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連載
Christmas Special (1)
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真っ白な中庭には、未だ止むことのない雪が新たに積もっていく。昨夜からしんしんと降り続ける雪を、フローラは部屋の窓から覗いていた。
「見て、ユリア。今年もまた雪が降ってきたね」
「あー!」
フローラに抱っこされて、ユリアは嬉しそうに笑い声を上げた。雪が気になるのか、窓にぺたぺたと手をくっつけてはしゃいでいる。
「あなたが生まれた日も、外はこんな風に真っ白だったの。私は……暑かったけれど」
去年の大仕事を思い出し、フローラは思わずクスッと笑みを零した。
ユリアが生まれた日は、朝から寒かったらしい。それなのに、フローラだけが「暑い」と言って汗だくになっていた。
いや……ヴォルフもフローラの手を握って汗をかいていた。あんなに焦った表情の彼を見たのは、初めてだったと思う。
何度「大丈夫ですから」と言っても、クラドールにどうにかならないのかと迫っていたヴォルフ。付き添ってくれたレーネとソフィーも呆れていた。
「何を笑っている?」
そこへ部屋の扉が開いてヴォルフが入ってきた。
「ヴォルフ様」
「ぱぱ!」
雪に見とれていたユリアは、ヴォルフが入ってきた途端、身体を捩ってフローラの腕から抜け出そうとする。
フローラがユリアを降ろしてやると、よたよたとおぼつかない足取りでヴォルフへと向かっていった。
ユリアが2・3歩進んだところで、2人に近づいてきたヴォルフが彼女を抱きあげる。
「そんな窓際で寒いだろ」
そう言いながら、ヴォルフは更にフローラへ近づいて、唇に軽くキスを落とした。
「そんなことないですよ。お城は暖かく調節してありますし……」
「うぅー」
2人がキスをしたのを見たユリアは、ヴォルフの肩をパシッと叩き、同じことをせがむ。ヴォルフは目を細めて笑い、ユリアの頬にチュッと音を立ててキスをしてやった。
「きゃー!」
ユリアは父親からのキスに大満足で手足をバタつかせた。フローラもそれを見て、頬を緩ませる。
「今日は、早いんですね」
「ああ、明日が祭典だからな……ドレスは届いたか?」
「はい」
フローラがクローゼットの方を指さすと、ヴォルフも視線をそちらに動かした。彼はそこにかけてある赤く華やかなドレスを見て頷く。
大きな薔薇の花が胸元を飾る豪華なドレスだ。その隣には、フローラとお揃いのユリアのドレスも掛けてある。
明日は炎の祭典といわれるシュトルツにおいて最も大きなお祝いの日だ。
フラメ王国では、その祭典に向けて、一か月前からイルミネーションの点灯式や野外イベントが催され、街が賑わう。
それぞれの地区の中心街では、手作りのおもちゃやお菓子を売るお店が並び、特に城下町のそれは外国でも有名で観光客も増える。
そして、ちょうど一年前、フラメ王国の炎の祭典は更に特別なものとなった――ユリアの生誕というフラメ王国民の誰もが待ち望んでいた赤ん坊が生まれた日。そのためか、今年のお祝いムードは例年にも増して熱い。
予定日よりも大分早く生まれてきたユリアだが、特に健康に問題があるわけでもなく、すくすくと育っている。クラドール曰く、ヴォルフの力を色濃く受け継いでいるせいか、フローラのお腹の中が窮屈だったのかもしれないそうだ。
まだおぼつかないけれど、歩き出したのも早いし、言葉も少しずつ出てきた。周りの者からすると「あー」とか「うー」としか聴こえないものも多いが、本人は区別しているつもりらしい。
少々自己主張が激しいようにも思う。そういうところは……やはりヴォルフに似たのだろうか。髪質や外見は、どちらかといえばフローラに似ているようなのだけれど。
「ぱぱ」
「ん、何だ?」
ユリアの呼びかけに、ヴォルフが彼女と視線を合わせると、ユリアは窓の方を指さして「う、う!」と身体を動かす。
「雪か?」
ヴォルフはユリアの頭を撫でてからクローゼットへと向かい、ユリアの洋服を取りだすと彼女を降ろした。
お花の刺繍が施された桃色のベビーマントは、可愛らしく、それでいて防寒もしっかりしている。ボタンを嵌め、マフラーと手袋も身に付けさせてから、ヴォルフはフローラのコートも取り出して「フローラ」と呼ぶ。
「ヴォルフ様、どちらに……」
「マーケットだ」
フローラにも同じようにコートとマフラー、手袋……と順番に身に着けさせたヴォルフは、自分もコートを羽織って再びユリアを抱きあげる。
「マーケットって……ダメですよ! 式典は明日ですし、私たちが今行ったら騒ぎに――」
「お前はゆっくり城下町のマーケットを回ったことがないと言っていただろう? 去年もユリアの出産で外に出られなかったんだ。それくらい構わないだろ」
もこもこに防寒具を巻かれたユリアとフローラ。ヴォルフはユリアを抱いてフローラの手を引いていく。
「イェニー!」
エントランスでヴォルフが叫ぶと、イェニーは彼の行動を予想していたのか支度を済ませて何人かの部下を引き連れ現れた。
「ヴォルフ様、一応申し上げますが、バルトルト様には――」
「行くぞ」
「……はい」
こっそりとため息をついたイェニー。フローラが視線を投げかければ、イェニーは苦笑してフローラたちの後を追ってきた。
一歩外へ出ると、一面雪で覆われて真っ白な絨毯を敷いたようになっていた。冷たい外気と触れる肌、吐く息も白く染まり、城の中との温度差が激しいことがわかる。
雪はまだ降り続いているものの、優しく舞い降りてくるそれはとても幻想的で美しい。
たくさんの屋台が並ぶ通りの入り口で降ろされたユリアは、目をキラキラ輝かせて歩きだした。
「あー! きゃはっ」
「ユリア、ゆっくり歩かないと――」
「う!」
平らな場所でもまだおぼつかない歩き方をするユリアが、整備されて雪かきもされているものの凍った地面を1人で歩くのは難しい。言ったそばからドスンと尻もちをついてしまう。
「きゃー!」
ところが、ユリアはそれすらも面白がって自分の周りにうっすら積もる雪をパタパタと叩き始めた。
「さすが、雪の日に生まれただけはあるな。ほら」
ヴォルフは苦笑しながらユリアを抱きあげて立たせる。すると、近くの屋台の隣に佇む雪だるまに興味を示したユリアは、またとことこ歩いていってしまった。
「雪だるま、だ」
「まま」
「ママ、はこっちだろ?」
ヴォルフの言葉を真似しきれないユリアに、ヴォルフが笑いながらフローラの方へとユリアの身体を向ける。フローラを見つけたユリアは、にっこり笑ってもう一度「まま」と言いつつフローラに手を伸ばしてきた。
フローラはクスクスと笑いながら彼女を抱きあげる。
「まま! まま!」
「雪だるま、気に入ったの?」
ユリアは雪だるまに向かって手を一生懸命伸ばし、また「まま」とフローラの腕の中で身を乗り出そうとする。
「これは持って行けないぞ」
「ユリア、ここの雪だるまはダメなの。お城の中庭で作ってあげるから」
「まま!」
ヴォルフとフローラの言葉――少なくとも“ダメ”なのだということくらい――は理解しているだろうに、諦めきれないユリアは雪だるまに触ろうとする。
「ユリア、ここの雪だるまは、ここのお店の人のだから――」
「やぁっ! ままー!」
フローラがなんとか宥めようとするものの、ユリアはとうとう大きな声で泣き始めてしまった。だんだんとユリアの周りの空気が熱くなり、パチッと炎が弾ける。
「きゃ――」
「フローラ!」
ヴォルフが慌ててユリアをフローラから離し、フローラはホッと息をついた。
何度経験しても慣れない娘の癇癪――ユリアの困ったところだ。
まだ自分の力のことをきちんと理解していないユリアは、身体の成長よりもその中に宿る炎属性の成長が早いらしい。そのため、激しい感情と共に少しばかり気が漏れてくることがある。
それ自体は珍しいことではないのだが、ユリアはヴォルフの遺伝子が強く出ているせいか、フローラにも耐え難い温度を放つことが多い。
「大丈夫か?」
「私は、大丈夫ですけど……雪だるまが……」
フローラの視線の先では、ユリアの放つ熱気のせいで雪だるまがぐにゃりと溶け出していた。それを見て、ユリアが更にヒートアップしてしまう。
「うわああぁぁん! ままー!」
だが、ユリアが泣けば泣くだけ雪だるまが溶けてしまい、ユリアは更に泣き喚く……という悪循環に陥る。
「ユリア、お前が泣くから雪だるまが溶ける」
ヴォルフは、呆れを含む苦笑いでユリアの背を優しく叩きながら歩き出した。フローラも慌ててその後を追い、何事かと集まってくる他の客に「ごめんなさい」と謝りつつ歩いた。
人々も3人がヴォルフとフローラ、ユリアだと気づいているらしいが、ユリアの取り乱した様子と彼女が放つ熱のせいで近寄れないようだ。
しばらく歩いて、ヴォルフはある屋台の前で立ち止まり、店に並んだたくさんのスノードームに視線を走らせて……その1つを手に取った。
「これをくれ」
「ヴォルフ様!?」
店主が驚いて固まっていると、ヴォルフは「包まなくていいから、このままもらう」と言って後ろに控えていたイェニーに目配せする。
