モンスターセイバーズ

短髪

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130話~139話 麒麟&デストロイヤ 最後の決戦編〈下〉

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130話/完全復活を果たしたデストロイヤ!

世界中で溢れ返る顔〇しのような容姿をしたモンスターたち、日本各地に存在するモンスターセイバーズ並びに日本の軍隊は総力を決してこのモンスターの討伐に励む。だが増え続けるモンスターの数に悪戦苦闘を強いられているのが今の現状だ。また時を同じくして天空階段、モンスターワールドではゾンビモンスターと交戦する夏海たちの姿があった。この異常事態に各々が持てる力のすべてを発揮し、己の守るべきものの為に今も尚戦っている。そんな中、この世界恐慌とも呼べるべき状況の裏では剣崎鳥牙の衝撃の過去が明らかになった。
桜:「じゃあセイバーズになったきっかけは竜牙と一緒ですね。」
鳥牙:「竜牙と?」
桜:「竜牙も幼馴染みである夏海を助けるためにモンスターと交戦したんです。その戦いがきっかけとなってモンスターセイバーズになったんですよ。」
鳥牙:「そうだったのか・・・。」
桜:「?」
鳥牙:「さて・・昔話はここまでだ。わざわざ俺のところにまで姿を見せにきたんだ、何か理由があるんだろ?」
桜:「・・竜牙に・・力を貸してあげて下さい!」
鳥牙:「向こうモンスターワールドに行ったのはあいつだけじゃない、そう簡単にやられはしないはずだ。それに俺は今回の一件に関して麒麟からの指示は受けていない、不必要に動けば危険リスクが伴う。」
桜:「そうじゃないでしょ!」
鳥牙:「?」
桜:「竜牙はあなたにとってたった一人の兄弟じゃないですか!」
鳥牙:「違うな・・俺とあいつに血縁関係は・・ない。」
桜:「あ~もう!やっぱり、ここに来て正解でした。」
鳥牙:「なに?」
桜:「あなたには剣崎家の血が流れています。」
鳥牙:「?!」
桜:「オーロラ島での震災の日の記憶・・あなたの中に残っていますか?」
鳥牙:「・・・いや・・何も思い出せない。」
桜:「そうでしょうね!あなたはあの日、重体で病院に搬送されたんですから。」
鳥牙:「なっ・・!」
桜:「その時に竜牙のお父さんがあなたに血を分けたんです。輸血ってやつですよ。」
鳥牙:「・・・まさか・・適当な事を!!」
桜:「確かに証拠はありません。ですが、おじいさんはそんな嘘をつく人じゃないと思います。それはあなたが一番よく知ってるんじゃないんですか?」
鳥牙:「じいちゃんが・・。」
桜:「あの日、あなたを助けたのはあなたのご両親だけじゃない。竜牙のご両親もあなたの為に動いてたんです!竜牙のお父さんが血を分けてなかったらあなたはとっくの昔に亡くなっています。偶然にも竜牙のお父さんとあなたの血液型が一致したんです。あなたは剣崎家の人に助けられて今もこうして生きている、一緒に過ごしてきたあなたたちの時間は偽りではなく確かにあった時間です!」
鳥牙:「っ・・!」
(だから俺は剣舞眼を開眼できたのか・・おかしいとは思っていたがまさか・・。)
桜:「だからあなたは竜牙のご両親に感謝することはあっても憎んじゃダメなんですっ!あなたの命は2方の両親が繋ぎ止めてくれたからこそ助かった命なんですから・・。」
鳥牙:「なんで・・なんでそこまでして君は・・。」
桜:「あ~もうっ!頭でっかちですね・・私は竜牙を助けたいんです。」
鳥牙:「竜牙を?」
桜:「身の上話にはなりますが実は私、昔は何をしても上手くいかない典型的なダメ人間だったんです。そんな私に竜牙は・・。」

桜:「私、駄目なの。本っ当に何しても上手くいかない、しょうもない女なんです。もう笑うしかないよねっ、あははっ!」
夏海:「さ、桜さん?それはち・・「なんで笑ってんだ?」」
桜:「え?」
夏海:「竜?」
竜牙:「自分で自分の事を馬鹿にするなよ!頑張って行動を起こした自分をなんで褒めてあげないんだ!」
桜:「っ・・!」
竜牙:「なぁ桜、俺は人生って戦いだと思ってる。どんなに上手くいかなくても明日は必ずやってくる。生まれてきた以上、毎日生きていく為に戦っていかないといけない。戦うことをやめっちまったら人として生きているとは言えないんじゃないかな。」
桜:「・・!」
竜牙は桜の背中に手を当てる。
竜牙:「七転び八起きだ。お前がどんな人生を歩んできたのかは知らねェけど、悔しいって思えるならこの失敗は無駄じゃないさ。俺は・・そう思ってる。」

鳥牙:「竜牙がそんな事を・・。」
桜:「あの時、竜牙がくれた言葉は今でも私に勇気をくれるんです。私にとって剣崎竜牙は私を変えてくれた大切な友人なんです・・だから!」
鳥牙:「・・・フフッ。」
桜:「な、何がおかしいんですか?」
鳥牙:「そっか・・。」
桜:「やっと口角が上がりましたね。」
鳥牙:「・・・。」
桜:「竜牙があの技を追いかけていたのは、いなくなってしまった鳥牙さんが成し遂げられなかった技だったからだと私は思うんです。鳥牙さんが長い年月を経て見つけた技を完成に近づける為のコツを自分が実践することで完成させる。そうすることで竜牙はあなたの努力が決して無駄ではなかったことを証明したかったんですよ。きっと竜牙は、今でもあなたのことをお兄さんとして尊敬しているんです。鳥牙さん、事態は急を要しています。竜牙に力を貸して上げて下さい、お願いします!」
鳥牙:「俺は・・。」

