モンスターセイバーズ

短髪

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48話~59話 セイバーズ全国大会編 〈下〉

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48話/狂気!猛る猛獣の力

覇王:「速水はドクターヘリで緊急搬送された。応急救護班が言うには骨や靭帯などに影響はないみたいだが、大量出血に加えて脳震盪を起こしていたらしく病院に搬送され次第緊急手術を行うそうだ。俺たちにできることは無事を祈ることだけだ。」
夏海:「そんなっ・・!」
炎斬:「全身真っ赤に染めあがっていた。あれは・・やりすぎだぜ、どっちの血か分かったもんじゃない。」
竜牙:「なぁ覇王、あんな野郎でもセイバーズになれるのかよ。」
覇王:「ここに参加している以上そうなんだろうな。」
本田:「何をざわついている。俺たちは仲良しごっこをしに来たわけじゃないだろ。」
竜牙:「なっ・・てめェ!」
白鳥:「そうね、私たちは仲良しごっこをしに来たわけじゃない。けど・・・。」
秋矢:「気にいらねぇんだよ、あの野郎は速水って奴を痛めつけて心の底から楽しんでやがった。」
本田:「・・・。」
口ごもる本田に秋矢は指を差す。
秋矢:「あの戦いを見て、他人事と考えてんならてめぇは相当な人でなしだ。セイバーズ以前に人のあれこれから学び直せや。戦いを楽しむのと人を殺ることを楽しむとじゃ話が違ってくんだよ。」
白虎:「フン、確かに明日は我が身かもしれん。だが問題はそこじゃない、あの男がしていることはモンスターとなんら変わらなかった。だからこそ皆思うべきところがあると言っているんだ。」
白虎はその場を離れていく。
本田:「わりぃ・・言葉は選ぶべきだった。」
覇王:「とはいえ本田の言うことも一理ある。まだ本選は終わってない、気を引き締めて望まなければ足下を救われるぞ。」
竜牙:「・・ああ。ここで終わるわけにはいかない。」
司会:「え、え~思わぬアクシデントもありましたが、続いて第三回戦の組み合わせを決めたいと思います。それじゃあ山本くん、スロットのスイッチを。」
ポチ・・ガラガラ・・・。
ポチッ・・ポチッ!
司会:「第三試合・・本田雷攻さん対白虎拳王さんです!」
本田:「!」
白虎:「出番のようだな。」
2人はスタジアムに上がる。
夏海:「・・・。」
竜牙:「どうした夏海?眉間にしわがよってるぞ。」
夏海:「よく見といた方がいいわよ。白虎って男の人、間違いなく強いわ。」
竜牙:「予選で戦ったのか?」
夏海:「そうじゃないわ。けど、予選後半で一気にポイントを巻き返した人よ。」
竜牙:「!」
夏海:「予選後半はポイントを焦って取りに動く人が大勢いたはずなのよ。にもかかわらず、彼は一気にポイントを巻き返した。ということは、襲い掛かってくるすべてのセイバーズを返り討ちにした可能性があるわ。それもたった一人でね、私はそう睨んでいる・・。」
竜牙:「!・・あいつが・・。」
本田:「俺の電撃に翻弄されないよう警戒するんだな。」
白虎:「翻弄?大した自信だな、試してみるといい・・ただし、俺が勝つことは揺るがない。」
司会:「それでは始めましょう、第三試合スタートッ!」
本田:「・・・。」
白虎:「・・・。」
炎斬:「!どっちも動かない・・。」
夏海:「お互いに警戒しているんだわ、相手の出方を伺っているのかも。」
白虎:「フッ・・来ないのか?」
本田:「お前の方こそ。」
白虎:「時間の無駄だな、俺の方から仕掛けるか。」
タッ・・タッタッタッ!!
本田:「動き出したか、構えはできている、スパークリングサンダー!!」
ビリリリィッ!!
ドカァァアン!!
本田:「!」
白虎:「拍子抜けだな。」
本田:「素手で・・俺のスパークリングサンダーを止めた?!」
白虎:「技の力に頼り過ぎだ。」
シュッ・・バシィィッ!!
白虎は本田の拳を止めていた手を開き、もう片方の手で本田の脇腹を強く殴りつけた!
本田:「うぐっ!!」
白虎:「この違和感、さっき受けた貴様の電撃を受け止めたからなのか、右手に痺れが残ったようだ・・だが、この程度なら問題はない。」
本田:「普通、電撃を纏った拳が迫ってきたら避けるだろ。」
白虎:「そういう思い込みはイエローカードだ。アドバンスブラスト!」
ボォォォォウウウッ!!
本田:「口から?!くっ、ギャラクシーボルテックス!!」
本田の背中からほとばしる電撃が地面を伝って白虎の光線と激しくぶつかる!!
シュゥッ・・ドカァアン!!
本田:「こいつ、口から光線も放てるのか。まるでゴ〇ラだな。」
(奴と距離を詰めるのはやめといた方が賢明か。)
白虎:「ほう、さっきよりも強い電撃攻撃。いい技を持っているじゃないか!」
本田:「ギャラクシーボルテックス!!」
ビりィィィッ!!
白虎:「X技・ザンバーストエックスッ!!」
ズバババッ!!
白虎は両手をクロス字型に構え、ギャラクシーボルテックスを引き裂き消し飛ばした!
本田:「な・・?!」
白虎:「何を驚いている?予選で力を温存していたのは前だけじゃない。」
夏海:「!彪呀にぶつけていた時と技の威力が明らかに違う。」
本田:「ちっ!怯んでいる場合じゃない、スパークリングサンダー!!」
白虎:「フン!」
シュッ!シュッ!シュッ!
白虎は本田のスパークリングサンダーを纏った拳を身軽に交わしていく。
本田:「くそっ!なんで当たらない・・。」
白虎:「お前の呼吸、力の入り具合、脈拍、構え、クセ、技の使い方・・俺の目はそれらの動きから相手の行動を読み取ることができる。接近戦を取ったのは愚策だったな、アドバンスブラスト!」
ボォォォォウウウッ!!
本田:「!!」
白虎の光線が本田の顔面に直撃する!
本田:「ぐあああっ!!」
白虎:「迂闊には立てないだろ、俺のアドバンスブラストをモロに受けたんだ。」
バシィッ!
本田:「うぐっ・・。」
ドサッ。
本田:(くそっ・・体に力が入らねぇ・・!)
白虎:「俺はこの先の戦いの為にまだ力を温存しておきたいんだ。ゆえに相手が弱っているからといって容赦はしない。」
本田:「くそっ・・動け・・動けよ!俺の体ぁぁっ!!」
白虎はと本田を見つめる。
白虎:「線維筋痛症といったところか。」
本田:「?!な、何を言って・・。」
白虎:「今のお前の体に起きている症状の名を言っている。」
本田:「?!」
白虎:「簡単に説明するならば脳が痛みを感じる機能に障害が起きている状態だ。」
本田:「し・・障害?!」
白虎:「脳には痛みの信号を伝える機能と信号を抑える機能が備わっている。このアクセルとブレーキが効かない状態もしくはアクセルを踏み過ぎた状態になると、普段の状態なら大したことのない痛みでも強い痛みとして脳が認識してしまう、いわゆる脳の誤作動というやつだ。」
本田:「医者でもないお前になんでそんなことが分かるんだよ!」
白虎:「言っただろ、俺の目は対象相手のあらゆる部位から目視し、相手の行動を読み取ることができると。これが俺の能力、死の目キラーアイズだ。」
本田:「キラー・・アイズ・・?!」
白虎:「それにしてもこの状況で体が動かなくなるとはなぁ、ま、恨むなら自分の運のなさを恨むんだな。」
本田:「くっ!」
(さっき受けた光線が引き金になったとでも言うのか?ふざけやがって・・っ!)
白虎:「おとなしくギブアップしてくれた方がこちらとしても助かるが?」
本田:「ざけんなっ!!」
ビリリィッ!!
白虎:「っ!」
(こいつ、体中から電撃を!)
本田:「俺の闘志はまだ消えちゃいねぇ!!」
白虎:「そうか、ならば戦意喪失するまで叩きのめすまでだ。俺には成すべき目的がある!」
(フン、どうやらさっきの電撃は威嚇のようだな。体の方は指先一つ動いてないぞ!)
バシィッ!
本田:「ごほっ!!」
白虎:「おらぁっ!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!・・。
本田:「うぐっ!ぐふっ・・・げほっ!・・あぐっ?!!」
白虎の容赦のない下突きが本田の腹部に突き刺さる。
バシィッ!バシィッ!バシィッ!・・。
白虎:「おらっ!まだやる気か?・・なぁ、もう立てないことァ自分が一番分かっているんだろ?!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!・・。
本田:「ごほっ!・・ぐはっ・・!!」

楚五郎:「い、今・・なんと?」
医者:「雷攻くんはどうやら微量の電気を体内に溜め込めてかつ、雷のようなエネルギーを作り出す特殊な力をお持ちのようです。」
楚五郎:「!な、何を言ってるんですか先生。」
幸子:「そ、そうですよ。夫婦共々そんな力持っていませんし、そもそもなんでこの子だけそんな力が・・。」
医者:「原因は今の医学では解明できません。ですが、現にこの子の体には微量の電気が流れています。このまま成長していくにつれ、この子が自分の力に気づいたら・・。私は特別養護施設にこの子を預けることを強く勧めます。」
幸子:「そんなっ!この子が何をしたって言うんですか?!」
医者:「何かがあってからでは遅いんです。手がつけられなくなる内に手を打つべきだと私は思います。なぜなら!雷攻くんの特殊な力は、武器もなく人を殺めることが安易にできてしまう非常に危険な力だからです。」

本田:「俺は・・まだ負けるわけには・・。」
白虎:「お前にもセイバーズとして戦わなければならない理由があるんだろう、だが俺にも負けられない理由がある。」
スッ・・。
白虎は膝をまげ、右足を上げる・・。
本田:「!・・ま・・まずっ・・「あばよ!」」
バシィィィッ!!
白虎の容赦のない前蹴りが本田をアゴを蹴り飛ばした!!
司会:「・・・あ・・し、勝者!!白虎拳王!!!」
白虎:「よし!どうにか一勝をもぎ取った。俺が病室に足を運ぶまで負けちゃ駄目だからな軌跡・・っ!」
白虎は両拳を強く握りしめてそうつぶやいた。

49話/本田雷攻と白鳥百合花

竜牙:「シンプルな強さを誇っていたな、白虎拳王。」
夏海:「ええ、使う必殺技・・何より使うタイミング、使い分けも見事なものだったわ。予選の時とは明らかに別格の強さを見せつけている。」
竜牙:(俺から言わせてもらうと本田の奴も底が知れない。両腕の傷、ありゃあ自分の力を使いこなすために相当な鍛錬を積んでいるに違いない。何があいつをそこまで突き動かしているのかは分かんねぇけど、あの白虎相手に背を向けることなく立ち向かっていた。相手が悪かっただけで、対戦相手が違っていればあるいは・・。)
夏海:「どうしたの?」
竜牙:「面白れェ、今の俺がこいつらを相手にどこまで勝ち進めることができるかうずうずしてきた。」
夏海:「はいはい、その前に私たちは初戦を勝ち抜かないと。」
竜牙:「!そういや、次は誰が出るんだ?」
司会:「続いて第四回戦の組み合わせを決めたいと思います。それじゃあ山本くん・・ってあれもう押してる?!」
ポチッ・・ポチッ!
司会:「あ~ゴホン!第三試合・・木嶋夏海さん対白鳥百合花さんです!」
竜牙:「出番だぜ、夏海!」
白鳥:「あの~?」
竜牙:「ん?」
夏海:「どうしたの、竜?」
竜牙:「あ、いや・・この人が・・。」
白鳥:「やっぱり!剣崎先輩ですよね?」
竜牙:「えっと・・君は?」
白鳥:「あ!ご挨拶が遅れました、光ヶ丘学院二年の白鳥百合花っていいます!」
竜牙:「!お前、夏海の対戦相手の?」
白鳥:「良かった~人違いだったらどうしようと思ってずっと声をかけにくくて・・。やっとお話ができました!私、剣崎先輩に憧れてモンスターセイバーズになったんですよ~。」
竜牙:「俺に?」
白鳥:「剣道部部長でありながらセイバーズとしても戦っている姿に憧れてたんです!かっこいいです!!」
竜牙:「な、なんか照れるな。」
白鳥は目を輝かせて竜牙のそばによる。
白鳥:「先輩!せっかくこうして会えたんですし、一緒に写真撮りませんか?」
竜牙:「い、いや・・お前今から試合だろ?」
白鳥:「いいじゃないですか~。」
竜牙の左腕に白鳥が腕を巻きつけようとした瞬間、背筋に今まで感じたことのない殺気を竜牙は感じた。
ゾクッ!!
竜牙:「な・・んだ・・?!」
恐る恐る振り返る竜牙。
夏海:「随分と見せつけてくれるじゃない。」
竜牙:「いや、別に見せつけたりしているわけじゃ・・。」
夏海:「後輩にベタベタされて鼻の下伸ばしている先輩さんはちょっと下がっててもらえる?」
竜牙:「ご、誤解だって!」
白鳥:「あなたは生徒会長の木嶋夏海さん!あなたもモンスターセイバーズだったんですね!」
夏海:「あら、私のことも知ってるの?」
白鳥:「容姿端麗で学年トップの成績を誇る会長の事を、知らない学院の生徒なんて絶対いませんって!入学時のパンフにも生徒代表の声で名前と写真が上がっていたぐらいですし。」
夏海:「あら~私ってば有名人なのねー。」
笑っているが、声が震えている・・。お怒りのようだ。
竜牙:「し、白鳥?とりあえず、試合が始まるからスタジアムに上がれ!早く!はやくっ!!」
白鳥:「お、押さないでくださいよ先輩!わ、分かりました、行きますって!!」
夏海:「可愛がってあげるわ、大事な後輩だもの。」
夏海は満面の笑みで拳銃に弾丸を詰めていく。
竜牙:「ま、待て夏海!目が死んでいるぞ?」
夏海:「大丈夫!蒸気でホットアイマスクをしてここまで来たから。」
竜牙:「いや、目のクマの問題じゃないから!」
夏海:「そもそも竜!あなたが悪いのよ!!」
竜牙:「え、えぇぇ?!お、俺、何かしたっけ・・?」
夏海:「あ~もういいっ!とにかく対戦相手として私の前に立つ以上、徹底的に叩き潰すわ。それだけのことよ。」
竜牙:(なんであんなに殺気立っているんだよ、くっそ・・俺が何をしたって言うんだぁぁっ!)
スペード:「ジェラシーだな。」
竜牙:「うおっ?!スペード・・お前、怪我は大丈夫なのか?」
スペード:「ああ、処置は施してもらったし2、3日もすれば完治するみたいだ。とりあえず試合を観戦してきてもいいって言われてよ。許可もらって医務室を飛び出してみたら・・なかなか面白い光景に出くわした。」
スペードはニヤニヤしながら竜牙を見つめる。
竜牙:「人が苦しんでいる姿を見て笑うなよ、感じ悪いぞ!」
スペード:「まぁまぁ。ありゃ、お前が他の女に優しくしてるから嫉妬してんだよ。」
竜牙:「な、なんだよそれ・・。」
スペード:「?その様子だと、心当たりがあるんじゃないか?」
竜牙:「そんなこと・・ねぇょ・・。」
スペード:「?」

白鳥:「会長、お手柔らかに!」
夏海は鋭い目つきで白鳥をにらみつける。
白鳥:「うわっ・・な、何で怒っているんですか?」
夏海:「別に。」
白鳥:「あーっ!もしかして・・ヤキモチ?」
プチッ!
夏海:「覚悟はいい?・・・構えなさい、始まるわよ?」
白鳥:「あれ・・なんかさっきより威圧感が・・。」
司会:「それでは始めましょう、第四試合スタートッ!」
夏海:「第一の弾・火炎弾!」
白鳥:「し、神秘の守りっ!」
夏海:「?!」
(防御技?!)
ドッカァアン!
白鳥:「私の前では、そういった正面からの牽制攻撃は陽動にすらなりませんよ?」
夏海:「ポケ〇ンみたいな技を使うじゃない、第二の弾・水弾!」
ドバァァアアッ!
白鳥:「無駄ですよ~。」
夏海:「指なんか振っちゃって、舐めてるの?。」
(この子の死角に回り込めれば、攻撃のチャンスはつくれるはず。今は機を待つ!)
白鳥:「まっさかぁ~。ただもう少し頭ひねって攻撃しろよって思っただけですよ♡」
夏海:「は?」
ゴゴゴゴゴ・・!
竜牙:「な、なんだよ・・あの殺気は!」
スペード:「すごい・・これが女の戦いというやつか!」
竜牙:「ただ単に白鳥が煽っているだけな気もするが。」
夏海:「覚悟はいい?白鳥さん。」
白鳥:「さっきから何苛立ってるんですか、ご自分の心配をされた方がよろしいかと。」
夏海:「余計なお世話よ。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・!!
夏海:「トリニティストーム!!」
ボォォォウウ!シュルルウッ!!
白鳥:「!ちょっ、なによあれ!!」
ドッカァアアアアアン!!
竜牙:「うわっ!」
炎斬:「前が・・見えねぇっ!」
スペード:「対人戦であの水蒸気爆発を使うなんて、何を考えているんだ木嶋!」
夏海:「ま、この程度でやられるわけないか。」
白鳥:「っとに加減してものを知ってくださいよ!私じゃなかったら病院送りでしたよ!!」
(神秘の守りの発動が間に合わなかったらただじゃ済まなかった。この人、私を殺す気?!)
夏海:「ハエの羽音のような声量で何をぶつぶつ言っているのかしら?」
ブチッ・・!
白鳥:「私じゃなかったら、病院送りだって言ったんですっ!!」
夏海:「あなただから使ったのよ、少しは察したら?」
(反応速度は竜にもひけをとらない。となるとあの子の意識を私の外に向けることができれば・・。)
白鳥:「あーそうですか、そーですか。分かりました、そっちがその気ならこっちも殺るつもりでやったげますよ!」
夏海:「最初からそのつもりで来なさい、第二の弾・水弾!」
白鳥:「エアーカッター!」
ズバッ!
夏海:「私の水弾を・・切った?!」
(何今の・・空気の刃?意識してないと避けることすら難しいじゃない・・!)
白鳥:「私が放つ必殺技、その力の源は私自身で生み出せる風力にあります。会長がつくりあげた程度の竜巻なら・・。」
白鳥が両手を上に上げると周囲の風が徐々に速度をつけて回転していき、巨大な竜巻に変化していく・・。
夏海:「っ・・?!」
白鳥:「渦の中にエアーカッターを取り入れた殺傷力のある竜巻です。この高速回転する空気の渦を相手にあなたはどう動きます?」

50話/私の事だけ見てほしいというジェラシー

白鳥:「超必殺技・ギガスパイラル!!」
白鳥はギガスパイラルを地面に叩きつけようとしたその時!
シュッ!シュッ!
白鳥:「?!」
(なに・・何かが飛んできて・・!)
竜牙:「!あれは・・夏海のマーカーだ!!」
スペード:「ということは・・!」
夏海:「あいにく完全な上位互換を相手に力比べするほど、私はお人よしじゃないの。X技・第四の弾・爆裂弾!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
ドカァン!ドカァン!
爆裂弾で放った爆発に投げたマーカーは連鎖反応を起こし、四方八方に散らばったマーカーによる小規模の爆発が巻き起こっていく!
また、態勢が崩れて狙いが外れた白鳥のギガスパイラルは、大会のトーナメント表を表示してある電光掲示板を破壊しそのまま地面に落下してしまう!
夏海:「これだけ激しい地形変動が起これば私に意識を向け続けるのは厳しいんじゃない?」
ボォォォゥウウ・・ドカァァアアアン!!
司会:「うおっ!山本くん!!」
山本:「・・・!」
司会:「早くこっちに!逃げるんだ!!」
白鳥:「ぐはっ!げほっ!げほっ!」
(神秘の守りで直撃は防いだけど・・早くこの場を離れないと。一酸化炭素中毒になっちゃう!)
夏海:「苦しそうね。」
ビクッ!
白鳥:「!後ろをとられてっ・・。」
夏海:「あなたが風の力を収束し放つことができるなら、私は・・。」
夏海が拳銃を構えると地面から謎のエネルギーが蓄積されていく・・!
夏海:「大地を通し、地球のエネルギーを収束して放つ新しい技をお見舞いしてあげるわ。」
白鳥:「地球の・・エネルギー?な、何わけのわからないことを・・。」
夏海:「今よ!奥義・第五の弾・地球弾アースガン!!」
ビシュゥゥン・・・!!
光の弾丸が白鳥に向けて解き放たれた!
白鳥:「っ!!エアーシー・・!!」
(!・・間に合わな・・?!)
ドッカァアン!!
夏海:「ハァハァ・・。」
白鳥:「・・・・。」
夏海:「あなたが受けた弾丸は私の竜に対する思いの強さそのものよ。」
白鳥:「・・・。」
白鳥は無言のまま、直立したままだ。
夏海:「私は竜を守るためにモンスターセイバーズになった。この奥義は今よりももっと強くなりたいって思いに呼応するように生まれた技よ。セイバーズとしての力の源、人の思いの強さもまた何かしらの影響を与えるのかもしれないわね。」
白鳥の目に光が戻る。
白鳥:「・・ま・・だっ・・。」
夏海:「!あれを受けてまだ意識を保っているの・・嘘でしょ・・。」
白鳥:「がはっ!」
(立っているのがやっと・・でもとっさにエアーシールドを3枚重ねたのが幸いした・・のかな?意識はまだ保ててる!)
夏海:「くっ!」
ガシャン。
夏海は銃口を白鳥に向ける。
白鳥:「まだ・・倒れていませんよ。」
夏海:「ええ、大した根性だわ・・。」
竜牙:「あいつ・・全然修行には顔を出さなかったのに・・。」
スペード:「ああ。それになんだあの技は・・弾丸を放った音が聞こえなかったぞ。」
竜牙:「実態のない弾丸ってことなのか?だとしたらあの奥義は相当厄介だぞ。」
スペード:「それにしても白鳥のやつ、まだ戦う気か?!」
白鳥:「わた・・しを甘く・・見ていたん・・じゃないんですか?」
夏海:「まさか。私は戦闘中の相手に対して警戒を怠ったことはないわ。」
白鳥:「?!」
夏海:「でなきゃ、地球弾アースガンを放った直後に弾を詰め直したりしないわ。」
ガシャァン!
夏海:「いくわよ、第一の弾火炎弾!」
ボォォォウウ!
夏海:「第二の弾・水弾!」
ドバァァアアッ!
夏海:「第三の弾・竜巻弾!」
ボォォォウウ!
夏海:「第五の弾・地球弾アースガン!」
ビシュゥゥン・・・!!
夏海:「そして・・同じ軌道に乗った4つの弾丸をあなたの周囲に散らばっているマーカーに当たって連鎖爆発を起こす!第四の弾・爆裂弾!!」
ビュゥン・・ドカァァァァアアアアアアアアアアン!!
ドカァン!ドカァン!
白鳥:「あああああっ!!」
夏海:「これがハイパートリニティストームよ。」
炎斬:「す、すげぇっ!!」
スペード:「ってかおい!止めろよ、司会っ!!」
司会:「い、いやしかし!あの中に潜り込むのは危険です!」
竜牙:「白鳥のやつ、ただじゃ済まないぞ・・。」
爆発が収まると・・倒れている白鳥とハイパートリニティストームの反動で壁に激突している夏海の姿があった。
白鳥:「フフッ・・。」
(私が立ち上がった時のことも想定して、ハイパートリニティストームを放っても自らが壁にぶつかって吹き飛ばされない位置に私を誘い込んでいた・・完敗だわ。」
白鳥は小さく笑みを浮かべると無言のままゆっくりと片手をあげる。
白鳥:「わ・・しの・・まけ・・・す。」
ドサッ。
司会:「し、試合終了!第四試合勝者は木嶋夏海!!」
竜牙:「あいつ・・全然修行に顔を出さなかったのに・・。」
スペード:「なんだあの技は・・弾丸を放った音が聞こえなかったぞ。」
竜牙:「あの技もまた実態のない弾丸ってことなのか?」
スペード:「だとしたら陰でコソ練もいいところだぜ、あんなの受ける側からしてみればひとたまりもない。」
タンカーに乗せられ、医務室に運ばれていく白鳥に夏海は歩み寄る。
夏海:「ごめんなさい、少々やりすぎたわ。」
白鳥:「し・・で少々って・・あ・・うく死ぬと・・ろでし・た・よ!」
夏海:「だって・・。」
白鳥:「あ・・たの心の・・底から湧き出・・くる嫉妬心・・先輩の身・・心配・・です。」
夏海:「どういう意味よ!」
白鳥:「勘違い・・でください・・。勝負には負け・・したけど、先輩に対・・る強い思・・は私の・・が遥か・・強いの・・で。」
夏海:「ぐぬぬぬっ・・。」
白鳥:「おっと・・手ェ出しち・・駄目で・・よ~私、ケガ人な・・で。」
夏海:「こぉんの子はぁぁぁっ!」
白鳥:「フフッ、また会い・・しょう。木嶋・・輩♪」
竜牙:「あんだけボロボロにされてても火に油を注ぐかの如く、夏海を煽りまくっていたなあいつ。」
スペード:「木嶋、手強いライバルが現れたな。」
夏海:「あんな小生意気なガキ、眼中にないわよ。そーいえば・・私はいつまで待てばいいのかしら?」
竜牙:「うっ・・。」
夏海の鋭い眼光が竜牙をにらみつける。
スペード:「待つって何をだ?」
竜牙:「あ、あー!この前借りていた昼食代だよな、あ、後で返すよ。な?」
夏海:「そ~やっていつまでも逃げられると思ったら大間違いなんだから。」
竜牙:「ち、ちゃんと返すから・・。」
夏海はムスッとしてままそっぽを向く。
夏海:「そうね、私バイトしてないし。いつまでも待てないわ。」
竜牙:(は、話合わせてくれた・・。)
スペード:「お前、昼食代ぐらいさっさと返してやれよ。売店か食堂のランチかは知らねぇけどそんなに高くはないだろ?」
竜牙:「だ、だよなー。」
夏海:「・・ばか。」

51話/ギャラクシーブレードとの誓い

司会:「続いて第五回戦の組み合わせを決めたいと思います。それじゃあ山本くん、スロットのスイッチを。大丈夫?さっきの騒動で壊れてない?」
山本はうなずき、ボタンを押す。
ポチ・・ガラガラ・・・。
ポチッ・・ポチッ!
司会:「だ、大丈夫そう・・だね。あ・・。」
ボォン・・。
スイッチが壊れ、中のICチップがどこかに落っこちた。
司会:「ま、まぁ・・とにかく組み合わせが決まりました。第五試合・・秋矢滉騎さん対剣崎竜牙さんです!」
秋矢:「ハッ!ようやく俺の出番か、待ちくたびれたぜ。」
竜牙:「次は俺か。」
夏海:「負けたら承知しないわよ。」
スペード:「修行の成果、あいつに見せてやれ剣崎。」
竜牙:「ああ、行ってくる!」
2人はスタジアムに上がる。
秋矢:「俺様の相手はお前かァ、剣崎ィィ!」
竜牙:「予選じゃお互い顔を合わせてないからな、よろしく頼むぜ。」
秋矢:「随分とやる気満々じゃねェか、楽しませろよ。」
司会:「それでは第5試合スタートッ!」
秋矢:「行くぜ、水のリボルバーァッ!!」
バン!バン!
竜牙:「指鉄砲?!ゲゲゲの鬼〇郎を思い出すな。」
シュッ!シュッ!
竜牙は秋矢の水のリボルバーを回避しつつ、距離を詰めていく!
秋矢:「ちっ!やるじゃねェか、まぁ本選レベルのセイバーズならそんぐらいしてもらわねェと・・な!」
バン!バン!バン!バン!
竜牙:「指を上下する速度が上がった?!くそっ、スピードが上がった分、放つ球数が増えてる。なら・・ハヤブサランニングストーム!」
シュッ!
秋矢:「消えた?!いや、ちげェ・・こいつァ・・!」
秋矢が振り向くと同時に竜牙は剣を抜く!
竜牙:「遅いぜ、秋矢!真ドラゴンソード!!」
秋矢:「遅かねェよ!水のグレネードッ!!」
地面の下から飛び出してきた水流壁がドラゴンソードを遮る!
竜牙:「うおっ?!」
(くっ!水流で押し戻される!!)
バシィッ!
ズザザザッ・・!
ズザザザッ・・!
秋矢と竜牙は互いに間合いを取り、態勢を立て直す。
竜牙:「あの一瞬で防壁を張れるのかよ・・ははっ、燃えてきた!」
秋矢:「今度はこっちからいくぞ!超必殺技・ウォーターマシンガン!」
ドカドカドカドカドカドカドカ・・
ドッカァアアアン!!
秋矢:「不意を突いた連射攻撃だ、さすがに今のは・・なっ?!」
秋矢が目を見開くと、鎧をまとって攻撃を受け切った竜牙の姿があった。
竜牙:「・・へっ!」
秋矢:「竜の鎧とはな、面白れェ!」
竜牙:「ただの鎧じゃないぞ!超必殺技・ドラグアーマーバーストモード!!」
秋矢:「何かと思えば鎧から炎を噴きだしてどうする気だ?俺が消火してやんよ!!」
竜牙:(そう来るよな。よし、あとはあいつが技を出すタイミングを見逃さなければ・・!)
秋矢:「超必殺技・ウォーターマシンガン!」
竜牙:「今だ!」
スッ!
秋矢:「なっ!炎を消しやがった?!」
竜牙:「イナズマドラゴン!!」
ビリリリリィィィッ!!
竜牙が振り下ろしたドラゴンソード、そこから飛び出したイナズマドラゴンの電撃が、ウォーターマシンガンを貫いて秋矢に直撃する!!
秋矢:「ぐああああっ?!!」
(電撃攻撃・・っ!!)
竜牙:「ハヤブサランニングストーム!」
シュゥツ!
竜牙はドラゴンソードを鞘に収めつつ、構えの状態で秋矢に近づく!
秋矢:「させねェ!水のグレネード!!」
竜牙:「その技は一度見た!X技・ギャラクシーブレード!!」
シュゥツ・・ズバババッ!!
秋矢:「あああああっ!!」
(バカな、なんで防げなかった・・?!)
竜牙:「水のグレネードは、下から上流した水圧で俺のドラゴンソードの剣先を押し出していた特殊な盾だ。だから俺の力が剣先まで伝わらず、ドラゴンソードが押し戻されていた。てこの原理ってやつだ、小学校で習っただろ?」

てこの原理
=てこには支点・力点・作用点があり、支点を中心に回転しうる天秤がある時、力点は力を加える点、作用点は力が働く点であり、普通は作用点にはおもりなどの負荷がある。支店は動かないよう固定してある為、力点を動かすと作用点が働く仕組みである。

竜牙:「だから俺は作用点であった俺の剣の押し出す力と、力点であったお前の水圧にそれ以上の力を加えることで、力点を俺の剣の押し出す力に、作用点がお前の水圧にかかるようにわざと、剣先から刀身までのリーチが長いギャラクシーブレードで押し出したわけさ。」
秋矢:「ヤロォ~やるじゃねェか。てこの原理か、ガキん時以来だぜその名前を聞くのはよォ!」
竜牙:「ま、これで水のグレネードは攻略したも同然だぜ。」
秋矢:「ほう、勝負ってのは何が起こるか分かんねェから楽しいんだ。だからよォ、ちっとペースを上げていくぞ!!」
竜牙:「!あの構え、また指鉄砲か?!」
秋矢:「X技・水のショットガン!」
バァン!
竜牙:「なんだ、早ぇっ!」
とっさに竜牙はギャラクシーブレードで押し返そうと剣を振るうが・・?
秋矢:「おっと!そいつは愚策だ。」
竜牙:「うぐっ?!なんだ・・この弾丸っ・・重っ!!」
秋矢:「力比べといこうじゃねェか。」
ピキピキ・・ッ・・。
竜牙:「!ギャラクシーブレードにひびが?!!」
秋矢:「はじけろ!!」
バァァアン!!
竜牙:「ぐああああっ?!!」
秋矢:「ハッ、お前の剣は砕けちまったようだな。」
竜牙:「俺のギャラクシーブレードが・・。」
秋矢:「こうなっちまったらどうしようもねェ・・戦えねぇ奴を相手にいたぶるような趣味はねぇんだよ、さっさと降参しろ。」
夏海:「ど、どうする気なの・・竜?」
スペード:「ものの見事に粉々に砕けちまってるな・・。」
炎斬:「竜牙、ここで終わる気か?」
竜牙:「くそっ!・・どうすりゃいいんだ・・。」
秋矢:「なぁ・・なんでリタイアしねぇんだ?お前そっち系の趣味でもあんのか?なぁオイ!」
竜牙:「ここまで来て、引き下がるわけにはいかねぇ・・。」
秋矢:「そうかよ、だったら潔く死ねや。奥義・水のリボルバーリンチ!」
秋矢が上空にデカい水のリボルバーを放つと、上空で破裂し、小さな水のリボルバーたちが流星群のように降り注いでいく!!
竜牙:「うわっ、うおっ!!」
秋矢:「なっ・・あいつ、1つ1つの弾丸を交わしているだと?!あれだけ軌道の不規則な水のリボルバーをすべて・・なんつ~運動神経してやがる・・!」
竜牙:「くそっ、考えろ。このままじゃいずれやられる・・!
秋矢:「にゃろう、ちょこまかと・・だったら!」
秋矢は構える。
竜牙:「!」
秋矢:「その流れ弾をよけながらコイツを上手いこと交わせるか見ものだぜ、X技・水のショットガン!!」
竜牙:「冗談だろ・・やべぇ、やべぇっ!!」
秋矢:「これで終わりだ、剣崎竜牙ァ!!」
竜牙:「ぐっ・・俺はこんなところで負けるわけにはいかないんだ!!」
?:「剣崎竜牙よ、強くなりたいか?」
ピカァァアン!
竜牙:「うおっ?!」
(ま、眩しい・・!)
竜牙:「こ、この声・・どこから?」
?:「強くなりたいのか?」
竜牙:「ギャラクシーブレードから?!・・どうなって・・。」
?:「答えろ・・。」
竜牙:「お、俺は・・強くなりたい。」
?:「何の為に?」
竜牙:「何の為に?って・・モンスターから人々を守るために決まってるだろ?」
?:「・・よかろう。気に入った、お前に我が剣の真の力を授けてみよう。」
竜牙:「我が剣の真の力・・?・・・あ!」

ハンター:「それと剣崎くん。」
竜牙:「ん?」
ハンター:「君のギャラクシーブレード、あれはまだ未完成なんだ。」
竜牙:「なっ・・!」
ハンター:「ギャラクシーブレードには地球を照らす太陽と月の力が微かだが眠っている。」
竜牙:「太陽と月・・?」
ハンター:「いずれ分かるよ。さぁ、2人とも構えて!疑似演習を始めよう。」

竜牙:「ハンターの言っていた・・太陽と月の力の事を言っているのか?」
?:「左様・・扱いきれるかはお前次第だ。」
竜牙:「で、でも・・ギャラクシーブレード、お前は・・もう・・。」
?:「修復は完了している。」
竜牙は気が付くとスタジアムに戻っていた。
秋矢:「・・何が起こった・・何でお前の剣が復活していやがる・・!」
竜牙:「!あれ・・俺は何を・・。」
(!ギャラクシーブレードが復活している・・ってことはさっきの出来事は・・。)
秋矢:「何がどうなってる・・くそっ、もう一度ぶっ壊してやる!」
秋矢は構える。
竜牙:「!」
(だめだだめだ!今はあいつに集中しねぇと・・また水のショットガンで、俺のギャラクシーブレードを粉砕しようとしてくるはず。あの力に対抗するには・・あの奥義しかねぇ!)
秋矢:「X技・水のショットガン!!」
竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!」
竜牙はドラゴンソードを思いっきり地面に叩きつけた!
「グォォォォォ!!」
割れた地面から巨大な竜を用いた青き衝撃波が目にも止まらない速さで水のショットガンを飲み込んでいく!!
秋矢:「な・・?!」
(なんだありゃ・・でけぇ!!)
竜牙:「秋矢の指にさえ意識を集中させれば、自然と狙いを定めたものに合わせて力が調整される。これならレジェンドラゴンの力が膨張してスタジアムの周囲にいるみんなを巻き込むことはない!」
(秋矢の水のショットガンが重いのは力を一点に集中させているからだ。お前のX技が俺のレジェンドラゴンを進化させたんだ!)
スペード:「あいつ、レジェンドラゴンの威力をセーブして扱えてる・・修行の時は全然上手くいかなかったのに。」
竜牙:「いけぇっ!」
秋矢:「くっ・・!駄目だ、押し込まれる・・うわぁっ!!」
ドカァァアン!!
竜牙:「俺の・・勝ちだ。」
司会:「決まったぁ!勝者、剣崎竜牙!!」
竜牙:「結局、太陽と月の力ってのが何なのか分からなかった。あれは一体・・?」

52話/最後まで諦めない!

司会:「え~いよいよ初戦最後の試合となります。第六試合、炎斬正一さん対足速師覇王さんです!」
竜牙:「ふぅ~。」
スタジアムを降りていく竜牙とスタジアムに向かっていく炎斬が互いに左手と右手を挙げて歩いていく。
パシッ!
炎斬:「ナイスファイトだった。」
竜牙:「負けるなよ、正一。」
ハイタッチをし、炎斬はスタジアムに上がる。
覇王:「これも何かの縁だ。予選の続きといこうじゃないか、炎斬。」
炎斬:「ああ、持てる力のすべてをあんたにぶつける!」
司会:「それでは第6試合スタートッ!」
覇王:「カイザーデルタブレイカ―!」
炎斬:「っ!」
ドッカァアン!!
スペード:「まじか、予選の時よりも技を放つスピードが速くなってるぞ・・。」
竜牙:「・・・。」
覇王:「あっけなかったな。」
炎斬:「早とちりもいいところだな。」
覇王:「!」
土煙の舞う中、炎斬は剣を振るい、煙を払った!
覇王:「無傷・・?!」
炎斬:「あんたが高威力の技をいくつも備えていることは予選の結果からだいたい想像はついていた。放っから警戒していたさ、このスタジアムに上がった時からお前の初手を。」
覇王:「ほう、予選を得て面構えが変わったようだな。迷いのない、いい目つきだ。」
炎斬:「いくぞ!」
タッタッタ!
覇王:「アルティメットストリーム!!」
覇王が槍を地面に叩きつけると、巨大な暴風が炎斬に襲い掛かる!!
炎斬:「うぐっ?!!」
覇王:「奥義・ロイヤルセイバーッ!!」
覇王はアルティメットストリームの中にロイヤルセイバーを投げ入れた!
竜牙:「人工的に作り上げた電動ドリルのようなロイヤルセイバー!!あれって、白鳥が見せた殺傷力のある竜巻の再現なんじゃ?!」
スペード:「馬鹿言え!エアーカッターより殺傷力が高いはずだ、あのロイヤルセイバー・・回転数を上げながら突っ込んできてるぞ!!」
竜牙:「んなこと、あいつだって分かってるはずだ。」
シュルルルル!!
炎斬:「くっ、迷っている場合じゃない、X技・マキシマムロックブレス!!」
炎斬は両手をマグナハンドに変化させて、地面を叩き割る!
バシッ!!
ゴボゴボ・・・ボォォォォォウウ!!
カンケツセンのように地面から湧き出てきた炎がロイヤルセイバーを下から押し上げていく!!
覇王:「なんだあれは・・まるで火山の噴火のような・・・。」
(おかしい、本来噴火というものは火山ガスが溶け込んだマグマがなければ起こり得ることはない。)
夏海:「・・・。」
竜牙:「どうした?」
夏海:「もしかして火山が噴火する仕組みを利用している技なのかも。」
スペード:「どういう意味だ?」
夏海:「火山の仕組みについては中学校で習ったでしょ?」
竜牙:「あ、ああ・・そうだな。」
スペード:「・・・説明してみろ。」
竜牙:「あれだろ、炭酸飲料のフタを空けた時みたいな感じでこう・・。」
スペード:「分かってないだろ、お前。」
竜牙:「あ、あはは・・。」
スペード:「簡単に説明すると、火山の地下には火山ガスが溶け込んだマグマがある。このマグマが地下の浅いところまでいくと、周辺の圧力が下がり、お前が言っていた炭酸飲料のフタを空けたようにマグマの中の火山ガスが泡になるんだ。泡を含んだマグマ周辺の圧力より軽くなるため、地上まで上ってきて噴き出してしまう、これが火山の噴火する原理だ。」
夏海:「炎斬くんは恐らく、マグナハンドから膨大な炎を地下の浅いところまで流し込んで似た現象を起こしたのかもしれない、あくまで推測だけど。」
竜牙:「そんなことができんのかよあいつ・・。」
スペード:「もしかしたら炎斬のマグナハンドはマグマと同じ成分でつくられているのかもしれない。予選終盤で覇王のエクストリームハリケーンを受け止めていた炎斬のマグナハンド、その周囲にいた俺たちの体感温度は上がっていた。」
覇王:「ロイヤルセイバーが押し出されるとはな、俺のロイヤルセイバーをそういうやり方で回避した者はお前を置いて他にいない。」
炎斬:「そりゃあ逸材ってやつだな。」
覇王:「だが機転と発想だけでセイバーズは務まらん。超必殺技・プロミネンスカタストロフィ!」
ドカァン!ドカァン!
炎斬:「うわっ!!」
覇王が片手を握りしめると、炎斬の周囲で空気中で空爆が起きる!
覇王:「空気中の水分を爆発させる俺の超必殺技だ。爆発自体に大した威力はない。せいぜい空気砲程度といったところか・・だが、この攻撃の真骨頂はそこにない。」
炎斬:「!姿が見えない・・声の聞こえ方からしてそう遠くにはいないはず。」
覇王:「相手を怯ませて動きを数秒止める事ができる、そして!その数秒さえあれば・・奥義・ロイヤルセイバー!」
ズババッ!
炎斬:「!・・ぐはっ・・。」
覇王:「ほう、大した反射神経だ。致命傷は避けたようだが・・?」
炎斬:「ごほっ!・・ぐっ・・。」
炎斬は脇腹を抑えつつもゆっくりと態勢を立て直す。
覇王:「その状態で俺とどこまで渡り合えるかな?」
炎斬:「明らかに戦い慣れしている動きなのが素人の俺でも分かる。技の使い方、タイミングすべてに無駄がない。」
(ちくしょう、だからと言ってここで背を向けるわけにはいかないんだ!)

希未:「しばらく顔を見せないと思ったら・・。」
炎斬:「ごめん、姉ちゃん。これ・・。」
希未:「!フレイムソード・・なんであんたがそれを持ってんだい?」
炎斬:「セイバーズ全国大会・・その予選に俺は・・姉ちゃんに断りもなくフレイムソードを持ち出して参加したんだ。」
希未:「!」
炎斬:「ごめ「怪我は?!」」
不意を突かれた言葉に一瞬、間が空いた。
炎斬:「え?」
希未:「だから!どこも怪我はしてないのかって聞いてんのよ!!」
炎斬:「あ・・うん。一緒に戦ってくれた奴がいたんだ。俺は幸い軽傷で済ん・・。」
バシィッ!!
姉ちゃんの強烈なビンタが俺の頬を叩いた。
希未:「私がずっとここで何をしているか教えてあげようか?上がらない右足を毎日何千回って上げているんだよ!!」
炎斬:「!!・・っ・・。」
希未:「けどさ・・上がらないんだよ。」
ポロッ・・。
俺がふと顔を上げると姉ちゃんの瞳から涙がこぼれ出ていた。
希未:「足に力が入らないんだよ・・私の足はまるで一本の棒のように全然言う事・・聞いてくれないんだよ。自分の体じゃないみたいだ・・。」
炎斬:「良くなって・・ない・・ってこと・・?」
希未:「当時、逃げ遅れた男の子をモンスターから引き離すため、私は両足に力を入れて全速力で男の子の手を引いていたんだ。けど、そのモンスターはモグラのように地中を掘り進むことができる厄介な相手でね・・地中から襲い掛かってきた奴の爪が私の右足を引き裂いた。モンスターの討伐には成功したけれど、その代償として私の右足には後遺症が残ってしまったんだ。」
炎斬:「後遺症?!け、けど!リハビリを続けていけば徐々に回復していくって姉ちゃんが言ってたじゃないか!!」
希未:「・・・筋萎縮性側索硬化症、専門用語でこの病気はALSと呼ばれている。」
炎斬:「どういう事だよ!その言い方だと・・前々からそういう病気だったって言っているように聞こえる。」
希未:「そのまんまの意味だよ。私の場合は右足にだけその症状が現れている特例だがな、この病気は時間の経過とともに筋力が弱くなりやせ細っていく運動障害の一部らしい。」
一通り説明を終えると、姉ちゃんは右足の裾をめくり上げていく。
炎斬:「・・・あ・・しが・・・。」
希未:「骨みたいだろ?まぁ、右足の筋肉はもうほとんどないから実質皮膚が薄く引っ付いている骨のような状態なんだけどさ。私の右足は2週間前から感覚がなくなっている。」
耳を疑う姉ちゃんの言葉に俺は返す言葉が出なかった・・。
希未:「これが今の私だよ。もう車椅子や人の手がなければ生活していくのは困難な状態だ。正一、これがセイバーズになると共に伴う命の危険ってやつだよ。私の足がその証拠だ。」
― 俺の背筋は一瞬にして氷ついた。-
炎斬:「・・お、おお・・れ・・オレは・・。」
希未:「落ち着け。」
炎斬:「!」
希未:「幸い軽傷で済んだということは、フレイムソードの力を多少は使いこなせていたんだろ?大方、予選を得て自分の過ちに気づき私の元に頭を下げにきたんじゃないか?昔からお前は物事を人のせいにして言い訳をしない、自分の否を認め正直に謝ることができていた子だ。」
炎斬:「なぁ・・その・・姉ちゃんは、俺やおふくろに気を使わせないために病気の事を伏せていたんじゃ・・。」
バシッ!
炎斬:「痛っ!」
希未:「ったくもう~めそめそしてんじゃないよ。いいかい正一?人は涙の数だけ強くなれる、笑顔の数だけ優しくなれるものなんだ。」
炎斬:「・・!」
希未:「な~んて!ちっとくせぇ言葉だけど。これは昔、私がパパから受け取った言葉だ。」
炎斬:「親父が・・。」
希未:「だから、私は最後まで希望を捨てずに戦っている。流した涙の数だけ頑張らなきゃって、辛い時こそ笑って人を思いやる気持ちを忘れてはいけない。あんたやママに病気の事を隠していたのはさ、結局自分の為なんだよ。とは言ってもセイバーズとして戦う事はもうできない、それどころか普通の生活を送ること事態が戦いみたいなものなんだけどさ、で・・どうするの?」
炎斬:「・・え?」
希未:「お前はここで諦めるのか?って聞いているんだよ。」
炎斬:「・・・それは・・。」
希未:「あえてもう一度言うが、セイバーズってのは常に死と隣り合わせだ。にも関わらず、あんたは私の愛用していた武器を盗み出し、あろうことかセイバーズでもないのに人知を超えた力を振り回してきたわけだが。」
炎斬:「本当に!・・ごめんなさい!!・・俺は・・どうしようもない大馬鹿野郎だ。」
希未:「確かに大馬鹿野郎だがどうしようもなくはないぞ。だってあんた、今私の目の前にいるんだよ?怒鳴られるかもしれない、軽蔑されるかもしれない・・そういうのを顧みず・・逃げずにここに立っているじゃないか。まだ18歳、何度だってやり直せる!あんたは素直だし大丈夫だよ、私が保証する。」
炎斬:「・・ねぇ・・ちゃんっ・・。」
この時俺は、涙を必死に拭い取りながら・・自分がとった軽率な行動がいかに愚かで危険な行為だったのかを本当の意味で理解し、深く・・反省したんだ。もう同じ事を繰り返さない為に・・。
希未:「パパとママがつけてくれた名前に負けないように強く生きていかないとな、お前も私も。」
炎斬:「・・っ!!・・ありがとう、姉ちゃん。」
俺は姉ちゃんに向けていたフレイムソードの柄の部分を自分の手に持ち直す。
炎斬:「俺さ、本選出場のメンバーの一人に入りこめたんだ。勝ち上がった以上最後まで戦いたい、行かせてほしいんだ。炎斬希未の弟として!姉ちゃん!!」
希未:「大きく出たねぇ~。ま、あんたの人生だし、好きにしなよ。自分が正しいと思ったことを最後まで貫くのがあんたでしょ。」

炎斬が拳を握りしめると剣から力が拳に流れ出す!
覇王:「!」
炎斬:「ファイアガントレット!!」
覇王:「フレイムソードの力を両手に流し込んだ?!」
炎斬:「うぉぉぉっ!!」
覇王:「ロイヤルディフェンス!」
バシィィツ!!
炎斬:「んだこの盾・・硬てぇ・・!!」
覇王:「距離を詰めて攻めに出てくるか、いい判断だが・・。」
ズザザッ!!
覇王のロイヤルセイバーが炎斬の脇腹と擦れていく!
炎斬:「ぐああっ!!」
覇王:「痛手を追った脇腹にこの攻撃は効くだろ?」
炎斬:「ぐっ・・このチャンスを逃してたまるか・・。」
覇王:「!」
炎斬:「フレイムソード!!」
ズババッ!
炎斬は覇王が半身になった瞬間をフレイムソードで突く!
覇王:「ちぃぃっ!」
覇王は炎斬との間合いを空けようと下がるが・・。
炎斬:「どこ見てんだ?」
覇王:「?!」
ボォォォウウ!!
覇王の背中が激しく燃え上がる!!
覇王:「熱っ!!」
(これは・・フレイムソードの炎が俺のマントに引火したのか?!!)
バサッ・・!
覇王は慌てて白マントを投げ捨てる!
炎斬:「くらえっ!!」
覇王:「はっ?!しまったっ・・!」
炎斬:「超必殺技・マグナハンド!!」
バシィィッ!!
炎斬の炎を纏った巨大な手の平が覇王を地面に叩きつけた!!
スペード:「すげぇ!あの覇王に攻撃を!!」
竜牙:「覇王の白マントを陽動に・・!」
(あいつ、予選の時よりも技の使い方が上手くなっている。)
炎斬:「やった・・やっと攻撃が通った・・。」
覇王:「ごほっ!・・正直、侮っていたよ・・竜牙並みの逸材だな。」
炎斬:「・・!!」
覇王:「ふ~。」
漂う土煙の中、ロイヤルセイバーを地面に突き刺し立ちすくむ覇王が姿を現した。
炎斬:「なんで立っているんだよっ・・。」
覇王:「当たり前だ、セイバーズとして踏んできた場数がお前と違う。」
(とはいえ、ロイヤルディフェンスが粉々になってしまった。さすがにあの炎熱は耐えられなかったようだな。)
覇王は構えを取る。
覇王:「守りは捨てる、俺もお前の土俵で戦うとしよう。」
炎斬:「!!」
(あいつ・・両手、両足に重石おもしをつけてやがったのかよ。マントつけて涼しい顔してたわりにボディビルダーみたいな体格をしてやがる!)
覇王:「ああそうだ・・こいつらも外そう。お前ほどの相手にこいつをつけたまま戦うのは無礼だ。」
パチッ。パチッ・・。
覇王は重石おもしを外していく・・。
ドスン!ドスン!
炎斬:「っ・・!」
(何キロの重石をつけていやがったんだ・・地面を伝って振動が・・!!)
覇王:「さてと、始めよう。」
シュッ!
炎斬:「速っ!!」
覇王:「おらぁっ!!」
バシィッ!!
炎斬:「がはっ!!」
覇王の容赦ないミドルキックとサイドアッパーが炎斬の体を痛めつけていく!!
覇王:「受け身を取るなら払いに徹した方が身の為だぞ、まぁ俺の攻撃を見切る目があればの話だが。」
バシッ!バシッ!バシッ!
炎斬:「ごほっ!ごほっ!」
スペード:「何が起こって・・。」
夏海:「私、見ていられない・・。」
夏海は顔を両手で隠す。
竜牙:「これが覇王の全力・・なのか。」
(レベルが違いすぎる・・あれほどの力を持っていながら、ここに来るまでなぜ出し惜しみをしてたんだ?あの時、その気になれば一人でフォルテと互角以上に渡り合えたはずだ・・。!そういえば・・。)


ハンター:「これから迫りくる脅威に備えて君らが人獣と戦っている間、全国各地でモンスターセイバーズに選ばれた者が数十名いる。まだ数は少ないが、そのセイバーズたちを競わせ、参加者全員の戦闘力の向上を測ることが今大会の目的ってわけさ。」


竜牙:「まさか・・!」
(俺に強くなってもらう為にわざと力をセーブして戦っていたのか?考えてみれば、覇王は賞金目当てにこの大会に参加するような奴じゃない。)
スペード:「あれほどの力を持っていながらなんであいつは大会に出場できんだよ、わけが分からねぇ。」
夏海:「そうね、覇王は広範囲を狙える高威力な技をいくつも扱えるわ。それにあの体術、充分大会出場に規制がかかってもおかしくないレベルなはず。」
竜牙:「あくまで俺の憶測だけどよ、覇王は優勝することが目的じゃないのかもしれない。」
夏海・スペード:「「?!」」
竜牙:「大会参加者の力を底上げするためにあえて壁となって立ちはだかる為に参加している可能性がある。」
スペード:「んだそれ・・何のためにそんなことを?」
竜牙:「それがこの大会を開催した目的でもあるからだ。」
スペード:「!」
夏海:「なるほどね、それが彼の参加した理由なら覇王の今までの行動にも合点が行くわ。」
竜牙:「その覇王が今、炎斬の実力を見て全力を出している。素人セイバーズのあいつが覇王の目に火を灯したんだ。」
炎斬:「ハァ・・ハァ・・。」
覇王:「どうした?俺が重石を外してから防戦一方じゃないか。」
炎斬:「ごほっ・・!っせぇ・・よ。」
覇王:(今大会出場の素人セイバーズの中じゃお前の右に出る者はいないだろう。惜しいな、相手が俺でなかったら行くところまで勝ち進めただろうに。)
炎斬:「なんでもう勝ち誇って・・ぐふっ・・いるんだ?」
覇王:「・・!」
血反吐を吐きながらも炎斬は両手を広げて前に突き出す。
炎斬:「俺の闘志はまだ死んでねぇぞ!!」
(体はもう動かない、けど・・戦えないわけじゃない!)
覇王:「コイツ・・まだ・・!!」
炎斬:「奥義・ジャッチメントバーナー!!」
覇王:「大した男だ。」
ボォォォォウウウッ!!
炎斬の両手から青い炎が勢いよく飛び出す!!
覇王:「受けて立つ!奥義・ロイヤルセイバー!!」
覇王はロイヤルセイバーを前にジャッチメントバーナーに突っ込んでいく!!
炎斬:「なっ!・・今の俺が出せる最大火力の炎の中に突っ込んで・・!!」
覇王:「はぁぁぁぁっ!!」
ズバババッ!!
炎斬:「ちく・・し・・ょ・・。」
(ごめん、姉ちゃん・・オレ・・。)
ドサッ!
司会:「勝者!!足速師覇王!!」
覇王:「!ロイヤルセイバーの先端が溶けている・・試合がもう少し長引いていれば危なかったな。」
山本が電光掲示板に試合結果を表示する。
ピッ。
司会:「以上をもちまして、一回戦の試合が一通り終了致しました。白虎さんはAブロックの準決勝から足速師さんはBブロックの準決勝にて我々の方からお呼び出し致します。それと並行して2回戦の組み合わせが決定いたしました。Aブロックは銀河スペードさん対瓜生翔太さん。Bブロックは木嶋夏海さん対剣崎竜牙さんです!!各々のブロックを勝ち上がった者が先程述べました、白虎さん、そして足速師さんと準決勝にて当たることになります。」
夏海:「竜が・・次の対戦相手・・っ!」
竜牙:「ま、遅かれ早かれ勝ち進んでいけば、こうなることも分かっていた。お前もそうだろ?」
夏海:「そうよね・・私、負けないから。」
竜牙:「それはこっちの台詞だな。」
スペード:「!瓜生翔太・・速水を病院送りにした奴か。」
夏海:「強敵よ。」
竜牙:「スペード、後日速水の見舞いに来いよ。速水の状態を見れば、瓜生がいかに危険なやつだったか想像がつくはずだ。」
スペード:「あいつ・・そんなに危険な状態なのか?!」
夏海:「この第一回戦、敗北した6人のセイバーズの中でも速水くんが一番惨いやられ方をしていたんじゃないかしら。」
スペード:「瓜生翔太・・か。」