「ほら、ユリア。雪だるま、これでいいだろ? これなら溶けない……たぶん、な」
「ふぇっ……まま」
差し出されたスノードームを両手でしっかりと掴むと、ユリアはじっとその中を見つめた。雪だるまが2体、寄り添って中に入っている。揺らせば、白いパウダーが舞って雪が降る様子を再現できる。
「お前がいい子にしていれば、溶けない」
「まま」
グスッと鼻を啜って、先ほどヴォルフがしてくれたようにスノードームを揺らすユリア。そして、雪が舞う様子を見て、打って変わって楽しそうな笑い声を上げた。
「……しばらく大人しくなりそうだな」
「ふふっ、はい」
フローラは店主に丁寧にお礼を言い、3人はその場を後にした。
***
一通りマーケットを楽しんだ3人は、部屋に戻って着替えを終えた。
フローラとヴォルフは侍女に用意してもらった紅茶で身体を温めているが、ユリアは着替えが終わるとすぐに眠ってしまい、ベビーベッドで寝息を立てている。
「楽しかったですね」
「そうだな」
おもちゃの屋台ではユリアが雪だるまの人形を欲しがり、護衛としてついてきた兵士の1人がお誕生日プレゼントと称して買ってくれた。ヴォルフとフローラがダメだと言ったら、ユリアがまた泣きそうになったためだ。
フラメ王国ならではと言える芸術体験の屋台をのぞいていたときは、ユリアは真っ先にピアノへ歩いていき、フローラは胸がいっぱいになった。彼女が音楽室で練習しているときは、あまり興味を示したことがなかったから、驚いたのと同時に嬉しかったのだ。
ユリアとピアノを弾いていると、集まってきた他の子供たちにも少し音楽を教えて、最後には一曲シュトルツ賛歌を演奏した。未来の王妃の生演奏を聴けたと涙を流す人もいて、フローラは少し恐縮してしまったけれど。
その後もお絵かきや工作など一通り楽しんで帰ろうという頃には、ユリアはヴォルフの腕の中でうとうとしていた。
「寒くないか?」
ヴォルフは隣に座るフローラを更に抱き寄せ、フローラの体温を確かめるみたいに頬を撫でてくる。
「ふふっ……あんなにいっぱい着込んでいたんです。大丈夫ですよ」
「そうか? でも、まだ少し……冷たい」
ヴォルフはフローラの髪をゆっくりと梳きながら、フローラの鼻先に口付ける。そのまま唇に落ちてきたヴォルフのそれは、優しくフローラの唇を啄ばみ、それを舌でなぞっていく。
「ん、ヴォルフ様……」
ヴォルフの胸に手をつくが、ヴォルフはフローラの後頭部をしっかりと抱え込み、離してはくれない。それどころか、するりと忍び込んできた舌が、今度は内側からフローラを熱くしていく。
髪を梳いていた右手はフローラのうなじをなぞり、首筋を撫でて鎖骨へ……ブラウスの上から胸の膨らみに触れられる頃には、フローラの体温は平常よりも高くなっていた。
「だ、めですよ……ユリアが、起きちゃ――っ」
ちゅく、といやらしく耳たぶを舐められて、フローラは慌てて口に手を当てて声を抑えた。
「あんなにはしゃいだら……しばらく、大丈夫だ……」
そう言ってヴォルフがフッと笑った瞬間、ヴォルフの影がフローラに覆いかぶさって、唇を塞がれた。ソファの背もたれに押し付けられる体勢でのキス、右手はもどかしそうにフローラのブラウスのボタンを外していく。
「っ、ぁ……はぁっ」
下着を上へずらされて、性急にヴォルフの手が動く。唇を少し離し、至近距離で見つめられると、身体の奥がキュンとして……
「ヴォルフ様……」
情欲に揺れる甘えた声が出てくる。
「今日は……ゆっくり……」
急いた手の動きとは対照的にそんなことを言うヴォルフは、自分自身にも言い聞かせているみたいだ。
ユリアが生まれてから、夫婦2人だけの時間というものは減ってしまった。その分、親子3人の時間というものが増えて、それは何にも代えがたい幸せな時間ではあるけれど……
やはり、こうして直接触れ合う時間も欲しいのが本音。毎日のように肌を重ねていた頃と比べてしまうと、やはり物足りないと思うこともある。
フローラはそっと手を動かして、ヴォルフのシャツのボタンに指を掛けた。ヴォルフが息を呑む。
「フロー、ラ……」
フローラはゆっくりとボタンを1つずつ外していき、それからヴォルフの胸板に触れた。ヴォルフがはぁっと熱い吐息を零し、フローラの首筋に舌を這わせる。
フローラのブラウスは肘まで下ろされて引っかかり、下着も緩められたものの浮いたまま……ヴォルフの唇は迷わず胸の頂で色付く蕾に吸い付いた。
「あっ……は、んッ」
舌先で突かれ、唾液を絡めて弄られ、吸われ……唇に含まれていない方の膨らみではヴォルフの親指が切ない刺激を生み出している。
