婚約破棄されて闇に落ちた令嬢と入れ替わって新しい人生始めてます。

●やきいもほくほく●

文字の大きさ
表紙へ
3 / 24
1巻

1-3

しおりを挟む
 それだけでも驚きではあるが、ランダルトとお茶をしたいかと言われたら、勿論答えはノーだ。

「お断り致します」
「…………」
「わたくしは殿下と関わりたくありませんし、婚約者には絶対に、なりたくありません」
「……お前の気持ちは分かった」
「ならば、そのようにお伝えくださいませ」

 パルファンは腕を組んで壁にもたれかかる。
 そしてうつむいていた顔を上げ、真っ直ぐにローズレイを見た。

「父上と母上を困らせる気か……?」
「…………」
「今、ランダルトの機嫌をそこねたくない。それに逃げられなくなる前に折り合いをつけて従った方が身の為だぞ」

 正論……確かにパルファンの言う通りだった。
 このままローズレイが拒否し続ければ、両親に迷惑をけてしまうだろう。
 それに家名に泥を塗る事にも繋がる。

「婚約者になれと言っているわけじゃない。関わりたくないのなら本人にそう言えばいい」
「……!?」
「今は俺の友人だからな」

 目の前にいる男は、本当にパルファン・ヒューレッドだろうか……?
 ゆっくりとローズレイに近づいてくるパルファンから目が離せなかった。
 身構える事も忘れて、ローズレイはパルファンを見上げる。
 パルファンは、そっとひざまずくとローズレイの手を取った。

「…………以前は、すまなかった」
「………………え?」
「おかげで目が覚めた、今ではランダルトの側近として側にいるんだ」
「そう、ですか……」
「本当に申し訳なかった……」
「…………」
「…………」
「えっと…………はい」

 真剣な顔でパルファンは頭を下げてから、スッと立ち上がると、驚きすぎて固まっているローズレイにほほみかける。

れいになったな、ローズレイ」

 ボボっと顔が赤くなるのを感じて、ローズレイはパルファンに握られて手を振り払い、両手で頬を押さえてクルリと背を向ける。

「…………ローズレイ?」
「お兄様」
「……?」
「いきなりデレないでください」
「……デレ? それはなんだ」

 少し大人びた兄に以前の横暴さはまるでなかった。
 ローズレイは深呼吸をしてからせき払いをする。
 表情を戻してからパルファンへと向き直る。

「…………我儘わがままを言って申し訳ありません……行きます」

 パルファンは「えらいな」と言ってローズレイの頭を優しく撫でた。
 そしてパルファンとの会話は、信じられないくらいよくはずんだ。
 今度帰った時に手合わせをしよう、街に美味おいしいお菓子がある……なにない話だったが、普通に会話が成立していた。
 こんな風にパルファンと話したのは初めてではないだろうか。
 五年前にぶっ潰そうとしていたパルファンと、一瞬で距離が縮まったようだ。
 完全に信頼しているわけではないが、嘘をついている様子もない。
 ローズレイに対する敵意は全く感じなかった。
 何より、五年越しのパルファンからの誠意のこもった謝罪は胸に響いた。
 けれど、気の進まないお茶会の場に一歩、また一歩と近づいて行く。

「わたくし、お兄様がうらやましいわ」
「…………何故だ?」
「その足で何処どこにでも行けて、好きに学ぶ事が出来て、新しい世界を見れるのでしょう……? わたくしは、まだここから出た事もないのに…………お兄様は何でも手に入れられるのよ? 本当にうらやましい……」
「………………それは」
「護身術も身に付けましたのに……お父様とお母様には〝まだ外に出てはいけない〟と言われて……」
「そうか…………そう、だったのか……」

 パルファンは神妙な面持ちで、納得したように頷いた。

「……俺もお前がうらやましかったんだ。両親から愛情を一身に受けて宝物のように大切にされていたお前が……」
「…………お兄様」
「お前も苦しかったんだな……今日、ここに来て良かった。胸につかえていたものが取れた気がする」

 晴れやかな気持ちだ、とパルファンは続けた。
 コツコツとブーツの音が廊下に響く。

「父上に許可を取らねばな」
「……何の許可ですか?」
「お前の側にいてもいいという許可だ」
「そんなものいりませんわ……また階段から突き落とされるのなら話は別ですが」
「おいおいローズレイ、悪い冗談はよしてくれ」
「ふふ、もう簡単には突き落とされませんわよ?」

 ローズレイが笑みを浮かべると、パルファンはひらひらと両手を上げた。
 そんな軽口を叩く間にも、ランダルトの待つ場所への距離が近づいていく。

「くれぐれも失礼のないようにな」
「…………分かっています」
「しかし何故、婚約者になりたくないんだ? この国に住む者ならば一度は望む事だろう?」 

 王太子と結婚して王妃になる。
 どの令嬢も一度は夢見る事だ。
 だからこそ、それを拒否するローズレイに違和感を覚えるのだろう。
 しかし、この先の未来が分かっているローズレイからしてみれば、スフィアが絡む恋愛事情に巻き込まれたくはないし、闇に飲まれて国を失いたくもない。
 ランダルトがスフィアを好きになる事が分かっているのに、婚約してわざわざ振られるなんてごめんである。
 入れ替わって二度目の人生、自分の幸せをつかむ為に頑張りたい。
 だからこそ、ランダルトとの婚約は何としても避けたかった。

「…………わたくし、愛のない殿方との結婚より、お父様とお母様のように愛に溢れた結婚をしたいのです」

 前の世界では、生きるために必死で恋をしている暇がなかった。
 せっかく新しいチャンスをもらえたのだ。
 お互いを尊重出来るような素晴らしい恋愛をしてみたい。

「待て、ローズレイ!」

 何故だか兄が急に慌て出したが、止める気はない。

「あの貼り付けたような笑みが嫌なのです! あの顔見まして? わたくしに全く興味なんてありませんわ……!」

 冷静に見れば分かる事だ。
 恋に浮かれた以前のローズレイには分からなかったのかもしれないが、嘘くさい笑顔、うわだけの優しさ。
 ローズレイの事など何一つ見ていない。

「おい……!」

 そう話すローズレイの後ろを見て、焦ったような声を出すパルファン。
 なんだろうと疑問に思い、振り向くと……

「…………そんな事は、ないと思うけどね」

 いつの間にか背後にいるランダルトに、ローズレイは目を見開いた。

「いつまでも来ないから迎えに来たんだけど、面白い話が聞こえてね……」
「……すまない、ランダルト」
「パルファン、君の妹は随分ずいぶんと面白い御令嬢のようだね」
「殿下に褒められるなんて光栄ですわ」
「はぁ……」

 パルファンが溜息をいた。
 失礼のないように……と、先程言ったばかりなのにコレでは、兄としてはそういう反応にもなるだろう。
 ローズレイとしてはとにかく、婚約者にならない事が目標である。
 なので、この先ランダルトに嫌われようが構わない。
 それなのに、ランダルトは怒りもせずに笑顔でローズレイを見ていた。

「お茶会の続きといこうか。ねぇ……? パルファン、ローズレイ」

 そんなランダルトの一言で始まった嵐のようなお茶会は、なんとか無事に終わった。
 ご機嫌なランダルトと胃を押さえていたパルファンを見送った後、庭でみ取った花を花瓶に生けながら、ローズレイは何度目か分からない溜息ためいきいた。
 ランダルトがここまで強引に食らいついてくるのは予想外だった。
 それに、ローズレイの記憶にあるランダルトとは反応が違っていた。
 以前は家の取り決めで婚約したので、関係はアッサリとしたものだったのだ。
 パルファンに変化があったから、側にいるランダルトの性格も少し変わったという事も考えられるが、ここまでローズレイに対しての態度が変わるものだろうか?

(…………分からない)

 それにローズレイは、王太子の婚約者になったからこそ外に出る事を許された。
 けれど、婚約するつもりは毛頭ないので、いつ外に出られるかは分からない。
 公爵家の庭は広大で、散歩するにしても十五分以上はかってしまう。
 それにずっと同じ景色を見続けるのは退屈だ。
 これからもずっと屋敷にいたいかと問われれば、答えはノーだ。
 それに何かあった時の為に外の世界を知っておきたい。
 ローズレイはすぐにビスクの部屋へと駆け出した。

「外に行きたい……?」
「はい、お父様。わたくしもみんなのように街にお出かけしてみたいのです」
「…………どうしようね」
「お願いします」
「外、か……」

 ローズレイも強くなった。
 初めてのお出かけには良い時期だろう。
 真剣な顔のビスクに違和感をつのらせながらも、ローズレイは外に行きたいと強く訴えた。
 ローズレイの予想に反して、ビスクは難しい顔をしている。
 眉間のシワを更に深めて、何かを考えているようだった。

