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4.悪役令嬢は主人公にアプローチをかけるようです
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サリアス魔法学園。
ボルグ王国最高峰の魔術師育成機関であるこの学園では、狭き門を通り抜けた優秀な魔術師の卵たちが、毎日しのぎを削りあっている。
実力さえあれば、身分を問わず誰でも入学することができる学園ではあるが、生徒の大半は貴族が占めている。
これは不正があったというわけではなく、単なる教育環境の差だ。
幼少の頃から、魔術師になるための教育を施されてきた貴族と、そうではない平民。
この差は多少の才能の差では、覆すことができない。
この学園は三年制であり、十六歳から十八歳までの者が通っている。
アリシアもこの学園の生徒であり、学年は二年生である。
レイネスやメリアも当然通っており、アリシアとはクラスメイトだ。
ローデンブルク家の家紋がついた馬車を降り、校舎へと足を進める。
するといつもとは違う、哀れむような視線があちらこちらから向けられた。
この場にいる全員が、昨日のパーティーに出ていたわけではないはずだが、この様子だと既にことの顛末を知っているのだろう。
貴族の噂好きは相当なものであると、改めて実感する。
好奇の視線に晒されるのは気になるが、直接何かを言ってくる者がいないのは幸いだった。
まあ、それも教室につくまでの話であろうが。
教室の扉を開けると、やはりというべきか、レイネスが声をかけてきた。
「アリシア、こっちへこい」
面倒くさいなと思いつつも、昨日バイスとこれ以上レイネスの不興を買わないよう約束をしてしまったので、仕方なくレイネスの席へと向かう。
「おはようございます、殿下。
何かご用でしょうか」
「体調はもう大丈夫なのか」
仏頂面ではあるが、アリシアを心配する言葉をかけてきたことに少し驚く。
「ご心配をおかけしました。
一晩ゆっくり体を休めましたので、もう大丈夫でございます」
「ふん、そうか。
もういっていいぞ」
「失礼いたします」
一礼し、レイネスの元を離れる。
(てっきり昨日の続きかと思ったけど、私のことを心配するくらいには頭が冷えたのかな)
少し拍子抜けだったが、言い争いをしたいわけではないので、正直助かった。
自分の席に着き、講義の準備をしていると、教室の扉が開いた。
そして、教室に天使が舞い降りた。
いや、メリアが登校してきた。
(キャーー!
今日もメリアは可愛いなぁ!)
同じクラスの生徒なのだ。
挨拶をするくらい普通であろう。
というか、挨拶がしたい。
メリアにおはよう、って言いたい!
サッと席を立つと、メリアの方へと近づいていく。
公爵令嬢としての威厳を崩さないよう、走るような真似はしない。
あくまで、不自然にならない程度の早歩きだ。
そもそも、家格が圧倒的に上であるアリシアがメリアの元に足を運ぶこと自体がおかしいのだが、そこは気にしない。
自分の方へ来るアリシアに気がついたのであろう。
ビクッとしたメリアは、怯えるようにアリシアへと視線を向けた。
「おはようございます、メリアさん」
「えっ、あっ、えっと。
お、おはようございます、アリシア様」
(怯えられちゃっているわね。
私が怒っているとでも思っているのでしょうけど。
まあ、昨日の今日だから仕方のないことね。
それにしても、怯えたメリアも可愛い!)
少しでもメリアの不安を取り除くために、心から愛を込めて微笑む。
こんな笑み、レイネスにすら向けたことはないだろう。
きっとメリアも、私が怒ってないことくらいはわかってくれるはずだ。
そして天使の微笑みを返してくれるはず。
しかし、予想に反してメリアは、「し、失礼します」と早口でいうと、そそくさと自分の席へと向かってしまった。
(そう簡単にはいきませんよね。
メリアとの幸せな未来を勝ち取るためにも、まずは仲良くなるところから頑張らなくては!)