53話/夏海の決意

キーンコーンカーンコーン。
竜牙:「軽傷で助かったぜ、無事に授業にも出られたし・・速水の見舞いにでも行くか。」
(炎斬の奴がどうなったのかも気になるし、ハンターのところにも寄って・・。)
ハンター:「け、剣崎くん!!」
竜牙:「うおっ?!急に現れんなよ、丁度良かった・・お前んとこにも行こうと思って「木嶋さんが!」」
竜牙:「・・え?」
ハンター:「木嶋さんが、大会を辞退すると運営に申し出たらしい。」
竜牙:「・・・は?」
生徒会室。
タッタッタッ!!
バンッ!!
竜牙は勢いよく扉を開ける。
夏海:「!びっくりした~。生徒会室に入るならノックぐらいして・・って竜?」
竜牙:「桜はいない・・ようだな。」
夏海:「今日は私しかいないわ。」
竜牙:「なんで大会を辞退するんだよ!」
夏海:「おっつ・・情報漏えいもいいところね、いくらなんでもバレるのが早すぎじゃない?」
竜牙:「答えろよ!まさか、俺と戦うのが嫌になったとか言うんじゃ・・。」
夏海:「そうじゃないわ。そうじゃ・・な・・!」
(まずい、涙が・・!)
夏海俯いたまま、生徒会室を飛び出す!
竜牙:「お、おい!」
市原:「木嶋さん?・・あ、ここに居たか!」
竜牙:「勇太郎?」
市原:「なぁ、これ本当か?学院中この話題で持ちきりだってクラスの連中が!」
市原はスマートフォンを開いて、クラスのグループラ〇ンを見せる。
竜牙:「夏海が・・転・・校?」
市原:「その様子だと聞いていないみたいだな。」
竜牙:「んだよ・・それ!」
タッタッタッ!!
市原:「お、おい!」
竜牙は全速力で夏海を追いかける!
竜牙:「何があったんだよ、夏海!」
橘:「お、剣崎じゃ「悪りぃ!俺急いでるんだ!!」」
橘:「な、なんだ・・あいつ・・。」
竜牙の目に見覚えのある背中が見えた。
竜牙:「夏海!」
夏海:「!な、なんで追ってきてんのよ・・。」
竜牙:「あの後・・ハァ・・ハァ・・転校するって・・聞いて・・。」
夏海:「・・昨日、家に帰ったらお父さんがうちに帰ってきていたの。」

夏海:「珍しいじゃない、お父さんが帰ってくるなんて。」
雅治:「ああ、そうだな。」
夏海:「私に用事があるって聞いたけど?」
雅治:「・・学校は・・楽しいか?」
夏海:「え?急にどうしたの・・。」
雅治:「・・・。」
夏海:「楽しいよ!竜たちと毎日楽しい日々を送っているわ。」
雅治:「竜牙くんか・・懐かしいな。」
夏海:「そっか、お父さんが竜と最後に顔合わせたのって、竜が中学生になったばかりの時だっけ?そーいえばあの時以来、会ってなかったね。」
雅治:「夏海、竜牙くんのこと・・好きか?」
夏海:「え”?!」
雅治:「正直に答えなさい。」
夏海:「い、いや・・ちょっ・・は?!き、急に・・なに?」
雅治:「その動揺の仕草、母さんにそっくりだな。まぁそれはさておき、本題に入るとしよう。」
夏海:「ほ、本題?」
雅治:「私の立ち上げたオフィスの経営が順調でな。これを機に事業の拡大を進めていくことが会議で決定した。今回、その拠点に選ばれたのはNYニューヨークだ。」
夏海:「え、海外転勤ってこと?」
雅治:「この不況の中でこれほどの成長を遂げているのは稀なことでな、世界に私たちの技術がどこまで通用するか挑戦するか試したいんだ。だから・・。」
夏海:「?」
雅治:「お前と母さんには共にアメリカに来てほしい。恐らく長期滞在となるだろう、もしかしたら日本に戻ることは・・もうないかもしれない。」
夏海:「!・・な、なんで・・。今まで単身赴任を続けていたじゃない、どうして?」
雅治:「今回は海外転勤だ。流石に私一人では限界がる、それにじっくりと事業を拡大させていくつもりでいるんだ。」
夏海:「いやだって・・海外だよ?!そんな急に言われても・・。」
雅治:「こういうことは今に始まったことじゃないだろう。夏海、お前は私の娘・・社長令嬢なんだ。」
夏海:「お母さんは納得したの?」
雅治:「母さんは了承済みだ。」
夏海:「そんな!」
雅治:「9月辺りには日本を経ちたい。あと3ヶ月余りといったところか・・頼む、夏海。こんなチャンス滅多にないんだ。」
夏海:「勝手だよ・・こんな・・。」
雅治:「残りの学園生活、思い残すことがないように楽しんでほしい。すまない・・。」
雅治が席を外すと共に夏海は拳を握りしめる。

竜牙:「に、ニューヨーク・・・。」
夏海:「私なりに足掻こうとはしたけど、どうする事もできなかった。転校届を出したのはたぶん、うちのお父さんね。とにかく一学期の間は学院に登校させてもらえるみたい、生徒会の引き継ぎもあるし。」
竜牙:「待てって!お前は納得してないんだろ?そんな気持ちで海外むこうに行ってもお前が後悔するだろ!」
夏海:「引き止めないでよっ!!」
ポロッ・・。
夏海の目から涙がこぼれ落ちた。
竜牙:「なつ・・み・・?」
夏海:「これでも一晩寝ないで一生懸命考えたの!でも、無理だよ・・・私の力じゃどうすることもできない。ううっ・・。」
竜牙:「・・・ごめん・・。」
夏海:「もう福岡ここにいられる時間が限られているわ。でも、毎年恒例だったオーロラ島には今年も行くつもりよ、セイバーズもこれを機に辞めることになるかもしれない・・。」
竜牙:「なぁ夏海・・。」
夏海:「?」
竜牙:「明日休みだろ、デートしようぜ。」
夏海:「え?」
竜牙:「おっと!お前に拒否権はないからな?前に一度、お前からの誘いを俺は受けたんだ。忘れたとは言わせないぜ。」
夏海:「覚えてるわよ・・でもあれは、私の都合で竜を振り回したっていうか・・。」
竜牙:「皆まで言うな、とにかく今度は俺が誘う番だ。」
夏海:「随分と強引ね・・返事は返してくれないくせに。」
竜牙:「そ、それは「いいわ、待ち合わせ場所はどこにするの?」」
竜牙:「お、おうっ!家で待っててくれよ、俺が迎えにいくから。」

54話/誰かを好きになるということ

翌日の木嶋家。
夏海:「ど、どうしよ・・服が決まらない。」
(だって・・冷静に考えてみれば竜からデートのお誘いなんて・・初めてで・・ああああああああああ~もうっ!ど~いう格好したらいいの。)
未央:「夏海っ!ドタバタドタバタうるさいっ!!」
夏海:「ご、ごめんなさ~い・・。」
そして・・。
ピンポーン。
竜牙:「よ、よっ!」
夏海:「い、いらっしゃい・・。」
夏海は少し照れくさそうにおめかしした姿を披露する。
竜牙:「!」
夏海:「な・・なによっ・・。」
竜牙:「いや、そのてっぺんに立っているの・・寝癖?」
夏海:「わ、悪かったわね!直らなかったの!!」
竜牙:「ほら・・。」
竜牙は夏海の寝癖を手ぐしで綺麗に直していく。
夏海:「・・・っ!」
竜牙:「うん!いい感じに隠せたんじゃないかな。」
夏海:「あ・・ありが・・。」
竜牙:「似合ってるよ、橘が見たら歓喜の声を上げて興奮するかもしれないぞ?ふふっ!・・やべぇ、想像しちまったっ。」
夏海:「あ・・。」
(竜が笑ったところ、久々に見た。)
竜牙:「?どうした・・ほら、いくぞ。」
ガシッ。
竜牙は夏海の手を取る。
夏海:「っ・・//」
そして・・。
夏海:「ここって・・ゲーセン?」
竜牙:「ああ、まずはここだ。」
夏海:「わぁ、このぬいぐるみかわいいっ!」
竜牙:「ゆ、UFOキャッチャー・・。」
夏海は視線を竜牙に移す。
竜牙:「な、なんだよ・・その目は・・。」
夏海:「あれあれ~?まさかゲーセンに私を連れてきといてUFOキャッチャーできないの~?」
竜牙:「ぐっ・・や、やってやるよ・・。」
チャリン・・。
夏海:(すっごい冷汗をかいている・・竜ってこ~いうの苦手だったのね。)
竜牙:「あ・・あれ・・。」
ウィ~ン・・。
ガチャッ・・。
竜牙:「・・・取れた?」
夏海:「!え・・あれ?」
竜牙:「あ・・えと・・はいっ。」
夏海:「す、すごい!えっ・・1回で取ったの?」
竜牙:「あ、あはは・・まぁ取れて良かったよ。」
夏海:「うんっ!ありがとっ!!」
竜牙:「・・やっと・・笑ったな。」
夏海:「ん?何か言った。」
竜牙:「何でもないよ。この先に遊園地がある、せっかくの休日だ。思いっきり遊ぼうぜ!」
竜牙の指差した方向に見覚えのある観覧車が見える。
夏海:「!このゲーセンてあの遊園地の近くだったの・・。」
2人は遊園地に足を運ぶ。
夏海:「前にも来たわね、ここ・・。」
竜牙:「お前とのデートって考えた時にここは外せなかった、シルバーウィークの時だったよな。」
夏海:「じゃあ・・また観覧車に乗らない?」
竜牙:「ああ。」
従業員:「2名様ですね、どうぞ。」
竜牙:「ありがとうございます。」
夏海:「あの時はこんなことになるなんて思いもよらなかったな。」
竜牙:「当たり前だろ、俺たちに予知能力なんてないんだしよ。けど毎日同じ時を刻んでいるわけじゃない、だからこそ何が起こるか分からない。俺たちは、あの時こーしてれば良かったって後悔しないよう現在いまを生きていくしかないんだろうな。」
夏海:「後悔をしないように・・生きていく。」
竜牙:「そう・・それぐらいしかできないんだ・・。」
夏海:「竜・・。」
竜牙は外を見たまま、小さな声でそう呟いた。
竜牙:「そろそろ出る準備しようぜ、観覧車が降り始めた。」
夏海:「無理・・してない?」
竜牙:「それはこっちの台詞だ、とにかく!今日は色々忘れて楽しもうぜ。」
夏海:「うん。」
それから2人は遊園地を歩いてアトラクションを堪能していく・・。
竜牙:「あ、あのジェットコースター・・オレ無理・・。」
夏海:「すっごい王道でベタなオチふっかけてくるわね・・。」
竜牙:「いや・・コーラ飲んでからのジェットコースターはやべぇ・・。」
夏海:「大丈夫?」
竜牙:「し、しばらくこのまま休ませてもらえると・・。」
夏海:「今日さ、ありがとね。」
竜牙:「・・?」
夏海:「私を元気づけるために時間をつくってくれたんでしょ?あなた、頭でこーいうこと考えるの苦手なのに。」
竜牙:「・・楽しかったか?」
夏海:「ベタベタなデートプランで何ドヤ顔決めてんのよ。」
竜牙:「べ、ベタベタで悪かったな・・お、女の子とこーいう事したことなかっ「ありがとっ!」」
竜牙:「!」
夏海:「あと付箋張りまくっているメモ帳、ズボンの尻ポケットから見えてるから。」
竜牙:「!・・う、うわぁぁっ・・し、知らないフリしてればいいだろ!!」
夏海:「あははっ!だって・・おかしくって・・。」
竜牙:「あ・・。」

―昨日の夜。
竜牙:「もしもし・・あ、速水か?」
速水:「あ・・部長!」
竜牙:「覇王から連絡があったんだ。体は・・大丈夫か?」
速水:「痛みがひいてだいぶ落ち着いています、ご心配をおかけしました。あの時はその・・あいつの血をかぶってて、出血多量で危険な状態に見えていただけというか・・。ただ、傷口に奴の血が入っていたりするとまずいのでしばらくは検査入院らしいです。」
竜牙:「そ、そうか・・良かったぁ。」
速水:「それじゃ・・。」
竜牙:「あ!待ってくれ・・。」
速水:「はい・・?」
竜牙:「その相談したいことが・・。」
これまでのことを速水に話す竜牙。
速水:「えっと・・・つまり何も考えてないのにデートに誘ってしまったと?」
竜牙:「だ、だって・・あんな夏海、見てらんねぇよ。」
速水:「部長・・前々から聞こうかどうか迷ってたんですけど。」
竜牙:「?」
速水:「部長って木嶋さんの事、好きですよね?」
竜牙:「・・・は?!え、いやいや・・なんで・・。」
速水:「木嶋さんが危ない目に合っている時、決まって真っ先に駆け出すのは部長じゃないですか。」
竜牙:「そ、それは・・幼馴染みとして放っておけないっていう・・。」
速水:「そうですか・・。まぁ、少なくとも木嶋さんは部長に好意を寄せてるでしょうね。」
竜牙:「うっ・・な、なんで・・そう思うんだよ。」
速水:「部長・・それ本気で聞いてます?橘先輩が言ってましたよ、木嶋さんはどうでもいい話をしている時、決まって剣崎の事ばかり話しているって。」
竜牙:「・・!」
速水:「それって、常に部長の事で頭がいっぱいだからでしょ。逆に聞きますけど、これを恋と呼ばず、何で呼ぶんですか?」
竜牙:「・・!」
速水:「鈍感って言葉で片付けないでくださいね。相手の”気持ちに気づかない”っていうのは、”気持ちに答えられない”ことよりも残酷ですよ。だってその人はまだ、相手方の認識の中でスタートラインにすら立たせてもらえてないって事でしょ?」
竜牙:「・・!」
(夏海・・桜・・俺は・・おれ・・っ!)
速水:「え・・部長?なっ、なんで泣いてるんですか?!」
竜牙:「ごめん・・グスッ・・自己嫌悪に浸ってた。」
速水:「え?!」
竜牙:「夏海が・・親の都合で光ヶ丘を転校するみたいなんだ。」
速水:「?!」
竜牙:「ずっと辛そうにしてたんだ。だから・・俺・・。」
速水:「まって!まってください!!そーいう事だったんですね、概ね事情は把握しました。そういうことなら、頭を抱えて悩む必要はありませんよ。」
竜牙:「え・・?」
速水:「部長が一生懸命考えたデートプランなら木嶋さんは喜んで楽しんでくれますよ!好きな人からのお誘いですよ?嬉しくないわけがないじゃないすか!楽しんでくださいね。」

竜牙:「夏海、あの時の返事なんだけど・・。」
夏海:「いいよ、無理しなくて。」
竜牙:「・・・え?」
夏海:「竜のペースでいいって事!竜が同じ気持ちじゃなかったらそ~いう関係になっても意味がないでしょ。それと、振っても私たちの関係は変わらないからね!だから、私の反応とか私がもう長く福岡に居られないから焦って返事を出すとか・・そ~いうの気にしなくていいからね。」
竜牙:「ま、待って!」
夏海:「?」
竜牙:「ずっと分からなかったんだ。人を好きになるという気持ちが・・だから答えを出すまで時間がかかっちまった。ごめん・・!」
夏海:「それ、分かる!」
竜牙:「え、ど・・どういう・・?」
夏海:「私もそうだったの。優香が私に教えてくれたんだ、恋愛って頭であーだこーだ考えてするものじゃないって。」
竜牙:「桜がそんな事を。」
夏海:「今になってやっとその言葉の意味を理解した。だってね、竜に気持ちを伝えてからあなたの事で頭がいっぱいだもの、私。」
竜牙:「・・・!」
(速水、お前の言った通りだ・・本当に俺は何も見えてなかったんだな。)
竜牙:「俺の中でやっと答えが出た。」
夏海:「え?」
竜牙:「夏海・・・お前がいなくなるって知った時に色んな事を思い出したんだ。振り返ってみたら、いつもそばにいたんだ、お前はいつだって近くにいたんだ。近すぎていなくなるって言われても実感が湧かない。けど、お前が辛そうな顔してたの思い出して、現実に引き戻された。」
夏海:「・・・。」
竜牙:「私の力じゃどうすることもできないって言ってただろ?昨日の辛そうなお前の顔を思い出してさ・・どうにしてあげたいって思った。けど、高校生の俺がしてやれることってほんっとに何にもなくてよ・・悩んだ結果がこれだよ。ベタベタな王道デートプラン・・笑っちゃうよな。」
夏海:「うっ・・ううっ・・。」
夏海の瞳から涙がこぼれ落ちる。
竜牙:「ここにきて、ここまできて!やっと分かったんだ・・お前の笑顔を見て・・やっと気づいたんだ。」

― 俺は夏海の事が好きだ。-

夏海:「グスッ・・うっ、うわぁぁぁん!!」
竜牙:「うおっ!急に泣き出すなよ・・びっくりした~。と、とにかく!お前を失いたくない・・。いなくなることを想像しただけで、胸が張り裂けそうになるんだよ。」
夏海:「ふつーどさくさにまぎれて返事返す?こんなのずるいよ・・。」
竜牙:「自然と出ちまったんだよ。」
夏海:「そういうことなら・・・許す。」
(私も・・そうだったから。)
夏海は涙を拭く。
夏海:「顔、上げよ!!」
竜牙:「なつ・・み・・?」
夏海:「まさかこれで終わるつもり?ちゃんと・・言い直して。」
ちらっ。
竜牙:「あ・・えっと・・その・・俺と・・付き合って下さい。」
夏海:「ずっと・・待ってたよ・・その言葉っ!」
ギュッ!
夏海は竜牙に抱き着く!
竜牙:「お、おい!人に見られ・・恥ずっ・・。」
夏海:「竜、顔ぐちゃぐちゃだよ~。」
竜牙:「いやお前が言うかそれ・・お前も大概だぃぃぃいいいっ?!」
夏海:「・・ぐちゃぐちゃで悪かったわね。」
竜牙:「痛ででっ・・!しゅ、しゅいましぇん・・・。」
竜牙の口から夏海は手を放す。
夏海:「これからは彼女・・としてよろしくね!」
竜牙:「お前、でも・・。」
夏海:「現在いまを楽しみましょ!私たち両想いになれたんだよ?今はそれだけで充分だよ!!」
竜牙:「・・そうだな、じゃあどっか飯食いにいこうぜ。」
夏海:「あら、どこに連れてってくれるの~?」
竜牙:「焼き鳥食べに行こうぜ、この先に美味いところが・・。」
夏海:「おっさんか!」」