桜:「私には!!」

桜の大きな叫びが響く!
ビクッ!
鳥牙:「!」
桜:「竜牙や夏海と一緒に戦う力がありません。でも!私は私にできることを一生懸命やったつもりです、今度は鳥牙さんの番ですよ。このままご家族とすれ違ったままこの先の人生を送るつもりですか?明日を生き抜きたいなら今を勝ち取らなきゃ・・戦って下さい、鳥牙さん。お願いしますっ!!竜牙の力になってあげて。」
桜は頭を深々と下げる。
鳥牙:「か、顔を上げてくれ・・。」
桜:「・・。」
鳥牙:「参った。」
桜:「!」
鳥牙:「まさか年下の女の子に叱咤させられる日が来るなんて思わなかったな・・。」
鳥牙は桜に背を向ける。
桜:「鳥牙さん・・!」
鳥牙:「君を光ヶ丘学院まで送り届ける。安心しろ、君の強い思いは確かに受け取った。」
桜は満面の笑みを見せる。
桜:「あ・・ありがとうございます!」
鳥牙:「あまり時間はない、駆け足で向かうぞ。」
桜:「はい!」

デストロイヤエリア・玉座。
ハンター:「ハァ・・ハァ・・。」
デストロイヤ:「流石は三島和人といったところか、まさかゾンビモンスターを一掃してしまうとは。」
ハンター:「こいつらは屍だ、不死身とは言っても身体機能は並の人間以下・・当然、視力もね。」
(とはいえ隅っこに追いやっただけ・・こいつらは時間の経過と共にまた復活してしまう。)
デストロイヤ:「そこを強烈な光で突いたというわけか、考えたな。」
ハンター:「戦いを長引かせるわけにはいかないからね・・一気に「デスロシアンテール!!」」
シュルルッ・・!!
ハンター:「なに・・!」
巨大な尻尾がハンターを弾き飛ばした!
バシィィィン!!
ハンター:「ぐあああああっ?!!」
デストロイヤ:「挨拶代りだ、さて・・あの時の借りをここで返すとしよう。」
ハンター:「ごほっ・・!」
(臆するな・・僕がここで奴の重圧プレッシャーに押し潰されればその恐怖心をあいつはエネルギーに変えてしまう!)
デストロイヤ:「インフィニティヒドラ。」
デストロイヤが口を開くと強大なエネルギーが一転に集中していく・・!
デストロイヤ:「燃え尽きろ。」
ドカァァァァァアン!!
ハンター:「っ・・まずい!ガイアフォースリバースト!!」
ハンターが左手を前に突き出すとインフィニティヒドラの膨大な弾丸が少しずつ吸収されていく!
デストロイヤ:「フン・・そういえばお前は光を吸収し、己のエネルギーに変換できるんだったな。自ら光を放つこともできれば光を吸収し己のエネルギーとして変換することすることもできる太陽ガイアフォースの力。俺の力に負けず劣らずといったところか。」
ハンター:「ぐっ・・相変わらずなんて力だっ・・!!」
デストロイヤ:「だが・・いかに強力な力を持っていようと貴様は所詮人間。俺には遠く及ばない!」
デストロイヤはさっきのインフィニティヒドラを今度は少量コンパクト化し、複数の弾丸に変換して発射する!
バァン!バァン!バァン!!
ハンター:「駄目だ、狙いが定まらないっ・・!!」
(だったら・・!)
ハンターはオールデリートバリアを発動する!・・が・・。
ドカァァァアアン!!
ハンター:「ぐっ・・。」
土煙が舞う中、ハンターが姿を現す。
デストロイヤ:「防ぎきれなかったようだな・・ククク。」
ハンター:「痛っ・・!」
(まずい・・体が痙攣して思うように動かない。このままじゃ・・。)
デストロイヤ:「いいぞ・・・お前の体が俺に恐怖を感じているのが伝わってくる・・窮地に立たされた人間は俺の潜在能力をより高みへと引き上げてくれる!」
ハンター:「っ・・剣崎くん・・。」
夏海:「ハンター!!」
ハンター:「!木嶋さん・・な、なんで!!」
夏海:「ちょっと遅かったわね・・。」
スペード:「大丈夫か!」
白鳥:「ちょっ・・先輩、アレ・・!!」
夏海:「あいつが・・デストロイヤ!」
スペード:「巨大な・・竜?!」
白鳥:「あれがデストロイヤの正体・・。」
デストロイヤ:「ゾロゾロと・・面白い、次世代のセイバーズの力。俺に見せてみろ。」
白鳥:「っ・・!」
スペード:「なんつう威圧感だ・・。」
ハンター:「怯んでは駄目だ!あいつは人の感情を感じ取ることができる、特に・・人の恐怖心はデストロイヤが感知した瞬間、デストロイヤのエネルギーとして蓄積されその力がより強大になる。」
スペード:「なんだよそのふざけた力は・・。」
夏海:「気持ちで負けたらダメってことね。」
ハンター:「殺人鬼を目の前にして体が震えあがるのはごく自然なこと。危険感知が鋭い人ほどその恐怖心は計り知れないものになる。今、僕らが感じているものはそれと大差ない、全身で赤信号を発してるんだ。あいつは危険なんだって。」
夏海とスペードが息を飲む中・・両手を前に一人の少女が前に出る。
白鳥:「究極必殺技・サイクロンバズーカ!!」
ドカァァァン!!
スペード:「おま・・っ!話を聞いていたのか?!ちょっとは警戒しろって!!」
白鳥:「何言ってるんですか、こういうのは先手必勝ですよ。」
夏海:「2人とも構えて!」
スペード・白鳥:「「?!」」
インフィニティヒドラが白鳥のサイクロンバズーカの風圧を吹き飛ばしつつ突っ込んでくる!
夏海:「来るわよスペード!」
スペード:「わーってる!フィールドワープ!!」
シュッ!!
ドカァァァアアアアアアン!!
デストロイヤ:「・・消えた?」
(姿を暗ましたか・・だがあぶり出せばいいだけのこと。)

デストロイヤエリア・殺離さくりロード
スペード:「間一髪だった・・。」
ハンター:「ありがとう、木嶋さん。」
夏海:「お礼ならスペードに言って。私は何もしてないわ。」
白鳥:「でも、どうします?想像以上の化け物ですよ・・あいつ。」
夏海:「そうね・・白鳥さんのサイクロンバズーカは私たちの中でも殺傷力がある技なのにいとも簡単にパワー負けしてた。デストロイヤの力を前に正面切っても勝ち目は薄いわね。」
炎斬:「爆フレイムソード!!」
ズババッ!!
スペード:「!」
炎斬:「アレ・・銀河?」
スペード:「炎斬!」
炎斬:「みんなもここに飛ばされてたのか。」
白鳥:「大変なんですよ!」
炎斬:「え?」
スペード:「ああ、デストロイヤがこっちに向かってくるはず。」
炎斬:「?何があったんだ。」
小池:「粗方ゾンビモンスターは吹っ飛ばしたな・・。」
本田:「くそっ、無駄に体力を消耗した気がする・・。」
瞳:「でもこれで・・あれ、ハンター?」
木嶋:「小池くんたちもここに?!」
小池:「木嶋じゃないか・・それにみんなも・・。」
ハンター:「せっかくの再会の分かち合いたいところだけど、あまり時間はなさそうだ。」
小池:「?」
ハンターが上空に向けて指を差す。
瞳:「ちょっと・・空から何か降ってきてる!!」
ハンター:「デストロイヤの攻撃だ・・みんな伏せろ!!」

ドカァァアンン!!

炎斬:「ぐあああっ!!」
スペード:「クソォォォッ!!」
白鳥:「ヒィッ!!」
ハンター:「くそっ、無差別攻撃かっ・・!」
夏海:「私たちをあぶり出そうとしているわね・・っ・!」
本田:「どーすんだよ!このままじゃ・・。」
小池:「邪神・キングアンゴルモア!」
小池は巨大な隕石を複数個作り出し、デストロイヤの飛来弾を相殺していく!
本田:「!」
スペード:「サンキュー小池!」
小池:「だが長くは持たないっ・・今の内に打開策を・・!」
ハンター:「いや、下手に動かない方がいい。みんなで小池くんを援護しよう。」
白鳥:「え、ここから移動しないの?!」
ハンター:「これだけ派手な攻撃だ。僕らが無理に動かなくても覇王や神谷さんが気づかないはずがない。この攻撃を頼りに残りのメンバーがこっちに向かってくるはずだ。」
夏海:「なるほどね、確かに朱里がいればこんな攻撃・・。」
スペード:「それまでどうにか耐えきらなきゃいけないけどな。」
瞳:「私はやるわ、今できる最善の方法を全力で!」
夏海:「そうね・・こんなところでやられるわけにはいかない。」
本田:「っし・・。」
炎斬:「俺も行くぜ。」
夏海:(朱里・・お願い、早く来て!)

デストロイヤエリア・死の門。
神谷:「!」
覇王:「なんだ・・あれは・・!」
速水:「空から無数の弾丸が・・。」
覇王:「まさか・・デストロイヤの・・?!」
速水:「もしそうなら誰かが交戦しているのかもしれません。」
神谷:「そうね・・先を急ぎましょう。」

131話/幻の究極奥義・目覚める最強の竜牙!後編

スペード:「究極必殺技・ハイパープラネットノヴァ!!」
竜牙:「超必殺技・ドラグアーマールインモード!」
カキン!
スペード:「ぐっ・・マジか・・。」
(俺のグラビティブレードでも押し切れない・・なんつぅ鎧だ。)
竜牙:「スペード!」
スペード:「な、なんだよ・・。」
竜牙:「本気で来いよ・・じゃなきゃ俺がここにいる意味がない!」
スペード:「っ・・後悔すんなよ、言っておくけど俺たちの存在は幻術で生み出された幻覚だが俺たちが放つ攻撃は本物と大差ないぞ。」
竜牙:「おらっ!」
カキン!カキン!
スペード:「うわっ!」
竜牙:「死ぬつもりはねぇから安心しろよ。」
竜牙はドラゴンソードの矛先をスペードに向ける。
スペード:「へっ・・。」
スペードがグラビティブレードを高く上げる。
竜牙:「!」
スペード:「究極奥義!」
スペードの叫びと共にスペードの周辺の重力が軽くなり・・小石や砂利が舞い上がっていく・・。
竜牙:「グラビティブレードの周囲の重力が軽くなった?!」
スペード:「レッドクジャクバイオレンス!!」
ゴゴゴゴゴッ!!
スペード:「はぁぁぁっ!!」
スペードがグラビティブレードを振り下ろすと同時に軽くなった重力が一気に重くなり、舞い上がったモノ、周囲にある物すべてが地面に叩きつけられる!!
ドカァァァアアン!!
竜牙:「ぐおっ?!!」
(体が・・動かな・・っ!!)
竜牙の手元からドラゴンソードが離れる!
スペード:「目には見えない高速フィールドワープでグラビティブレードの周辺にある物を一瞬で上空に飛ばし、一瞬で元の場所に戻したんだ。この力こそクジャクの羽の如く広がる万有引力で強烈な重力を対象物に叩きつける俺の究極奥義の正体。重力が軽くなったわけじゃない、肉眼ではとらえられない高速瞬間移動に視界が追いつかず、物体が舞い上がったように見え、重力が軽くなったとお前は錯覚したんだろう。」
竜牙:「なんだ・・その物体の常識を覆した技は・・っ!」
スペード:「さて・・流石のお前もこの重力変化には体が耐えきれないだろ?」
竜牙:「くそっ!・・焚き付けておいてあれだがお前、やっぱ天才だわ。」
スペードは眼鏡を光らせ、指で上に上げる。
スペード:「今更だな、さて・・。」
スペードはゆっくりと竜牙の方に歩み寄る。
竜牙:「けどな・・。」
ビリリリッ!!
スペード:「痛っ?!!」
(なんだ・・足がしびれて・・っ!!)
竜牙:「へっ・・。」
スペードは膝をつく。
スペード:「どうなって・・。」
スペードは地面に突き刺さったドラゴンソードに気づく。
スペード:「まさか・・突き刺さったドラゴンソードを使って地面にイナズマドラゴンを流し込んだのか?!」
竜牙:「ご明察、ドラゴンソードは俺が触れていなくても技を発動できる。」
スペード:「クソ・・やってくれる。」
竜牙:「剣舞眼で見抜いたんだ、その技は確かに強力だけど強力な技ゆえに足下に注意が向きにくくなる。俺はそこを突かせてもらった。」
スペード:「っ・・。」
竜牙:「トドメだ、奥義・レジェンドラゴン!!」
竜牙がそう叫ぶと、地面に突き刺さったギャラクシーブレードがらレジェンドラゴンが飛び出し、スペードを飲み込む!!
スペード:「う・・うわぁぁぁぁっ!!」
スペードの幻覚は消えて逝った・・。
竜牙:「残りは覇王、朱里、小池、白鳥、夏海・・まだまだくたばるわけにはいかないな。」
覇王:「すでに4人の幻を消し飛ばしたか。」
神谷:「流石は竜くんね。」
白鳥:「私が見込んだ男ですからね、当然です!」
夏海:「いい加減銃口を突きつけるわよ?」
白鳥:「あれ?あれれれぇ~私たちが何の為に幻として生まれたのか分かってるんですかぁ?」
夏海:「この・・どこまでもむかつく後輩ね。」
小池:「剣崎、深負いをいたぶる趣味はないが悪く思うなよ。」
竜牙:「気にするな、全力で来い。」
小池:「ビースト細胞!」
小池の全身の細胞の色が変化し、小池の移動速度が上がる!!
スッ・・タタタッ!!
小池:「あの時の決着と行こうじゃないか。」
竜牙:「音速青龍ライトスピード。」
スッ・・。
小池:「姿を消したか・・だが、四聖獣の力を扱えるのはお前だけじゃない。」
竜牙:「ここだ!」
竜牙は小池の背後で姿を見せる。
小池:「後ろか!」
竜牙:「くらえ!ドラゴン・・「破壊白虎デストロイバースト!!」」
竜牙:「?!」
シュッ・・ドッカァァアアアン!!
小池の突きが繰り出されると同時に竜牙が勢いよく吹っ飛ばされた!
竜牙:「がは・・っ!」
(剣舞眼の認知が遅れた?!っつうかなんて破壊力だ!・・ルインモードを発動してなかったら全身の骨が砕けてた。)
小池:「これが俺の受け継いだ四聖獣の力だ。対象物に触れた瞬間、圧倒的な破壊力を生み出す。」
竜牙:「お・・おっかねぇ・・。」
小池:「剣舞眼でどこまで食らいつけるか見せてもらうぞ。」
(とはいえ、衝撃が強すぎて連発はできない。それに剣崎には剣舞眼がある・・あいつがこの事に気づいてないわけがない。)
竜牙:「ルインモードは長時間維持できない、突け入る隙があるとするなら・・攻撃の際に溜めをつくる技をあいつが発動する時!そこをオールクロスジェネレートを使って仕留めるしかない。破壊白虎デストロイバーストには最新の注意を払い、攻めるしかねェ。」
小池:「勝負の最中に考え事か?」
竜牙:「!しまっ・・。」
小池:「超必殺技・鬼ソウルブレイク!!」
バシィッ!!
竜牙:「ぐふっ・・!!」
小池:「まだまだァ!!」
小池は破壊白虎デストロイバーストの構えを取る!
竜牙:「そう何度も食らってたまるか!」
竜牙は態勢を低くして攻撃を交わす!
小池:「!」
竜牙:「真ドラゴンソード!!」
ズババッ!!
小池:「ぐあああっ!!」
竜牙:「ダメだ、不安定な態勢からじゃ致命傷は与えられないっ・・!」
覇王:「X技・エクストリームハリケーン!」
シュルルルッ!!
竜牙:「ぐあっ!!」
空中で回転する竜牙を容赦のない攻撃が追撃する!
覇王:「お前が目を向けるべき相手は一人だけじゃないぞ。」
竜牙:「くそっ・・ここで動いてくるか・・デューク!!」
タッ・・タタタッ!!
覇王はものすごい速度で竜牙に駆け寄る!!
竜牙:(覇王は小池と相反して距離を取った攻撃を主軸としている・・だからといって無闇に近づくわけにもいかない。忘れもしない全国大会の準決勝・・あいつにはプロミネンスカタストロフィがある!)
覇王:「奥義・ロイヤルセイバー!!」
竜牙:「覇王が半身になった・・今だっ!」
竜牙はドラゴンソードを鞘に納め、体を半回転させてロイヤルセイバーを交わす!
覇王:「なに・・っ!」
竜牙:「超必殺技・ドラグアーマーバーストモード!!」
ボォォォゥ!!
覇王の懐に入った竜牙は右手だけを部分武装し、炎を纏った拳で・・。
バシィィッ!!
覇王を突き飛ばした!!
覇王:「ぐはっ・・!!」
夏海:「あの動き・・!」
神谷:「さっきの小池くんの・・!!」
小池:「やってくれるじゃねぇか・・究極必殺技・激振滅!!」
バァン!
小池は拳を地面に思いっきり叩きつける!
竜牙:「ぐっ・・!!」
ゴゴゴゴゴッ!!
竜牙:「うおっ・・?!!」
(前に戦った時よりも激しい振動っ・・!これじゃ剣を抜くのもままならないっ!!)
小池:「終わりだ、剣崎。」
覇王:「究極必殺技・シャイニングサンバースト!!」
覇王は2本のロイヤルセイバーでクロス字型に空気を引き裂く。ものすごい速度で攻め込んでくる衝撃波は身動きが取れなくなった竜牙に追い打ちをかける!!
竜牙:「舐めるなァァァッ!!」
対する竜牙は奥歯をかみしめて、立ち上がり剣を引き抜く!!
小池:「なっ・・!!」
(立ち上がっただと・・!)
シュッ!


      ズバァァッ!!
竜牙の剣が音もなく小池を引き裂いた!!
竜牙:「究極奥義・・オールクロスジェネレート。」
小池:「流石・・だ・・・けんざ・・・き。」
小池は消えて逝く・・。
覇王:「いつの間に・・!」
(くそっ、切り返しが間に合わな・・!)
竜牙:「はぁぁぁっ!!」
竜牙のギャラクシーブレードが覇王に届こうとする・・その時!
夏海:「ハイパートリニティストーム!!」
竜牙:「!」
夏海の砲撃が竜牙を吹き飛ばした!!
ドカァァァァアアン!!
覇王:「助かったぞ、夏海!」
白鳥:「エグ・・あのタイミングでハイパートリニティストームを放つなんて。」
神谷:「当たり所が悪ければ即死ね・・彼氏を相手に随分と容赦のない攻撃を仕掛けるじゃない。」
夏海:「・・なるべく一撃で仕留めたかった。私は麒麟が生み出した幻でしかない・・でも私が撃つ攻撃は確実に竜にダメージを与えてしまう。それを承知の上で竜と殺し合いはしたくなかったの。」
神谷:「夏海っち・・。」
夏海:「それに・・多分竜はこの程度じゃ死なない。」
白鳥:「?!いやいや・・流石にあれを食らってそれはないと思いますよ。先輩の中で一番警戒が薄れていたのは木嶋先輩なはず。撃ってくるはずがないと思っていた相手がこの上ないタイミングで弾丸を撃ったんです。流石の先輩も・・・!」
白鳥の目に人影が写る。
白鳥:「う・・うそでしょ・・?」
竜牙:「間一髪・・っ。」
夏海:「!」
覇王:「・・あのタイミングで俺のマントだけを引き裂き、奪い取った白マントで爆風を防ぎつつ、地面にレジェンドラゴンを放ち、その反動を利用して半ば強引に爆風の外に飛び出したんだ。」
夏海:「・・・私の攻撃を認知してからだと取れない動き・・ということは最初から私の攻撃も警戒していたのね。」
竜牙:「ったりめーだ、お前は頭がキレるからな。むしろ覇王や朱里よりも警戒心向き出しだったぜ。案の定、とんでもない弾丸をブチ込んできやがって。」
竜牙は覇王の白マントを投げ捨てる。
竜牙:「言ったろ、死ぬつもりはねぇ。」
夏海:「全く無茶ばかりするんだから。」
白鳥:「な~にホッとしているんですかァ?殺るならちゃんと狙って下さいよ。」
夏海:「うっさいわね。」
竜牙:「無理もねぇよ、夏海は俺を守る為にセイバーズになったんだからな。」
夏海:「竜・・。」
竜牙:「思いの強さが力に比例する特殊な拳銃だったか?前にハンターからそう聞いた。夏海だって放っから俺を殺るつもりはなかったんだろ?だから俺は致命傷を受けていない、この程度の怪我で済んでいる。」
夏海:「っ・・。」
神谷:「夏海っち、ちょっと下がってなさい。」
夏海:「え・・。」
神谷:「私たちが竜くんにやられたら・・後はお願いね。」
夏海:「朱里・・。」
白鳥:「全くしょ~がないですね、元淫乱生徒会長さんは指を咥えて見てて下さい。」
夏海:「だ・か・ら!その卑猥な呼び方はやめてって言ってるでしょ!!」
神谷:「フフッ・・。」
夏海:「ちょっと!何笑ってんのよ!!」
覇王:「戦いの際中に緊張感のない連中だ。」
竜牙:(白鳥のおかげで夏海の曇った表情が晴れた・・前々から思っていたが白鳥は他人への気遣いができる子だ。思ったことをすぐ口に出すところは見受けられるが、困っている人への配慮に関しては天性の才能を持っているのかもしれない。)
白鳥:「な~に微笑んでるんですか、先輩。」
竜牙:「ん?」
白鳥:「今一度、自分の置かれている状況を整理した方が身の為ですよ。」
竜牙:「大丈夫、まずい状況なのは分かってる。」
神谷:「奥義・セラフィエンジェル。」
神谷の全身が光り輝き、そこから放たれる無数の光が竜牙を総攻撃していく!!
バァン!バン!バァン!バァン!
竜牙:「ぐあっ!!」
(くそっ!やっぱ朱里の広範囲攻撃には隙がない・・かといって俺の斬撃は朱里には届かないだろう。なんせ、距離を取った攻撃を得意としている白鳥に覇王が控えている。迂闊に近づけば一瞬で主導権を握られる・・どうすれば・・。)
覇王:「フッ・・。」
(そうだ、考えろ竜牙。そうでなければこの戦いは意味を成さない。)
覇王はロイヤルセイバーを発動し、構える!
竜牙:「!」
覇王:「究極奥義・クリムゾンロイヤルセイバー。」
シュッ!!
竜牙:「なっ・・!!」
夏海:「消えた?!」
ズバァァッ!!
竜牙:「!・・・っぐあっ・・!!」
覇王:「強く派手な技だけが究極奥義じゃない・・自分の最も得意とする攻撃を極限まで高めた技もまた究極奥義と成り得る。これが俺の究極奥義だ。」
竜牙:「ぐ・・っ・・。」
(ロイヤルセイバーにプロミネンスカタストロフィの爆発を付加させたのかっ・・空気を引き裂く諸刃の剣・・。)

俺じゃなかったら即死だった。


覇王:「お前・・ボディだけをルインモードにっ・・!!」
竜牙:「ごほっ・・!し、心臓は守り抜いたぞ・・残念だったな、覇王!」
覇王:「まずい・・竜牙を相手にこの間合いは・・!!」
竜牙:「X技・ギャラクシーブレードTHEFAINALザ・ファイナル!」
ズバァッ!!
太陽と月の力を纏った光り輝く剣が覇王を貫いた!!
覇王:「ぐふっ・・!」

竜牙:「奥義・レジェンドラゴン!!」
覇王:「なっ・・!」
竜牙がそう叫ぶと、地面に突き刺さったギャラクシーブレードがらレジェンドラゴンが飛び出し、地面をえぐっていく!!
ゴゴゴゴゴゴッ!!
覇王:「うおっ?!・・くっ・・足場がっ!!」
スペード:「す、すげぇ・・!」
(あいつ、攻撃の主軸である剣を捨てることで覇王の隙をつくったんだ・・。一歩間違えれば形成逆転される捨て身の一撃をこの土壇場で・・!)
竜牙:(覇王、あんたは強い。相手が俺だったからか接近戦に持ち込まれないよう常に一定の距離をとっていたんだろ?そんなあんたに剣で攻撃しようとしても当たるはずがねぇわ、ただでさえ経験値の差で俺は劣っている。手だれの敵だからこそ戦闘の常識から外れなきゃ勝てないと踏んだんだ。)
覇王:「くっ・・!」
竜牙は覇王の両腕を押さえつけたまま、地面に押し倒す!
ドサッ!
覇王:「うぐっ・・!」
竜牙:「逃がすかよっ・・!」
覇王:「これは肩固めっ?!」
(腕で頸動脈を縛り上げて意識を奪う戦闘戦術。まさかこんな隠し玉を備えていたなんて・・迂闊だった!)
竜牙:「ハァハァ・・これでお前は身動きはとれない、観念しろ・・。」
覇王:「まだだぁっ!!」
覇王は片手を握りしめる!
竜牙:「くそっ、またあの技を・・!」
竜牙の手が緩んだ瞬間に覇王は竜牙の手を振りほどく!
覇王:「どけ!」
竜牙:「うわっ?!」
覇王:「これで形成逆転・・俺の勝ちだ・・。」
司会:「試合終了!勝者、剣崎竜牙!!」
覇王:「・・は?」
司会:「ご自分の足元を見てください。」
覇王:「・・・なっ?!・・・う、嘘だろ・・。」
竜牙:「スタジアム場外だ。俺が肩固めをお前に決めた時点で、お前はスタジアムの場外ギリギリの位置に倒れていたんだよ。」
覇王:「・・っ!」
スペード:「すげぇ!やったな、竜牙!!」
覇王:「俺の負けだ。見事にしてやられたよ、いい試合だった。」
竜牙:「悪りぃな、今はこんな勝ち方しかできない。けどいつか超えてみせるよ。」