アリシアは心の中で、小さく握りこぶしを作った。
ボルグ王国最高峰の魔術師育成機関であるこの学園では、狭き門を通り抜けた優秀な魔術師の卵たちが、毎日しのぎを削りあっている。
実力さえあれば、身分を問わず誰でも入学することができる学園ではあるが、生徒の大半は貴族が占めている。
これは不正があったというわけではなく、単なる教育環境の差だ。
幼少の頃から、魔術師になるための教育を施されてきた貴族と、そうではない平民。
この差は多少の才能の差では、覆すことができない。
この学園は三年制であり、十六歳から十八歳までの者が通っている。
アリシアもこの学園の生徒であり、学年は二年生である。
レイネスやメリアも当然通っており、アリシアとはクラスメイトだ。
ローデンブルク家の家紋がついた馬車を降り、校舎へと足を進める。
するといつもとは違う、哀れむような視線があちらこちらから向けられた。
この場にいる全員が、昨日のパーティーに出ていたわけではないはずだが、この様子だと既にことの顛末を知っているのだろう。
貴族の噂好きは相当なものであると、改めて実感する。
好奇の視線に晒されるのは気になるが、直接何かを言ってくる者がいないのは幸いだった。
まあ、それも教室につくまでの話であろうが。
教室の扉を開けると、やはりというべきか、レイネスが声をかけてきた。
「アリシア、こっちへこい」
面倒くさいなと思いつつも、昨日バイスとこれ以上レイネスの不興を買わないよう約束をしてしまったので、仕方なくレイネスの席へと向かう。
「おはようございます、殿下。
何かご用でしょうか」
「体調はもう大丈夫なのか」
仏頂面ではあるが、アリシアを心配する言葉をかけてきたことに少し驚く。
「ご心配をおかけしました。
一晩ゆっくり体を休めましたので、もう大丈夫でございます」
「ふん、そうか。
もういっていいぞ」
「失礼いたします」
一礼し、レイネスの元を離れる。
(てっきり昨日の続きかと思ったけど、私のことを心配するくらいには頭が冷えたのかな)
少し拍子抜けだったが、言い争いをしたいわけではないので、正直助かった。
自分の席に着き、講義の準備をしていると、教室の扉が開いた。
そして、教室に天使が舞い降りた。
いや、メリアが登校してきた。
(キャーー!
今日もメリアは可愛いなぁ!)
同じクラスの生徒なのだ。
挨拶をするくらい普通であろう。
というか、挨拶がしたい。
メリアにおはよう、って言いたい!
サッと席を立つと、メリアの方へと近づいていく。
公爵令嬢としての威厳を崩さないよう、走るような真似はしない。
あくまで、不自然にならない程度の早歩きだ。
そもそも、家格が圧倒的に上であるアリシアがメリアの元に足を運ぶこと自体がおかしいのだが、そこは気にしない。
自分の方へ来るアリシアに気がついたのであろう。
ビクッとしたメリアは、怯えるようにアリシアへと視線を向けた。
「おはようございます、メリアさん」
「えっ、あっ、えっと。
お、おはようございます、アリシア様」
(怯えられちゃっているわね。
私が怒っているとでも思っているのでしょうけど。
まあ、昨日の今日だから仕方のないことね。
それにしても、怯えたメリアも可愛い!)
少しでもメリアの不安を取り除くために、心から愛を込めて微笑む。
こんな笑み、レイネスにすら向けたことはないだろう。
きっとメリアも、私が怒ってないことくらいはわかってくれるはずだ。
そして天使の微笑みを返してくれるはず。
しかし、予想に反してメリアは、「し、失礼します」と早口でいうと、そそくさと自分の席へと向かってしまった。
(そう簡単にはいきませんよね。
メリアとの幸せな未来を勝ち取るためにも、まずは仲良くなるところから頑張らなくては!)
アリシアは心の中で、小さく握りこぶしを作った。
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