66 / 84
"全く興味がない"それだけだった
①③
しおりを挟む"こんな事になったんだろう?"と、ミケーレがソフィーアを責め立てようとした時だった。
まるでスローモーションのように黒い影がミケーレの上から覆い被さろうとしている。
それを見たミケーレは息を飲んだ。
この闇に触れてしまえば"死ぬ"と本能的に理解したからかもしれない。
「ルゼット様」
ソフィーアが片手を上げてルゼットを制すと影はピタリと止まる。
ルゼットは不満そうに声を上げる。
「‥‥なんで?ソフィーア」
「ルゼット様の手を汚すほどではありませんわ」
「羽虫のくせにブンブンと目障りだから潰してやろうと思ったのに」
よく見るとラバンジールも腰にある剣の柄に手を掛けている。
ラバンジールの目は鋭くミケーレを射抜いている。
いつも笑顔のリマですらも真顔でミケーレを見ていた。
一触即発の空気の中、平然とソフィーアは言った。
「わたくしの不貞行為を疑っているのでしょうが、この身は綺麗なままですわ」
「‥っ」
「ルゼット様」
「ちっ‥」
真っ黒な影で後ろからミケーレの首を絞めようとしたルゼットに再び声を掛ける。
これでは話が進まないので、一旦大人しくしてもらうと、ルゼットの影に自らの光魔法をぶつけて打ち消した。
「ーーっ!!ああ‥ソフィーア、君の魔法は何度見ても素晴らしいよッ!」
「ありがとうございます」
「僕が唯一使えない光魔法を持つ君だから、僕は君が欲しかったんだ」
「ルゼット様、少し落ち着いて下さいませ。おいたがすぎると嫌いになりますよ?」
「‥‥はーい、分かったよ」
そう言いつつも、ルゼットは恍惚とした表情でソフィーアを見つめている。
「勘違いなさっているようなので、言わせて頂きますが‥‥私はソフィーア様の強さと剣捌きに惚れ込みました。ヘール王国最大の武術大会、女性部門で圧倒的な成績で優勝した貴女は、まるで女神ヘールのようだと思ったのです」
「ラバンジール様には負けますわ」
「力ではそうかもしれませんが、ソフィーアの繊細な剣捌きに敵うものはいませんよ」
「恐れ入ります」
「その場ですぐに婚約を申し込んだが"婚約者がいるから"と丁重に断られました」
ラバンジールはソフィーアに跪くと手を取り、そっと口付ける。
リマもソフィーアに熱い視線を送りながら言った。
「俺は不治の病だったんだ‥‥世界中から色んな医師を呼んだが、どの医師も匙を投げた。あと数年も生きられないだろうと言われたんだ。けれど偶々アバン帝国にレンドルター伯爵が自国の商品を紹介する時に、共に居たのがソフィーアだった」
「あら、懐かしいお話ですね」
「そうだろう?そんな時にフラリと倒れ込んだ俺を介抱してくれたソフィーアは、あっという間に光魔法を使って俺の命を救ったんだ。十何年と苦しんだ病を一瞬でだぞ?」
「偶々勉強していたのです。それにあまり良い理由では‥」
「ははっ、後から魔法の実験をしていたと聞いた時は驚いたが、病が良くなれば理由などは何でもいい」
「お恥ずかしい話ですわ」
「君はまだ幼かったんだ、それに君は俺の為に奇跡を見せてくれたじゃないか。ソフィーア、そしてレンドルター伯爵家をアバン帝国で受け入れる話も出ている。この婚約破棄は我々にとって吉報だった」
つまり暗黒の魔術師ルゼットはソフィーアの魔法の力をキッカケにソフィーアに惹かれた。
ラバンジールはヘール王国の武術大会に出場したソフィーアの姿に一目惚れ。
そしてリマのずっと苦しんでいた不治の病を治したことでアバン帝国から感謝されている。
「そういうことです、ミケーレ様」
「‥!!」
「残念ながらミケーレ様が思う理由とは、全く違いますわ」
「そ、そんな‥っ」
317
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
売られたケンカは高く買いましょう《完結》
アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。
それが今の私の名前です。
半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。
ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。
他社でも公開中
結構グロいであろう内容があります。
ご注意ください。
☆構成
本章:9話
(うん、性格と口が悪い。けど理由あり)
番外編1:4話
(まあまあ残酷。一部救いあり)
番外編2:5話
(めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる