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第二章
変わり果てた思い出に④
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結局、俺たちの関係は中学で完全に壊れてしまったのだ。いくら小学生の頃に仲が良かろうと、中学校の三年間がそれを上塗りしてしまったのだ。
俺はわずかばかりではあるが、小学校時代親しかった連中に期待していた。実は“悪夢の中学時代”というのは俺の単なる思い込みだったのではないか。中一の七月に起きた「金属バット事件」の記憶も十年もの時が洗い流してくれたのではないか。なんだかんだいって小学校の頃の友達は俺のことを今でも友達だと思ってくれているのではないか。そんな淡い期待をしていた。
しかし、俺の身に起こった出来事は十年経った今でも確実に尾を引いていた。“悪夢の中学時代”というのは思い込みなどではなく、紛れもない事実だった。やはり俺はあの時、金属バットで殴られて死んでいたのだ。
秋山たちはもう俺の知っている人間ではない。そして俺も、かつてのような姿ではもうない。今では無職のひきこもりだ。もう、どうあっても昔の関係には戻れない。
彼らはミルクと溶け合ったコーヒーミルクであり、コーヒーではもうないのだ。十年という月日はあまりにも大きな溝を作ってしまった。
いや、そんなことを気にしていても仕方がない。そもそも俺が今日この同窓会に出席したのは美月と会うためだ。気を取り直そうと思った。ウジウジした姿を美月に見せたくない。
しかし、既に三十人以上が集まっているものの、美月の姿は見当たらなかった。
ここで開会の時間になったため幹事の挨拶が始まった。
「みなさん、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。来年で卒業から十年ということで……」
幹事の挨拶の途中、中学時代にヤンチャをしていた連中から「堅い! 長い!」と野次が飛んだ。他の同級生たちはそれを咎めることなく半ば同調している。幹事の方は一応挨拶だけは形式ばったものにしておきたいようだったが、周りの空気を読み、挨拶は砕けた形に変えて手短に済ませた。この幹事も中学時代はいわゆるイケているグループの一員だったから、結局挨拶も内輪ノリのような雰囲気になってしまっていた。
会場に来た時から違和感を覚えていたが、この時確信に変わった。これは同窓会という名の内輪パーティだ。道理で参加者がイケている連中ばかりなわけだ。そもそも同窓会なんてものは学生時代目立っていた連中が集まるものだが、一応今度のこれは卒業生全員と教師を招待している公式に近い体の同窓会なはずだ。にもかかわらず参加者に偏りがあり、挨拶も内輪ノリのような形で行われていた。
教師は何人か参加しているが、彼らも気の抜けた幹事の挨拶には何も口を出さない。むしろ一緒になって笑っている始末だ。
挨拶が終わり、正式に同窓会が開会されたが、未だに美月の姿はない。一抹の不安がよぎった。
見事なまでに親交のなかった連中ばかりの集まる同窓会だ。話の輪に加わる余地はほぼない。仲の悪かった人間、元々関わりのなかった人間が大半を占めている。何となく感じる奇異の視線がじりじりと熱い。俺に聞こえないようにひそひそと陰口でも叩いているのかもしれない。そんなことを考えると俺はどうしてこんなところに来てしまったのだろうかと後悔してきた。
すると、ある男の姿が目に留まった。中学時代、“あっち”の中で仲の良かったほとんど唯一の同級生、児島だ。
俺はわずかばかりではあるが、小学校時代親しかった連中に期待していた。実は“悪夢の中学時代”というのは俺の単なる思い込みだったのではないか。中一の七月に起きた「金属バット事件」の記憶も十年もの時が洗い流してくれたのではないか。なんだかんだいって小学校の頃の友達は俺のことを今でも友達だと思ってくれているのではないか。そんな淡い期待をしていた。
しかし、俺の身に起こった出来事は十年経った今でも確実に尾を引いていた。“悪夢の中学時代”というのは思い込みなどではなく、紛れもない事実だった。やはり俺はあの時、金属バットで殴られて死んでいたのだ。
秋山たちはもう俺の知っている人間ではない。そして俺も、かつてのような姿ではもうない。今では無職のひきこもりだ。もう、どうあっても昔の関係には戻れない。
彼らはミルクと溶け合ったコーヒーミルクであり、コーヒーではもうないのだ。十年という月日はあまりにも大きな溝を作ってしまった。
いや、そんなことを気にしていても仕方がない。そもそも俺が今日この同窓会に出席したのは美月と会うためだ。気を取り直そうと思った。ウジウジした姿を美月に見せたくない。
しかし、既に三十人以上が集まっているものの、美月の姿は見当たらなかった。
ここで開会の時間になったため幹事の挨拶が始まった。
「みなさん、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。来年で卒業から十年ということで……」
幹事の挨拶の途中、中学時代にヤンチャをしていた連中から「堅い! 長い!」と野次が飛んだ。他の同級生たちはそれを咎めることなく半ば同調している。幹事の方は一応挨拶だけは形式ばったものにしておきたいようだったが、周りの空気を読み、挨拶は砕けた形に変えて手短に済ませた。この幹事も中学時代はいわゆるイケているグループの一員だったから、結局挨拶も内輪ノリのような雰囲気になってしまっていた。
会場に来た時から違和感を覚えていたが、この時確信に変わった。これは同窓会という名の内輪パーティだ。道理で参加者がイケている連中ばかりなわけだ。そもそも同窓会なんてものは学生時代目立っていた連中が集まるものだが、一応今度のこれは卒業生全員と教師を招待している公式に近い体の同窓会なはずだ。にもかかわらず参加者に偏りがあり、挨拶も内輪ノリのような形で行われていた。
教師は何人か参加しているが、彼らも気の抜けた幹事の挨拶には何も口を出さない。むしろ一緒になって笑っている始末だ。
挨拶が終わり、正式に同窓会が開会されたが、未だに美月の姿はない。一抹の不安がよぎった。
見事なまでに親交のなかった連中ばかりの集まる同窓会だ。話の輪に加わる余地はほぼない。仲の悪かった人間、元々関わりのなかった人間が大半を占めている。何となく感じる奇異の視線がじりじりと熱い。俺に聞こえないようにひそひそと陰口でも叩いているのかもしれない。そんなことを考えると俺はどうしてこんなところに来てしまったのだろうかと後悔してきた。
すると、ある男の姿が目に留まった。中学時代、“あっち”の中で仲の良かったほとんど唯一の同級生、児島だ。
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