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おまけ:友人のその後。4
しおりを挟む――紺野珠貴は、神社の跡取り息子である。
そのためか、幼い頃から幽霊や妖怪と呼ばれる、人ではないものを見ることができた。最初こそ驚いたが、そういったことにはだんだんと慣れてくるものだ。珠貴がシグラを見つけたときにも「外国人の幽霊だ」と思った程度で、特別驚くようなこともなかった。
イメージは懐かない猫である。あるいは可愛げのない子どもだろうか。
あまりにも悲しそうに途方に暮れていたから声をかけたのに、シグラは最初、珠貴を強く警戒していた。深く聞いてみれば”まったく違う仕様の世界から来てしまった”とのことで、日本にはまったく馴染みがなく、警戒心が高まっていたらしい。
珠貴の柔らかな雰囲気のおかげか、シグラが警戒を解くのに時間はかからなかった。
シグラは不思議な世界から来ていた。聞けば転移をしたとのことだ。シグラ自身もあまりよく分かっていなくて、珠貴も半信半疑だった。
珠貴はひとまず、シグラに安心してほしかった。珠貴は味方なのだと覚えてほしくて、とにかくシグラに構い倒した。それが原因となったのか、気がつけば珠貴はシグラから告白されていた。
当時恋人は居たがほとんど破局寸前で、別れ話をもうそろそろするのだろうという頃合いだった。だから珠貴は頷いた。その日の晩、恋人とは別れた。
珠貴の恋愛対象は異性である。だからシグラと恋人になるといっても、シグラが霊体ということもありあまり実感がわかなかった。だからこそ頷いてしまったのかもしれない。
間違いなく同情だ。言い訳のしようもない。珠貴はシグラが可哀想だったから、シグラの告白に頷いていた。
(……その判断に、今は感謝したいけど)
おかげでシグラはこれまで珠貴と一緒に居たし、珠貴も本当にシグラを好きになった。あのときに離れていたらこんな未来にはならなかっただろう。
珠貴の下には、服をすべて脱がされたシグラが横たわっている。胸の飾りは赤く腫れぼったく、触れてもいない中心はすでに勃起していた。
男の体を見ても興奮するのかと正直不安な気持ちもあったのだが……珠貴はシグラの体を舐めるように見つめて、ゴクリと大きく喉を鳴らす。
どうやらいらぬ心配だったようだ。シグラの体を見つめているだけで、珠貴の中心が熱を持った。
「……誰にも触れられたことがないのに、こんなに色気が出るものなのかな……」
どこに触れても、シグラは体を震わせる。自分で開発をしたというのはありえないだろう。誰かに触れられて快楽を叩き込まれなければ、ここまで敏感な体にはならない。
珠貴の指先が腹に触れると、シグラはびくりと微かに揺れた。その手はそのまま伝うように下腹に滑る。
「シグラ……本当のことを教えて」
「あっ、言ってる、僕、誰とも、こんなこと……」
「嘘だ」
伝った指先が、シグラの中心の先っぽに置かれた。
たったそれだけでシグラの体に快感が突き抜ける。たしかにこんな感じ方はおかしい。シグラもそう思う。だけど覚えがないのだから仕方がない。シグラ自身もわけが分からなくて、ただ快感に振り回されるばかりである。
「後ろ向いて」
シグラの様子に違和感を覚えたのか、珠貴はくるりとシグラの体をひっくり返した。うつ伏せになったシグラの腰を掴んで持ち上げると、珠貴は尻を両側から開く。
真っ赤な蕾が顔を出す。熟れて腫れぼったい、縦に割れた蕾だった。
「嘘つき」
「……へ?」
「男を知ってる形をしてるよ」
――シグラのことを好きになってから、珠貴は男同士のセックスについてしっかりと調べた。いつかシグラに肉体が戻ったとき、あるいは何らかの方法で別の肉体を手に入れたとき、シグラに痛い思いをさせたくなかったからである。
調べたからこそ分かるものだ。
シグラの蕾は男をくわえたことがある。誰かがシグラに触れて、シグラを味わっている。
珠貴ではない、誰かが――。
「……くそ。ムカつく」
「……タマキ?」
「シグラ、ごめん。優しくできない」
尻を開いたまま、珠貴はあっさりとシグラの蕾に口付けた。
「え! あ、やだタマキ! そんなとこ……!」
正直、もっと抵抗があるものだと思っていた。なにせ男の尻である。いくら好きな相手とはいえ、これまでの恋人だった女の子の尻でさえ舐めたことなんかない。
