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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)
命の炎5
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「……ッ」
「お……とうさん?」
「……モニカッ」
「おかあ、さん……?」
「モニカ……!」
「ッ、本当にっ……信じられない……!」
泣きながら抱き合う三人を少し離れた場所から見ていた。
色々な感情が波のように押し寄せてくる。
涙や鼻水が次々と溢れて止まらなかった。
自分のハンカチが使い物にならなくなった頃、ユーリンが差し出してくれたハンカチで涙を拭う。
すると、ユーリンは震える手で優しく抱き寄せてくれた。
三人の邪魔にならないように肩を揺らして静かに泣いた。
「あのね……赤くて、可愛い妖精さんがね」
「……っ」
「っ、モニカに、ずっと頑張れ……大丈夫だからって応援してくれたの」
「……!」
「そしたら、体がぽかぽかになって……苦しくなくなったの」
「……ッ、モニカ」
「可愛い妖精さんだったんだよ……?お父さんのことが、とっても大好きなんだって」
「……!」
「お花の妖精さんかなぁ……?」
「……そう、だな。きっと、素敵な妖精さんだ」
「ありがとう、って言いたいな」
そう言ったモニカは、にこりと嬉しそうに微笑みながら二人の手を握る。
ユーリンはチャイを呼び、耳打ちをしてから嗚咽し始めたリオノーラの手を引いて病室を出た。
滝のような涙で前が見えない。
「リオノーラ……ほら、泣き止んで?」
「……ぅ、ぐすっ!」
「困ったな……こういう時はどうすれば良いんだろう」
宥めるように声を掛けながら、ゆっくりと足を進めていく。
ユーリンは外にあるベンチで、背を摩ってくれていた。
「……こんな事する精霊もいるんだね」
「ッ、う゛ん……よがっだぁ……!」
結局、リオノーラは何もする事は出来なかったが精霊の願いを伝える事が出来て本当に良かった。
消えていった火の精霊は幸せだっただろうか。
料理長の為にと、己の命を使ってモニカを救った精霊の事を考えると涙が止まらなくなる。
「何個か薬を出すから、すぐに元気になると思う。暫くは咳も続きそうだし……」
「うん……っ」
「あとはチャイが上手くやるよ」
「あ、りがとう……!」
「……え?」
「ユーリンが……いてくれて良かった」
「……!」
ユーリンが居なければ、その場で泣き崩れて感動の場面を潰していたかもしれない。
そして外まで連れ出してくれた。
モニカの為にと薬まで出してくれたのだ。
涙ながらに御礼を言うと、ユーリンは手をそっと握った。
「……お願いだから、俺を選んでよ」
ユーリンは独り言のように、小さな声で呟いた。
その言葉に驚き顔を上げると、頬を真っ赤に染めたユーリンと目が合った。
「……え?」
「ごめん……なんでもないよ」
「……?」
「リオノーラにそう言ってもらえる日が来るなんて信じられないよ」
「ふふっ、そうね」
思い出話に花を咲かせながら、ユーリンは落ち着くまで背を撫でてくれた。
チャイ医師がしっかりと対応してくれたようで、リオノーラは安心して王城へと帰った。
目を真っ赤に腫らして王城に帰ってきたリオノーラの姿に、一時周囲は騒然となった。
ユーリンに説明を受けている間もリオノーラは火の精霊の事を思い出しては涙を零していた。
「ユーリン、説明して」
「あのね、母さん……」
メメの体で目元を冷やすリオノーラ。
人間のために自分の命を使う精霊も珍しいが、リオノーラのように目元を冷やす為に精霊を使うのはもっと珍しいと周囲に思われているとも知らずに気持ちよさに身を任せていた。
ユーリンが話が終わると、リオノーラは泣きながらゾイに抱きついた。
「リオノーラ、大丈夫だった……?」
「はい、でも……火の精霊がっ!」
「……そうね。火の精霊がそこまで慈愛を尽くすのはとても珍しい事よ。ダーカー家の料理長の事がとても好きだったのね」