55話/放てグラビティブレード!速水の思いを乗せて

司会:「あれから一週間の月日が経ちました、体力が万全に回復していない方も傷が完治していない方も中にはいらっしゃる事でしょう。ですがあまり時間を空けるのもあまり好ましくないと私共の上司が判断致しましたので、このままお2人の試合が終了次第、準決勝を行いたいと思います。どちらが勝ち上がっても連戦という形にはなりますが、予めご了承の上で戦っていただきます。」
山本がトーナメント表を電光掲示板に表示する。
ピッ。
スペード:「?!・・剣崎が不戦勝?」
司会:「はい。本日2戦目に行う予定であった木嶋夏海さん対剣崎竜牙さんの試合ですが、木嶋さんが諸事情により大会を辞退した為、この試合は剣崎さんの不戦勝となっております。よってこれから行いますお2人の試合が終了後、そのまま剣崎竜牙さん対足速師覇王さんの準決勝に移ります。」
スペード:「まじかよ・・なかなかハードだなこりゃ・・。」
竜牙:「気をつけろよ、相手は速水の仇だ。」
スペード:「・・ああ。」
(速水との約束だ、ここで奴を倒す。)
司会:「長らくお待たせ致しました。銀河スペードさんそして瓜生翔太さん・・スタジアムに上がってください。」
スペード:「お前が・・瓜生翔太か。」
瓜生:「ヒッヒッヒ・・お前はどんな味がするんだぁ?」
スペード:「聞いていた通りのイカレ野郎だな、お前の頭のネジ・・締め直してやるよ。」

スペード:「たしか院内のエントランスに・・・あ、速水!」
速水:「あ!銀河先輩っ!!」
スペード:「・・・・っ!」
(あいつ・・全身に包帯を・・。」
速水:「あ・・・あはは。びっくりしちゃいました?」
スペード:「・・・大丈夫なのか、本当に。」
速水:「ええ、まだ皮膚が空気に触れると痛みが走るんです。だからミイラ男みたいになってますけど、この通り、松葉杖を使わずともいくらか歩けるようになってきたので回復は順調です。」
スペード:「無理はするなよ。っても、呼び出したのは俺なんだけどさ・・なぁ、瓜生ってのは何者なんだ?俺当たるんだよ、2回戦であいつと。」
速水:「そういえば・・先輩はあの場にいませんでしたね、あの時。えっと一言で言うとサイコパスですよ、セイバーズとしてあの大会に出場しているのが不思議なぐらいに。」
スペード:「サイコパス・・。」
速水:「あいつは人を痛めつける快感に飢えています。己の私利私欲を満たす為のモノとしてしか他人を見ていません。銀河先輩、あいつはここで倒すべきです。あいつをセイバーズとして世に解き放ってはいけない!あいつは力の有り方を履き違えています。セイバーズの力は己の欲を満たす為に使っちゃいけない、誰かを守る為の力なんです!」
スペード:「は、速水、落ち着け・・。」
速水:「!・・・取り乱してすみません。」
スペード:「正義感の強いやつだ、安心しろ。放っから負けるつもりはねぇよ。だからこそ、あいつを倒すためにあいつの戦闘力を把握しときたかったんだ。」
速水:「わかりました。僕が知っている範囲であいつが使う技、戦闘スタイル・・すべて話します。」

司会:「それでは始めましょう、第七試合スタートッ!」
瓜生:「ヒヤッハァッ!!」
スペード:「!」
開始の宣言とほぼ同時に猛スピードで瓜生は突っ込んでくる!
スペード:「速水の言っていた通りだな、奥義・ライトニングエッジ!!」
スペードの腕が光だすと、だんだんと堅くなり、突っ込んできた瓜生を押し出す!
バシィッ!
瓜生:「うぐっ!カウンター攻撃・・。」
(僕の動きを予測してなきゃできない動きだ・・しかしなぜ僕の動きが読まれている?)
スペード:「なんだ?もう終わりなのか。」
ボソッ・・。
瓜生:「・・試してみるか。」
スペード:「?」
瓜生:「デスライトニングスピア!」
瓜生はあのサバイバルナイフのようなものを取り出し、スペードを突き刺しに来る!
スペード:(確か、初見のサバイバルナイフは囮・・この攻撃の狙いは、俺が奴の攻撃を交わした隙をついて貼り付ける電磁石だったはず。)
「超必殺技・アメイジングトルネード!!」
スペードは剣を振り下ろし、アメイジングトルネードを巻き起こす!!
ボォォウウウッ!!
瓜生:「ちぃっ!」
瓜生は後方に下がり、アメイジングトルネードを回避する!
スペード:「よし・・。」
瓜生:「・・・・。」
スペード:「やつの動きが止まった?」
瓜生:「デスライトニングキール!!」
瓜生がサバイバルナイフを投げつけるとそのサバイバルナイフが次々と分身し、横一列でスペードに向かっていく!!
スペード:「!・・サバイバルナイフが分身した?!」
瓜生:「さァ・・どう出てくる?」
スペード:「間に合え、超必殺技・アメイジングトルネード!!」
ボォォウウウッ!!
瓜生:「折り込み済みだぜ・・その動きはよォ!」
シュッ!
瓜生は何かを投げつけた!
その瞬間、分身していたサバイバルナイフの先端がくっつき、円形状の形になってそのまま回転していく!!
シュルルルッ!!
スペード:「なっ・・盾になっただと?!」
(逆回転でアメイジングトルネードの回転力を打ち消してやがる・・!)
瓜生:「僕のサバイバルナイフの先端は磁力を発している。ゆえに、僕がこのポケット電磁石を的確な位置に投げつけりゃ、こういう芸当もできるんだよォ・・ヒッヒッヒ。」
スペード:「厄介な・・!」
瓜生:「なぁおい・・攻略法が始めっから分かっているゲームは楽しいか?」
スペード:「・・!!」
瓜生:「一つの形にはまった動き・・同じプレイばっかやっても何も感じねぇんだよ!」
スペード:「コイツ、何を言って・・。」
瓜生:「デザート・・速水から何を仕込まれたかは知らねぇが、フェアじゃねぇよな。」
スペード:「っ・・!」
瓜生:「デザートをやる時に使用した技の時だけ反応が早い、手の内が分かっていりゃ次の手を打つのはそう難しかねぇ。僕が気づかないとでも思ったかァ?」
スペード:「気づいたか・・思ってたより賢いなこのサイコパス!」
瓜生:「僕の経験人数をなめるなよォ、安心しろ。一人では逝かせねぇからよォ、僕ちゃんのテクを見せてやる!ヒッヒッヒッ・・。」
ゾクッ!
スペード:「なんなんだ・・コイツ。」
瓜生:「X技・レッドアイズノヴァ!!」
スペード:「!あれが速水の言っていた血液を閉じ込めた球体!!」
瓜生:「デザートをビンビンに刺激した特大サイズだっ!」
スペード:「やばい、投げる気か!」
(フィールドワープ!)
シュッ!!
司会:「え?えええっ・・銀河さんと瓜生さんの姿が突如として消えました!」
竜牙:「スペードのやつ、まさかフィールドワープを?」
シュッ!
瓜生:「?!」
辺りを見渡した瓜生は驚きを隠せない・・。
スペード:「言っておくが、ここは活火山の真上だ。そんな液体ぶち込んだ火には大噴火だぜ?」
瓜生:「ぐっ・・!」
(なんなんだこれは・・幻術か?それともまさか、一瞬にして見知らぬ土地に飛ばされたとでも言うのか?!)
スペード:「チャンスだ!」
タッタッタッ!
瓜生:「!・・あいつ壁を走って?!」
スペード:「超グラビティブレード!!」
ズババッ!
瓜生:「ぐああああっ!!」
スペード:「ダメ押しの奥義・ライトニングエッジ!!」
ズバッ!
瓜生:「ぐあああっ!」
スペードの攻撃を受けた反動で瓜生の手からレッドアイズノヴァが火口に向けて落ちていく!
スペード:「やべぇ!フィールドワープ!!」
シュッ!
瓜生:「うおっ!!元の場所に・・。」
スペード:「ふぅ~間一髪だったぜ・・。」
司会:「うおっ?!2人が戻ってきました・・・どういうこと?!」
瓜生:「どうやらお前も特別な力を持っているようだなァ?」
スペード:「あ?」
瓜生:「人外もの同士、仲良くしようぜ・・。」
スペード:「あいにく、中身まで腐ちゃいねぇんだよ。お前みたいにな!」
瓜生:「・・・。」
シュッ!
スペード:「消え・・!」
ズババッ!!
スペード:「ぐあああっ!!」
(なんだ・・瞬間移動?!)
瓜生:「ヒッヒッヒ・・前戯は終わりだ。」
シュッ!
スペード:「!また消え・・っ。」
ズバババッ!!
スペード:「ぐああああっ!」
竜牙:「?スペードのやつ・・何を痛がってるんだ・・?」
覇王:「幻覚・・?」
竜牙:「うおっ・・覇王?!」
覇王:「遅くなった、速水の見舞いに行っていたもんでな。」
竜牙:「幻覚ってどういうことだよ?」
覇王:「奴は速水との戦いで幻間空間という技を使っていた。あれは対象相手の記憶に残っている人物を幻覚として再現できるらしい。速水からの情報だ、間違いないだろう。」
竜牙:「けどあいつ、その技を使っているようには見えなかっ・・あ!」
(いや・・観客席から確認できなかった戦闘がある。フィールドワープを使っている時に、その技を瓜生が発動していたとしたら・・。)
スペード:「がはっ・・!」
瓜生:「いぃ~いぃねぇ~。」
スペード:「げほっ・・。」
瓜生:「ぐふっ!いいよいいよ~血まみれになってきたねぇ・・もう少し俺好みに調教してやる。」
スペード:「あんまし・・調子にのんなよ。」
シュッ!
スペードが握っていたグラビティブレードが突如消えた。
瓜生:「?!」
スペード:「なるほど・・俺はお前の作った幻覚の中にいたわけだ。けど、それもここまでだ!」
シュゥゥ!
パシッ!
再び出現したグラビティブレードをスペードはキャッチする!
瓜生:「!・・なんだ・・幻間空間が解けた・・?!」
スペード:「くらえ!究極必殺技・ハイパープラネットノヴァ!!」
シュッ・・。

ドカァァァアアン!!!

スペードがグラビティブレードを振り下ろすと、地面がひび割れ・・スタジアムが崩壊していく!!
瓜生:「うわぁぁっ!!」
足場が崩れ、よろけた瓜生との間合いをスペードが詰めていく!
スペード:「フィニッシュだっ!」
ズバッ!
司会:「な、何がどうなったんだ!!」
竜牙:「な・・どうなってるんだ・・。」
覇王:「!あれを見ろ・・。」
覇王が指差すと、瓜生が地面の中に埋もれて気を失っている。
司会:「え、え~私の部下が確認したところ、瓜生さんの試合続行は不可能と判断致しました。よって勝者!銀河スペード!!」
スペード:「くそっ・・・準決勝までのとっておきだったんだけどな。まぁ背に腹は代えられないか。」
竜牙:「スペード!何がどうなってるんだ、説明しろよ!!」
スペード:「あ?なんでこれから戦うかもしれない人間に、隠し玉のネタバレしなきゃなんねぇんだ。まぁでも・・バレてどうにかなる技でもねぇか。俺の究極必殺技、その正体はグラビティブレードを一定時間、フィールドワープで宇宙に飛ばし、再び出現させることでグラビティブレードの重力を倍増させるフィールドワープの応用技なんだ。」
覇王:「!・・対象物だけのワープも可能なのか。」
竜牙:「グラビティブレードはただでさえ、2倍の重力がかかっている剣なのに・・それをさらに倍化だと・・!」
スペード:「簡単に説明すると、グラビティブレードにかかっている重力を宇宙空間で一度無重力状態にすることで、こっちに戻ってきた際に重力がどんとのしかかってくるわけだ。俺はその剣で瓜生を地面に叩きつけた、頭がい骨が割れてなきゃいいけどな。」
竜牙:「何つぅ~技だ・・。なるほど、使用者であるスペードはグラビティブレードがどれだけ重くなっても重さを感じない。とは言ってもなぁ、チート技だぜ。」
覇王:「技の特性を生かして生み出した新たな力というわけか、大したものだ。だが、なぜ最後に幻間空間で自分自身が幻覚を見せられていると分かったんだ?」
スペード:「フィールドワープはワープ先を頭の中に念写し、X軸とY軸を合わせることでワープ先との集点を合わせる。まぁ他にも色々と小難しい原理はあるが、ようはその軸が上手くかみ合わなかったんだよ。これは屋内でフィールドワープを発動した時に起こる現象なんだ。だからおかしいと踏んだ。可能性として頭に浮かびあがったのは、奴の幻間空間だ。第一、攻撃の手が速すぎる。恐らくは俺の視界に写っていた瓜生が幻覚で、本物の瓜生が俺の死角から攻撃を仕掛けていたんだろうぜ。」
竜牙:「そういうことだったのか。」
スペード:「予想以上に苦戦したが、負けるわけにはいかなかったからな、アイツにだけは。」

