1 / 7
1.彼氏の弟
しおりを挟む
「ああっ、もう、びしょ濡れだよ」
「いきなり降ってきたもんな」
下校中に突然の豪雨に襲われ、傘を持っていなかった私と高明はずぶ濡れになりながら彼の家へと避難した。
朝見た天気予報では一日中晴れの予報だったのに、本当についてない。
「ほら雪乃、タオル。風呂の準備してくるから、ちょっと待ってて」
私は受け取ったタオルで髪を拭いていく。
制服どころか下着まで濡れてしまっているのでタオル一枚ではどうしようもなかったが、せめてビタビタと垂れる水滴で廊下を濡らさないように水分をタオルに染み込ませる。
私と高明は付き合っている。
元々両親同士の仲が良く、その関係で私たちも小さい頃からよく一緒に遊んでいた。
いわゆる幼馴染みというやつだろう。
初めから異性として高明を意識していたわけではない。
でも隣にいて当たり前の存在だった。
好きとかそういうのがよくわからないときから、私はこの先も高明と一緒にいるのだと思っていた。
そしてそれは高明も同じだったのだろう。
同じ高校に進学が決まったときに高明から告白され、私はそれを受け入れた。
付き合うようになって何かが変わったかと言われれば、正直よくわからない。
だが、そんな関係でも良いのではないかと思う。
これまでも、これからも。
いつか結婚なんてすることになったあとも。
私の隣には高明がいて、高明の隣には私がいるのだから。
それだけで十分だ。
「雪乃姉ちゃん、いらっしゃい! びちょびちょだね」
「ごめんね、こんな濡れた格好で。お邪魔するね」
バタバタと玄関に駆けてきたのは、高明の弟である宏人だった。
小学三年生になる宏人は私によく懐いてくれている。
こうして家を訪ねると、必ず出迎えてくれるのだ。
赤ちゃんの頃から宏人のことを知っている私からしたら、血の繋がりはなくても弟のようなものだ。
私は手の水気をよく拭き取ると、宏人の頭を撫でた。
気持ち良さそうに目を細める宏人を見て、私も思わず顔がほころぶ。
「雪乃ー! 風呂の準備できたから、先に入っていいよ」
「ありがとうね」
こうして高明の家のお風呂に入るくらいには私たちの付き合いは深い。
小さい頃は一緒にお風呂に入ることもあったし、今でも時々お互いの家のお風呂を使うことだってある。
私は玄関で靴下を脱ぐと足をよく拭き、勝手知ったる我が家のように浴室へと向かう。
そのときだった。
「雪乃姉ちゃんがお風呂に入るなら、僕も入る!」
宏人が声を上げた。
「いきなり降ってきたもんな」
下校中に突然の豪雨に襲われ、傘を持っていなかった私と高明はずぶ濡れになりながら彼の家へと避難した。
朝見た天気予報では一日中晴れの予報だったのに、本当についてない。
「ほら雪乃、タオル。風呂の準備してくるから、ちょっと待ってて」
私は受け取ったタオルで髪を拭いていく。
制服どころか下着まで濡れてしまっているのでタオル一枚ではどうしようもなかったが、せめてビタビタと垂れる水滴で廊下を濡らさないように水分をタオルに染み込ませる。
私と高明は付き合っている。
元々両親同士の仲が良く、その関係で私たちも小さい頃からよく一緒に遊んでいた。
いわゆる幼馴染みというやつだろう。
初めから異性として高明を意識していたわけではない。
でも隣にいて当たり前の存在だった。
好きとかそういうのがよくわからないときから、私はこの先も高明と一緒にいるのだと思っていた。
そしてそれは高明も同じだったのだろう。
同じ高校に進学が決まったときに高明から告白され、私はそれを受け入れた。
付き合うようになって何かが変わったかと言われれば、正直よくわからない。
だが、そんな関係でも良いのではないかと思う。
これまでも、これからも。
いつか結婚なんてすることになったあとも。
私の隣には高明がいて、高明の隣には私がいるのだから。
それだけで十分だ。
「雪乃姉ちゃん、いらっしゃい! びちょびちょだね」
「ごめんね、こんな濡れた格好で。お邪魔するね」
バタバタと玄関に駆けてきたのは、高明の弟である宏人だった。
小学三年生になる宏人は私によく懐いてくれている。
こうして家を訪ねると、必ず出迎えてくれるのだ。
赤ちゃんの頃から宏人のことを知っている私からしたら、血の繋がりはなくても弟のようなものだ。
私は手の水気をよく拭き取ると、宏人の頭を撫でた。
気持ち良さそうに目を細める宏人を見て、私も思わず顔がほころぶ。
「雪乃ー! 風呂の準備できたから、先に入っていいよ」
「ありがとうね」
こうして高明の家のお風呂に入るくらいには私たちの付き合いは深い。
小さい頃は一緒にお風呂に入ることもあったし、今でも時々お互いの家のお風呂を使うことだってある。
私は玄関で靴下を脱ぐと足をよく拭き、勝手知ったる我が家のように浴室へと向かう。
そのときだった。
「雪乃姉ちゃんがお風呂に入るなら、僕も入る!」
宏人が声を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる