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1章 始まり
公爵家の事情
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「デリト、、、王家に仲介を任せた婚約だぞ、お前はその重大性が分かっているのか」
「父上?」
父の様子がおかしい、貴族社会を渡り歩いてきただけあり、普段から冷酷で残虐な父だが、家族に乱暴に当たった事はない。
「違約金がどれだけかかると思っているッ!」
なるほどな、金の話だからか。
「いえ父上、私も阿保ではありません、理解しています、すでにディトレイア家との話は済ませてあります」
自慢げな表情で父に告げる
「なに?」
「あの忌々しい女を娼館に売ろうと思います、それもキアラケラの闇娼館に」
ああ、その顔が見たかったんです父上!
仏頂面のあなたを驚かせたかった!
息子のこの俺が!!
「すばらしいな、、、さすがは私の息子だよ」
「え、、、ええ!!その通りです!」
ああ!この気分を味わいたかった!久々の気持ちだ、父上が俺を見ている!あの忌々しい女ではなくこの俺を!
「あ、あの、、本当にお世話になっても良いのでしょうか」
申し訳無さそうに言うが、正直意味が分からない、婚約が無くなればあの家での私の価値はゼロ、それを分かっていながら婚約を破棄したのは公爵家だ、それなのになぜ今更保護なんて。
「いや、君のような年頃の子が・・・」
公爵様が何か言っているが全く頭に入ってこない、よく考えたらこの家に私の味方はゼロなのだ、もっとも、侯爵家にも味方は居なかったが。
しかしこの屋敷の雰囲気は異常だ。
なにかおかしい。
その時だった。
「ああ、そうだ、君が過ごすのはこの屋敷では無いよ、隣国の屋敷だ」
混乱する中唯一はっきり聞こえたその言葉に、ふと顔を前に向けると、先程まで貼り付けの優しさのような顔だった公爵はいなかった。
まさに、貴族社会を渡り歩いてきた残虐な外道の顔があった。
「なにを言って」
言い切る前に私の口元に布切れが押しつけられる。
妙な香り、薬物だろう。
ほんの数秒で意識を手放す。
そして。
気づけばカーテンの掛かった、暗い馬車の中だった。
冒険者のような装いの男が3人、富豪のように着飾ったでっぷりと太った男が1人。
そして私。
異様な光景の馬車の中、横たわっていた私が目を覚ますと、全員の視線がこちらに向けられた。
「うぅむ、やはり美しい、商品でなければ私が楽しみたい所だ、しかしなぁ、やはり、一番美しいのは金だ!ククク」
富豪のような男が私の体を舐め回すように見ながらそう呟く。
「えぇ、旦那さん、絶対この女をヤった方が気分はいいですぜ?」
冒険者風の男の1人が言う。
「ふん!お前も混ざりたいのだろう?残念だがだめだ、公爵様は王家との違約金の支払い代金の足しにこの女を寄越した。しかしなあ、忌み子とは言え、滅多に見ない容姿の女は高く売れる、その上処女と来た!そうなれば娼館で売るのではなく、貴族の愛妾として売りつけることも出来る、つまりな、何より大事なのは処女である事なのだよ」
「あー、はいはい、チッ」
「にしてもよかったなぁお嬢ちゃん、お貴族様に買ってもらえそうだってよ」
どういう状況なのか大体わかった。
なるほど、娼館に売られたのだ。
しかも、公爵家が王家に支払う違約金の足しとして。
俯く視線の先にある手の甲、そこに一雫水滴が滴り落ちる。
あ、私、、泣いてるのかな。
「馬鹿を言うな、愛妾なんて貴族からすれば玩具さ、変態貴族の玩具が可愛がってもらえる可能性なんて微塵もないさ、1ヶ月持てば良い方だろうよ」
「へぇ、じゃあ残念だったなお嬢ちゃん」
もう、諦めよう。
母上が死んでしまった時から、私の運命は破滅の一途を辿っていたのだ。
もう、諦めよう。
生きる事だけを考えないと。
いえ、生きる、、、必要があるの?
もう、いっそ
ガタン!
ヒヒィィィィイン!
ゴチュ
3つの大きい音を立てながら。
馬車が急停止した。
「なんだ!何をしている!」
富豪のような男が覗き窓のカーテンをサッと開けると、目を見開いた御者の顔があった。
いや、御者だった者の、首から上があった。
「父上?」
父の様子がおかしい、貴族社会を渡り歩いてきただけあり、普段から冷酷で残虐な父だが、家族に乱暴に当たった事はない。
「違約金がどれだけかかると思っているッ!」
なるほどな、金の話だからか。
「いえ父上、私も阿保ではありません、理解しています、すでにディトレイア家との話は済ませてあります」
自慢げな表情で父に告げる
「なに?」
「あの忌々しい女を娼館に売ろうと思います、それもキアラケラの闇娼館に」
ああ、その顔が見たかったんです父上!
仏頂面のあなたを驚かせたかった!
息子のこの俺が!!
「すばらしいな、、、さすがは私の息子だよ」
「え、、、ええ!!その通りです!」
ああ!この気分を味わいたかった!久々の気持ちだ、父上が俺を見ている!あの忌々しい女ではなくこの俺を!
「あ、あの、、本当にお世話になっても良いのでしょうか」
申し訳無さそうに言うが、正直意味が分からない、婚約が無くなればあの家での私の価値はゼロ、それを分かっていながら婚約を破棄したのは公爵家だ、それなのになぜ今更保護なんて。
「いや、君のような年頃の子が・・・」
公爵様が何か言っているが全く頭に入ってこない、よく考えたらこの家に私の味方はゼロなのだ、もっとも、侯爵家にも味方は居なかったが。
しかしこの屋敷の雰囲気は異常だ。
なにかおかしい。
その時だった。
「ああ、そうだ、君が過ごすのはこの屋敷では無いよ、隣国の屋敷だ」
混乱する中唯一はっきり聞こえたその言葉に、ふと顔を前に向けると、先程まで貼り付けの優しさのような顔だった公爵はいなかった。
まさに、貴族社会を渡り歩いてきた残虐な外道の顔があった。
「なにを言って」
言い切る前に私の口元に布切れが押しつけられる。
妙な香り、薬物だろう。
ほんの数秒で意識を手放す。
そして。
気づけばカーテンの掛かった、暗い馬車の中だった。
冒険者のような装いの男が3人、富豪のように着飾ったでっぷりと太った男が1人。
そして私。
異様な光景の馬車の中、横たわっていた私が目を覚ますと、全員の視線がこちらに向けられた。
「うぅむ、やはり美しい、商品でなければ私が楽しみたい所だ、しかしなぁ、やはり、一番美しいのは金だ!ククク」
富豪のような男が私の体を舐め回すように見ながらそう呟く。
「えぇ、旦那さん、絶対この女をヤった方が気分はいいですぜ?」
冒険者風の男の1人が言う。
「ふん!お前も混ざりたいのだろう?残念だがだめだ、公爵様は王家との違約金の支払い代金の足しにこの女を寄越した。しかしなあ、忌み子とは言え、滅多に見ない容姿の女は高く売れる、その上処女と来た!そうなれば娼館で売るのではなく、貴族の愛妾として売りつけることも出来る、つまりな、何より大事なのは処女である事なのだよ」
「あー、はいはい、チッ」
「にしてもよかったなぁお嬢ちゃん、お貴族様に買ってもらえそうだってよ」
どういう状況なのか大体わかった。
なるほど、娼館に売られたのだ。
しかも、公爵家が王家に支払う違約金の足しとして。
俯く視線の先にある手の甲、そこに一雫水滴が滴り落ちる。
あ、私、、泣いてるのかな。
「馬鹿を言うな、愛妾なんて貴族からすれば玩具さ、変態貴族の玩具が可愛がってもらえる可能性なんて微塵もないさ、1ヶ月持てば良い方だろうよ」
「へぇ、じゃあ残念だったなお嬢ちゃん」
もう、諦めよう。
母上が死んでしまった時から、私の運命は破滅の一途を辿っていたのだ。
もう、諦めよう。
生きる事だけを考えないと。
いえ、生きる、、、必要があるの?
もう、いっそ
ガタン!
ヒヒィィィィイン!
ゴチュ
3つの大きい音を立てながら。
馬車が急停止した。
「なんだ!何をしている!」
富豪のような男が覗き窓のカーテンをサッと開けると、目を見開いた御者の顔があった。
いや、御者だった者の、首から上があった。
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