56話/目覚めた力は奇跡を起こす

司会:「これより、準決勝を行いたいと思います。順番は逆転しますが、銀河さんは先程までのダメージが残っていると思うのでしばらく体を休めてください。」
スペード:「な~にが体を休めてくださいだよ、どのみち一試合分の時間なんてたかが知れてるだろうが!」
竜牙:「まぁまぁ。-なぁスペード、白虎ってやつ・・まだ来てないぞ?」
スペード:「ああ、舐めた野郎だぜ。だが、奴は必ず時間内に来るはずだ・・優勝することに固執していたからな。」
覇王:「竜牙・・決勝ファイナルでお前と当たれなかったのが残念だよ。」
覇王はスタジアムに上がっていく。
スペード:「行くところまで来ちまったなぁ、相手はあの覇王だぜ?勝算はあんのか?」
竜牙:「んなもんねぇよ。強ぇ方が勝つ、それだけだ。」
竜牙はスタジアムに上がる。
覇王:「まさか準決勝セミファイナルでお前と当たることになるとはな、お前の本気をぶつけてこい。」
竜牙:「足速師覇王デューク・・お前を倒して俺はさらに強くなってみせる。」
司会:「それでは・・始めっ!」
覇王:「カイザーデルタブレイカ―!」
シュルルルッ!!
竜牙:「行くぞ、真ドラゴンソード!」
ズバッ!
覇王:「カイザーデルタブレイカ―を一刀両断・・!」
竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・バーストモード!!」
スタッ!
竜装を纏い、竜牙は地面を蹴り上げて覇王に向かっていく!
覇王:「超必殺技・プロミネンスカタストロフィ!」
ドカァン!ドカァン!
竜牙:「うおっ?!」
覇王が片手を握りしめると、竜牙の周囲で空爆が起きていく!
覇王:「動きが怯んだな・・くらえ!奥義・ロイヤルセイバー!!」
竜牙は方足を蹴り上げ、向かってくるロイヤルセイバーを蹴り上げる!!
バシィッ!
覇王:「っ!・・この動きは・・っ!!」
(フォルテ戦の時のオマージュ?!)
ロイヤルセイバーが空中を舞う中、ドラゴンソードを鞘に納め竜牙は半身の態勢を取る!
竜牙:「俺の間合いだ!Ⅹ技・ギャラクシーブレード!!」
スッ・・・ズババッ!!
覇王:「がはっ!!」
竜牙:「もう一撃・・っ!」
覇王:「させん!ロイヤルディフェンスッ!!」
カキン!
竜牙:「・・っ?!壊れたんじゃなかったか、その盾。」
覇王:「直したさ、コイツはマイフェイバリットアイテムだからな。」
竜牙:「くそっ・・んなこと聞いてねぇよ。」
(さすがに硬てぇ!・・正一のやつ、よくこんなものぶっ壊せたな。)
覇王は再び右手を鳴らす為、腕を上げる・・。
竜牙:「・・やべぇっ!!」
(ハヤブサランニングストーム!)
ドカァン!ドカァン!
覇王:「ちっ・・直前で回避したか。」
竜牙:「っ・・ぶねぇ・・。」
(覇王の攻撃は一撃一撃が高威力かつ、広範囲を狙える。迂闊に近づけねぇ・・!)
覇王:「よく避けたな、竜牙。」
竜牙:「ギリギリだったけどな、ハヤブサランニングストームの機動力を舐めんなよ。」
覇王:「試合続行だな、X技・・。」
竜牙:「X技・・。」
覇王:「エクストリームハリケーン!」
竜牙:「ギャラクシーブレード!」
シュッ・・ドカカカカッ!!
2人の技が激しくぶつかり合う!
覇王:「フォルテ戦の時より威力が上がってる・・こりゃあ驚いた。」
竜牙:「押し返してやるぜ、うぉぉぉぉっ!!」
ズズズッ・・!
竜牙:「ぐっ・・なんだ?俺の方が押されてる・・?!」
覇王:「大した威力だが、まだその剣の力を使いこなせていないようだな。」
竜牙:「なにっ?!」
覇王:「宝の持ち腐れだと言っている。」
竜牙:「はぁ?!さっきから何を言ってるんだ!」
覇王:「おらっ!」
ドカァアン!!
竜牙:「ぐあっ!」
(なんて威力だっ・・!)
覇王:「奥義・ロイヤルセイバー!!」
ズババッ!
竜牙:「ぐああっ・・くっ!」
竜牙が顔を上げると覇王が目の前まで走ってきていた!!
竜牙:「反応が追いつかない!」
覇王:「終わりだ、竜牙!」
竜牙:「くそっ・・ここで終わんのかよっ・・!」
?:「剣崎竜牙よ、今こそ我が授けた太陽と月の力を使うのだ。」
竜牙:「?!この声は・・ギャラクシーブレード・・!」
覇王:「何をぶつぶつと・・・くらえっ!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレード・ザ・ルナ!!」
ピカァァァアン!!
覇王:「うぐっ!眩っ・・?!」
竜牙:「動きが怯んだ!X技・ギャラクシーブレード・ザ・シャイン!」
シュゥツ!
ズバババッ!!
光り輝く刀身からオレンジ色の炎を灯したギャラクシーブレードは覇王の胴を切り裂く!
覇王:「がはっ!!」
ズザザザッ・・!
覇王は地面を後ずさりしながらも、踏ん張りながら態勢を立て直していく・・。
覇王:「このタイミングで剣の力を解放したか、やはり油断ならん相手だ。」
竜牙:「すげぇ・・これが太陽と月の力を宿したギャラクシーブレード!」
覇王:「このままあいつが技の使い方に慣れるとかなり厄介だ。」
覇王は白マントを広げ、ロイヤルセイバーをもう一本創り出す。
竜牙:「なっ・・?!」
覇王:「究極必殺技・シャイニングサンバースト!!」
覇王が2本のロイヤルセイバーでクロス字型に空気を引き裂くとものすごい速度で竜牙に空気圧が襲い掛かる!!
竜牙:「くそっ!交わせな・・!!」
ドッカァァアン!!
覇王:「・・!」
竜牙:「ごほっ!」
覇王:「ドラグアーマーで直撃を防いだか。」
(シャイニングサンバーストの特殊な斬撃は太陽光の力で斬撃の速度を底上げできる。押し出した空気圧は太陽光の紫外線が強ければ強いほどその反動はでかいものになる。いくら竜牙でも今の一撃を受けて今まで通り動けるわけがない。)
竜牙:「痛っ・・今のは効いたぜ。」
覇王:「?!」
竜牙:(あれをまた食らったらやばい・・けどつけ入る隙はあった。)
覇王:「構えをとった?!まさかシャイニングサンバーストの隙をあの一瞬で見抜いた?」
(いくら竜牙でもそれはあり得ない!・・とにかく次の攻撃であいつを戦闘不能にすれば俺の勝ちだ。)
竜牙:「いくぞ。」
ゾクッ!
覇王:「っ・・究極必殺技・シャイニングサン「おらぁぁっ!!」
竜牙はギャラクシーブレードを投げつけた!!
覇王:「なっ・・!!」
(剣を捨てた?!)
シュゥツ!!
覇王:「くっ・・バースト!!」
ドッカァァアン!!
覇王:「!・・竜牙の姿がない?!」
竜牙:「俺はここだ。」
覇王:「!」
シュッ!
覇王は慌てて振り返るが・・。
竜牙:「おらぁぁっ!」
バシィッ!
振り返ると同時に竜牙の拳が覇王の顔面を殴り飛ばす!
覇王:「ぐあっ!!」
竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!!」
覇王:「なっ・・!」
竜牙がそう叫ぶと、地面に突き刺さったギャラクシーブレードがらレジェンドラゴンが飛び出し、地面をえぐっていく!!
ゴゴゴゴゴゴッ!!
覇王:「うおっ?!・・くっ・・足場がっ!!」
スペード:「す、すげぇ・・!」
(あいつ、攻撃の主軸である剣を捨てることで覇王の隙をつくったんだ・・。一歩間違えれば形成逆転される捨て身の一撃をこの土壇場で・・!)
竜牙:(覇王、あんたは強い。相手が俺だったからか接近戦に持ち込まれないよう常に一定の距離をとっていたんだろ?そんなあんたに剣で攻撃しようとしても当たるはずがねぇわ、ただでさえ経験値の差で俺は劣っている。手だれの敵だからこそ戦闘の常識から外れなきゃ勝てないと踏んだんだ。)
覇王:「くっ・・!」
竜牙は覇王の両腕を押さえつけたまま、地面に押し倒す!
ドサッ!
覇王:「うぐっ・・!」
竜牙:「逃がすかよっ・・!」
覇王:「これは肩固めっ?!」
(腕で頸動脈を縛り上げて意識を奪う戦闘戦術。まさかこんな隠し玉を備えていたなんて・・迂闊だった!)
竜牙:「ハァハァ・・これでお前は身動きはとれない、観念しろ・・。」
覇王:「まだだぁっ!!」
覇王は片手を握りしめる!
竜牙:「くそっ、またあの技を・・!」
竜牙の手が緩んだ瞬間に覇王は竜牙の手を振りほどく!
覇王:「どけ!」
竜牙:「うわっ?!」
覇王:「これで形成逆転・・俺の勝ちだ・・。」
司会:「試合終了!勝者、剣崎竜牙!!」
覇王:「・・は?」
司会:「ご自分の足元を見てください。」
覇王:「・・・なっ?!・・・う、嘘だろ・・。」
竜牙:「スタジアム場外だ。俺が肩固めをお前に決めた時点で、お前はスタジアムの場外ギリギリの位置に倒れていたんだよ。」
覇王:「・・っ!」
スペード:「すげぇ!やったな、竜牙!!」
覇王:「俺の負けだ。見事にしてやられたよ、いい試合だった。」
竜牙:「悪りぃな、今はこんな勝ち方しかできない。けどいつか超えてみせるよ。」
覇王:「当たり前だ、ドラゴンソードを受け継いだ以上そうなってもらうわないとな。」
覇王はほくそ笑みながらスタジアムを降りて行った。
司会:「え~それでは、準決勝2戦目を・・あれ?白虎さんの姿が見えませんね・・。」
竜牙・スペード・覇王:「「?!」」
スペード:「あのヤロォ~どういうつもりなんだ?」
司会:「え、え~ともかく銀河さんはスタジアムに上がって下さい。」
スペード:「ちっ・・。」
白虎:「俺はここにいる。」
司会:「!いつの間に・・。」
白虎:「騒がせたな、遅くなってすまない。」
スペード:「すまない?準決勝まで勝ち上がったんなら、観客席でおとなしく待機してろ。覇王が勝とうと剣崎が勝とうと、お前が戦うかもしれない相手なんだぞ?」
白虎:「俺にも事情がある、他人にとやかく言われる筋合いはない。それにだ、これから俺に屈服する奴らの戦いなんぞ見て何になる?」
スペード:「て、てめぇ・・・!」
覇王:「大した自信だな。」
竜牙:「あ~いう傲慢な態度は気に入らねぇけどな。スペード!そんな奴に負けんじゃねぇぞ!!」
スペード:「言われなくてもやってやるよ!」
司会:「それでは・・始めっ!」
スペード:「おらぁぁっ!」
タッタッタッ!
白虎:「ほう、真っ向勝負か。嫌いじゃない!」
スペード:「超グラビティブレード!」
シュッ!シュッ!
スペードのグラビティブレードを白虎は鮮やかに交わしていく!
白虎:「いかに優れた剣でも当たらなければ意味がない。」
スペード:「くそっ、なんで攻撃が当たらねぇ!」
竜牙:「スペード!奴には特殊な目力がある、やみくもに攻めても攻撃は当たらないぞ!」


白虎:「言っただろ、俺の目は対象相手のあらゆる部位から目視し、相手の行動を読み取ることができると。これが俺の能力、死の目キラーアイズだ。」


スペード:「目力?!・・そういえば、コイツさっきからキョロキョロと俺の動きを観察して・・。」
白虎:(そういえば、こいつは本田と戦っている時、観客席にいなかったな。好都合だ・・。)
スペード:「-そういうことか。」
シュッ!
スペードは後方に下がり、白虎との間合いを取る。
白虎:「攻撃を止めた?」
スペード:「お前、呼吸や筋繊維の動きから俺の行動を予測しているんじゃないか?俺が手や足を動かすと同時にあんたの目が俺の動きとシンクロしている。」
白虎:「ほう。なかなか賢い男だ、さすがに準決勝まで勝ち上がっただけのことはある。」
スペード:(とはいえ、瓜生戦の時のダメージが残っている状態でどこまでやれるか俺も内心ヒヤヒヤなんだけどな。)

57話/決勝戦!のはずが・・・

白虎:「お前が攻撃を仕掛けてこないのなら、俺が動くまでだ。」
タッタッタッ!
白虎はスペードに近づき、拳を握りしめる!
白虎:「ビーストインパクト!!」
シュッ・・ドカァッ!!
スペード:「ぐはっ・・!」
白虎の重い一撃がスペードの腹を貫く!
スペード:「げほっ!」
白虎:「苦しそうだな。」
スペード:「!」
(上っ・・!)
シュッ・・ドカァッ!!
上空から振り下ろされた白虎の拳がスペードを地面に叩きつけた!
竜牙:「動きが・・見えねぇ・・。」
覇王:「スピードはHELLヘルフォルテ並み、恐るべし戦闘力だな白虎拳王。」
スペード:「うっぐっ・・。」
白虎:「動きに遅れが見える、前の試合でのダメージが残っているんだろ。大人しく棄権をしたらどうだ?」
スペード:「くそぉっ・・こんなとこで終わりたくねぇ・・!!」
白虎:「そうか・・おい司会!」
司会:「は、はい?」
白虎:「俺たちの前に行われた準決勝、その勝者をここに上げろ。」
竜牙:「?!」
司会:「な、何を言ってるんですか・・?!」
白虎:「フェアじゃないと言っている。だからこその提案だ、銀河スペードと先程の勝者2人がかりで俺と決勝戦を行うというのはどうだ?」
司会・竜牙・スペード:「「?!」」
覇王:「三つ巴の決勝戦を提案してくるとはな、お前たちも随分と舐められたものだ。」
竜牙:「ふざけやがって・・!」
スペード:「勝手なこと・・抜かしてんじゃ・・ねぇ!」
白虎:「事実、お前も先程の勝者も手負いだ。このような状態で勝敗が決してもお前たちにだって悔いが残るだろ?それにこれは試合の公平さを測るための提案でもある。」
スペード:「くっ・・。」
竜牙:「そういうことなら、俺は構わないぜ。」
スペード:「!お前・・なんでスタジアムに上がってんだよ!!」
竜牙:「その状態のまま奴と戦っても勝ち目が薄いことは自分が一番分かってんだろ?だったらここはあえて奴の提案に乗っかったほうがいい。俺たちにとっても悪い提案じゃないはずだ。」
司会:「私共としてもお三方が了承の上ならばそのルールを飲みましょう。」
スペード:「くそっ、やむを得ないか・・。」
白虎:「交渉成立だな、遠慮はいらん。全力でかかってこい。」
竜牙:「まだ戦えるか、スペード?」
スペード:「問題ない!」
覇王:「面白い展開になってきたぞ、ハンター。」
司会:「分かりました。ではこれより、決勝戦!銀河スペードVS白虎拳王VS剣崎竜牙の試合を行います。新規ルールとしてこの決勝戦は三つ巴戦とし、3人のうち2人が戦闘不能となった時点で終了となします、それでは・・始めっ!!」
スペード:「いくぞ、超グラビティブレード!」
シュッ!
白虎:「フン。」
パシッ!
スペード:「グラビティブレードを・・受け止めた?!」
白虎:「その技はもう見切っている。」
竜牙:「グラビティブレードには2倍の重力がかかっているんだぞ・・それを片手で?!」
白虎:「見せてやる、俺の力を。」
白虎:「X技・ザンバーストエックスッ!!」
ズバババッ!!
白虎は両手をクロス字型に構え、スペードをを引き裂いた!
スペード:「ぐあああっ!!」
白虎:「まずは一人・・奥義・グランド・オブ・タイガー!」
白虎が両腕を広げると、青い猛虎のようなオーラが浮かび上がり白虎に取りつく!
ビリリリッ・・!!
白虎:「くらえっ!!」
シュッ・・・ドカァァアン!!
スペード:「ごほ・・っ!」
スペードはその場に倒れる。
竜牙:「スペード!」
白虎:「次はお前だ、剣崎竜牙。」
竜牙:「なんだ今の技・・虎のオーラみたいなのが白虎に取りついた瞬間に、白虎がスペードを吹き飛ばしやがった・・!」
白虎:「アドバンスブラスト!」
竜牙:「うわっ?!」
ビッシュゥン・・ドカァアン!
竜牙:「危ねぇ・・気ぃ抜いたら口から光線が貫くってか?」
白虎:「アドバンスブラスト!」
竜牙:「真ドラゴンソード!」
ビッシュゥン・・ドカァアン!
白虎:(ドラゴンソードでアドバンスブラストを裂き、攻撃を弾いたか。)
竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!」
竜牙はドラゴンソードを思いっきり地面に叩きつけた!
ゴォォォウウッ!!
白虎:「!これは・・俺のグランド・オブ・タイガーのようなオーラの思念体?!」
(やつが発動したドラゴンのような思念体は憑依することで力を発揮するわけじゃないのか?いずれにしてもあんな化け物、当たればひとたまりもない!)
「究極必殺技・エンペラーブレイク!」
メリケンサックのように変化した白虎の右手がレジェンドラゴンを殴り飛ばす!
白虎:「フゥンッ!!」
シュゥツ・・バシィィィッ!!
竜牙:「なっ・・?!」
(レジェンドラゴンがパワー負けするなんて嘘だろ?!)
白虎:「ビーストインパクト!!」
竜牙が立ちすくむと同時に接近してきた白虎の拳が竜牙を殴りかかる!
シュッ・・ドカァッ!!
竜牙:「ぐはっ・・!」
白虎の重い一撃が竜牙の腹を貫く!
白虎:「この大会を制するのは俺だ。」

58話/相手の行動を読み取る死の目キラーアイズ

スペード:「くっ!・・けん・・ざき・・ぃ。」
竜牙:「げほっ、げほっ!負けっかよ・・散々コケにされて、ここで終われるかって話だ。」
白虎:「そうか。ならば俺が鉄槌を下すまでだ。」
シュッ!タッタッタッ!
スペード:「来るぞっ・・ごほっ!・・けんざきぃ・・っ!!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレード・ザ・ルナ!!」
ピカァァン!
白虎:「っ?!・・まぶっ・・!!」
竜牙:「俺はあんたを超えて、大事なモン守るためにもっと強くなるんだっ!!」
白虎:「俺の懐にっ・・!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレード・ザ・シャイン!!」
シュゥツ!
ズバババッ!!
光り輝く刀身からオレンジ色の炎を灯したギャラクシーブレードは白虎の胴を切り裂く!
白虎:「がはっ!!」
スペード:「チャンスだ・・剣崎っ・・受け取れっ!!」
竜牙:「?!」
スペード:「超グラビティブレード!」
シュッ・・ズバァッ!!
スペードがグラビティブレードを振り下ろすと地面を伝って竜牙の方に向かっていく!!
スペード:「俺の最後の力だ、あの舐めプ野郎を派手にぶっとばせっ!!」
竜牙:「ったく、一人でかっこつけてんじゃねぇよ。」
竜牙がギャラクシーブレードは地面に下すと、地面を伝ってグラビティブレードの力を吸収していく!
白虎:「痛っ・・?!」
(くそっ、さっきの目くらましで前がよく見えん!)
竜牙・スペード:「「合体必殺技・ダークネスギャラクシーブレード!!」」
シュッ!ズババババッ・・!
紫色に変化したギャラクシーブレードが白虎を下から切り裂く!!
白虎:「あががががががぁぁっ・・?!!」
ズバババッ!!
竜牙:「これが、俺とスペードの力だ!個々の力が微々たるものでも組み合わせることでその何倍にも跳ね上がる。俺たちの力を侮るな!」
白虎:「うぐっ・・・くっ!」
覇王:「ククッ・・あっははっ!まさかギャラクシーブレードにグラビティブレードの力を吸収させるなんてなぁ。これが、ハンターが使っていた時とは違う新しい可能性ってやつか!」
白虎:「調子に乗るなよ、まだ・・俺は・・戦えるっ!」
竜牙:「白虎、お前の勝利に対する執念は異常だ。何がお前を突き動かしてんだよ。」
白虎:「俺は勝利に執着しているわけじゃねぇ。」
スペード:「この大会の・・ごほっ、ごほっ・・賞金が目当てか?」
白虎:「その通りだ。」
竜牙:「てめぇ・・賞金に目がくらんでるだけじゃねぇか!」
白虎:「馬鹿言え!・・俺は弟の為に戦っているんだ。」

軌跡:「兄ちゃん、今日も武術を教えてよ。」
白虎:「本当にもの好きなやつだな、武術を教えてほしいだなんて。」
軌跡:「いいから、いいから!」
白虎:「じゃあザンバーストエックスという技を教えてやろう。」
軌跡:「ザンバースト?!かっこいいっ!!」
白虎:「じゃあいくぞ?」
二週間後。
白虎:「よし、やってみろ。」
軌跡:「うん!ザンバースト・・。」
?:「はぁぁっ!」
バシィッ!
軌跡:「うっ・・?!」
ドサッ!
白虎:「軌跡っ!お前たち、一体何なんだ?!!」
?:「コイツはいただいていく。この小僧の中にある闇の力は貴重だ。」
白虎:「ふざけるな、俺の弟を返せ!」
?:「ナイトメアチェーン!」
ジャラジャラッ・・。
謎の男が取り出したチェーンが軌跡を縛り上げていく!
白虎:「くっ・・なんだこの鎖は!」
軌跡:「兄ちゃんには触れさせない、絶対にっ!!」
軌跡は光り輝き、縛り付けられた鎖を強引に外していく!
?:「これは・・すごい!」
軌跡:「X技・ザンバーストメビウス!」
ドッカァァアン!!
?:「これほどまでとは・・やはり逸材だ。」
ピッ!
白虎:「なんだ・・体が動かねぇ・・!」
?:「超必殺技・パーフェクトタイム。軌跡くん、君の力を少しばかりいただいていくよ。」
軌跡:「・・・ばいばい、兄ちゃん。」
白虎:「何をする気だ?!や、やめろぉぉっ!!」
謎の男は軌跡の中に手を突っ込み、小さなエネルギー体を抜き取った。
軌跡:「・・あ・・・。」
ピッ。
時が元に戻る。
?:「じゃ。」
シュッ!
白虎:「軌跡ぃぃっ!」
タッタッタッ!
白虎:「おいっ!おい軌跡!!しっかりしろ・・。」
弟・軌跡は目を覚まさない。
白虎:「う、嘘だろ・・。う・・うわぁぁぁぁぁあああん!!」

