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第一章:いざ、王都!
【閑話】ウサギとネコ兄妹のクッキー作り②
しおりを挟むそんなこんな、ちょうどオーブンからいい匂いがしてくる。
ナッツクッキーが焼けた頃合いだろう、オーブンから出して冷ます。
他2つの生地もいい感じに冷えたので生地をのばし、型を取る。後はオーブンに入れ暫く待つだけだ。
待っている間次は横にいる熱いものが苦手な癖にナッツクッキーをかじって涙目になっているマローネに話しかける。マローネはネロよりも年上なため恋愛経験は多いだろうと踏んだのである。
「マローネはいい人いないの?」
この茶トラ猫は普段マイペースな野菜売りだが、年上受けしそうな可愛らしい顔と愛嬌のある笑顔で女性客にモテているのだ。色々な物を女性からもらっていることを知っている。
「う~ん、可愛がってくれる人はみんな好きだしな~」
「うわ、お兄ちゃんサイテー…」
なんともマイペースな発言をするマローネをビアンはとても軽蔑した目で見ている。目がとても鋭い。
兄妹であっても恋愛のタイプだ違うようだ。マローネはおそらく甘え上手だし優しくしてくれる人にはすぐ懐くのだろう。対してビアンは警戒心が強いのでマローネのように複数人に甘えることはないのだろう。
ネロは話題を振る相手を間違えた…と焦りながら次いでビアンに話を振る。
「ビアンはいいなって人いるの?」
ビアンは16歳のお年頃である。好きな人の1人や2人…2人いるのはおかしいかもしれないけれど…好きな人がいてもおかしくないだろう。
「好きな人はいないけど、理想のタイプならあるよ!紳士的でー、強くてー、絶対浮気しない人!!私だけを愛してくれる人がいい!!」
とっても乙女な顔をしてうっとりと理想の男性像を話すビアンに、マローネが「そんな奴いねーよ。いてももう相手いるだろ」と冷めた発言をしたため強めの蹴りを入れられている。
確かにそんな恋愛小説のような男性は皆の憧れである。中々出会えないだろう。
…恋愛小説といえば、最近ある恋愛小説が流行っていると聞いた。
昔から人気な“平民の女の子が一国の王子と恋をするシンデレラストーリー”の別視点、王子を平民に取られてしまった物語が流行っているらしい。
別視点からみる「真実の愛」と呼ばれるシンデレラストーリーはもはや不貞で、今までみていたキラキラとしたあの話は何だったのだろう…と衝撃を受ける人が多いと聞いた。
もしかするとビアンはその手の小説を呼んで「浮気しない人」と言っているのかもしれない…。
「…ねぇ、マローネ、」
「ん?」
「男の人で浮気しない人っているのかな…。前に本で男性は多く子孫を残すために~…って見たんだけど…」
最近まで恋愛のれの字も知らない、まして嫉妬もよく理解していなかったネロであったが、たまたま目にした本に男性の浮気を肯定するような、仕方のないものとするようなそんな内容が書いてあったわけで。
アルジェントが浮気をすると疑っているわけではないが、あれだけモテるのだし…と浮気を肯定できる女性になるべきなのかと思っていたのだ。
「んー、まぁいるだろ流石に~。あ~…それこそアルジェントさんとか?」
「え、アルジェントさん?」
まさかここですぐアルジェントの名前が出ると思わずネロは驚いてしまう。
「だってオオカミ獣人だろ?オオカミ獣人って言ったら一途で有名じゃん。」
「一途…?」
そう、ネロは知らなかったわけだが、オオカミ獣人は一途で有名である。
一度この人と決めた場合死ぬまでその人を愛し、相手が亡くなった場合も再婚せず一生想い続ける。それこそ浮気とは無縁の種族なのだ。
「何それ素敵~!!!」
マローネの説明にビアンは興奮気味に声を上げる。
ビアンもオオカミ獣人のことに詳しくなかったようだ。目を輝かせてときめいている。
「ま、だから安心しなよネロ。逆にネロが浮気したら殺されるかもだけど!」
と言いながら笑うマローネに、ネロは「するわけないじゃん…」と思いつつ安心と男性との距離感を考えなければ…と少しの恐怖を感じたり、感じなかったり…?
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