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5.公爵令嬢は第二王子と……
しおりを挟むその日、国王陛下の御前に、レイシア、リンド、ロイス、メリーの四人が揃っていた。
「父上、どうして私が王位継承権を放棄しなければならないのですか!」
「だから何度も言っておるだろう。
メリー嬢を王妃にするわけにはいかん。
どうしても婚約をすると言うのなら、継承権を放棄するしかないと」
「私はメリーを愛していますし、メリーも私を愛してくれています。
メリーは心優しい女性です。
王妃だって立派に務めてくれるでしょう。
そうだよな、メリー?」
「はい!
わからないこともあると思いますが、精一杯頑張ります」
朗らかに宣言するメリー。
その様子に国王は頭を抱えた。
「メリー嬢よ、王妃になる者が、王妃足る能力を備えているのは大前提だ。
その事を頑張るようでは話にならん。
それに、そなたの実家は男爵家であろう。
いったいこの国において、どれだけの影響力がある。
どれだけロイスの力になれる。
力なき王政など、砂城より脆いぞ」
国王の容赦のない言葉に、メリーはたじろいだ。
「し、しかし、ではどうしてレイシアがリンドと婚約をしているのですか!
そんな尻軽が王妃に相応しいと言うのですか!」
「お前も婚約者がいる身で、メリー嬢を侍らしていただろう。
それに、お前とメリー嬢が愛し合っているというのなら、リンドとレイシア嬢も愛し合っているようだしのう」
「なっ!
レイシア、貴様!」
キッとロイスが睨み付けてくる。
「私がリンド殿下との仲を深めることができたのは、ロイス殿下が私を厄介払いしてくださったお陰です。
ロイス殿下が私を邪険にした分だけ、私はリンド殿下と同じ時間を過ごすことができましたから」
「ふざけるな!
リンド、お前もだ!
お前の婚約者はどうした!
婚約者がいるのに、レイシアに近づいたのか!」
「兄上、私は円満に婚約を白紙にしましたし、その事は父上も承知しています。
それに、レイシアとのことについては、兄上に言われる筋合いはありません」
何を言ってもブーメランになって返ってくる。
ロイスの姿は、レイシアからみても少し憐れだった。
「ロイス、どうするのだ?」
国王がロイスを見据えた。
「……わかりました。
王位継承権を放棄します」
諦めたようにロイスが呟いた。
「ちょ、ちょっとロイス様!?
そんな簡単に諦めないで下さい!
ロイス様なら、国王にだってなれるはずです!」
「メリー、心配するな。
王位につけなくても、私がお前を幸せにする」
「違っ。
私は王妃に……」
なにかをわめいているメリーを引きずるように、ロイスは部屋を後にしていった。
「レイシア嬢、ロイスがすまなかったな」
「そんな!
私の方こそ至らぬ点があり、申し訳ございませんでした」
「お前のことは小さい頃からみてきた。
人となりもわかっているつもりだ。
リンドを、この国を頼むぞ」
「はい。
この生涯にかけて」
国王はレイシアと、その隣に寄り添うように立つリンドを眩しそうに眺めていた。
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