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第四話
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ドブンッと白い水飛沫が上がる。目には自信があったのだが思ったよりも水中は濁っていてあまりよく見えない。
けど諦めないぞ! 絶対あの人にお礼してやるんだ!
そう決心した丁度に何かの影を捉える。これはチャンスだと水をかき、ぐんぐんと潜り影を追う。
影に近付き、ぼんやりとしていた形がはっきり大きくなっていく。影は動かない。まだ気付かれていないようだった。
大物だ!
一瞬捕れるかと不安になるが、大物を前に喜ぶ彼の姿を想像して挑戦を決める。けれどどこかおかしい。よく見ると俺が近付いているのではなく、なんだか影がこっちに向かっているように感じる。それに影はどんどんと俺の体よりも更に大きくなっていった。
身の危険を感じた。
まずいと向きを変える。水から顔を出し岸を目指して必死に脚を動かす。
「ッキャウ!」
瞬間、痛みが右脚を走る。
鋭い牙で深く貫かれている感覚。痛みでどうにかなりそうだった。なんとか逃げようと足掻くが牙はびくともしない。逆に強い力で水の中へ引き摺り込まれる。
揺らめく視界が真っ赤に染まる。
犬の妖精は空気がなくても問題なく生きていけるが、こういった外傷は別だ。流石に大量出血すれば妖精といえども死んでしまう。
俺はここで死ぬのか。
こんなところで俺は……。
ふと頬を赤く染めだらんと顔を緩ませたあの男を思い出す。
嫌だ! 俺はまだ生きていたい! 俺はもっとあの人に可愛がられたいんだ!
失いかけていた意識を根性で呼び戻し、力の限り咬まれていない残った自由な脚を動かす。
途端赤い視界に水飛沫が舞う。
バシャバシャと際限なく白い粒が生まれて辺りを真っ白に染め上げる。
咬む力が緩む。この隙だとめいいっぱい水をかくと牙が抜ける感覚がした。
あとは逃げ切るだけ。そう鼓舞して脚を力の限り前後に動かすが、力が抜けて上手く泳げない。目の前も真っ暗になっていく。
まだ死にたくない。嫌だ。俺はあの人に……。
意識が薄まる傍らバシャバシャと忙しない水飛沫の音を耳にする。
その直後、大きな手に体を包まれる。手は体を押し上げ、大量の白い粒々を抜け空気が俺を迎える。
「はぁはぁはぁはぁはぁ……」
荒い呼吸音に残った力でぎこちなく首を動かせば、あの人がいくつもの雫を頭から滴らせ、険しく眉間に皺を寄せていた。
お礼をするつもりだったのに逆に迷惑をかけてしまった。
申し訳なくて「キャウ……」と残った力を振り絞って謝る。その聴こえるのもやっとの小さな声はきちんと伝わったらしい。すぐさま俺に顔を向け、見てるこっちが辛くなりそうなくらいに表情を歪める。
しかしそれも一瞬だった。何かを覚悟した様子でバシャバシャと湖を進む。
そんな彼の顔をじっと見つめていると大きく暖かな手で励ますように優しく頭を撫でられる。
「大丈夫。俺がお前を絶対に助けてやるからな」
意識はそこで途絶えた。
けど諦めないぞ! 絶対あの人にお礼してやるんだ!
そう決心した丁度に何かの影を捉える。これはチャンスだと水をかき、ぐんぐんと潜り影を追う。
影に近付き、ぼんやりとしていた形がはっきり大きくなっていく。影は動かない。まだ気付かれていないようだった。
大物だ!
一瞬捕れるかと不安になるが、大物を前に喜ぶ彼の姿を想像して挑戦を決める。けれどどこかおかしい。よく見ると俺が近付いているのではなく、なんだか影がこっちに向かっているように感じる。それに影はどんどんと俺の体よりも更に大きくなっていった。
身の危険を感じた。
まずいと向きを変える。水から顔を出し岸を目指して必死に脚を動かす。
「ッキャウ!」
瞬間、痛みが右脚を走る。
鋭い牙で深く貫かれている感覚。痛みでどうにかなりそうだった。なんとか逃げようと足掻くが牙はびくともしない。逆に強い力で水の中へ引き摺り込まれる。
揺らめく視界が真っ赤に染まる。
犬の妖精は空気がなくても問題なく生きていけるが、こういった外傷は別だ。流石に大量出血すれば妖精といえども死んでしまう。
俺はここで死ぬのか。
こんなところで俺は……。
ふと頬を赤く染めだらんと顔を緩ませたあの男を思い出す。
嫌だ! 俺はまだ生きていたい! 俺はもっとあの人に可愛がられたいんだ!
失いかけていた意識を根性で呼び戻し、力の限り咬まれていない残った自由な脚を動かす。
途端赤い視界に水飛沫が舞う。
バシャバシャと際限なく白い粒が生まれて辺りを真っ白に染め上げる。
咬む力が緩む。この隙だとめいいっぱい水をかくと牙が抜ける感覚がした。
あとは逃げ切るだけ。そう鼓舞して脚を力の限り前後に動かすが、力が抜けて上手く泳げない。目の前も真っ暗になっていく。
まだ死にたくない。嫌だ。俺はあの人に……。
意識が薄まる傍らバシャバシャと忙しない水飛沫の音を耳にする。
その直後、大きな手に体を包まれる。手は体を押し上げ、大量の白い粒々を抜け空気が俺を迎える。
「はぁはぁはぁはぁはぁ……」
荒い呼吸音に残った力でぎこちなく首を動かせば、あの人がいくつもの雫を頭から滴らせ、険しく眉間に皺を寄せていた。
お礼をするつもりだったのに逆に迷惑をかけてしまった。
申し訳なくて「キャウ……」と残った力を振り絞って謝る。その聴こえるのもやっとの小さな声はきちんと伝わったらしい。すぐさま俺に顔を向け、見てるこっちが辛くなりそうなくらいに表情を歪める。
しかしそれも一瞬だった。何かを覚悟した様子でバシャバシャと湖を進む。
そんな彼の顔をじっと見つめていると大きく暖かな手で励ますように優しく頭を撫でられる。
「大丈夫。俺がお前を絶対に助けてやるからな」
意識はそこで途絶えた。
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