ワケありくんの愛され転生

鬼塚ベジータ

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おまけ:友人のその後。

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「……ん……え? うわ!」

 シグラは目を覚ますと、久しぶりの感触に思わず飛び起きた。
 自身の手を見下ろす。シーツは透けていない。その手を窓に向けても陽が眩しいと思うことはなく、実体があるのだと少し遅れて理解した。

 昨日までは確かに霊体だったはずだ。恋人のタマキと触れ合うこともできず、それを互いに寂しく思いながらも眠りについた。
 タマキはまだ隣で眠っている。そんな寝顔を戸惑いながらも見つめると、シグラはひとまずタマキを起こさないようにとそっとベッドから抜け出した。

 シグラ・ローシュタインがこの世界にやってきたのはずいぶん前のことだった。
 前の世界で死を願い続けて100日目。夢の中に突然女神と名乗る女が現れて、気がつけば実体もなくこの世界に居た。

 ここは平和な世界だった。バース性なんてものはない。とても穏やかで優しくて、シグラを唯一見ることができたコンノタマキという男もすぐにシグラの存在を受け入れた。

 タマキは“ジンジャ”の跡取り息子というものらしい。シグラにはそれが何かは分からなかったが、自分を見ることができる者と出会えてひとまず安心できたから、ジンジャが何かはあまり気にしなかった。

 タマキは優しい男だ。顔立ちにもそれが出ている。目尻はやや垂れていて、笑うとくしゃりと表情が崩れる。雰囲気も柔らかなために身長が高くても威圧感はなく、最初はつんけんしていたシグラもすぐに彼に心を開くことができた。
 タマキは基本的には柔軟に物事を受け入れる。怒ることはない。声を荒げることもない。ピリピリと生きてきたシグラにとって、タマキのその人間性は有難いものだった。

 タマキの側が一番落ち着く。そう感じた時、シグラはタマキに告白をしていた。最初困った様子を見せたタマキはしかし、意外にもシグラを受け入れた。明らかに狼狽していたくせに、存外あっさりしていたと思う。違和感はあったものの、その時はタマキと恋人になれたという現実が嬉しくて深くは考えなかった。

 考えるべきだったのだろう。
 戻れなくなる前に、はっきりとさせておいたほうが良かった。


「……あの人、本当に僕に体をくれたんだ……」

 寝室を出たシグラは、廊下で呆然と立ち尽くす。その声は落ち込んでいた。
 体が欲しかった。そうすればタマキと触れ合えると思っていた。恋人らしく触れ合うことができれば、不安なんて消えると信じていたからである。
 それはまったく、本当にシグラの独りよがりな見当違いだったのだけど。

『おまえ、あの子をどうするつもりだ。あれはこの世界の魂ではない。おまえも分かっているんだろう』

 タマキが家に戻らないからと、タマキの実家であるジンジャに向かったのがいけなかったのか。
 タマキはその日、神主であるタマキの父、ハスミとシグラのことについて話していた。シグラは思わず動きを止めた。なんとなく入れない雰囲気だったから、飛び出しかけた言葉も喉に詰まる。
 一つ角を曲がった先。広い社務所の一室で、二人はどこか緊張気味に話していた。

『分かってるよ』
『……それならなぜ恋人になんかなったんだ。おまえには異性の恋人が居たと記憶していたが?』
『仕方ないだろ。……不安そうだったんだよ。この世界でひとりぼっちで……俺しかシグラのことが見えなかったし、放っておけなかった。それに彼女とはもう別れたから』

 告白の時の困惑はこれだったのかと、シグラはようやく理解した。
 タマキが抱いていたのは愛情ではない。ただの同情だった。バース性のある世界に居たシグラは恋愛相手の性別はあまり気にしたことがなかったけれど、この世界はどうやらそういうこともない。元々異性愛者であるタマキはただの同情でシグラと恋人になり、触れ合えないことにもどかしさを覚えるどころか、幸運であるとさえ思っていたのだろう。

 だって触れ合えるわけがない。シグラは男だ。女が好きというタマキが、シグラに触れたいわけがないのだ。

 実体がなかったから同情してもらえた。タマキにしかシグラが見えなかったから、タマキはシグラの側に居てくれた。
 それなら、実体が戻ってきたならどうだろう。

 シグラはこれから、タマキに捨てられる?