竜牙:「そんなことが・・!」
白虎:「命に別状はない。だが軌跡はあの時のショックで体が麻痺を起している。治せないことはないが・・その為にはアメリカに飛び、手術を行う必要があると言われた。だがその金額はとても借金をして払えるような額じゃなかったんだ。」
スペード:「そこでこの大会の賞金か。」
白虎:「そういうことだ、分かったらさっさと負けてくれ。弟を俺は助けたい・・。」
竜牙:「そうだったのか・・。」
スペード:「おい剣崎、情に流されるなよ。お前がここで降伏する必要はない。」
竜牙:「降伏?ははっ、なぁ白虎・・大事な人を助けたいって気持ち、俺すっげぇ分かるぜ。けどな”共感”と”同情”は違うんだよ、ここに立った以上相手を地面に這いつくばらせた方が勝つ。俺もスペードもそしてあんたも、勝利条件はこれ一択だ!」
竜牙は拳を握りしめる!
白虎:「・・芯の通った強い意志をその目から感じる。どうやら、ここからが正念場のようだな剣崎竜牙。」
竜牙:「ああ、いくぜ白虎!」
白虎:「俺の真の力を見せてやる、死の目キラーアイズ!」
竜牙:「両目であの目を・・くっ!真ドラゴンソード!!」
パシィッ!
白虎はドラゴンソードを受け止めた。
竜牙:「超必殺技・ドラグアーマーバーストモード!!」
ボォォォウウ!
竜牙はドラゴンソードを振り下ろしている手と反対の手で炎の拳を繰り出すが・・?
白虎:「アドバンスブラスト!!」
ビッシュゥン・・ドカァアン!
竜牙:「くっ・・ゼロ距離射出・・っ!」
白虎:「奥義・グランド・オブ・タイガー!」
白虎が両腕を広げると、青い猛虎のようなオーラが浮かび上がり白虎に取りつく!
ビリリリッ・・!!
竜牙:「やべぇ!あの技だけは避けないと!!」
(イナズマドラゴン!!)
ズバッ!
竜牙はイナズマドラゴンを地面に叩きつけ、その反動で上空に飛び上がる!
竜牙:「よし!「何がよしなんだ?」」
竜牙:「!」
(グランド・オブ・タイガーの発動が・・フェイク?!)
白虎:「お前の行動はすべてお見通しだ。」
竜牙:「くそっ!ハヤブサランニングストーム!!」
(・・だめだ、空中だと思うように動けない!)
白虎:「無駄だ、ビーストインパクト!」
竜牙が回避するよりも素早い白虎の拳が、竜牙を地面に突き落とす!!
シュッ・・バシィィィッ!!
竜牙:「がはっ・・!!」
白虎:「X技・ザンバーストエックス!!」
ズバババッ!!
白虎は両手をクロス字型に構え、竜牙をを引き裂いた!
竜牙:「!・・・がはっ!!」
(駄目だ!こいつが俺の動きを読むスピードの方が圧倒的に速いっ!!)
白虎:「とどめだ、究極必殺技・エンペラーブレイク!」
メリケンサックのように変化した白虎の右手が竜牙を殴り飛ばす!
白虎:「フゥンッ!!」
シュゥツ・・バシィィィッ!!
竜牙:「・・・!」
声も出ないまま、竜牙はその場に倒れた。
スペード:「剣崎・・嘘だろ・・なぁおい!」
白虎:「手強い相手だったが、ここまでやればさすがにもう動けないだろう。」

「俺は・・負けたのか?」

「駄目だ・・意識が遠のいて・・。」

夏海:「竜!竜ってば!!」
竜牙:「夏海?お前どうしてここに?」
夏海:「竜、あなたはまだ戦えるわ。」
竜牙:「!」
夏海:「前にハンターから言われたでしょ?自分の身を守れなきゃ誰かを守るなんてできないって。立ちなさい!私がいなくなっても一人でモンスターを圧倒しちゃうぐらい、たくましい姿を私に見せてよ。」
竜牙:「夏海・・。」
夏海:「あなたなら大丈夫、だって私が認めた男だもん!信じてるよ。」
竜牙:「あ・・消えた?」
スペード:「おい剣崎。」
竜牙:「スペード?」
スペード:「負けんじゃねぇよ・・俺たちは負けていった奴らの思いも背負って戦ってる。あとちょっとで優勝なんだぜ?気張っていこーや。」
速水:「部長・・情けない姿を見せないでください。」
竜牙:「うおっ!速水・・スペードが消えたと思ったら・・。」
速水:「ネバーギブアップです。トロフィもって病院に足を運んでくれることだけを今は願ってます。」
小池:「剣崎。」
竜牙:「小池!」
小池:「ここで負けるのなら、所詮その程度の男だったというわけだ。口先だけの男じゃないのならそれを証明して見せろ!」

竜牙:「うおぉぉぉぉっ!!」
(そうだっ・・俺はまだ負けてないっ!)
白虎:「なっ・・・?!立ち上がっただと!」
竜牙:「ギャラクシーブレード!俺は勝ちたい!・・まだ負けるわけにはいかないんだっ!!」
覇王:「!なっ・・竜牙のあの目!)
(鳥牙の目と同じ・・あれは確か・・!)
ハンター:「ギャラクシーブレードが秘められていたすべての力を解き放とうとしている。そして、あの両目は伝説の剣舞眼!」
覇王:「ハンター、急に現れるな。心臓に悪い。」
ハンター:「ごめんごめん・・まさか決勝がすでに始まっているとは思わなかったからさ、到着が遅れちゃったけど・・これは・・。」
覇王:「ああ、竜牙の勝ちたい気持ちが奇跡を呼んだのかもしれない。」
ハンター:「剣舞眼を開眼するとはね。剣崎家の人間の中でも選ばれた者だけが使用できるあの目は、目視した対象物の弱点を見抜くことができる。さすがは鳥牙の弟と言ったところかな。」
竜牙:「これが今の俺が出せる100%だ!X技・ギャラクシーブレードTHEFAINALザ・ファイナル!」
バシュゥッ!ボォォォウウウ!!
ギャラクシーブレードの光り輝く刀身が太陽と月の力を同時に放出することで花火のように光弾ける刀身へと変化していく!!
竜牙:「くらえっ!!」
白虎:「無駄だ!いかに強力な技を発動しようと・・!」
ズバッ!!ズバッ!!ドカァアン!!
スペード:「は、なんだあの動き・・目で追えなかったぞ?!」
白虎:「お・・れの・・キラー・・アイズ・・で見切れないほど速い・・斬撃だなんて・・!」
バタン・・。
竜牙:「くっ・・。」
ガクッ・・。
竜牙はギャラクシーブレードを落とし、その場にひざを立てる。
竜牙:(これが・・全開放したギャラクシーブレードの真の力!)
スペード:「ははっ・・最後の最後で大化けしやがった・・こりゃ勝てないわ。降参ギブだ。」
司会:「試合終了ッ!!大接戦のセイバーズ全国大会を制覇して頂点に立ったのは剣崎竜牙さんだ!」
竜牙:「っしゃああああああっ!!」
白虎:「くっ・・くそぉっ・・!!」
(ごめんな軌跡っ!兄ちゃん・・負けっちまった。)
ハンター:「ははっ!優勝しちゃったよ、剣崎くん!!」
覇王:「おめでとう、竜牙。」
スペード:「へっ・・やるじゃねぇか。」
司会:「それでは、優勝した剣崎さんに一億五千万を贈呈したいと思います。」
山本:「おめでとう、ファイナルでの戦い・・実に素晴らしかったよ。」
竜牙:「や、山本さんが授与するんですね・・ハ八ッ・・。」
(しゃ、喋るんだなこの人。しかもさわやかイケメンボイス・・。)
山本が竜牙に賞金の小切手を渡そうとするが・・?
竜牙:「山本さん、お願いがあるんですけど。」
山本:「お願い?」
竜牙:「それ・・あいつに渡してほしんいです。」

59話/ここから始まる新たな物語 

山本:「白虎選手にですか?」
竜牙:「白虎!立てるか?」
白虎:「な・・何を言って・・!受け取れるわけがないだろ・・。」
竜牙:「バーカ。困っている人に手を差し伸べる、助け出す!それが俺のセイバーズとして闘う理由なんだよ。」
白虎:「!」
竜牙:「この金で救われる人がいるのなら救うべきだ、人の人生はその人が人として生きることで初めてそう呼べる。このお金でお前の弟の止まってしまった時間を動かしてやってほしい。」
白虎:「?!・・剣崎っ・・!くっ・・ぐぅっ・・うっ・・うっ!」
(一億五千万だぞ・・馬鹿ヤロォ・・!)
白虎:「本当に高校生かよ・・ありがとう・・本当にっ!ありがとうっ・・!!」
竜牙:「な、泣くなよ・・な、ほらハンカチ。」
白虎:「うっ・・うっ!」
スペード:「ま、お前らしい選択だな。」
ハンター:「うん、僕もそう思う。」
(分かっていても、これだけの大金・・普通の人間なら欲が出るものだ。それをこの子は・・。)
覇王:「あいつは救ったんだな、白虎もそしてあいつの弟のことも。」
ハンター:「うん、やっぱり彼をドラゴンソードの後継者に選んで良かったよ。」
竜牙:「・・夏海、俺優勝したぜ。」
炎斬:「おめでとう。」
竜牙:「正一?!お前っ・・怪我が・・。」
炎斬:「こんなの大した事ねぇよ、最後まで見届けさせろよな。いい試合だった、セイバーズとは何なのか。この大会を通して色々と教えてもらった。特に竜牙、お前にな。」
竜牙:「よせよ、俺は何もしてないさ。」
炎斬:「いや、救ったんだよお前は。少なくとも、白虎と俺は救われた。」
竜牙:「大袈裟だなぁ。大会は終わったんだし、お前もその剣・・姉ちゃんに返して来いよ。」
炎斬:「バカ、これは正式に姉ちゃんから譲り受けたものだ。だから俺、強くなるよ。とは言っても、俺は他県から来てっからなぁ。だからお前と一緒に戦っていくことはできねぇ。でも、戦う場所は違えど俺たちは共にモンスターセイバーズだ。またどこかで会うことがあればよろしくな。」
竜牙:「オウ。じゃ、今日がお前のスタートラインになるんだな。」
炎斬:「ああ。予選で一緒に行動できたのが竜牙で良かった、ありがとう。」
一方、その頃。
小池:「お前ら、俺を一体どうする気だ?」
?:「さぁね。」
?:「ま、おとなしくしていたほうがいいよ。小池共士郎。」
小池:「ちっ!何者なんだお前らは?」
(どのみち、この運送トラックの中じゃ扉をこじ開けて外に出ることもままならない。今は奴らから情報を引き出すしかない。)
?:「我らは闇の力を受け継ぎ、人の力を超越した超人の集団。組織の名はザーク。」
小池:「ザーク?」
?:「ククク、君を誘拐したのは他でもない。一つ、提案があってね。」
小池:「提案?」
それから一週間後・・。
医者:「白虎さん、弟さんの手術が無事成功致しました。」
白虎:「本当ですか?!あ、ありがとうございます!!」
軌跡:「兄ちゃん・・。」
白虎:「軌跡・・や、やったなぁぁっ!!」
軌跡:「うわぁっ!く、苦しいよ兄ちゃん・・。」
医者:「しばらくは検査入院で経過を見ましょう。」
白虎:「は、はい!」

竜牙:「白虎のやつから連絡があったんだ、弟の手術が無事に成功したらしい。」
スペード:「お前のおかげだな。ったく、お人よしにもほどがあるぜ。」
竜牙:「なぁスペード。」
スペード:「?」
竜牙:「あいつの弟・・軌跡くんをやった奴って何者なんだろうな。」
スペード:「気にしたってしょうがねぇだろ、俺たちは受験生なんだ。んなこといちいち気にしてられっかよ。」
速水:「それに今日は終業式ですからね!」
竜牙:「ああ、やっとこさ夏や・・。」
スペード・竜牙:「「?!」」
2人は慌てて振り返る。
速水:「お久しぶりです、部長、銀河先輩!」
竜牙:「速水っ!お前、もう大丈夫なのか・・。」
速水:「はい。ご心配をおかけしました、無事に退院です!」
スペード:「お前ぇ~連絡ぐらいよこせよな。」」
速水:「すみません、色々とバタついてて連絡をするタイミングがなかったものですから。それにしても部長、凄いじゃないですか!セイバーズ全国大会で優勝しただけでとどまらず、県大会でも優勝したんですね。部員の後輩たちから聞きましたよ!」
竜牙:「ま、まぁセイバーズの全国大会と比べたら剣道の県大会なんた大した事ねぇよ。防具つけてるだけで全然違うぜ。」
夏海:「随分と鼻高々だけど成績の方はどうなんでしょうね?」
竜牙:「うっ・・夏海・・。」
速水:「あ、そういえば先週の中間試験はどうだったんですか?」
竜牙:「え、え~っと・・。」
夏海:「はぁ~何この模試の結果。」
竜牙:「うぉぉい!人のカバンを勝手に開けるなっ!!」
夏海:「はい、速水くん。」
速水:「あ、ありがとうございます。」
竜牙:「勝手に渡すな!そして受け取るな!」
速水:「えっと・・これは・・。」
夏海:「赤点を取らなかったのが奇跡ね。」
竜牙:「うっせ!そういうお前はどうなんだよ!」
夏海:「はい、どうぞ。」
竜牙:「全教科95点以上?!」
夏海:「当然でしょ、ま・・ここで大学受験するわけじゃないんだけどさ・・。」
竜牙:「あ・・。」
スペード:「おい剣崎、本腰入れて勉強しねぇとマジで落ちるぞ?」
竜牙:「ハハ・・分かっちゃいるけどよォ・・。」
速水:「銀河先輩はどうだったんですか?」
スペード:「俺か?こんくらい余裕だ。」
夏海:「うわっ・・すごっ!何この点数の数々。」
速水:「ぜ、全教科・・95点以上・・。」
スペード:「当たり前だ、俺は東大を受けんだからよ。」
竜牙:「夏海と肩を並べる奴がいたなんて・・。」
夏海:「そ~いえば似たような成績表を見たような・・。」
桜:「麗華でしょ。」
夏海:「!・・ゆ、優香。」
竜牙:「桜・・。」
桜:「先輩もいたんですね・・ってか、やめましょうよ・・そ~いう雰囲気出すの。速水くんや銀河くんもいますし。」
桜は小声で竜牙にささやいた。
竜牙:「けど・・。」
桜:「そりゃあ振られた時はショックでしたけど、もう踏ん切りがつきました。あ!別れた場合はすぐに私の所にまで報告をしに来てくださいね。」
竜牙:「え?!い、嫌だよ・・仮にそうなったとしても、なんでそんな事をお前に報告しなきゃなんねぇんだ?」
桜:「そりゃあまだ未練があるからです。私、まだ諦めませんから・・先輩にゾッコンなのは夏海だけじゃないこと、忘れないで下さいね。」
桜は腫れている目元を隠すように小さくウインクをし、その場を立ち去った。
竜牙:「踏ん切りついてなくないか?それ・・。」
花音:「私がどうかしたのか?」
夏海:「あら麗華。」
スペード:「何のようだ、盗み聞きなんて感心しねぇぞ。」
花音:「バカだなぁと思いながら見てたのよ。だいたい、なんであんたこんな成績で得意げなの?東大行くんならこの程度の成績で満足しないでくれる?」
スペード:「うっせ!たまにはこ~いう余韻に浸るのもいいだろうが!」

覇王:「まさか全国大会を制覇しちゃうとはな。」
ハンター:「彼は強敵と戦うたびに僕らの予想を遥かに上回る速度で成長しているね。」
覇王:「そうでなくてはな、奴はギャラクシーブレードの力を完全開放しただけでなく、あの剣舞眼の力に目覚めた。このペースであいつが成長してくれれば、あのデストロイヤをの討伐も夢ではないかもしれん。」
ハンター:「そうだね。あ、今大会の結果なんだけど。麒麟には運営の方々が報告しているみたいだよ。」
覇王:「あいつらは何者なんだ?」
ハンター:「彼らの正体はセントラル王国の兵隊さ。国王が大会を開くにあたって、人手が足りないだろうと気を利かせて派遣してくれたんだ。」
覇王:「そうだったのか。」
ハンター:「ところで覇王、目ぼしいセイバーズはいたかい?」
覇王:「希未さんの弟である炎斬正一、竜牙たちと同じく光ヶ丘出身の白鳥百合花そして・・。」
ハンター:「本田雷攻くんかい?」
覇王:「ああ。体内で電気エネルギーをつくりだし、放出できる力の持ち主。奴の強みは武器を使わずとも力を発揮できるところにある。」
ハンター:「まぁだけど、彼の力をまだ僕らも把握できていない。どこまで自身の力を制御できるかも分からないし、とりあえずは目を光らせておこうかなって感じだよ。」
覇王:「その本田なんだが、さっき俺に連絡があった。」
ハンター:「?」
翌日。
竜牙:「さ!毎年恒例のオーロラ島だぜ!!」
速水:「僕もアメリカに行く準備を着々と進めています。」
竜牙:「今年も行くのか?」
速水:「はい!」
竜牙:「去年はなかなか賑わっていたんだぜ?」
速水:「幼馴染みの面子で集まったんですよね?」
竜牙:「いや、去年は俺と夏海に加えて桜、勇太郎、橘と結構大人数でオーロラ島に行ったんだ。」
速水:「へぇ~それはだいぶ盛り上がったんじゃないんですか?」
竜牙:「まぁな。けど今年は厳しいだろうなぁ、みんな受験を控えてるし。」
速水:「となると・・。・・!高校最後の夏に間違い・・・とか起こさないで下さいよ?」
竜牙:「おい待て。何を想像したんだ、んなこと起こさねぇよ!だいたい恒例行事ってやつだ。中三の頃も受験お構いなしにオーロラ島に行ってたしな。」
速水:「えっ・・部長が?それで受験、大丈夫だったんですか?」
竜牙:「うるせー!夏海に教えてもらいながらこれでも勉強したんだよ、一応な。」
速水:「へぇ~。」
竜牙:「にやけんな!」
生徒会室。
夏海はカレンダーを見て呟く。
夏海:「オーロラ島か。」
(朱里との決着をつけなくちゃいけないわね。)
桜:「な~つみちゃぁ~ん!」
夏海:「ト〇ロのさ~つきちゃぁ~ん!みたいな呼び方止めてくれる?」
桜:「今年も付いていきたいなぁなんて言ってみたり・・。」
夏海:「断固拒否するわ。」
桜:「え~なんでよ~!」
夏海:「当たり前でしょ。だいたい、あなた模試の結果だってひどかったじゃない!勉強しなさいよ!」
桜:「なっ!いいじゃん!行きたい行きたい行きたい!!」
夏海:「駄々をこねないの!」
花音:「騒がしいぞ、どうした?」
夏海:「あ!生徒会の議事録、持ってきてくれたの?」
花音:「これぐらいお安い御用だよ。」
桜:「麗華~夏海がいじめるぅ・・。」
花音は冷めた目つきで桜を見つめる。」
花音:「あ~よしよし、優香が悪いんだね。」
桜:「待って!」
花音の手を桜は振りほどく。
桜:「慰めてないよね?私が悪いって決めつけてない?!」
花音:「生徒会室で夏海とお前が口論している時は、だいたい高確率でお前が悪い。」
桜:「ひどい!」
夏海:「もう諦めなさい、優香。」
桜:「否定して!」
花音:「待て。私は優香に諦めろとは言ってない。」
夏海:「は?」
花音:「面白そうじゃないかオーロラ島。」
夏海:「なんで興味津々なのよ、まさかとは思うけど麗華?」
花音:「あの子は私が責任をもって目を光らせて置く。だから私たちもオーロラ島に連れてってよ。」
夏海:「な・・なんでそうなるの?」
夏休み、オーロラ島出発当日の朝。
竜牙:「ゴホン!夏海、ちょっといいか?」
夏海:「な、なに?」
竜牙:「なんだあの集団は?」
夏海:「見覚えのある顔ぶれよね。」
竜牙:「そういう事は聞いてない。なぜみんなキャリーバックを持ってきてる?」
夏海:「ってお互い様じゃない!なんで市原くんたちもいるのよ。」
竜牙:「振りほどけなかったんだよ。」
メンバー
剣崎竜牙(元から。)
木嶋夏海(元から。)
桜優香(行きたいって駄々をこねた。)
市原勇太郎(神谷さんと会いたいと聞く耳を持たなかった。)
橘一(木嶋さんが行くなら俺もと引っ付いてきた。)
銀河スペード(興味本位で付いて来た。)
花音麗華(興味本位で付いて来た。)
白鳥百合花(どこから情報が漏れたのか、オーロラ島に竜牙たちがいく事を小耳に挟んで勝手に荷物まとめて付いて来た。)
足速師覇王(オーロラ島を調べたいんだと。)
本田雷攻(同じく。)