けれど実際はどうだ。抵抗どころか、早くここに突っ込みたくてたまらない。もっと舐めてとろとろにして、シグラの奥に珠貴の精子の味を覚えさせてやりたかった。
「ん、あ、あっ……タマキ、そこ……変、だから、」
「は、気持ちいいの?」
「あ、もっと奥……ぅ、おねが、」
「そうやって元彼のことも誘ったんだ?」
「ちが……」
唇を離して、指をねじ込む。一気に二本挿れたというのに、シグラの蕾はあっさりとそれを受け入れた。
ナカは柔らかい。少し前までセックスをしていたのかと思えるほどだ。珠貴は不機嫌に眉を寄せると、指を激しく動かした。
「ひ! あ、ぐ、タマキ……!」
「シグラ、こんなに柔らかいならもう入るよ。誰にこんなにされたの? そいつのことも好きだった? 俺よりも好きだったの? 俺のこと利用してたって言ってたけど、そいつと離れたから俺のことを仕方なく好きになった?」
「ち、が、あっ! あれは、嘘、で、」
「抱かれたことがないのは嘘ってこと?」
「そうじゃ、なく、」
シグラは珠貴を利用なんかしていない。ただああ言えば、珠貴も気兼ねなくシグラを捨てられるだろうと思っただけである。
ナカを擦られて、シグラの下腹に熱が溜まる。そんなところが気持ちいいなんてシグラは知らない。そう思うのに体は昂って、どうしようもなく感じてしまう。
心と体がバラバラで、シグラの頭は追いつかなかった。
挿れてほしい。本能のままにそう思い、シグラは潤む瞳で振り返る。
強請るような顔をしていた。珠貴はそんなシグラのいやらしい姿を見ながら、手早く前を寛げる。ボロリと取り出されたそこは、すでに固く勃起していた。
「い、挿れて、タマキ……お願い……奥、欲しい……」
「……はぁ。本当、心底腹が立つよ。……ほかの誰かにこんなに開発されてるシグラに、自分でも驚くほど興奮してる」
珠貴が中心を蕾にあてがうと、シグラが自ら腰を揺らす。
いやらしい動きだ。こんな誘い方を誰に教わったのか。それを考えれば気分が悪いのに、それでもその挑発にしっかりと煽られている。
「シグラ……ゴム、つけないと……」
「いいからこのまま……挿れて、もう欲しい。奥、奥が足りない……」
「あっ……ダメだって……」
シグラが珠貴の中心を掴んで固定すると、そのまま腰を押し付けた。
先っぽからのみ込まれていく。直接触れ合う快楽に、珠貴は浅く吐息を漏らす。
ナカもキツくはない。すんなりと奥まで入ったし、やはり男を知っている蕾だ。
「はは……シグラ、入った……」
「う、動いて……タマキ、奥、」
「やらしいなぁ。……誰に奥まで開発されたの? どうやって? 中イきもできる?」
「わか、らな、あ!」
珠貴が後ろからシグラの背中を強く押さえ込むと、シグラはあっさりとベッドに上体を引っ付けた。
乱暴にしてやりたい気分だった。
快楽のままに突き上げて、シグラから前の男の記憶を消してやりたかった。
どれほどすればシグラは前を忘れるのだろうか。何をすればシグラは珠貴だけを求めるようになるだろうか。
珠貴は腰を強く掴むと、思いきり奥に叩きつけた。
「ん、ぐ! あっ、タマ、キ、ぃ」
「シグラ。今日はずっと繋がっていよう。シグラが前の男を忘れるまで……ずっと」
「や、あ、はや、い! タマキ、はや、っ!」
奥を突き上げられるたび、シグラの体には強烈な快感が襲う。
こんなところを暴かれたことなんかないはずだ。それなのにどうしてシグラの体は快感を得られるようになっているのか。
(ま、さか……)
シグラの体の持ち主であった彼が、以前に誰かと関係を持っていたのだろうか。
それならば納得である。気付いてしまえば、そうとしか考えられなかった。
珠貴が容赦無く奥を突く。シグラの頭ではもう何も考えられなくて、あられもない声を出すことしかできない。
気持ちがいい。もっと突いてほしい。もっと触れて、ずっと快楽を与えてほしい。シグラは自然とそんなことを思い、自身の中心に手を伸ばす。
「あ、あ、タマキ、気持ちい、もっと、もっとして、んぅッ!」
「こら、勝手に触らない。……俺がしてあげる」
自慰をしていたシグラの手を退けると、珠貴は腰を揺らしながらもシグラの中心を擦り上げる。強弱をつけて、時折先っぽだけをいじられた。ナカの快楽だけではなく前までそんなふうにいじめられては、シグラの体には力も入らない。
しかし珠貴の動きは止まらない。追い詰めるような動きはさらに激しく変わり、シグラの思考は白く塗りつぶされていく。