「フローラ……」
「んっ、は……ふ、ぅ」
声を抑えようとする手を退けられて、代わりにヴォルフの指が口内へと差し込まれる。そのまま反対の胸を舌でなぞられると、思わずヴォルフの指に噛み付いてしまった。
ヴォルフは彼女の唾液に濡れた指先を引き抜き、フローラの目の前でそれを舐め取る。
それ以上のことは何度もしているはずなのに、無性に恥ずかしくなってフローラは視線を泳がせた。それを咎める如く、ヴォルフが彼女の顎に手をかけ、自分の方へ視線を戻させる。
「逸らすな……俺を見ろ」
「ん、んん……っ」
すぐに唇が塞がれ、熱く口内を探る舌に翻弄された。フローラはヴォルフについていくだけで精一杯だ。
ヴォルフは乳房を優しく揉みしだきつつ、キスを深くしていく。歯列をなぞり、舌を擦りつけ、くちゅくちゅといやらしい音を立てて交わる。
「あっ」
濃厚な口付けに震え、尖った胸の飾りをヴォルフが強めに擦ると、大きな声が出てしまう。
「……もっと、舌……出せ」
「んっ、ふ……ぁ」
胸の頂を弾かれた拍子に舌を引っ込めてしまったフローラに、ヴォルフが更に深い交わりを求めてくる。
フローラは言われるままに舌を絡め、ヴォルフに応えようと必死だ。
やがて2人の唇が離れると、銀色の糸が引き……それがまた2人の興奮を煽った。プツリとそれが切れると、ヴォルフは軽く唇を掠めてからまた唇でフローラの肌を辿っていく。
鎖骨を丹念になぞり、下着を避けて胸へ。
「あ、あ……あっ」
柔らかな膨らみを啄み、胸の頂も丁寧に舐められる。
そして鳩尾に強く吸い付いて、頬を寄せる。
フローラの炎を感じられるのが、気持ちいいのだと……いつか告白されたときは恥ずかしかったけれど、今はフローラにもその感覚がわかるようになった。特にユリアを身ごもっていたとき、ヴォルフに膝枕をされて、彼の炎を強く感じるときが一番安心したから。
「フローラ」
しばらくフローラの鳩尾に頬をくっつけていたヴォルフだが、やがて顔を上げてフローラを掠れた声で呼んだ。
フローラのスカートに手を掛けるヴォルフに頷くと、彼は少し笑う。そのままお腹の中心にキスを落としつつ、フローラが僅かに腰を浮かせるタイミングに合わせてスカートと下着を抜き取った。
それから膝を持ち上げて、フローラの秘めた場所へと口付ける。
「あっ」
ビクッと震える腰、ヴォルフの整った顔が自らの足の間に挟まれている。その視覚的ないやらしさに、フローラの奥からはとろりと蜜が溢れてくる。
それを吸ってちゅくっと音を立てられ、耳からも煽られて……熱い舌で泉の周りを舐められ舌を差し込まれれば、ガクガクと足が震えた。
「あ、はっ……ヴォル、フ、さ……ん、あ……ヴォルフ様」
「まだ……ゆっくりだと言った」
限界直前まで押し上げられたのに、寸前で離れていった熱。フローラは思わずヴォルフの名を呼んだ。
その甘ったるい響きすら気にならないほど、フローラの身体は熱く、ヴォルフを求めている。
ヴォルフも切羽詰ったみたいに呼吸を荒くしているのに、フローラを宥める如く頭を撫でて耳元で囁く。
そして、言葉通りゆっくりと指が中へともぐりこんできた。
「あ、あぁっ」
満たされていく中と、求めていた刺激には足りないもどかしさ。ヴォルフは丁寧すぎるくらいにフローラの蕩けた中を擦ってくる。
「熱いな……」
「――ッ、あ」
クッと指を折り曲げられて、フローラは背を仰け反らせた。閉じそうになる膝を力強く押さえ込まれ、更に指が増やされてクラクラしてくる。
「んんっ、んぅ……あっ、ん……く、ふっ、んぁっ」
声を抑えようと手の甲を唇に押し当ててみるけれど、ヴォルフの指先がフローラの弱いところを探る度に漏れてしまう。
身体の中心から生まれる快感が全身を駆け巡って、爪先に力が入る。
熱くて訳がわからなくなりそうになる頃、ソファが沈んでヴォルフがキスを求めて覆いかぶさってきた。フローラは夢中でヴォルフの首にしがみつき、彼からのキスに応える。
その間もフローラの中を蠢くヴォルフの2本の指は、バラバラに動き、より深くもぐりこんでくる。それと同時に真っ赤に腫れているであろう秘芽を押しつぶされ、フローラは悲鳴を上げた。
震える身体……フローラの悲鳴はヴォルフが呑み込み、彼女は彼の指をギュッと締め付けて離そうとしない。
ヴォルフはその余韻さえ楽しむかのようにゆっくりと指を動かし続けている。そして、フローラの身体から力が抜けていくのと同時にするりと2本の指を抜いた。
荒く呼吸を繰り返すフローラの瞼や頬にキスをして、ヴォルフはギュッと彼女を抱きしめる。