「ゼフ……リズレイは?」
「ご婦人方とサロンで過ごされております」
「終わり次第、この件を伝えよ」
「かしこまりました」

 ゼフは音もなく現れて、音もなく去って行く。
 ローズレイは、いくらきたえてもゼフのように気配を消す事は出来ない。

「いいな……わたくしもゼフのような人が欲しい……」

 心の声がポロリとれた。
 ゼフのように、強くて仕事が出来る人が側にいてくれたら……と思ったのだ。
 執事や侍女ではなく、単純にローズレイを支えてくれる味方が欲しいのかもしれない。
 しかし、ローズレイは大切な事を忘れていた。
 父の前で無闇に〝欲しい〟と言ってはいけない事を……
 ――チリンチリン!!
 ビスクが鳴らした激しいベルの音と共に、屋敷で働く者達が集合する。
 その異常な光景に、ローズレイはまばたきをパチパチと繰り返す事しか出来なかった。
 ここ最近はなかったので失念していたが、ローズレイの〝欲しい〟をビスクは見逃さない。
 普段から何も欲しがらないからと、隙があればローズレイを甘やかそうと全力をくすビスク。
 その恐ろしさを改めて知る事になろうとは……!

「お、お父さま…………」
「今すぐローズレイと歳も近く、武術にけて、知識と教養がある子供を探してくれっ!」

 前のローズレイは、ビスクと特に深く関わる事はなかったからか、どんな時も冷静で何を考えているか分からない父親、という印象しかなかったようだ。
 しかし……今のビスクはどうだろうか。
 何故か年々ローズレイを甘やかすようになっている。
 恥ずかしいやら、皆に申し訳ないやらで、ローズレイは手のひらで顔をおおう。
 それに以前とは違い、リズレイの過干渉もビスクが間に入ってくれるおかげで、負担は軽くなっていた。
 もちろん、ローズレイも出来る範囲でリズレイの期待にこたえるようにしているが、出来ない事は出来ないと伝えている。
 だから心の余裕もあるし、楽しんで毎日を過ごしている。

「そんな事より、お父様! 外の話ですっ……!」

 これ以上、屋敷のみんなに迷惑をかける前に止めなければならない。
 ローズレイは焦りながら話をらそうと必死になる。

「出来れば、お父様かお母様とお出かけしたいのですが……」

 忙しいビスクとリズレイに頼むのは気が引けるが、初めての外出なので不安な事も多い。

「もしお父様が多忙であれば、ゼフをお借りしたいのです」
「娘とお出かけ……あぁ、なんて素敵なんだろう…………」
「あの、お父様……?」

 完全に思考はかへ行ってしまったようだ。
 そしてバンっと扉が開き、大きな音と共にリズレイが入ってきた。

「ローズちゃん! 外に行きたいんですって!?」
「……お母様!? お客様は……」
「それどころじゃないわ! 服を用意して、それに新しい靴もッ!! 馬車と、それから……ユーア! ユーアはいないのっ!?」
「はい、奥様!」
「こちらに来てちょうだい!! ローズちゃんのサイズを教えてっ」
「ゼフ! 今すぐ第一騎士団に連絡を取れッ!!」
「…………」

 初めてのお出かけは前途多難のようである。
 ビスクとリズレイが何故こんなに過保護になってしまったのかは不明だが、ローズレイだって、もう十四歳だ。
 街に行くだけで新しい服を作るなんておおである。
 確かに、家から出た事がないので行きの服は持ってはいないが……
 結局、その日のうちにヒューレッド家ようたしのデザイナーを呼び、リズレイは心底嬉しそうにローズレイの服を選んでいた。
 出来上がったワンピースは薄い水色で、リズレイの好みがたっぷりと盛り込まれていた。
 シンプルなデザインだが、所々にフリルやレースが施されていてあり可愛らしい。
 腰元を引きめるリボンは、背中でれいまとめられて、同じ素材のリボンの髪飾りが、統一感を出していた。
 髪はふわふわに巻き、ツインテールにしている。
 しかし、これでは目立ちすぎてしまう事に気付いたビスクによって、顔も髪も全て隠す事になった。
 その時のリズレイは、この世の終わりのような顔をしていた。
 ヒューレッド領の中でも一番大きな街へ行く事となり、ローズレイはリズレイに手を振って、初めて屋敷を出た。
 馬車にられながら、窓から外の景色を眺める。
 ヨーロッパのような街並みに、見た事のない建物、そして沢山の人。
 ローズレイはビスクにエスコートされながら馬車を降りた。


