぎかとも思ったが、勢いで買ってしまった。
ファビオラは鼻息荒く興奮していた。
トレイヴォンは溜息を吐きながらも一緒についてきてくれる。
ふと、黒い石の飾りがついた髪紐が目に入る。
「これ、レイに似合うそうね!」
「髪紐か……?」
「そうそう!最近、髪が邪魔って言っていたでしょう?あ、そうだわ。今日のお詫びにこれ買ってあげるわね。ちょっと待ってて……!」
「あ、おい……!」
彼は複雑そうな表情を一瞬だけ浮かべた後にいつもの表情に戻った。
「じゃあ、今日のドレスを選びに行く予定は中止だな」
「あー……うん、そうね!そうなるわね」
「全く。その様子だと俺との約束も忘れていただろう?」
「大変、申し訳ございませんでした」
「はぁ……」
今日はトレイヴォンと共に街に行って、マスクウェルと出席するパーティーのためにドレスを選びに行こうと思っていたのだ。
やはり男性目線と女性目線ではタイプが違うのではと思い、いつも暇そうにフラリとブラック邸に現れるトレイヴォンの意見を取り入れようと思っていたのだが、マスクウェルから直接プレゼントされた以上、もう必要なくなってしまった。
それにより「今日は気合いが違うわ!時間厳守で来てよね!あ、街に行く時の格好で来てよ!ただでさえ、レイはイケメンなんだから」と、口うるさく言っていたせいか申し訳ない気持ちになる。
実際、トレイヴォンは言われた通り時間を守り、服装も指定された通りだ。
いつも綺麗にまとめてある真っ赤な髪に銀色のメッシュの髪はボサっとして結えており、切長の銀色の瞳を眼鏡で隠している。
約束を破ってトレイヴォンを振り回してしまったことに罪悪感を感じていた。
三年間で後略対象者である彼ともすっかり仲良くなる。
今ではマスクウェルの護衛をしているトレイヴォンに様子を聞くのを必死に我慢しながらチラチラと視線を送っていると、トレイヴォンからマスクウェルの様子がどうだったのかを説明してくれる。
以前の表情は固く令嬢達から怖がられていたトレイヴォンだったが、ファビオラがいつも楽しげに話していたからか、誤解はあっという間に解けていき、トレイヴォンは婚約者がいないこともあり、今や王太子のマスクウェルを超えて凄まじい人気を放っている。
令嬢達が放っておかないそうで、よくファビオラのところに避難してくる。
しかしこれだけトレイヴォンと関わっているのにアリスと顔を合わせないのも不思議なところだ。
約束をしておいてこのままでは申し訳ないと思ったファビオラは、いいことを思いつく。
「なら、今から街に行きましょう!」
「はぁ!?」
「エマ、街娘風にお願い!」
「かしこまりました」
そうして予定通りにトレイヴォンと共に街に出かけることになった。
馬車の中でいつものように話していた。
隣にはエマが限りなく空気を薄くして座っている。
「さっきのドレスに合う髪飾りを探しに行こうと思うの!レイ、さっきわたくしのドレス姿を見たでしょう?マスクウェル殿下のドレスに合う髪飾りを選んでちょうだい!」
「マスクウェル殿下、マスクウェル殿下って、よく飽きないな」
「全然……!むしろ年々、好きが増していくの。不思議よねぇ」
「ふーん」
「どれだけ嫌われたって少しの希望に縋りたくなってしまう。たとえ自分が散るとわかっていても、最後まで側にいたい……まぁ、レイにはわからないかもしれないけど」
「いいや……わかる」
「え……?」
今日のトレイヴォンはいつになく大人っぽく思えた。
眉を寄せて困ったように笑ったトレイヴォンの笑みを見て、呆然としていると御者から声が掛かる。
「ビオラ、そろそろ行くぞ」
「…………」
「マスクウェル殿下のために頑張るんだろう?」
「も、もちろんよ!」
そう言ったトレイヴォンはいつもの彼と同じだった。
先程の言葉の意味を問おうとしても、何故かいつものように聞くことができなかった。
騎士として腕が確かなトレイヴォンと共に行動すれば護衛いらずだ。
いくら仲がいい友人とはいえ婚約者でもない令息と二人きりになるわけにもいかずに、エマにも同席してもらっている。
トレイヴォンとエマを連れて色々な店を巡った。
「わぁ……!ここの店可愛いっ」
「ビオラ、声でかい」
「レイ、見てみて!これ、コレっ!」
「見てる」
「マスクウェル殿下にこのピアス、とても似合いそうね。でもわたくしがプレゼントしたものを受け取ってくれるかしら。でもドレスの御礼をしたいし」
「……。喜ぶと思うぞ」
「ほっ、ほんとかしら!どうせならお揃いにしましょう!」
トレイヴォンの言葉を信じて、ファビオラはハートのピアスを購入する。
赤と黒のハートを半分ずつにできて、合わせるとひとつにハートになるというものだ。
調子に乗りすぎかとも思ったが、勢いで買ってしまった。
ファビオラは鼻息荒く興奮していた。
トレイヴォンは溜息を吐きながらも一緒についてきてくれる。
ふと、黒い石の飾りがついた髪紐が目に入る。
「これ、レイに似合うそうね!」
「髪紐か……?」
「そうそう!最近、髪が邪魔って言っていたでしょう?あ、そうだわ。今日のお詫びにこれ買ってあげるわね。ちょっと待ってて……!」
「あ、おい……!」
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