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第1章 少年

04追手の末路2

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「グォォォォォオ」

バハムートについてもう少し説明しよう。
古龍種・バハムート、上位Sクラスモンスター
竜種の中でも、特に強力な力を持つ上位Sクラスであり、かつ、特異個体である。つまり、バハムートとは種族の名前ではない、バハムートとは固有名詞なのだ。1000年に一度子を産み落とし、龍の墓地にて眠る。それこそが古龍。バハムートはその古龍の中でも特に強力な力を持つ。

もちろん、眼下の人間たちに気付いてないわけがない。しかし、相手にはしない、当然だ。

どうでもいい

あのようなゴミなどどうでも良い。


しかし、そんなバハムートの耳に許されない言葉が聞こえた。



「気付いているのか?」


自らの羽音しか聞こえないこの森に置いて、その言葉はバハムートの耳にしっかりと届いた、届いてしまった。

竜種はプライドが高い

とても強い自尊心を持つ。

気付いているか?

気付いていないわけが無いだろう。

侮辱だな。

バハムートはそう受け取ってしまった。

だから。

放つ、自らの怒りを。


"ドラゴンブレス"


モンスターの有する攻撃手段の中でも屈指の威力、ピンキリと言われればその通りだが、油断して良いものではない、もっとも、油断など出来ようはずもない、なぜなら相手は木端の竜種では無い、特異古龍バハムート。

最強の竜種の一つに数えられるドラゴンの攻撃。


その対象となった兵士が認識したのは轟音の予兆のような地鳴りと、そして空を白く染めた閃光だった。




そこから200kmほど離れた所にいたクルヴェルト国兵は目撃していた。

同胞が消し去られるのを。


ドドドドドドドド
ゴォォォォォォォォオ

と言う、空と大地を唸らす2つの音。

空に描かれる青白い光線。

見ただけではドラゴンブレスとは分からない。


彼らは普通の兵士だ、ドラゴンブレスと言えば、大きく口を開けたドラゴンが、口から炎を吹き出し、周囲を焦土とする。

そんな攻撃を想像するだろう。


だが違った、バハムートは違った。


天命の大樹の根本のような太い光線。

空から大地へと放たれたそれは、その過程において、空と大地を揺らし唸らす。

放たれた後、バハムートが去ったその地面には何も残らない、地面すら残らない、

半径2kmほどのクレーターを作り去っていく。


それこそがSクラス。


これこそが上位Sクラス。


放たれる閃光、禍々しき翼、紅の瞳、巨躯に走る赤黒い紋様。

飛来する天災

特異古龍、バハムート。
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