 ビスクと手を繋ぎながら歩いていく。
 大きめの帽子に髪の毛をい込み、念には念をと眼鏡をかけた。
 後ろからは大勢の護衛が一定の距離を空けて付いて来る……

『娘の初めてのお出かけに付き添えないなら騎士団を辞める』

 そう言って休みを無理矢理もぎ取ったビスクは、今まで見た事がないくらいにご機嫌である。
 真っ赤な髪と瞳を隠す為に、ローズレイと同じ格好をしている。
 眼鏡までお揃いだ。
 ローズレイは見た事のない野菜や果物に目を輝かせた。
 素晴らしい景色は目を楽しませてくれる。
 初めて感じる街の空気にローズレイは、はしゃいでいた。

「お父様! わたくし、あれが見てみたいですわ! あちらに行きましょう」
「ローズ、もう少しくだけた言葉で話しなさい。ここは街だよ」
「うっ……わ、分かったわ」

 ローズレイが大きな声を出したせいで周りからの視線が痛い。
 急いでその場を離れてから、可愛い雑貨屋を見つけて店へと入る。
 それから、お菓子を売っている路面店、ビスクがひいにしている武器屋と色んなお店を回っていたのだが、突然「助けてー!」と悲鳴が聞こえた。

「ローズ! ここでしばらく待ってられるか?」
「もちろんです! お父様、お気をつけて」
「……すまない」

 ビスクが叫び声のした方へと向かう。
 ローズレイはだんに腰掛け、先程買ってもらったお菓子をほおった。
 視線を感じてあたりを見回せば、遠くから護衛がじっとローズレイを見つめている。
 ローズレイが思わず苦笑いをして、いつもとは違う景色を楽しんでいた時だった。
 ――ガンッ!!

「…………ゴホッ」

 突然の音に驚いて後ろを振り返ると、狭くて暗い路地裏に、ボロボロになっている黒髪の少年が倒れていた。
 ゴホゴホと激しくき込み、吐血している。

「……大丈夫ッ!?」

 ローズレイは少年に駆け寄り、ポシェットからハンカチを出す。
 そして、身体を起こそうと手を伸ばした時だった……


「……ッ、触るな!!」

 バチンと手をはじかれて、その拍子にハラリとローズレイの帽子が落ちる。
 尻餅をついたローズレイは、急いで帽子をかぶり直すが、目の前の相手にはしっかり見られてしまった。

「…………女神」

 少年は目を見開いて、呆然とそう呟いた。

「違うわ」
「王族か……?」
「違う!」
「……ふん」

 黒髪の少年は、手の甲で口元の血をぬぐいながらヨロヨロと立ち上がった。

「どこに、行くの?」
「…………さぁな」
「怪我をしているの?」
「お前に、関係ねぇ……」

 ガリガリに痩せた細い腕に青白い肌……それに酷い怪我をしているようだ。
 かに逃げようとしているのか壁づたいに歩いて行くが、力が抜けて膝から崩れ落ちてしまった。
 口元からポタポタとしたたる血が、痛々しくて見ていられない。
 ローズレイはグッと手を握りしめた。

「ねぇ、何があったの……? 怪我もしてるし、手当てをした方がいいわ。わたくしの家に来ない?」
「お前……何を言ってるのか、わかってんのか?」
「…………? もちろんわかってるわ」
「わかってねぇッ!!」

 怒鳴り声を上げた少年はき込んで倒れ込む。

「ゲボっ、俺は黒髪だぞ……」
「えぇ、そうね……?」

 確かに目の前にいる少年は黒髪だ。
 ローズレイにとってはゼフと同じ色、という認識である。
 長い前髪で瞳の色は分からなかったが、そちらもゼフと同じ黒なのだろうか。

「は……?」
「え……?」

 しばらくの沈黙。
 肩で息をして、苦しそうに顔をゆがめる少年を見ていると気が気ではない。
 それにローズレイには、少年の言葉の真意が全く分からない。

「どこかに売り飛ばす気か……?」
「貴方を……? 何故売り飛ばすの?」
「そうやって優しい顔して力を奪い取るんだろう……」
「……? なんの力を奪うの……?」
「はっ……何も知らない箱入りのお嬢様かよ…………」

 馬鹿にしたように少年は笑いながら、ゆっくりとぶたが落ちていく。
 そのまま壁にずるずると寄りかかり、パタリと倒れ込んでしまった。
 意識を失った少年を助けたくて、護衛に声をける。
 戻って来たビスクは、路地裏で少年を支えているローズレイを見てひどく驚いた顔をしていた。
 ローズレイが家に連れて帰りたいと言うと、ビスクはしばらく考え込んだ後に小さく頷いた。


しおりを挟む
表紙へ
感想 185

あなたにおすすめの小説

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」 そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。 「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」 「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」 「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」 「は?」 さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。 荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります! 第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。 表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。