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第九話
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「よ~しよしよし」
ふわふわのお腹を思う存分撫で回される。
「かわいいなぁ。団長がいいってんなら真っ先に俺ん家で飼いたいんだがなぁ」
「そりゃ無理な話だろ。お前話しかけるのも怯えて出来やしないじゃないか」
「それはみんな同じだろー。俺だけビビりみたいに言うのやめろ」
「それにしても尻尾なげぇな」
「あ~かわいいでちゅね~」
「なんだその口調。おめぇキモすぎ」
「辛辣~。子犬なんだから赤ちゃん扱いして何が駄目なんでちゅかね~? コイツ頭おかちぃでちゅね~」
みんなが俺を見て俺を可愛がる。楽しくないはずがない。最高のひと時だった。飛びつき抱っこをせまり、ペロペロと頬を舐める。
「おい、休憩はもう終わりだ。分かったなら怠けてないでさっさと戻らんか!」
ヴィンセントがそう怒鳴ると皆怯えたように走り去ってしまった。彼がしゃがみ、ムスッとした表情を浮かべ小さく言う。
「お前は誰にでも甘えるんだな。俺には顔を舐めてくれたことなんて一度もないのに」
もう怒ってはいないようで安心するけれどなんだかヴィンセントは俺に不満を抱いているようだった。俺が何かしてしまったのだろうか。とにかく嫌われたくなくて、ごめんねの意味を込めてペロペロと頬を舐める。
ヴィンセントが驚いたように大きく目を開く。
「……全くお前は」
呆れたような、微笑ましくて仕方ないように彼が笑う。
けれどその帰り、俺はきっちり怒られた。こんな体で家を抜け出すなんてどんな危険なことか、事故にでも遭ったらどうするんだ、憶測だが恐らくそのようなことをヴィンセントは言っていたのだと思う。
それと同じように俺の世話を任されていたあのエプロンの女にもヴィンセントは叱っていた。
それからというもの、女は俺にキツく当たるようになってしまった。
当然なのかもしれない。彼女は何も悪くない。俺が誰も見ていない隙に勝手に家を抜け出したのだから。
ヴィンセントに気付かれないようにご飯や掃除などはきちんとしていた。しかし俺と二人きりになっている間、すれ違いざまに彼女が気付かなかったとばかりにわざと尻尾を踏んできたり、包帯を替える時わざと傷が痛むようにキツく巻くなど嫌がらせのようなことをするようになってしまった。
人間には色んな人がいることは知っていたが、俺に嫌悪の感情を向ける人は初めてだった。
森にいた時でも見向きもされないことはあったが、嫌われたことはなかった。ちょっと落ち込む。
でもこんなことでへこたれるほど俺は柔くはない。
なんとしてでもあの人と仲良くなってやるんだ!
ふわふわのお腹を思う存分撫で回される。
「かわいいなぁ。団長がいいってんなら真っ先に俺ん家で飼いたいんだがなぁ」
「そりゃ無理な話だろ。お前話しかけるのも怯えて出来やしないじゃないか」
「それはみんな同じだろー。俺だけビビりみたいに言うのやめろ」
「それにしても尻尾なげぇな」
「あ~かわいいでちゅね~」
「なんだその口調。おめぇキモすぎ」
「辛辣~。子犬なんだから赤ちゃん扱いして何が駄目なんでちゅかね~? コイツ頭おかちぃでちゅね~」
みんなが俺を見て俺を可愛がる。楽しくないはずがない。最高のひと時だった。飛びつき抱っこをせまり、ペロペロと頬を舐める。
「おい、休憩はもう終わりだ。分かったなら怠けてないでさっさと戻らんか!」
ヴィンセントがそう怒鳴ると皆怯えたように走り去ってしまった。彼がしゃがみ、ムスッとした表情を浮かべ小さく言う。
「お前は誰にでも甘えるんだな。俺には顔を舐めてくれたことなんて一度もないのに」
もう怒ってはいないようで安心するけれどなんだかヴィンセントは俺に不満を抱いているようだった。俺が何かしてしまったのだろうか。とにかく嫌われたくなくて、ごめんねの意味を込めてペロペロと頬を舐める。
ヴィンセントが驚いたように大きく目を開く。
「……全くお前は」
呆れたような、微笑ましくて仕方ないように彼が笑う。
けれどその帰り、俺はきっちり怒られた。こんな体で家を抜け出すなんてどんな危険なことか、事故にでも遭ったらどうするんだ、憶測だが恐らくそのようなことをヴィンセントは言っていたのだと思う。
それと同じように俺の世話を任されていたあのエプロンの女にもヴィンセントは叱っていた。
それからというもの、女は俺にキツく当たるようになってしまった。
当然なのかもしれない。彼女は何も悪くない。俺が誰も見ていない隙に勝手に家を抜け出したのだから。
ヴィンセントに気付かれないようにご飯や掃除などはきちんとしていた。しかし俺と二人きりになっている間、すれ違いざまに彼女が気付かなかったとばかりにわざと尻尾を踏んできたり、包帯を替える時わざと傷が痛むようにキツく巻くなど嫌がらせのようなことをするようになってしまった。
人間には色んな人がいることは知っていたが、俺に嫌悪の感情を向ける人は初めてだった。
森にいた時でも見向きもされないことはあったが、嫌われたことはなかった。ちょっと落ち込む。
でもこんなことでへこたれるほど俺は柔くはない。
なんとしてでもあの人と仲良くなってやるんだ!
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