なんでもできるスキル〈ゲームマスター〉を手に入れたけど速攻飽きたので、ヒロインを「俺の考えた最強の主人公」に仕立て上げます

八白 嘘

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083 / 階段を探そう

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「あ──」

 瓦礫に腰掛けながら水を飲んでいたフェリテが、ふと声を漏らした。

「空っぽになっちゃった」

「水、出そうか?」

「お願いしまーす!」

 十秒ほどの詠唱を行ったあと、フェリテが開いた水袋に手を翳す。

「──ル、ヨーシュ、ヘネク」

 手のひら大の水球が、そのまま水袋へと吸い込まれていく。
 ルクレツィアの言う通り、使えば使うほどに魔力効率が最適化されていくようだ。
 今も、さして疲れは感じなかった。

「ありがと!」

「ほんと、ルクレツィアに感謝だな。水が無制限に使える魔法なんて、あるのとないのとじゃ天と地ほどに差があるぞ」

「うん! リュータにも感謝感謝」

「俺にか」

「だって、一週間もかけて水撃呪を習得してくれたじゃない。たいへんだったよね。ごめんね、あたし馬鹿だから、ちっとも魔法覚えられなくて……」

「ああ、いや、自分のためでもあるからさ」

 すこし照れくさく思いながら、目を逸らす。

「六層には川があるからいいけど、七層以降はその限りじゃない。水袋のぶんしか水を持ち歩けないんじゃ、ろくに探索もできやしないだろ」

 フェリテが、ぽつりと言った。

「あたし、もっと、リュータの役に立ちたいな。今のままだと、おんぶに抱っこだもんね」

「そんなことはない」

 思わず、強く断言する。

「俺はフェリテに救われてる。フェリテがいなければ、今ごろ酒場で飲んだくれてるさ」

「えへへ……」

 てれりと笑い、フェリテがこちらを見つめた。

「でも、リュータがくれるものより、返せてるものが少ない気がするんだ。これから、がんばりたいな」

「そっか。なら、大いに返してもらおうじゃないか。冒険者として成長して、最高に面白い冒険譚を書かせてくれよ」

「もっちろん!」

 そう言って笑い合う。
 二人のあいだを蝶の形をした精霊が通り抜け、天高く飛んでいった。

「──さて、と」

 俺は、腰掛けていた空の宝箱から立ち上がった。

「水を飲んだら、そろそろ行こうか」

「うん、わかった」

「しかし、このあたりの宝箱、ほとんど空いてるか魔法の鍵で占有済みだな。グラナダたち、こっちのほうへ来てたのか。他のパーティはまだだろうし」

「一週間潜らなかったのはグラナダ探窟隊も同じだし、もしかすると近くにいるかも」

「……あんまり競いたくないな。こっちの宝箱は譲って、今から別方面を探索してみるか?」

「んー」

 フェリテが、軽く思案する。

「今は、宝箱より、七層への階段を見つけたいよね。やることは結局探索だけど……」

「そうだな。ナナセが地図を売ってたから、競合パーティもすぐに六層を訪れるようになるはずだ。できれば先へ進みたい」

「このあたりはまだまだ上層だと思うし、早い者勝ちだもんね」

 ダンジョンでは、最下層に近付けば近付くほど、強力な魔物が現れる。
 気軽に踏破できるのは上層のうちだけであり、中層、深層ともなると、複数のパーティが何ヶ月、何年とかけて攻略していくものなのだ。
 そのぶん、宝箱から入手できるアイテムは希少なものとなるし、魔物の死体から取れる素材にも価値が生まれる。
 深層の魔物ともなれば、下手に宝箱を探すより儲かることも多々あるらしい。

「しっかし、ちっとも見つからないよな。まだ半分も踏破できてるか怪しいから、仕方ないと言えば仕方ないけどさ」

「ほんと、びっくりするほど広いよねー」

「こりゃ、世紀の大ダンジョンを掘り当てちまったかもしれないな」

「そうかも! だって、隠されたダンジョンなんて聞いたことないもん」

「──…………」

 恐らく、このダンジョンを創り上げたのは俺だ。
 隠し通路の先にあるという付加価値が、このダンジョンを特別なものにした可能性がある。

「どしたの?」

「いや、なんでもないよ。グラナダ探窟隊と出会わないようにしながらマップを埋める方向で行こう」

「うん!」
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