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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)
⑤命の炎(料理長&モニカ)
(リオノーラが十六歳。公爵邸に通い、家族との関係も良くなった頃……)
公爵邸でのディナーはリオノーラの記憶が嘘のように賑やかになった。
五人で食べる食事は、とても美味しく感じた。
そして公爵邸に滞在している時には必ず、白いまん丸パンとオニオンスープとチョコレートケーキが出てくる。
「ん~!美味しい」
「リオノーラは本当にチョコレートケーキが好きね」
「ふふ、ダーカー家のチョコレートケーキは世界一です」
「スフレもチョコレートケーキ大好き!」
ふと、チョコレートケーキを作ってくれている料理長の怖い顔を思い出す。
そういえば、いつもディナーの後に顔を出してくれる料理長に、ここ最近会っていない。
明日、厨房に顔を出してみようと思いながら最後の一口を頬張った。
*
次の日の朝食の後、料理人達の休憩時間を狙って厨房に顔を出した。
すると丁度、ワルフがデザートの仕込みをしていた。
「あっ……ワルフ!」
「お嬢様……!?どうかしましたか?」
「いつも美味しいデザートをありがとね、ワルフ」
笑顔で言うと、ワルフは少し照れるように微笑んだ。
ワルフと談笑しながら気になっていた事を問いかけた。
「あのね、料理長の事なんだけど……」
「はい、料理長が何か……?」
「チョコレートケーキは今も料理長が作っているの?」
「あ……」
生地をこねていたワルフが、ふと手を止める。
「今月に入って、娘さんの具合が良くないみたいで……」
「え……?」
ワルフの話によれば、ずっと安定していた病状が、ここ数ヶ月で悪化してしまったのだという。
そこで料理長は休みをもらって王都にある診療所に居るのだという。
公爵家にずっと住み込みで働いているが、娘に会う為に隙を見ては家に帰っていたらしい。
「どんな病気なの……?」
「それが生まれつき体が弱かったらしくて……体調が安定しないそうです。それに風邪を拗らせたような症状がずっと続いているとも……」
「そう……」
ワルフは生地を寝かせながら心配そうに料理長の話をしていた。
二週間程前からは娘が心配で料理に身が入らない程だったのだという。
それでも自分の仕事を全うしようとする姿に、料理人全員でジョンテの元に頼み込みに行ったそうだ。
「俺達には何も出来なくて……」
「そんな事ないわ……きっと料理長は嬉しかったはずよ」
「……そうでしょうか」
「貴方は料理長の代わりに美味しいデザートを出してくれるじゃない?チョコレートケーキまでワルフが作っていたなんて、この私が気付けなかったのよ?」
「本当ですか……?あぁ、良かった!」
「でなければ、厨房を任せたりしないと思うわ」
ワルフは嬉しそうに手を合わせていた。
あの完璧主義で神経質そうな料理長を納得させる味を出せたのだ。
ワルフもここ数年で相当腕を上げたのだろう。
ワルフが次にティータイムに出すクッキーを作るというので「手伝わせて」と言えば、笑顔で承諾してくれた。
「料理長がお嬢様が帰ってくる時には必ず一度は白いパンとオニオンスープとチョコレートケーキを出すようにって言っていたんですよ」
「料理長が……?」
「好みが変わったかもしれませんよ?って言ったんですけど、良いんだって言って……ずっとお出ししてたんですよ」
「今でも大好きよ。懐かしい気持ちになるもの」
「それとデザートは俺が作るようにって言われて…………お嬢様、愛されてるなぁ……って思ったんですよ」
ワルフはそう言いながら、クッキー生地を冷蔵庫から取り出した。
リオノーラになってから料理長とちゃんと話したのは、クッキーを作りたいと言った一度だけだった。
それまでのリオノーラは料理に文句を言ったりと、酷いものだった。
それなのに『リオノーラ』の為にここまでしてくれているとは思わなかったのだ。
公爵邸でのディナーはリオノーラの記憶が嘘のように賑やかになった。
五人で食べる食事は、とても美味しく感じた。
そして公爵邸に滞在している時には必ず、白いまん丸パンとオニオンスープとチョコレートケーキが出てくる。
「ん~!美味しい」
「リオノーラは本当にチョコレートケーキが好きね」
「ふふ、ダーカー家のチョコレートケーキは世界一です」
「スフレもチョコレートケーキ大好き!」
ふと、チョコレートケーキを作ってくれている料理長の怖い顔を思い出す。
そういえば、いつもディナーの後に顔を出してくれる料理長に、ここ最近会っていない。
明日、厨房に顔を出してみようと思いながら最後の一口を頬張った。
*
次の日の朝食の後、料理人達の休憩時間を狙って厨房に顔を出した。
すると丁度、ワルフがデザートの仕込みをしていた。
「あっ……ワルフ!」
「お嬢様……!?どうかしましたか?」
「いつも美味しいデザートをありがとね、ワルフ」
笑顔で言うと、ワルフは少し照れるように微笑んだ。
ワルフと談笑しながら気になっていた事を問いかけた。
「あのね、料理長の事なんだけど……」
「はい、料理長が何か……?」
「チョコレートケーキは今も料理長が作っているの?」
「あ……」
生地をこねていたワルフが、ふと手を止める。
「今月に入って、娘さんの具合が良くないみたいで……」
「え……?」
ワルフの話によれば、ずっと安定していた病状が、ここ数ヶ月で悪化してしまったのだという。
そこで料理長は休みをもらって王都にある診療所に居るのだという。
公爵家にずっと住み込みで働いているが、娘に会う為に隙を見ては家に帰っていたらしい。
「どんな病気なの……?」
「それが生まれつき体が弱かったらしくて……体調が安定しないそうです。それに風邪を拗らせたような症状がずっと続いているとも……」
「そう……」
ワルフは生地を寝かせながら心配そうに料理長の話をしていた。
二週間程前からは娘が心配で料理に身が入らない程だったのだという。
それでも自分の仕事を全うしようとする姿に、料理人全員でジョンテの元に頼み込みに行ったそうだ。
「俺達には何も出来なくて……」
「そんな事ないわ……きっと料理長は嬉しかったはずよ」
「……そうでしょうか」
「貴方は料理長の代わりに美味しいデザートを出してくれるじゃない?チョコレートケーキまでワルフが作っていたなんて、この私が気付けなかったのよ?」
「本当ですか……?あぁ、良かった!」
「でなければ、厨房を任せたりしないと思うわ」
ワルフは嬉しそうに手を合わせていた。
あの完璧主義で神経質そうな料理長を納得させる味を出せたのだ。
ワルフもここ数年で相当腕を上げたのだろう。
ワルフが次にティータイムに出すクッキーを作るというので「手伝わせて」と言えば、笑顔で承諾してくれた。
「料理長がお嬢様が帰ってくる時には必ず一度は白いパンとオニオンスープとチョコレートケーキを出すようにって言っていたんですよ」
「料理長が……?」
「好みが変わったかもしれませんよ?って言ったんですけど、良いんだって言って……ずっとお出ししてたんですよ」
「今でも大好きよ。懐かしい気持ちになるもの」
「それとデザートは俺が作るようにって言われて…………お嬢様、愛されてるなぁ……って思ったんですよ」
ワルフはそう言いながら、クッキー生地を冷蔵庫から取り出した。
リオノーラになってから料理長とちゃんと話したのは、クッキーを作りたいと言った一度だけだった。
それまでのリオノーラは料理に文句を言ったりと、酷いものだった。
それなのに『リオノーラ』の為にここまでしてくれているとは思わなかったのだ。
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