ヴィクトリー・エンジェルズ

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...ユーリ危ない！驚愕のスピードで振るわれた尾がユーリをとらえました！何という開幕でありましょうか！ユーリは…無事です！立ち上がりました！…が、はたしてダメージの程はいかほどでありましょうか、こちらからは定かではありません。さぁ、盾となるはずのユーリ、その要がまさにドラゴンの奇襲によって早々に弾き飛ばされてしまった。人間の小細工など通用しないと、鼻で笑いながら思い知らせるといった一撃でありますドラゴン。甘い想定は一炊の夢であったのか、これは作戦の変更を余儀なくされるでしょう。おっと、ドラゴンが…再び立ち上がるか？！ユーリへの追い討ちか押し潰されたら一たまりもありません！どうするア、あーっと？！ミシェルが飛んだ！立ち上がったドラゴンの高いその顔面あたり、アトラス刈りい！決まった！早くもミシェル伝家の宝刀、アトラス刈りが決まりました！相手の首の第一頚椎、すなわちアトラスを刈り取るというミシェル必殺の得意技であります。果たしてダメージは、ドラゴン少しひるんだか、倒れこそしませんが、効いております。さぁ、この間に体勢を整えたいところだユーリパーティ、ドラゴンが今度はゆっくりと前肢をおろし着地。賢いと言われる竜属であります、アトラス刈りを警戒したか、首を掲げるのは悪手と判断したのでしょう。再び四つ足となり先程よりも執拗に周囲を見渡し、明らかに警戒の度合いを強めてまいりました。それほどのインパクトはあったのでしょう。あるいは竜属の弱点とされる逆鱗を庇ったか。いずれにせよ、武闘家ミシェルはアトラス刈りを放つその一瞬間、時空を越えると言われております。相手が人間や並の魔物であれば、アトラス刈りを仕掛けたミシェルを見るときは、その首と身体が別れた後だというのは有名でありますが、ドラゴンの首はそうは問屋が卸さないようです。しかしながら波乱の開幕から一旦落ち着きを取戻すことは出来たか、さぁ、ユーリが回復を済ませ再び陣形を整えます。ユーリ、またジリジリっと距離を詰めて、ドラゴン後ろを向いた！先ほどと同じ！尾がくるが…！かわした！そこはデンジャラス・ウーマンことユーリ、危険はおてのもの魂の跳躍であります。同じ轍は踏みません。甲冑を身に纏いながらも余裕の跳躍でありま、あリアトラス刈りい？！クリティカル！再び！再びのアトラス刈りです！ドラコンが体勢を整えようかという、その一瞬、矢のようなアトラス刈りが再その首をとらえました！これは効いたか？！首をすくめややうずくまりますドラゴン、リリアナが加速魔法をかけ、左後方ではジェレイミアが詠唱を開始しておりま、あーっと？！ユーリが突進していく！波状攻撃か、ここが勝負の際とみたかユーリパーティ！怯むドラコンに向かい畳み掛けます！技の万国博覧会、肉体の見本市といった様相を呈して参りました今日の戦場！ユーリが…跳んだ！すかさず後方からマリーの召雷魔法が空中のユーリの剣に落ちる！得意の四次元戦闘か？！ドラコンはまだ首のダメージから顔を伏せております！これはユーリが見えていない！ユーリが見えていない！そのまま落ちるか！落ちるか？！決まったあーっ！！ドラコンの首に深々と剣が突き立てられました！ドラコンが倒れます！ドラコンついにその巨体を横たえ地に倒れました！なんという一連の、そして劇的な勝利でありましょうか、決まり手はライトニングシュヴァリエ、落ちてくる電撃の騎士といったところ。神話のドーンの雷鎚もかくやといった迫力でありました。さぁ今、パーティメンバーが集まり勝利を讃えあっております。笑うミシェルに喜びはしゃぐリリアナ、そして微笑むジェレイミアであります。おっと？ユーリの表情がかんばしくありませんね。何かあったか。劇的な勝利にもかかわらずユーリの表情は晴れ晴れとしません。やはり先ほどのダメージは大きかったか、戦闘の興奮が冷め、麻痺していた痛みが疼きだしたか、今、おもむろに兜を外しましたユーリ。頭部への、ダメージでしょうか、ちょっとここからでは様子がおや？膝をついたぞ？！ドラコンの頭部の前、ユーリ兜を脱ぎ、膝まづいております！深々と！今！出来ることなら地に頭を擦り付けたいといわんばかり！頭を低くしてドラコンへの敬意を表しましたユーリ！皆さん、これが彼女のやり方であります。これが、英雄ユーリであります、ユーリとはこういう人間です。私自身、勝利にのぼせ、気高き竜属への敬意を失念しておりました。我々もユーリに習い、しばしの黙祷を捧げようではありませんか。

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