覇王:「・・フッ、見事だ。」
覇王の幻は笑みを浮かべそのまま消えて逝った。
竜牙:「俺の剣が・・覇王に届いた・・!」
白鳥:「まさか覇王を倒すなんて・・。」
神谷:「いくわよ、百合花ちゃん。」
白鳥:「はい!」
竜牙:「くる!」
白鳥:「究極奥義・クリアストームシンフォニー!!」
白鳥が両手を横に広げると空気が振動し、そこらじゅうで強風が吹き荒れていく!!
ボォォォォオォゥウ!!
竜牙:「うわっ?!!」
(これ白鳥が起こしてるのか?!強風で体が思うように動かないっ・・!)
白鳥:「この力は私の潜在能力を最大限に引き出す・・X技・ムゲン・ザ・カッター!!」
無数のエアーカッターが強風の中で不規則な動きをしながら竜牙を引き裂いていく!!
ズバッ!ズバッ!ズバッ!!
竜牙:「ぐああっ!!」
白鳥:「その強風の中だといかに素早い先輩でも身動きが取れないでしょ?そしてこの強風は私の攻撃を風に乗せ、殺傷力を上げる。この究極奥義こそ風を操る私が持てる力の全て!!」
竜牙:「すげェ・・すごいぜ・・っ!!」
白鳥:「風よ舞え!引き裂け、私のエアーカッターッ!!」
竜牙:「うぉぉぉぉっ!!X技・ギャラクシーブレード・ザ・ルナ!!」
ピカァァァアン!!
竜牙が剣を上に上げると、強力な光が白鳥の動きを止める!
白鳥:「っ・・眩しいっ!!」
(けど!)
白鳥は目を瞑り、スカイカリバーを発動する!
竜牙:「なに・・っ?!」
白鳥:「その力、使わせてもらいます!!」
スカイカリバーはギャラクシーブレードの月の力を吸収していく・・!!
竜牙:「ルナの力を・・!」
白鳥:「先輩!」
竜牙:「!」
白鳥:「戦いの中で強くなるのは先輩だけじゃありません、それを私がここで証明してあげます!!」
白鳥は目を開く!
白鳥:「奥義・ルナスカイカリバー!!」
白鳥の放った光り輝くスカイカリバーがクリアストームシンフォニーの中で乱回転しながら突っ込んでくる!!
竜牙:「う、嘘だろ?!くっ、やられる!!」
白鳥:「はぁぁぁぁっ!!」
ドッカァァアン!!
夏海:「り・・竜っ!!」
神谷:「・・・。」
白鳥:「ハァ・・ハァ・・。」
竜牙:「っ・・。」
白鳥:「流石の先輩も・・血だらけですね。」
白鳥は腹部を抑え、倒れ込む。
竜牙:「へっ・・強くなったな、白鳥。」
夏海:「!白鳥さんの腹部にドラゴンソードが突き刺さってる。」
神谷:「やられる寸前に交わせない、迎え撃てないと判断した竜くんは自らギャラクシーブレードを鞘に戻し、ドラゴンソードに戻してから百合花ちゃんに投げつけたのよ。それも剣舞眼でクリアストームシンフォニーの風が渦いてない箇所を見抜き、確実に百合花ちゃんを射抜けるルートでね。」
(咄嗟の判断力も大したものだわ・・けど剣舞眼を酷使しすぎね。その状態ももう長く保てないはず。)
竜牙:「ハァ・・ハァ・・後2人・・っ!」
白鳥は微笑む。
白鳥:「神秘の・・守り・・。」
白鳥は竜牙に神秘の守りを付加させる。
竜牙:「!」
白鳥:「出血大サービスです、後は頼みましたよ・・私の大好きな・せん・・ぱ・・い。」
白鳥の幻は消えて逝った。
竜牙:「ありがとう・・白鳥。」
神谷:「さて、ここからが正念場よ。」
竜牙:「ああ、まだ倒れるわけにはいかねェ・・痛っ!」
夏海:「!白鳥さんの攻撃であばらが・・。」
竜牙:「関係ねぇ・・よ。」
夏海:「まだ・・戦う気なの・・?!」

132話/小池の攻撃・覇王の防御

竜牙:「呼吸を整えろ・・体に負担をかけないように工夫するんだ。まだ戦いは終わってない!」
神谷:「X技・ホーリーブースト!!」
シュゥッ・・ズババァァァッ!!
神谷は両手から光の光線を放った!!
竜牙:「っ!」
竜牙は反復横跳びで右に移動し、ホーリーブーストを回避する。そして、地面に突き刺さったドラゴンソードを引き抜く!
神谷:「!」
竜牙:「痛てぇぇっ!!」
(くそっ、痛ってぇ・・っ・・歯を食いしばれっ、気持ちで負けるな!)
竜牙は痛みをグッとこらえ、ドラゴンソードを力一杯握りしめる。
竜牙:「けど・・どうする。朱里にはクロスアルカディアスがある、ドラグアーマーの炎もイナズマドラゴンもレジェンドラゴンもすべて消されるのが目に見えてる。かといってこの怪我で音速青龍ライトスピードは使えない、つまり接近戦に持ち込むことさえも絶望的だ。どうやって倒したらいいんだ・・っ!)
神谷:「竜くん、ここまでよくやったわ。けど、その快進撃もここまでよ。自画自賛するつもりはないけれど私は他のセイバーズと違う。」
竜牙:「違わねぇよ。」
神谷:「?」
竜牙:「確かに人知を超えた力をお前は持ってる。けど人である以上限界はあるはずだ、完璧な人間なんてこの世には存在しない。」
神谷:「・・お得意の剣舞眼で私の弱点を探るつもりなのかしら?」
竜牙:「そうしたいのは山々なんだけどな、そろそろこの目を休ませないといけないようだ。」
竜牙は剣舞眼を閉じ、目を開く。
神谷:(気迫だけで立っているのが向かい合うだけで分かってしまう。今の竜くんはもう戦える状態にない、私の攻撃の匙加減によっては即死だってあり得る。)
神谷は少しずつ竜牙に近づいていく。
竜牙:「!」
竜牙は神谷の動きに合わせて少しずつ距離を取っていく。

