なんでもできるスキル〈ゲームマスター〉を手に入れたけど速攻飽きたので、ヒロインを「俺の考えた最強の主人公」に仕立て上げます

八白 嘘

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049 / 初めてのレベルアップ(2/2)

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「──よし、レベル2のステータスはこうなるぞ」

 二人分の新たなキャラクターシートを配る。
 アーネとフェリテがそれを受け取り、目を通していく。

「えと、あんまり強くなってない? HPもMPもちょっとしか上がってないし、攻撃力も……」

「そう思うか?」

「ええ。少々肩透かしというか、もっと劇的に強くなるものだと思っていました」

「実際その通りだよ。でも、よく考えてみてほしい。この成長は、これから続いていく二人の物語の第一歩なんだ。一段飛ばしじゃ風情がないだろ」

「……なるほど」

「なるほどー……?」

 フェリテはピンと来ていないようだ。

「それに、実際に戦ってみればわかるんだけど、ステータスの上昇よりスキルの取得のほうが遥かに重要なんだ。スキルを三枠追加するだけで、戦術の幅が大きく広がる。次の戦闘で俺の言葉の意味がわかると思うよ」

「ふふ、楽しみです」

「それと──」

 意識野から、十数枚の羊皮紙を一気に展開する。
 文字がびっしりと綴られた羊皮紙が、テーブルの上でばさりと音を立てた。

「わ!」

「これは?」

「追加の職業。日のあるうちに書き出しておいた」

「他にも職業があったのですか……」

「二人に渡したのは、基本ルールブックの内容だけ。こっち使う予定なかったんだけどさ。アーネの適応力がすごかったから、使うにせよ使わないにせよ読みたいかと思って」

 アーネが、目を輝かせながら、うんうんと頷く。
 やる気がすごい。

「あたし、覚えきれないかも……」

「大丈夫です! 私が覚えて、フェリテに教えます」

「え、いいの? やったー!」

 実を言えば、俺が記憶していたのは基本ルールブックの内容だけだ。
 それも、うろ覚え。
 アーネを見て、それではよくないと感じたため、〈ゲームマスター〉の能力を利用して基本ルールブック二冊及び全サプリメントの内容をすべて完璧に頭に叩き込んでおいた。
 これまででいちばん正しい〈ゲームマスター〉の使い方だと思う。

「幻術師、海賊、……忍者? 忍者とはいったい」

「俺の故郷で言う、戦うスパイみたいな……」

 合ってるよな、たぶん。

「スパイ……」

 フェリテが表情を曇らせる。
 出自からして、スパイに良い印象を持ってなさそうだもんな。

「ほら、ただの戦闘での役割だから」

「……うん」

「──…………」

 アーネが、じっくりと羊皮紙を読み込んでいく。

「しかし、これだけの情報量を書き出すのは手間が掛かったでしょう。私たちのために、申し訳ありません」

「気にしないでくれよ。PLを楽しませてこそのGMなんだから」

「そういうものですか……」

「質問があったらいつでも受け付けるからな」

「ええ、ありがとうございます」

「あんまり自由度が高すぎると、どうすればいいか困っちゃうね」

「それもわかるよ。ただ、情報が増えたからって、強さが劇的に変わるってわけじゃないんだ。追加職業だから強いかって言われたら、ちょっと難しい。搦め手が多いから決定打に欠けるんだよな」

「そうなんだ」

「だから、フェリテは純戦士を極めてもいい。ただ、このまま進むと有用なスキルを取りきっちゃうから、どこかで転職を挟む必要はあるけどな」

「あ、そうだ。昨夜アーネと相談したんだけどね──」

 フェリテが、今後の育成方針を楽しそうに語ってくれる。
 アーネほど没頭しているわけではないが、フェリテも十分以上に楽しんでくれているのだ。
 それが嬉しかった。

「──すみません、リュータ。このスキルなのですが」

「どれどれ?」

 こうして、竜とパイプ亭の夜は更けていった。
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