かがみゆえのショートショート集【エッセイ・ノンフィクション】

かがみゆえ

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好きです、おにぎり!

おにぎり率100%

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 高校生の頃、昼食は母のお手製弁当だった。
 高校3年間、母は弁当を持たせてくれた。
 父も姉妹も昼食は弁当を持って行ってたので、母のお手製弁当を持って行っていたのはわたし一人だけではなかった。
 毎日面倒くさいはずなのに、『別に弁当を作るのは苦ではない。慣れた』という母の言葉がありがたかった。

 それでも少しは母の負担を減らそうと、おにぎりだけは自分で作っていた。
 父と妹はのり弁派で母が作っていたけど、わたしは昼休みが忙しく片手で食べられるおにぎりを好んでいた。

 おにぎりの具は殆ど梅干しだった。
 他はおかか、昆布の佃煮、焼きシャケなどだったと思う。
 おかかにしたくても朝は忙しく、鰹節に醤油を入れておかかにする作業時間が勿体なくて梅干しにしていた。
 昆布の佃煮も同じで、タッパーに入った昆布の佃煮を箸でちまちま入れる作業時間が勿体なくて冷蔵庫に入っていても選ばなかった。
 焼きシャケは骨を取る作業時間が勿体なくて、除外するのが多かったと思う。
 時間がない時に『今日はおかかにしよう』という気持ちになって作ったりしてたから、その日の気分もあったと思う。


 おにぎりの数は必ず2つ。
 昼食の時に1つ、もう1つは授業の一限目か2限目終了後の10分の休み時間に食べた。
 その日によって違ったけど、ちょうど小腹が空く時間だったので、空腹でイライラを解消するために間食としておにぎりを食べていた。

 間食はお菓子でも良かったと思うけど、腹持ちの良いおにぎりは最適だった。

「え? 女子のくせにおにぎり食ってんの?」

 間食におにぎりを食べるわたしをからかうクラスメートもいたけど、堂々と食べていれば言われることはなくなった。
 何も悪いことはしてないから当たり前である。


 母のお手製弁当を持って行かなかった日を数えると高校3年間をトータルしても指で足りるほどだ。
 体育祭や文化祭、野外活動などの学校行事で昼食を用意しなくて良い日だけだったと思う。

 母のお手製弁当=おにぎりが必ずだったから、高校生の時に食べたおにぎり率は100%になる。
 母もすごいが、自分もよく3年間自分で作ったなと自画自賛しても良いだろう。

 母がわたしの分のおにぎりも作ると言っても、頑なに断っていた。
 どうせおにぎりはわたししか食べないのだから、わたしは意地になっていた。
 母のお弁当作りの負担を少しでも減らしたいと思っていたのに、ある意味で負担も手間もかけていたなと思う。

 たまに何故か母が『おにぎり作らせろや』とキレることがあって『そんじゃ、1つだけね!』と1つは作ってもらって、もう1つは自分作にする日があった。
 素直に2つともお願いすれば良いのに、一体何の譲歩だという突っ込みを入れたくなる。

 わたしはおにぎりを作るのは好きだった。
 作るのも食べるのも好きだから、おにぎりを作っていた。
 今でも作るのは好きだ。

 上手なのか美味しいのかは分からないが、食べるのは自分と家族だけだからそれで良い。

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