「ああ、シグラ、イく……そんなに締めたらナカに出ちゃうよ」
「ん、う、あ、も、むり……むりぃ……」
「どこ? シグラのいいところ、全部触ってあげる」
突き上げるたびにナカが震える場所を、珠貴は正確に刺激し始めた。前を扱く手も激しく動く。そんなことをされてしまえばシグラは我慢ができず、珠貴の手にあっさりと白濁を散らした。
「あッ! は、あん……う、待って、待って! タマキ、」
「うん。もっと気持ち良くなって」
射精したというのに、珠貴の動きが止まらない。先ほどと変わらず腰を打ち付け、前を擦り上げている。
シグラはもうわけが分からなくて、額をベッドに押し付けていた。頭を振るが快感は逃せない。彼はこんな快楽には慣れていたのかもしれないが、シグラにとっては初めてである。正真正銘の初体験であるというのに、こんなにも快楽を叩きつけられては気が狂ってしまいそうだった。
「もうダメ、嫌だ、タマキ、出る、やだぁ!」
「ああ、うん、俺も……シグラ、可愛いよ。ねえ見せて。全部、俺の知らないシグラを教えて」
「あ、あぐ、イく、やだ、出る、から、いや、」
抽挿が繰り返されるたび、シグラの腹の奥で珠貴の先走りが粘ついた音を立てていた。
全身を犯されている。シグラのナカに、珠貴のモノが入っている。一つになっている。珠貴とセックスをしている。そんな認識だけで、シグラの体は簡単に限界を迎える。
シグラの体がびくりと大きく震えると、ナカを一際キツく締め付けた。
その締め付けに珠貴も思わず吐精する。精子を奥に塗りつけるように腰をグラインドすると、それがさらにシグラの快楽を生んだ。
「シグラもイったね」
「あ、ん、待って、止まっ、て」
抽挿しているわけではない。珠貴はただ奥をぐりぐりと刺激しているだけである。それだけなのに気持ちが良くて、シグラの腰も自然と揺れた。
いやらしい動きだ。しなやかで綺麗で、珠貴はその動きに思わず見惚れた。
シグラのナカにある珠貴の中心に萎える気配はない。珠貴は自分にはあまり性欲求はないと思っていたのだが、どうやら認識違いだったらしい。
――自身の手についたシグラの白濁を満足そうに眺めて、珠貴はふたたびシグラの前を緩やかに擦り始めた。
「ま! 嫌、もう出ない!」
「出るよ。ッ、また締まった……」
「やめて! タマ、キ、」
出した精液を塗りたくるように、ぬるぬるの感触で扱かれた。先ほどとは比にならない快楽だ。二度も射精したために敏感になっているのだろう。シグラはガクガクと腰を震わせて、奥から与えられる快楽にも必死に堪える。
気持ちが良すぎてわけが分からない。もうやめてほしいのにもっとしてほしくて、シグラにも自分が理解できなかった。
「ほらシグラ。可愛いところ全部見せて。もう秘密はなしにしよう」
「イ、ぐ、や、もう、もういや、助け、」
「ほら、先っぽだけしてあげる」
「ひ! ダメ、ダメダメ、イく、イっ!」
赤く熟れた部分だけを擦られて、シグラはあっけなく達した。
しかし漏れたのは白濁ではない。透明の液体が勢いよく噴き出して、ベッドを幅広く濡らしていく。
シグラの腰がガクンと下がった。同時に珠貴のモノが抜ける。ベッドに伏せたシグラは断続的に体を跳ねさせ、まだ快楽に溺れているようだ。
「はは、かわい。……シグラ、もっと見せて。恥ずかしいところも、元彼に見せたところも全部」
珠貴はシグラをそっと仰向けにしてやると、その唇にキスを落とす。
そういえばシグラとは初めてのキスだ。それを思えば感慨深くて、すぐに舌をねじ込んだ。
シグラはされるがままである。舌先からも快楽を覚えるのか、刺激されるたびに珠貴の口腔にシグラの声がこもっていた。
「挿れるよ」
「や……待って……」
「だらしない顔してるね。可愛い」
仰向けのままでシグラの脚を広げ、珠貴はふたたび勃起した熱を押し込む。
ナカは珠貴が出した精液でとろとろだった。その感触に浸りながら、珠貴は緩やかに律動を始めた。
シグラはすでに体力も気力も尽きていた。けれど体だけは快楽を得ようとしている。どうしてこんな体になってしまったのか。そもそもの原因を思い出して、珠貴に揺さぶられながら、シグラはもう会えないのであろう彼に少しばかり恨みがましい気持ちを抱いていた。
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