「……っ」
「小型の精霊ですら病気を抑える力を持っている……精霊の力はとても大きいわ」
「お……とうさん?」
「……モニカッ」
「おかあ、さん……?」
「モニカ……!」
「ッ、本当にっ……信じられない……!」
泣きながら抱き合う三人を少し離れた場所から見ていた。
色々な感情が波のように押し寄せてくる。
涙や鼻水が次々と溢れて止まらなかった。
自分のハンカチが使い物にならなくなった頃、ユーリンが差し出してくれたハンカチで涙を拭う。
すると、ユーリンは震える手で優しく抱き寄せてくれた。
三人の邪魔にならないように肩を揺らして静かに泣いた。
「あのね……赤くて、可愛い妖精さんがね」
「……っ」
「っ、モニカに、ずっと頑張れ……大丈夫だからって応援してくれたの」
「……!」
「そしたら、体がぽかぽかになって……苦しくなくなったの」
「……ッ、モニカ」
「可愛い妖精さんだったんだよ……?お父さんのことが、とっても大好きなんだって」
「……!」
「お花の妖精さんかなぁ……?」
「……そう、だな。きっと、素敵な妖精さんだ」
「ありがとう、って言いたいな」
そう言ったモニカは、にこりと嬉しそうに微笑みながら二人の手を握る。
ユーリンはチャイを呼び、耳打ちをしてから嗚咽し始めたリオノーラの手を引いて病室を出た。
滝のような涙で前が見えない。
「リオノーラ……ほら、泣き止んで?」
「……ぅ、ぐすっ!」
「困ったな……こういう時はどうすれば良いんだろう」
宥めるように声を掛けながら、ゆっくりと足を進めていく。
ユーリンは外にあるベンチで、背を摩ってくれていた。
「……こんな事する精霊もいるんだね」
「ッ、う゛ん……よがっだぁ……!」
結局、リオノーラは何もする事は出来なかったが精霊の願いを伝える事が出来て本当に良かった。
消えていった火の精霊は幸せだっただろうか。
料理長の為にと、己の命を使ってモニカを救った精霊の事を考えると涙が止まらなくなる。
「何個か薬を出すから、すぐに元気になると思う。暫くは咳も続きそうだし……」
「うん……っ」
「あとはチャイが上手くやるよ」
「あ、りがとう……!」
「……え?」
「ユーリンが……いてくれて良かった」
「……!」
ユーリンが居なければ、その場で泣き崩れて感動の場面を潰していたかもしれない。
そして外まで連れ出してくれた。
モニカの為にと薬まで出してくれたのだ。
涙ながらに御礼を言うと、ユーリンは手をそっと握った。
「……お願いだから、俺を選んでよ」
ユーリンは独り言のように、小さな声で呟いた。
その言葉に驚き顔を上げると、頬を真っ赤に染めたユーリンと目が合った。
「……え?」
「ごめん……なんでもないよ」
「……?」
「リオノーラにそう言ってもらえる日が来るなんて信じられないよ」
「ふふっ、そうね」
思い出話に花を咲かせながら、ユーリンは落ち着くまで背を撫でてくれた。
チャイ医師がしっかりと対応してくれたようで、リオノーラは安心して王城へと帰った。
目を真っ赤に腫らして王城に帰ってきたリオノーラの姿に、一時周囲は騒然となった。
ユーリンに説明を受けている間もリオノーラは火の精霊の事を思い出しては涙を零していた。
「ユーリン、説明して」
「あのね、母さん……」
メメの体で目元を冷やすリオノーラ。
人間のために自分の命を使う精霊も珍しいが、リオノーラのように目元を冷やす為に精霊を使うのはもっと珍しいと周囲に思われているとも知らずに気持ちよさに身を任せていた。
ユーリンが話が終わると、リオノーラは泣きながらゾイに抱きついた。
「リオノーラ、大丈夫だった……?」
「はい、でも……火の精霊がっ!」
「……そうね。火の精霊がそこまで慈愛を尽くすのはとても珍しい事よ。ダーカー家の料理長の事がとても好きだったのね」
「……っ」
「小型の精霊ですら病気を抑える力を持っている……精霊の力はとても大きいわ」
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