だが、彼女の射程範囲は人の目が届く範囲で収まらない。

神谷:「はぁぁぁっ!!」
神谷は片手を地面に叩きつけ、叫ぶ!
竜牙:「この構え!・・ゴットクライシスブラスター?!!」
(まずいぞ!今の状態じゃあんな攻撃交わせない!!)
空から大量のエネルギー砲が動けない竜牙に向けて容赦なく降り注いでいく!!
シュッ・・ドカァン!ドカァン!ドカァン!
夏海:「ヒッ!」
神谷:「これで・・私の役目は終わり。」
竜牙:「ゲホッ・・な、なんで・・。」
夏海:「?!」
(なんで生きて・・!)
神谷:「あなたにぶつけた弾丸だけはアルフォースゾーンのエネルギーを組み込ませてある。弾丸が命中したあなたの体は自然と自然治癒力が高まっていき、傷が少しずつ治癒されていくはず。」
竜牙:「どういうつもりだ?」
神谷:「今の状態で体にムチを打ってまで私に特攻していたら容赦なく殺すつもりだったわ。けど、自分の体の状態を把握し、今立っている位置から動かずに攻撃を当てる術をあなたは最後まで模索していた。合格よ、私の攻撃をすべて把握しているからこそできる警戒だと私は踏んだわ。追い込まれても尚冷静に分析する力はね、これからの戦いに必要不可欠な力よ。あなたにはその力があると判断したわ。どのみち戦いの続行は不可能でしょ?これ以上の戦いは必意味を成さないわ。」
竜牙:「朱里・・お前・・。」
神谷:「それに今のあなたと殺り合ったって勝敗は目に見えている。本物オリジナルの力じゃないからどこまで回復してあげられるか分からないけど、残っている私の力をすべて注ぎ込むわ。これから本物オリジナルの私たちと合流するんでしょ?どうせ行くなら万全の状態コンディションで向かいなさい。白鳥さんの神秘の守りが私のアルフォースゾーンの力を高めているからあまり時間は取らないはずよ。」
竜牙:「ってことは・・俺はここから出られるのか?!」
神谷:「ええ、よく頑張ったわね。」
夏海:「いいの朱里?」
神谷:「ええ、私たちはお役御免よ。見て見なさい、自分の体を。」
夏海:「!体が透けて・・。」
神谷:「お別れよ、竜くん。」
竜牙:「朱里・・。」
夏海:「竜。」
竜牙:「どうした?」
夏海:「私、竜と作りたい思い出がまだまだ沢山あるの。だから絶対に死なないで、みんなと一緒に必ず生きて帰って来て。」
竜牙:「!・・ああ、必ず生きて帰ってくるよ。この戦いだけは絶対に負けられねェんだ。」