「体なんか要らなかったな……」

 そうすればずっとタマキの側に居られたのに。
 立ち尽くしていたシグラはぎゅっと眉を寄せると、自然と玄関へと踏み出した。

 タマキにバレる前にどこかに行こう。嘘がつけないタマキに目の前で喜ばれる前に、そんなものを見なくていいように逃げてしまおう。

 優しいタマキはもしかしたらシグラを捨てないかもしれない。もしかしたら恋人としてこれからも接してくれるかもしれない。同情と知ってからもシグラはうまく取り繕えていたのだ、これからもそれを続けるのは簡単なことである。シグラは知らないふりができる。ずっと一緒に居れば、もしかしたらタマキだってシグラを好きになるかもしれない。

 もしかしたら。もしかしたら。
 そうやって可能性を浮かべるくせに、やっぱり心は落ち着かない。

 あからさまに安堵されたくない。距離を置かれたくない。絶対に同情される条件がなくなった今、最悪な未来しか浮かばなかった。

 シグラには靴もなかった。だから何も履かず裸足のままでその家から飛び出した。
 神社近くのマンションである。まだ早朝なために少し肌寒い。シグラは自身を抱きしめるように暖を取りながら、ひとまずマンションから離れるように走り出す。

 冷静になりたい。ゆっくりと考えたい。一人になりたい。シグラはとにかく、時間がほしかった。

 マンションの周辺はよくタマキと散歩していたから、シグラはさらに離れなければと知らないところを目指す。知っている場所ではすぐに見つかってしまうかもしれない。そんなことを思いながら必死に駆けていたのだが、すぐにピタリと足を止めた。

 そもそも、タマキはシグラを探すだろうか。

 自身の思考が少し恥ずかしい。同情していた相手が消えて、わざわざ探すわけがない。「消えてくれてラッキー」程度にしか思われないだろう。

 それからは緩やかな歩調に変わる。焦る必要はない。誰も迎えになんてこない。この世界でも、シグラが消えても誰一人困ることはない。

「体なんか要らなかったのに……」
「え? 本当に?」

 とぼとぼと歩いていたシグラの背後から、シグラの言葉に答えるような声が届いた。シグラはそっと振り返る。視線の先には、無精髭を生やした、シグラよりも少し年上に見える男が立っていた。

「誰?」
「ああ、ごめんね。僕は松方(まつかた)透(とおる)っていいます。漫画家です」

 慌てたように名刺を差し出されたが、名刺という文化がないシグラにはそれが何かはよく分からない。ひとまず受け取ってはみたものの、漢字が読めないために内容は理解できなかった。

 シグラが訝しげに透を見つめる。怪しまれていると分かったのか、透はすぐに「実は僕、連載で詰まってて」と弁明を始めた。

「BL漫画を描いているんだけどね、受けの男の子がどうしても上手く描けないんだ。スランプっていうのかな……きみはその受けのキャラクターにすごく似ているから、参考にさせてほしいなと思って」
「……びーえる? 参考に?」
「うん。キャラクターのモデルをしてほしい。もちろんお金は出すよ」

 透の目が、ちらりとシグラの足元に落ちる。

「……ワケありなんだろ? 住み込みでもいいよ。つけ入るようで悪いけど……僕も早くスランプから抜け出したいんだ」

 そうだ。シグラには帰るところがないんだった。それを思い出してしまえば、シグラには選択肢なんかなかった。

 透の家は割と近かった。歩いて五分程度。住宅街の奥にある、やけに大きな平家である。ともなれば当然ながらタマキの家とは雰囲気がまったく違う。シグラは物珍しそうに、木造の室内をキョロキョロと見渡していた。

「あ! 先生、どこに行ったのかと……って」

 透とシグラが家に戻ると、奥から可愛らしい顔立ちの男がやってきた。シグラを見つめてぽかんと口を開けている。シグラと同じほどの身長だ。シグラはひとまず軽く頭を下げたが、男はやがてわなわなと肩を震わせ始めた。

「ただいま広瀬くん」
「ど、どこでこんな……どこでこんな今作の受けみたいな人拾ってきたんですか!」
「ね、そう思うよね! すごいよね! 僕も興奮してスカウトしちゃった!」
「金髪碧眼! 低身長で肌艶が最高! 顔は平凡だけど愛されちゃう受けっすね! ちょ、スカウトって、契約内容は!? いつまで居てくれるんすか!?」
「そうだ、きみ名前は? いつまで居てくれる? 僕としては創作意欲を刺激してくれる存在にはいつまでも居てほしいけど……」