竜牙:「いやいや、覇王や本田は飛行機取って自分の足でいけよ。」
夏海:「ってかなんで白鳥さんまでいるのよ。」
竜牙:「・・・。」
夏海は竜牙を睨む。
竜牙:「俺に聞くな!」
夏海:「はぁ~せっかく二人でオーロラ島にいけると思ったのに。」
竜牙:「別にいいじゃねぇか。」
夏海:「別にって・・!」
竜牙:「だって俺とお前の関係は去年とは違うんだ。」
夏海:「あ・・。」
竜牙:「一緒にいられる時間はあんまねぇけど、楽しい旅行にしような。」
夏海:「ありがとう・・竜。」
白鳥・桜:「ハイハイ、そこまで~。」」
夏海:「ちょっ!何なの、あなたたち!」
白鳥:「会長、プライベートジェットまで案内してもらえますかー?荷物置きたいんですけどぉ。」
桜:「あと、こういう公の場でイチャイチャするのはやめてくださいー。他のお客様のご迷惑になるのでお控えくださいー。」
竜牙:(ぼ、棒読み・・。)
2人は竜牙と夏海の間に割って入っていく。
夏海:「ちょっ!はぁ?普通に会話してただけよ。」
桜:「うるさい、目に止まるんだから仕方ないじゃない。それにしても百合花ちゃん、気が合うわね。」
白鳥:「先輩の貞操は私たち2人で死守しましょう!」
夏海:「うぐっ・・・やな2人が手を組んだわねぇ~。」
橘:「剣崎ィィィィィ!俺は!俺は認めんぞ!!」
竜牙:「うるせぇ!何をだよ・・お前は夏海の父親か!」

こうして俺たちは高校生活最後の夏にもかかわらず、大所帯でオーロラ島に向かうことになった。けどこの時、俺たちはまだ知りもしなかった。影で蠢く新たな脅威が思わぬ方向から、少しずつ迫ってきているということに。

~to be continued


番外編05/憧れる先輩 もう一つの素顔!

光ヶ丘学院・剣道部前。

白鳥:「やっぱりかっこいいなぁ~剣崎先輩。」
真子:「行くよ、百合花。」
白鳥:「あ、うん。」
夏海:「竜!」
白鳥:「!あの人は生徒会長の。」
竜牙:「夏海?お前、生徒会の仕事は終わったのか?」
夏海:「うん、だから一緒に帰ろうと思って。」
竜牙:「その為にわざわざ?さてはお前、俺にファ〇チキ奢ってもらうために・・。」
夏海:「えへへ。」
竜牙:「えへへじゃないよ、お前小遣いもらってるだろ?」
夏海:「いいからいいから!早く着替えてきてよ!!」
竜牙:「ったく・・竹刀と防具片づけてくるから待ってろ。」
白鳥:「いいなぁ・・仲良さそう。」
真子:「ちょっと、百合花~?」
白鳥:「ってあれ?!真子、ちょっとまって~!」
その翌日。
白鳥:「ねぇ、真子ってこの学院の生徒会長のこと詳しい?」
真子:「え?急にどうしたの?」
白鳥:「いいから!」
真子:「ってかさ~木嶋先輩だよ?この学院に入っている人なら誰でも知ってる有名人でしょ。ほら、これ見てよ!これこの学院のパンフなんだけど、ここ!社長令嬢、容姿端麗な生徒会長、学年トップまでの道のり!こんな特集をされるぐらい凄い人なんだから。」
白鳥:「そういう外観的なことじゃなくて・・もっとこう芯に触れる部分をというか。」
真子:「は?ん~何でそんな事知りたいのかは分かんないけど、そういうことなら生徒会のメンバーに聞いてみたらどう?」
白鳥:「つまり次なる行き先は生徒会室か・・よし!」
白鳥は教室を駆けだす。
真子:「ーどうしたんだろ、百合花。」
生徒会室。
白鳥:「ここが生徒会室・・。」
桜:「あら?どうしたのあなた。」
白鳥:「あ、ここの生徒会の人に色々とお聞きしたいことがあって。」
桜:「私・・その生徒会のメンバーだよ?」
白鳥:「!」
桜:「初めまして、生徒会副会長の桜優香です。」
白鳥:「うわぁ、これがマジモンのゆるふわガールってやつですね!」
桜:「ゆる・・え?なんばいいよると・・?」
白鳥:「その!生徒会長と剣崎先輩ってお付き合いしていたりするんですか?」
桜:「・・は?」
白鳥:「付き合ってたりするんですか?」
桜:「ちょっ・・えええっ?」
(な、何よこの子。急に何を聞きだすかと思ったらめちゃくちゃプライベートな質問じゃない。)
桜:「え、ええっと・・夏海と先輩は幼馴染みというか・・。」
白鳥:「幼馴染み?あ、あ~なるほど・・そういう関係だったんですね。」
桜:「なんでそんなこと聞くの?」
白鳥:「私!先輩に憧れてるんです・・というか先輩に片思いしてるんです!!」
桜:「や、やっぱり・・。」
(くっ、昔の私を見ているようで直視できない。)
白鳥:「何がやっぱりなんですか?」
桜:「こっちの話よ、気にしないで。」
白鳥:「じ、じゃあ会長は別に先輩に特別な好意を寄せているわけではないんですね。」
桜:「え”?え・・い、いや~それはどうなのかなぁ・・あは、あはは・・。」
(い、言えない。この子の気持ちを考えると、夏海が先輩に片思いしているだなんて・・。)
白鳥:「え~どういう事ですか?」
桜:「ご、ごめんね。私、雑務があるの・・だからこれで!」
白鳥:「あ!ちょっ・・行っちゃった・・。」
白鳥がほっとして後ろを振り返ると、気配もなく立ち住む女性が眼鏡を光らせる。
カチャッ。(眼鏡を押し上げる上げる音。)
花音:「付き合っているわけではないが、夏海は剣崎くんに片思・・。」
白鳥:「え?」
桜:「~かぁぁぁあ!!」
遠くから叫び声をあげながら戻ってくる桜。
桜:「麗華ぁぁぁあ!なんて事を!!」
花音:「な、なんだ・・お、おい・・押すな!」
バタン!
生徒会室のドアが閉まり、騒がしかった廊下が一気に静まり返る。
白鳥:「な・・何だったの?」

白鳥:「良かった~付き合っているわけじゃないんだ。」
モンスター:「グガァァア・・。」
白鳥:「?・・気のせい。」
タッ・・タッタッタ!
白鳥は声のする方向に駆け寄る!
そこで目を疑う光景に出くわす。
白鳥:「な・・にコイツ・・。」
生徒:「た・・たすけ・・て・・。」
モンスター:「グガァァア・・。」
白鳥:「せ、先生に知らせないと・・で、でも・・!」
(その間にこの子がモンスターに襲われたりしたら・・ど、どうしたらいいの・・?)
竜牙:「大丈夫か?」
白鳥:「え?」
(この声・・まさか!)
竜牙:「ドラゴンソード!」
ズババッ!
モンスター:「グガァアアアァァッ?!」
竜牙:「今の内に逃げろ!」
生徒:「は、はいっ!」
白鳥:「け、剣崎先輩?!」
モンスター:「グアァアアアアアッ!!」
竜牙:「一太刀じゃ切れないか・・やっぱ手強くなってんな、モンスター!」
竜牙はドラゴンソードを鞘に納めてもう一度引き抜く!
ズバァッ!ズバァッ!!
白鳥:「う・・嘘。あの化け物をいとも簡単に倒しちゃった。」
竜牙:「ギャラクシーブレードの扱いにもだいぶ慣れてきたぜ。」
ハンター:「いやぁ、見事だったよ!剣崎くん。」
竜牙:「お前、討伐が終わった後にしれっと現れんなよハンター。前から言われてるだろ、心臓に悪いってよ。」
ハンター:「まぁまぁ、それより急がないと部活に遅れちゃうよ?」
竜牙:「あ!やっべぇ・・んじゃ、後始末頼むわ!!」
ハンター:「おや?」
白鳥:「あっ・・。」
ハンター:「君は?」
白鳥:「いや・・その・・。」
(見つかっちゃった・・!)
白鳥:「剣崎先輩と同じ学院に通っている者です。」
ハンター:「ああ!剣崎くんと同じ学院の。あれ?でもここにいるってことは・・さっきの戦い、見ちゃった?」
白鳥:「えっと・・不可抗力というか・・。見ちゃいました、とても信じがたい光景だったので今でも本当に起こった出来事なのか分かりませんけど。」
ハンター:「そっかぁ・・あ、安心して!誰にも話さないって約束してくれるなら、それでいいんだ。ちなみに僕の名前はハンター、よろしく。」
白鳥:「白鳥百合花です。ってか、こんな話・・話したところで誰も信じてくれませんよ。」
ハンター:「それもそうだね。彼はね、あーいった怪物と戦う術を備えているセイバーズなんだ。だから、彼のような真似事はしたら駄目だよ。」
白鳥:「セイバーズ?何それ、カッコイイ!」
ハンター:「セイバーズっていうのは、さっきみたいな化け物・・モンスターって言うんだけど、そのモンスターを討伐する人の事を指すんだ。」
白鳥:「さ、流石は剣崎先輩・・そんな事もやっていたなんて。・・あの!」
ハンター:「どうかしたのかい?」
白鳥:「私もなりたいです!その・・セイバーズ?に。」
ハンター:「え?!」

番外編06/リリスと百合花、また会うその日まで

ハンター:「い、いやでもすごく危険だし・・剣崎くんだってようやくあのレベルまで上達したわけで。」
白鳥:「大丈夫です。私、努力や根性なら誰にも負けませんから!」
ハンター:「わ、分かった!分かったから・・。」
(グイグイ来るなぁ・・この子。)
白鳥:「本当ですか!」
ハンター:「うん。でもセイバーズになりたいのなら、まずは必殺技を身につけないと。」
白鳥:「必殺技?!どうしたらいいんですか?」
ヒュゥゥン!
ハンター:「風強っ!・・そういえば天気予報で言ってたね・・台風が近づいて・・うん?」
(白鳥さんの周りだけ風が吹いていない?これは・・。)
ヒュゥゥ・・。
白鳥:「風がやんだ・・。」
ハンター:「風だよ、白鳥さん!」
白鳥:「え?風邪・・?」
ハンター:「ジェスチャーしなくていいよ、その風邪じゃなくて風の方だよ。」
白鳥:「あ、ああ・・え?風ですか?」
ハンター:「そう!君は今しがた無意識のうちに風を操っていた。これを自由自在に使いこなせれば君の必殺技に繋げられるかもしれない!」
白鳥:「そ、そんなことできるわけが・・。」
ハンター:「大丈夫。明日はお休みだよね?またこの場所に来てくれるかい?」
白鳥:「あ・・はい。」
そして・・。
白鳥:「言われたとおりの時間にやってきたのに・・誰もいない。」
リリス:「あなたが百合花ね。」
白鳥:「!・・誰?!」
シュルル・・!
白鳥:「うわっ?!か、風がっ・・!」
リリス:「私の名前はリリス。百合花、あなたの指導者になるようお願いをされてはるばる日本までやって来たの。」
白鳥:「え?じゃあハンターの仲間なの?」
リリス:「そういう事。それじゃ、さっそく練習に入るわよ。」
白鳥:「ど、どうするの?」
リリス:「まずは黙想ね。」
白鳥:「黙想?」
リリス:「そう。黙想で目を閉じて、聴覚で風を感じるの。」
白鳥:「そ、そんな事できるの?」
リリス:「物は試しよ、やってみさない。あなたの素質がこれで分かるわ。」
白鳥:「や、やってみる・・。」
白鳥は黙想をした。
シュゥゥゥ・・。
白鳥:「な、ナニコレ・・。色んなところから風の音が聞こえる。」
リリス:「その風を手に巻きつけてみなさい。」
白鳥:「えっ・・手に?」
シュルルル・・。
白鳥は糸を巻くイメージで黙想したまま風を手に巻きつけていく。
リリス:「今よ、それを投げなさい。」
白鳥:「えいっ!」
ズバッ!
リリス:「目を空けてごらん?」
白鳥:「えっ?!」
白鳥が目を開けると、目の前に真っ二つにキレた木の葉が複数落ちていた。
リリス:「これはあなたがやったのよ。」
白鳥:「わ、私が?!」
リリス:「素質有りね・・そして今使用した技は風を使う諸刃の刃、エアーカッター。」
白鳥:「すご・・私すごっ・・!」
リリス:「さ、これからもっと風を操れるように修行をしましょう。まだあなたはスタートラインに立っただけなんだから。」
それから数週間後。
白鳥:「できたよリリス!エアーカッターを複数個放ち、相手の自由を奪う私の新技、ムゲン・ザ・カッター。」
リリス:「随分と成長したじゃない、百合花。」
白鳥:「えへへ・・。」
リリス:「そんなあなたにいいお知らせがあるの。」
白鳥:「お知らせ?」
リリス:「明後日からね、セイバーズの全国大会っていうのがここから離れた場所で開催されるの。この短期間であなたも技の扱いに随分なれたみたいだし、力試しがてらこの大会に参加してみない?」
白鳥:「ねぇねぇ!もしかして剣崎先輩も出るのかな、この大会。」
リリス:「全国大会に彼が選ばれてないはずがないわ、出ると思うわよ。」
(なんせハンターのお気に入りだしね。)
白鳥:「だったら・・私も出る!」
リリス:「そういうと思ってエントリーしておいたわ。それじゃ、修行頑張ってね!」
白鳥:「えっ・・ちょっ!最後まで一緒に修行してよ、流石に話を持ち出しといて無責任じゃない?」
リリス:「もう私の役目は終わったわ。それにここから先は自分の手で己を鍛え上げていかないと、大丈夫よ、この短期間でここまで成長できたんだもの。」
白鳥:「・・お別れなの?」
リリス:「モンスターの動きが活発になっている以上、いつまでもここにはいられないわ。それに、また会えるわよ。」
白鳥:「え?」
リリス:「きっとまた会えるわ、あなたがセイバーズを続けていたらきっとね。」
白鳥:「・・私、もっと強くなるわ。そしていつか先輩と一緒に戦えたらいいなぁ。」
リリス:「下心見え見えなのはあえてスルーしておくわ。頑張ってね、新たな時代を担うセイバーズ。」
その後、白鳥はセイバーズ全国大会に参加し本選まで勝ち進んでいく・・。
司会:「あ~ゴホン!第三試合・・木嶋夏海さん対白鳥百合花さんです!」
竜牙:「出番だぜ、夏海!」
白鳥:「あの~?」
竜牙:「ん?」
夏海:「どうしたの、竜?」
竜牙:「あ、いや・・この人が・・。」
白鳥:「やっぱり!剣崎先輩ですよね?」
竜牙:「えっと・・君は?」
白鳥:「あ!ご挨拶が遅れました、光ヶ丘学院二年の白鳥百合花っていいます!」
竜牙:「!お前、夏海の対戦相手の?」
白鳥:「良かった~人違いだったらどうしようと思ってずっと声をかけにくくて・・。やっとお話ができました!私、剣崎先輩に憧れてモンスターセイバーズになったんですよ~。」
竜牙:「俺に?」
白鳥:「剣道部部長でありながらセイバーズとしても戦っている姿に憧れてたんです!かっこいいです!!」
竜牙:「な、なんか照れるな。」
白鳥は目を輝かせて竜牙のそばによる。
白鳥:「先輩!せっかくこうして会えたんですし、一緒に写真撮りませんか?」
竜牙:「い、いや・・お前今から試合だろ?」
白鳥:「いいじゃないですか~。」
竜牙の左腕に白鳥が腕を巻きつけようとした瞬間、背筋に今まで感じたことのない殺気を竜牙は感じた。
ゾクッ!!
竜牙:「な・・んだ・・?!」
恐る恐る振り返る竜牙。
夏海:「随分と見せつけてくれるじゃない。」
竜牙:「いや、別に見せつけたりしているわけじゃ・・。」
夏海:「後輩にベタベタされて鼻の下伸ばしている先輩さんはちょっと下がっててもらえる?」
竜牙:「ご、誤解だって!」
白鳥:「あなたは生徒会長の木嶋夏海さん!あなたもモンスターセイバーズだったんですね!」
夏海:「あら、私のことも知ってるの?」
白鳥:「容姿端麗で学年トップの成績を誇る会長の事を、知らない学院の生徒なんて絶対いませんって!入学時のパンフにも生徒代表の声で名前と写真が上がっていたぐらいですし。」
夏海:「あら~私ってば有名人なのねー。」
笑っているが、声が震えている・・。お怒りのようだ。
竜牙:「し、白鳥?とりあえず、試合が始まるからスタジアムに上がれ!早く!はやくっ!!」
白鳥:「お、押さないでくださいよ先輩!わ、分かりました、行きますって!!」
全く、今思い返しても本選ではひどい目にあったわ。けど、この大会を機に剣崎先輩とその仲間たちあとついでに会長・・木嶋先輩と共に、私はこれからも戦っていくことになるんだけどそれはまた別の話!尺もなくなってきたし、まとめちゃいますか。私はこれからも先輩を追い続けるわ、桜先輩と共に!

桜:「え・・は?ちょっ、何この終わり方!」
白鳥:「えへへ。剣崎先輩の貞操は私たちで死守しましょうね!」

白鳥百合花過去編 THEEND
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