推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)

命の炎7

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しかしデリックもユーリンも納得できなかった。
リオノーラと同じ年齢の令嬢達は自分達を褒め称え、そして何としても気に入られようと媚を売ってくる者たちばかりだった。

最近は中型精霊とも契約して成長している実感があった二人にとっては、リオノーラの子供扱いする言葉は衝撃的であった。
呆然としている二人を見て、クスクスと笑っていた。


「母さん……笑い事じゃないんだけど」

「俺、今日……頑張ったつもりだったのに」

「ごめんなさいね……でも貴方達にリオノーラは手強いんじゃないかしら」


ゾイは深呼吸をして自らを落ち着かせた後、落ち込むユーリンとデリックの頭を撫でた。


「令嬢はリオノーラだけじゃないのよ……?婚約者候補にはルーバルド伯爵家の御令嬢もアナイシェ侯爵の御令嬢もいる」

「「…………」」

「歳も近いし離れてないし、丁度良いのではないかしら?」

「「分かってるよ!」」


ゾイはデリックとユーリンの婚約者を早く決めた方がいいのではと周囲から散々言われていた。
二人の意思を尊重して黙っていたが、それももう限界だろう。


「それにリオノーラは、婚約するならばフェリクスが良いと言っているのよ?」

「「そんなの知ってる!!」」

「そんなリオノーラの気持ちを知っていて無理強いは出来ないわ」

「母さんはフェリ兄の味方ばかりする……っ!」

「……あら?私はあなた達にしたアドバイスと同じ事を言っているわよ?フェリクスはそれを上手く活かしているの」

「だって、フェリ兄は年上だし!」

「俺達だって頑張ってるけどリオノーラは全然相手にしてくれない……!」


悔しそうな表情で訴える二人を優しく抱きしめた。
手の付けようがなかった悪戯好きの双子も、成長するにつれて色々と学んだのだろう。
リオノーラに好意を寄せていることはわかっていた。

フェリクスとリオノーラの関係が面白くないと思っているものの、今はどうすれば良いか分からずに手探り状態だ。
そんな中途半端な気持ちがリオノーラに伝わる訳もない。


「世の中には手に入らないものも、諦めなければいけないこともたくさんあるの」

「「…………」」

「自分なら必ず手に入るなんて自惚れは捨ててしまいなさい」

「俺達は別に自惚れてる訳じゃ……」

「そうかしら……?相手を理解する努力や、自分から歩み寄ることがなければ、心一つ繋ぎ止めることだってできやしないのよ」

「…………難しいよ」

「そうね……でもあなた達は人の上に立つ者として、それをよく知らなければならない」


恵まれた環境にいる二人だからこそ、挫折も失敗も沢山して欲しいと思っていた。
権力に頼った我儘は、必ず己を追い詰めてしまう。


「昔からいつも言っていたでしょう?相手の喜ぶ事をしなさいって」

「「……」」

「それにあなた達が今、こうした扱いを受ける原因を作ったのは他でもないあなた達自身なのよ?」

「でもっ……もう意地悪してないし、ちゃんと優しくしてるよ?」

「ずっと嫌がらせされていた相手を、すぐに好きになると思うの?」

「………思わない」

「フェリクスはリオノーラの気持ちに寄り添って、いつも大切に思い遣っていたわ」

「「……」」

「それでも"欲しい"と思うなら地道に頑張るしかないのよ……リオノーラが応えてくれるかは分からないけどね」


きっと頭では理解していても、経験をしなければ身に響かないだろう。


「もう無理だとしたら……?」

「そしたら俺達にはチャンスなんてないじゃんか!」

「引き際を弁えるのも大切なことよ?……それに良い女を振り向かせるには、とびっきりの良い男になりなさいってことよ」

「「えー……」」


デリックとユーリンを抱きしめてからゾイは歩き出した。





end
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