 二人分の視線がシグラに突き刺さる。どちらも瞳がやけに輝いていた。

「……ぼ、僕は、シグラ・ローシュタインといいます。帰る家はないので、置いてくれるのなら長くお世話になりたいなと……」
「えー! 先生! やりましたね!」
「やったー! ちなみにきみ、家事とかできる?」
「カジ?」
「洗濯とか料理とか」
「……そんなことはやったことありません。だいたいは使用人がしてくれます」

 シグラの何気ない言葉に、透と広瀬は動きを止めた。そうして見つめ合うと、何かを噛みしめるようにコクリと頷く。

「つまり貴族の子ってことだ」
「先生。本当にいい人材を捕まえましたね。モチベが上がりまくりです」
「僕もだよ。今なら読み切りが描ける」
「ちょ、マジすか。今日担当さん来る日でしょ、休載中の連載の話だけじゃなくてそれも言ってみたらいいじゃないすか」
「こうしていられない! 僕は描いてくる!」
「シグラくんのことは任せてくださいよ!」

 やけに力を込めて踏み出した透は、興奮気味に廊下の奥の部屋に消えた。
 何の話をしていたのかは、シグラには何も理解できなかった。すると突然広瀬がくるりと振り返る。人懐っこい笑みを浮かべていた。

「おれは広瀬(ひろせ)拓真(たくま)っす。いんらん法師先生のアシスタントしてます」
「……インランホーシ?」
「先生のペンネームっすよ。おれは住み込みでアシスタントやってて、もうかれこれ五年になります。部屋だけは余ってるんで、シグラくんも案内しますね」
「……ありがとうございます」

 やけに広い平屋だった。それでもローシュタイン伯爵家よりはうんと狭い。すぐに配置を覚えたシグラは、ひとまず広瀬に続いてリビングに戻る。

 広瀬はいろいろなことをシグラに教えてくれた。家のことはもちろん、透のことや、広瀬自身も透に拾われた恩があるということ、そしてシグラもあまりよく知らなかったこの世界のことも、聞けば詳しく語ってくれた。

「男同士はあんまり公言して恋愛しないって感じっすね。シグラくんは外国の人だからあんま分かんないかもしれないけど……日本ってまだまだお堅くてさ。同性が好きだって言ったら気持ち悪がられたり差別されたり……避けられたりとか、まあそんなことばっかなんすよね。受け入れてくれるのってほんの一部っつーか」

 だからタマキはあんなに困った顔をしていたのかと、シグラはもう一つ理解した。同情していただけではない。タマキはただ男の自分に告白した同じ男であるシグラを、気持ちが悪いと思っていたのだ。
 いや、気持ちが悪いというのは言いすぎかもしれない。だけどそれに近しい感情はあったのかもしれない。

 この世界では男同士は普通ではない。
 シグラはそれをしっかりと理解して、途端に胸が痛くなった。

「でもおれは男同士っていいと思うんすよ! BLはロマンっす! 男同士で何が悪いんすか! おれだって恋愛対象は男っすよ」
「え! そうなんですか!?」
「うお、食いついた」

 タマキも女性が恋愛対象であると言っていたし、男同士の恋愛はあまり公言もしないとさっき聞いたから、この世界には男を相手に恋愛をする人はほとんど居ないのかと思っていた。まさか身近に居たとは思ってもみなくて、シグラは思わず前のめりに聞き返す。

 シグラは別に、恋愛相手が男に限られているというわけではない。ただシグラの居た世界には異性が少なく、バース性というもう一つの性別もあり恋愛の相手が自然と同性になってしまっていただけである。だけど、だからこそ同じである広瀬の存在が嬉しくて、縋るような目を向けていた。

「……本当っすよ。内緒にしてくださいね。おれ、先生が好きなんです」
「そ、そうなんですか……」
「あ、シグラくんは? 先生のことどう思う?」
「好きじゃない! 大丈夫ですよ。僕には好きな人がいて……」
「え! そうなんすか!? 良かったー」

 広瀬はやっぱりふにゃりと笑うと、シグラに「これから改めてよろしくっす」と言って嬉しげに抱きついた。
 
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