そして、彼女の手を昂りへ導き、耳元に唇を寄せた。何度か艶かしい呼吸を繰り返して囁く――
「……いいか?」
「ん……」
フローラはコクリと頷いて、ヴォルフのベルトに手を掛けた。
「見て、ユリア。今年もまた雪が降ってきたね」
「あー!」
フローラに抱っこされて、ユリアは嬉しそうに笑い声を上げた。雪が気になるのか、窓にぺたぺたと手をくっつけてはしゃいでいる。
「あなたが生まれた日も、外はこんな風に真っ白だったの。私は……暑かったけれど」
去年の大仕事を思い出し、フローラは思わずクスッと笑みを零した。
ユリアが生まれた日は、朝から寒かったらしい。それなのに、フローラだけが「暑い」と言って汗だくになっていた。
いや……ヴォルフもフローラの手を握って汗をかいていた。あんなに焦った表情の彼を見たのは、初めてだったと思う。
何度「大丈夫ですから」と言っても、クラドールにどうにかならないのかと迫っていたヴォルフ。付き添ってくれたレーネとソフィーも呆れていた。
「何を笑っている?」
そこへ部屋の扉が開いてヴォルフが入ってきた。
「ヴォルフ様」
「ぱぱ!」
雪に見とれていたユリアは、ヴォルフが入ってきた途端、身体を捩ってフローラの腕から抜け出そうとする。
フローラがユリアを降ろしてやると、よたよたとおぼつかない足取りでヴォルフへと向かっていった。
ユリアが2・3歩進んだところで、2人に近づいてきたヴォルフが彼女を抱きあげる。
「そんな窓際で寒いだろ」
そう言いながら、ヴォルフは更にフローラへ近づいて、唇に軽くキスを落とした。
「そんなことないですよ。お城は暖かく調節してありますし……」
「うぅー」
2人がキスをしたのを見たユリアは、ヴォルフの肩をパシッと叩き、同じことをせがむ。ヴォルフは目を細めて笑い、ユリアの頬にチュッと音を立ててキスをしてやった。
「きゃー!」
ユリアは父親からのキスに大満足で手足をバタつかせた。フローラもそれを見て、頬を緩ませる。
「今日は、早いんですね」
「ああ、明日が祭典だからな……ドレスは届いたか?」
「はい」
フローラがクローゼットの方を指さすと、ヴォルフも視線をそちらに動かした。彼はそこにかけてある赤く華やかなドレスを見て頷く。
大きな薔薇の花が胸元を飾る豪華なドレスだ。その隣には、フローラとお揃いのユリアのドレスも掛けてある。
明日は炎の祭典といわれるシュトルツにおいて最も大きなお祝いの日だ。
フラメ王国では、その祭典に向けて、一か月前からイルミネーションの点灯式や野外イベントが催され、街が賑わう。
それぞれの地区の中心街では、手作りのおもちゃやお菓子を売るお店が並び、特に城下町のそれは外国でも有名で観光客も増える。
そして、ちょうど一年前、フラメ王国の炎の祭典は更に特別なものとなった――ユリアの生誕というフラメ王国民の誰もが待ち望んでいた赤ん坊が生まれた日。そのためか、今年のお祝いムードは例年にも増して熱い。
予定日よりも大分早く生まれてきたユリアだが、特に健康に問題があるわけでもなく、すくすくと育っている。クラドール曰く、ヴォルフの力を色濃く受け継いでいるせいか、フローラのお腹の中が窮屈だったのかもしれないそうだ。
まだおぼつかないけれど、歩き出したのも早いし、言葉も少しずつ出てきた。周りの者からすると「あー」とか「うー」としか聴こえないものも多いが、本人は区別しているつもりらしい。
少々自己主張が激しいようにも思う。そういうところは……やはりヴォルフに似たのだろうか。髪質や外見は、どちらかといえばフローラに似ているようなのだけれど。
「ぱぱ」
「ん、何だ?」
ユリアの呼びかけに、ヴォルフが彼女と視線を合わせると、ユリアは窓の方を指さして「う、う!」と身体を動かす。
「雪か?」
ヴォルフはユリアの頭を撫でてからクローゼットへと向かい、ユリアの洋服を取りだすと彼女を降ろした。
お花の刺繍が施された桃色のベビーマントは、可愛らしく、それでいて防寒もしっかりしている。ボタンを嵌め、マフラーと手袋も身に付けさせてから、ヴォルフはフローラのコートも取り出して「フローラ」と呼ぶ。
「ヴォルフ様、どちらに……」
「マーケットだ」
フローラにも同じようにコートとマフラー、手袋……と順番に身に着けさせたヴォルフは、自分もコートを羽織って再びユリアを抱きあげる。
「マーケットって……ダメですよ! 式典は明日ですし、私たちが今行ったら騒ぎに――」
「お前はゆっくり城下町のマーケットを回ったことがないと言っていただろう? 去年もユリアの出産で外に出られなかったんだ。それくらい構わないだろ」
