貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

●やきいもほくほく●

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一章

①⑤

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リュドヴィックの方が有利かと思いきや、ロウナリー国王の方が上手のようだ。
ディアンヌは成り行きを見守っていたが、ふとリュドヴィックと目が合う。
真剣な表情のリュドヴィックの吸い込まれそうなロイヤルブルーの瞳からディアンヌは目が離せなかった。
彼はソファに座っているディアンヌに視線を合わせるように膝を突く。
シルバーグレーの長めの前髪がサラリと流れた。


「ディアンヌ嬢……申し訳ない」

「いえ、わたしは大丈夫ですから!」

「ドレスも靴も新しいものを買おう。それと今日はピーターを助けてくれてありがとう。改めてお礼を言わせてくれ」

「いえ、こちらこそ感謝しております。メリーティー男爵家を救ってくださり本当にありがとうございます」

「お礼なら陛下に言ってください」


リュドヴィックは丁寧に話しているのだが、背後にいるロウナリー国王は明らかにイライラとしている。
エヴァもロウナリー国王の様子やリュドヴィックを交互に見ながら、戸惑っているようだ。


「あー……もう十分にわかった」

「……?」


ロウナリー国王の一言に三人の視線が集まる。


「リュドヴィック、命令だ。ディアンヌと今すぐに結婚しろ」

「は……?」

「……っ!?」


リュドヴィックとディアンヌが驚きに言葉を失っている。
そんな中、ピーターの気持ちのよさそうな「ディアンヌ……ここにいて」という寝言が静まり返った部屋に響いたのだった。


「ディアンヌ、リュドをよろしく頼む!」

「へっ……!? は、はい!」

「メリーティー男爵領については任せておけ!」


ロウナリー国王はそう言って豪快に笑った。
ディアンヌはロウナリー国王の言葉を深読みして考えていた。

(つ、つまりはメリーティー男爵領を救うためには、リュドヴィック様と結婚しろと……そういうことよね!?)

二人の会話内容はいまいちわからなかったが、ディアンヌはロウナリー国王の考えを勝手に読み取っていた。

(メリーティー男爵家を救うためならば……!)

元々、どこかに嫁ぐつもりでパーティーに突撃したのだ。
ディアンヌは腹を括っている。
ロウナリー国王の大胆に見えるが緻密に計算された行動に震えるしかなかった。
彼の命令には逆らわない方がいいだろう。

ロウナリー国王に「今日はピーターとディアンヌを連れて帰れ」と、言われたリュドヴィックは眉間に皺を寄せている。
ロウナリー国王が豪快に笑いながら部屋から出ていってしまう。
何度目かわからないため息が聞こえた後に、リュドヴィックの表情はいつも通りに戻る。

その後、ピーターはディアンヌにピッタリとくっついて離れなかったため、そのままエヴァに手伝ってもらいながらベルトルテ公爵邸に向かうこととなった。
ピーターが離れなかったこともあるが、ディアンヌが王都の宿に護衛も連れずに宿泊していたことを聞いたからである。リュドヴィックは驚愕していた。


「女性一人で宿泊するなど……いくら王都といえど危険だ」
 
「お金がなかったものですから……」

「宿の荷物は従者に取りにいかせる。今日はウチに泊まってくれ」

「いいのですか!?」

「ああ、もちろんだ」

「よろしくお願いしますっ!」


ディアンヌはピーターを抱えながらベルトルテ公爵家の馬車に移動した。
招待客はもうほとんど帰った後のようだ。
王都とベルトルテ公爵領は隣り合っており、そう遠くはない。
疲れと安心感にディアンヌが眠気と戦っていると、あっという間にベルトルテ公爵邸へと到着する。

御者が馬車を降りて、リュドヴィックが降りたのを確認してからディアンヌは立ち上がる。
ディアンヌはハイヒールを履いていることを忘れて、ピーターを抱えながら馬車の階段を降りようとしたことで、グラリと体が傾く。


「……わっ!」


ピーターだけは守らなければと抱きしめる力を強める。
しかしいつまで経っても痛みはない。
瞼を開いて顔を上げるとリュドヴィックの端正な顔立ちが見えた。

(本当に綺麗な人……こんなに美しい男性がいるなんて。あ、まつ毛長い)

ディアンヌがボーっとリュドヴィックを見ていると、彼から声がかかる。


「……大丈夫か?」

「あ、ありがとうございます! ああ、よかった」


心臓はバクバクと跳ねていた。
そのままリュドヴィックに背を支えられるようにして、ディアンヌはベルトルテ公爵邸に足を踏み入れたのだった。
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