もこもこに防寒具を巻かれたユリアとフローラ。ヴォルフはユリアを抱いてフローラの手を引いていく。
「イェニー!」
エントランスでヴォルフが叫ぶと、イェニーは彼の行動を予想していたのか支度を済ませて何人かの部下を引き連れ現れた。
「ヴォルフ様、一応申し上げますが、バルトルト様には――」
「行くぞ」
「……はい」
こっそりとため息をついたイェニー。フローラが視線を投げかければ、イェニーは苦笑してフローラたちの後を追ってきた。
一歩外へ出ると、一面雪で覆われて真っ白な絨毯を敷いたようになっていた。冷たい外気と触れる肌、吐く息も白く染まり、城の中との温度差が激しいことがわかる。
雪はまだ降り続いているものの、優しく舞い降りてくるそれはとても幻想的で美しい。
たくさんの屋台が並ぶ通りの入り口で降ろされたユリアは、目をキラキラ輝かせて歩きだした。
「あー! きゃはっ」
「ユリア、ゆっくり歩かないと――」
「う!」
平らな場所でもまだおぼつかない歩き方をするユリアが、整備されて雪かきもされているものの凍った地面を1人で歩くのは難しい。言ったそばからドスンと尻もちをついてしまう。
「きゃー!」
ところが、ユリアはそれすらも面白がって自分の周りにうっすら積もる雪をパタパタと叩き始めた。
「さすが、雪の日に生まれただけはあるな。ほら」
ヴォルフは苦笑しながらユリアを抱きあげて立たせる。すると、近くの屋台の隣に佇む雪だるまに興味を示したユリアは、またとことこ歩いていってしまった。
「雪だるま、だ」
「まま」
「ママ、はこっちだろ?」
ヴォルフの言葉を真似しきれないユリアに、ヴォルフが笑いながらフローラの方へとユリアの身体を向ける。フローラを見つけたユリアは、にっこり笑ってもう一度「まま」と言いつつフローラに手を伸ばしてきた。
フローラはクスクスと笑いながら彼女を抱きあげる。
「まま! まま!」
「雪だるま、気に入ったの?」
ユリアは雪だるまに向かって手を一生懸命伸ばし、また「まま」とフローラの腕の中で身を乗り出そうとする。
「これは持って行けないぞ」
「ユリア、ここの雪だるまはダメなの。お城の中庭で作ってあげるから」
「まま!」
ヴォルフとフローラの言葉――少なくとも“ダメ”なのだということくらい――は理解しているだろうに、諦めきれないユリアは雪だるまに触ろうとする。
「ユリア、ここの雪だるまは、ここのお店の人のだから――」
「やぁっ! ままー!」
フローラがなんとか宥めようとするものの、ユリアはとうとう大きな声で泣き始めてしまった。だんだんとユリアの周りの空気が熱くなり、パチッと炎が弾ける。
「きゃ――」
「フローラ!」
ヴォルフが慌ててユリアをフローラから離し、フローラはホッと息をついた。
何度経験しても慣れない娘の癇癪――ユリアの困ったところだ。
まだ自分の力のことをきちんと理解していないユリアは、身体の成長よりもその中に宿る炎属性の成長が早いらしい。そのため、激しい感情と共に少しばかり気が漏れてくることがある。
それ自体は珍しいことではないのだが、ユリアはヴォルフの遺伝子が強く出ているせいか、フローラにも耐え難い温度を放つことが多い。
「大丈夫か?」
「私は、大丈夫ですけど……雪だるまが……」
フローラの視線の先では、ユリアの放つ熱気のせいで雪だるまがぐにゃりと溶け出していた。それを見て、ユリアが更にヒートアップしてしまう。
「うわああぁぁん! ままー!」
だが、ユリアが泣けば泣くだけ雪だるまが溶けてしまい、ユリアは更に泣き喚く……という悪循環に陥る。
「ユリア、お前が泣くから雪だるまが溶ける」
ヴォルフは、呆れを含む苦笑いでユリアの背を優しく叩きながら歩き出した。フローラも慌ててその後を追い、何事かと集まってくる他の客に「ごめんなさい」と謝りつつ歩いた。
人々も3人がヴォルフとフローラ、ユリアだと気づいているらしいが、ユリアの取り乱した様子と彼女が放つ熱のせいで近寄れないようだ。
しばらく歩いて、ヴォルフはある屋台の前で立ち止まり、店に並んだたくさんのスノードームに視線を走らせて……その1つを手に取った。
「これをくれ」
「ヴォルフ様!?」
店主が驚いて固まっていると、ヴォルフは「包まなくていいから、このままもらう」と言って後ろに控えていたイェニーに目配せする。
「ほら、ユリア。雪だるま、これでいいだろ? これなら溶けない……たぶん、な」
「ふぇっ……まま」
差し出されたスノードームを両手でしっかりと掴むと、ユリアはじっとその中を見つめた。雪だるまが2体、寄り添って中に入っている。揺らせば、白いパウダーが舞って雪が降る様子を再現できる。
「お前がいい子にしていれば、溶けない」
「まま」
グスッと鼻を啜って、先ほどヴォルフがしてくれたようにスノードームを揺らすユリア。そして、雪が舞う様子を見て、打って変わって楽しそうな笑い声を上げた。
「……しばらく大人しくなりそうだな」
「ふふっ、はい」
フローラは店主に丁寧にお礼を言い、3人はその場を後にした。
***
一通りマーケットを楽しんだ3人は、部屋に戻って着替えを終えた。
フローラとヴォルフは侍女に用意してもらった紅茶で身体を温めているが、ユリアは着替えが終わるとすぐに眠ってしまい、ベビーベッドで寝息を立てている。
「楽しかったですね」
「そうだな」
おもちゃの屋台ではユリアが雪だるまの人形を欲しがり、護衛としてついてきた兵士の1人がお誕生日プレゼントと称して買ってくれた。ヴォルフとフローラがダメだと言ったら、ユリアがまた泣きそうになったためだ。
フラメ王国ならではと言える芸術体験の屋台をのぞいていたときは、ユリアは真っ先にピアノへ歩いていき、フローラは胸がいっぱいになった。彼女が音楽室で練習しているときは、あまり興味を示したことがなかったから、驚いたのと同時に嬉しかったのだ。
ユリアとピアノを弾いていると、集まってきた他の子供たちにも少し音楽を教えて、最後には一曲シュトルツ賛歌を演奏した。未来の王妃の生演奏を聴けたと涙を流す人もいて、フローラは少し恐縮してしまったけれど。
その後もお絵かきや工作など一通り楽しんで帰ろうという頃には、ユリアはヴォルフの腕の中でうとうとしていた。
「寒くないか?」
ヴォルフは隣に座るフローラを更に抱き寄せ、フローラの体温を確かめるみたいに頬を撫でてくる。
「ふふっ……あんなにいっぱい着込んでいたんです。大丈夫ですよ」
「そうか? でも、まだ少し……冷たい」
ヴォルフはフローラの髪をゆっくりと梳きながら、フローラの鼻先に口付ける。そのまま唇に落ちてきたヴォルフのそれは、優しくフローラの唇を啄ばみ、それを舌でなぞっていく。
「ん、ヴォルフ様……」
ヴォルフの胸に手をつくが、ヴォルフはフローラの後頭部をしっかりと抱え込み、離してはくれない。それどころか、するりと忍び込んできた舌が、今度は内側からフローラを熱くしていく。
髪を梳いていた右手はフローラのうなじをなぞり、首筋を撫でて鎖骨へ……ブラウスの上から胸の膨らみに触れられる頃には、フローラの体温は平常よりも高くなっていた。
「だ、めですよ……ユリアが、起きちゃ――っ」
ちゅく、といやらしく耳たぶを舐められて、フローラは慌てて口に手を当てて声を抑えた。
「あんなにはしゃいだら……しばらく、大丈夫だ……」
そう言ってヴォルフがフッと笑った瞬間、ヴォルフの影がフローラに覆いかぶさって、唇を塞がれた。ソファの背もたれに押し付けられる体勢でのキス、右手はもどかしそうにフローラのブラウスのボタンを外していく。
「っ、ぁ……はぁっ」
下着を上へずらされて、性急にヴォルフの手が動く。唇を少し離し、至近距離で見つめられると、身体の奥がキュンとして……
「ヴォルフ様……」
情欲に揺れる甘えた声が出てくる。
「今日は……ゆっくり……」
急いた手の動きとは対照的にそんなことを言うヴォルフは、自分自身にも言い聞かせているみたいだ。
ユリアが生まれてから、夫婦2人だけの時間というものは減ってしまった。その分、親子3人の時間というものが増えて、それは何にも代えがたい幸せな時間ではあるけれど……
やはり、こうして直接触れ合う時間も欲しいのが本音。毎日のように肌を重ねていた頃と比べてしまうと、やはり物足りないと思うこともある。
フローラはそっと手を動かして、ヴォルフのシャツのボタンに指を掛けた。ヴォルフが息を呑む。
「フロー、ラ……」
フローラはゆっくりとボタンを1つずつ外していき、それからヴォルフの胸板に触れた。ヴォルフがはぁっと熱い吐息を零し、フローラの首筋に舌を這わせる。
フローラのブラウスは肘まで下ろされて引っかかり、下着も緩められたものの浮いたまま……ヴォルフの唇は迷わず胸の頂で色付く蕾に吸い付いた。
「あっ……は、んッ」
舌先で突かれ、唾液を絡めて弄られ、吸われ……唇に含まれていない方の膨らみではヴォルフの親指が切ない刺激を生み出している。
「フローラ……」
「んっ、は……ふ、ぅ」
声を抑えようとする手を退けられて、代わりにヴォルフの指が口内へと差し込まれる。そのまま反対の胸を舌でなぞられると、思わずヴォルフの指に噛み付いてしまった。
ヴォルフは彼女の唾液に濡れた指先を引き抜き、フローラの目の前でそれを舐め取る。
それ以上のことは何度もしているはずなのに、無性に恥ずかしくなってフローラは視線を泳がせた。それを咎める如く、ヴォルフが彼女の顎に手をかけ、自分の方へ視線を戻させる。
「逸らすな……俺を見ろ」
「ん、んん……っ」
すぐに唇が塞がれ、熱く口内を探る舌に翻弄された。フローラはヴォルフについていくだけで精一杯だ。
ヴォルフは乳房を優しく揉みしだきつつ、キスを深くしていく。歯列をなぞり、舌を擦りつけ、くちゅくちゅといやらしい音を立てて交わる。
「あっ」
濃厚な口付けに震え、尖った胸の飾りをヴォルフが強めに擦ると、大きな声が出てしまう。
「……もっと、舌……出せ」
「んっ、ふ……ぁ」
胸の頂を弾かれた拍子に舌を引っ込めてしまったフローラに、ヴォルフが更に深い交わりを求めてくる。
フローラは言われるままに舌を絡め、ヴォルフに応えようと必死だ。
やがて2人の唇が離れると、銀色の糸が引き……それがまた2人の興奮を煽った。プツリとそれが切れると、ヴォルフは軽く唇を掠めてからまた唇でフローラの肌を辿っていく。
鎖骨を丹念になぞり、下着を避けて胸へ。
「あ、あ……あっ」
柔らかな膨らみを啄み、胸の頂も丁寧に舐められる。
そして鳩尾に強く吸い付いて、頬を寄せる。
フローラの炎を感じられるのが、気持ちいいのだと……いつか告白されたときは恥ずかしかったけれど、今はフローラにもその感覚がわかるようになった。特にユリアを身ごもっていたとき、ヴォルフに膝枕をされて、彼の炎を強く感じるときが一番安心したから。
「フローラ」
しばらくフローラの鳩尾に頬をくっつけていたヴォルフだが、やがて顔を上げてフローラを掠れた声で呼んだ。
フローラのスカートに手を掛けるヴォルフに頷くと、彼は少し笑う。そのままお腹の中心にキスを落としつつ、フローラが僅かに腰を浮かせるタイミングに合わせてスカートと下着を抜き取った。
それから膝を持ち上げて、フローラの秘めた場所へと口付ける。
「あっ」
ビクッと震える腰、ヴォルフの整った顔が自らの足の間に挟まれている。その視覚的ないやらしさに、フローラの奥からはとろりと蜜が溢れてくる。
それを吸ってちゅくっと音を立てられ、耳からも煽られて……熱い舌で泉の周りを舐められ舌を差し込まれれば、ガクガクと足が震えた。
「あ、はっ……ヴォル、フ、さ……ん、あ……ヴォルフ様」
「まだ……ゆっくりだと言った」
限界直前まで押し上げられたのに、寸前で離れていった熱。フローラは思わずヴォルフの名を呼んだ。
その甘ったるい響きすら気にならないほど、フローラの身体は熱く、ヴォルフを求めている。
ヴォルフも切羽詰ったみたいに呼吸を荒くしているのに、フローラを宥める如く頭を撫でて耳元で囁く。
そして、言葉通りゆっくりと指が中へともぐりこんできた。
「あ、あぁっ」
満たされていく中と、求めていた刺激には足りないもどかしさ。ヴォルフは丁寧すぎるくらいにフローラの蕩けた中を擦ってくる。
「熱いな……」
「――ッ、あ」
クッと指を折り曲げられて、フローラは背を仰け反らせた。閉じそうになる膝を力強く押さえ込まれ、更に指が増やされてクラクラしてくる。
「んんっ、んぅ……あっ、ん……く、ふっ、んぁっ」
声を抑えようと手の甲を唇に押し当ててみるけれど、ヴォルフの指先がフローラの弱いところを探る度に漏れてしまう。
身体の中心から生まれる快感が全身を駆け巡って、爪先に力が入る。
熱くて訳がわからなくなりそうになる頃、ソファが沈んでヴォルフがキスを求めて覆いかぶさってきた。フローラは夢中でヴォルフの首にしがみつき、彼からのキスに応える。
その間もフローラの中を蠢くヴォルフの2本の指は、バラバラに動き、より深くもぐりこんでくる。それと同時に真っ赤に腫れているであろう秘芽を押しつぶされ、フローラは悲鳴を上げた。
震える身体……フローラの悲鳴はヴォルフが呑み込み、彼女は彼の指をギュッと締め付けて離そうとしない。
ヴォルフはその余韻さえ楽しむかのようにゆっくりと指を動かし続けている。そして、フローラの身体から力が抜けていくのと同時にするりと2本の指を抜いた。
荒く呼吸を繰り返すフローラの瞼や頬にキスをして、ヴォルフはギュッと彼女を抱きしめる。
そして、彼女の手を昂りへ導き、耳元に唇を寄せた。何度か艶かしい呼吸を繰り返して囁く――
「……いいか?」
「ん……」
フローラはコクリと頷いて、ヴォルフのベルトに手を掛けた。
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