デストロイヤエリア・殺離さくりロード。
小池:「何とか防ぎきったか・・。」
デストロイヤ:「ほう・・俺のファイナルデストロイヤを防いだか。」
小池:「!!」
本田:「空から何か来るぞ!!」
シュッ・・ドスゥゥンン!!
デストロイヤ:「鬼ごっこは終わりだ。」
ハンター:「デストロイヤっ・・!」
小池:「コイツが・・!」
炎斬:「っ・・なんだこの威圧感・・。」
スペード:「怯んだらダメだ、あいつは人の恐怖心をエネルギーに変えっちまうらしい。」
炎斬:「は?!い、意味が分かんねェ・・どういう原理だよ!」
スペード:「知るか!」
瞳:「あの時よりも遥かにデカい・・!」
(それだけ人の恐怖心をエネルギーに変換し、大きくなったってこと?!)
デストロイヤ:「インフィニティヒドラ。」
デストロイヤが口を開くと強大なエネルギーが一転に集中していく・・!
デストロイヤ:「くらえっ!!」
ドカァァァァァアン!!
ハンター:「くっ・・み、みんなっ!」
神谷:「な、なんとか間に合ったわね・・。」
デストロイヤ:「この半透明なドーム型の檻・・四聖獣、玄武の力か。」
ハンター:「それにしてもあの攻撃を防いだのか?!」
神谷:「ええ、これが私の持つ四聖獣の力、防御玄武パーフェクトシールド。」
デストロイヤ:「フン!雑魚が何匹増えようと俺の優勢に変わりはない。」
覇王:「分かっているな、これが俺たちの最後の戦いだ。持てる力のすべてを奴に叩きつけるぞ!」
デストロイヤ:「ゾークネスダブルウイング!!」
シュッ・・。
デストロイヤの背中にある巨大な翼が黒く光ると一瞬で覇王を引き裂いた!!
ズバァッ!!
覇王:「がはっ・・!!」
白鳥:「覇王っ!!」
デストロイヤ:「さァ・・開戦だ。」
覇王:「問題ないっ・・攻撃を叩き込め!」
速水:「氷河転結・絶対零度!!」
白鳥:「究極奥義・クリアストームシンフォニー!」
白鳥の風力に載った速水の攻撃がデストロイヤの翼を一瞬で凍結させた!
デストロイヤ:「ククク・・。」
速水:「翼は封じました!」
スペード:「ああ、追撃する。超グラビティブレード!」
炎斬:「っし・・爆フレイムソード!」
ズバッ!ズバッ!!
2人の刃がデストロイヤの右足と左足を引き裂く!!
デストロイヤ:「ぐあっ!!」
デストロイヤの態勢が崩れた瞬間を小池は見逃さなかった!
小池:「破壊白虎デストロイバースト!」
ドッカァァアアアアアン!!
小池の繰り出した正拳はデストロイヤの腹部を粉々に砕く!
デストロイヤ:「ぐぁぁぁああああああっ!!」
本田:「な、なんだ・・あの威力っ・・!」
瞳:「デストロイヤの腹部が粉々に砕けて・・!」
夏海:「まさかあれも四聖獣の力・・?!」
ハンター:「すごい力だ・・これなら!」
デストロイヤ:「ギガブラスターエンド。」
デストロイヤの背後で空気中の塵が光り出す・・。
ハンター「!まずい・・神谷さん、小池くんを守るんだ!!」
光出した塵が無数の砲撃の如く放出されていく!!
小池:「!!」
神谷:「間に合って、防御玄武パーフェクトシールド!!」
半透明の壁が小池への攻撃を遮断した!
小池:「た、助かった・・。」
神谷:「大丈夫みたいね・・それにしてもこれだけ高威力かつ広範囲を狙える技を間髪入れずに撃ってくるなんて・・。」
小池:「!あいつの傷が治っている?!」
小池の張り上げた声に合わせて全員がデストロイヤの方に目を向ける。すると先ほどまで与えたはずのダメージが見る見る内に完治されていく信じられない光景が目に映った。
全員が息を呑むなかハンターが口を開く。
ハンター:「デストロイヤが君たちの恐怖心をエネルギーに変えているんだ。圧倒的な移動速度に攻撃力、自然治癒力はそのエネルギーが原動力となって生まれている。」
夏海:「私たちが無意識の内にデストロイヤに力を与えてるってこと?!」
ハンター:「うん・・君たちはデストロイヤの圧倒的な存在感に気圧されているんだよ、攻撃に力が入り切れてないのが何よりの証拠だ。」
速水:「そんなこと言ったって・・。」
炎斬:「覇王を一瞬で仕留めたあの攻撃を見せられて気圧されするなと言う方が無理があるぜ・・。」
ハンター:「そうか!一番最初に覇王を狙ったのは君たちの中にデストロイヤは強敵、攻撃が当たれば即死っていう暗示を刷り込ませる為の一撃だったんだ・・流石に自分の力の使い方を分かってるね、厄介なことになった。みんなが攻撃を躊躇えば躊躇うほどデストロイヤがこの戦いの主導権を握ってしまうことになる。」
小池:「んなことさせねぇよ。」
タッ!
小池は地面を蹴り上げて突き進む!
ハンター:「!」
小池:「剣崎と約束したんだ・・。」
デストロイヤ:「愚かな・・真正面から突っ込んでくるとは。」
デストロイヤはインフィニティヒドラを放つ!
小池:「殺してしまった人以上の人達をモンスターから救うって。」
小池は左半身に体重を乗せてインフィニティヒドラを交わし・・。
小池:「だから!」
シュッ!!
ズバッ!!
デストロイヤ:「ぐああっ!!」
小池:「こんなところで殺られるわけにはいかねェんだ!」
スペード:「!あれは・・レバーフロー?!!」
夏海:「?!」
速水:「レバーフロー・・確か・・肝臓のあるポイントを狙い撃ちすることでまともに入ると対象相手を呼吸困難、もしくは立っていることが困難な状態に追い込むことができるボクシングの技です。」
小池:「まだだ!」
(レバーフローのフックは真横に打つと全く力が入らない。実際には半円を描くイメージで腰を使い、体重を乗せて身体の軸を中心に遠心力を応用し打たなければ力が入らない。拳を縦にし、ジャブやストレートと同じく第3の指の付け根を・・叩く!)
バァン!!
小池の強烈な下突きがデストロイヤのアゴを貫いた!
デストロイヤ:「ぐあ・・っ!」
小池:「ブラックエーストライアル・・常に自分を追い込み、一秒でも早く拳を放とうとする勢いで解き放つレバーフロー・・実際の試合で使えば一瞬で相手を死に追いやる俺の隠し玉にして最も殺傷力のある技だ。」
夏海:「すごい・・派手な技でもなく特殊な力でもない・・でも小池くんがボクシングをしている中で身につけた唯一無二の究極奥義・・。」
速水:「言葉では説明しづらいですが、レバーフローは基本的に溜めて打つパンチでジャブやストレートと違い、出が遅くなりがちです。身体を回転させないと威力が出ない為、構えでフックのモーションが見破られやすいのにも注意が必要な技なんです。にも関わらずあの速度で間髪入れずに二段階攻撃を行える小池先輩が異常なんですよ。きっと血の滲むような・・相当な鍛錬を積んで会得したんだと思います。」
小池:「俺は生きるぞ!殺めてしまった人の為にも俺を必要だと言ってくれた友の為にも!」
瞳:「共士郎・・っ。」
小池:「あの時死ななくて良かったと言えるような人生を俺は生きたい!!」
デストロイヤ:「ククク・・熱いねェ。」
小池:「?!」
デストロイヤ:「いやぁ効いたぜ、今の攻撃はよォ・・。」
小池:「っ・・流石に一筋縄ではいかないか。」
デストロイヤ:「・・・ククク、片腹痛いわ。どうやら俺とお前達の力の差がどれほど開いているのかを未だに理解してないようだな。少々遊びが過ぎたようだ。」
シュッ!!

バァアン!!
小池:「がは・・っ?!!」
瞳:「共士郎っ!」
夏海:「な・・何が起こったの?!」
デストロイヤ:「俺の前に立つな・・下等生物が。」
バシィィッ!!
小池:「ぐおおおっ・・!!」
デストロイヤの猛攻が小池を弾き飛ばした!
速水:「このままだと小池先輩が壁に激突しますよ!」
白鳥:「任せて!」
白鳥はクリアストームシンフォニーで小池を包み込む!
小池:「すまない、白鳥。」
白鳥:「無事で何よりです・・それよりかさっきの攻撃・・。」
瞳:「ええ・・全く見えなかった・・どんな攻撃をしたのかさえ分からない。」
本田:「やべェな・・目で追えねェと迂闊に近づけねぇぞ。」
ハンター:「僕らの動揺を誘って恐怖心を煽いでいる・・今、この瞬間も無意識の内に僕らはデストロイヤに力を与えているはずだ。」
デストロイヤ:「さて・・そろそろあいつが来る頃だ。お遊びはここまでにして場を整えるとするか。」
シュゥン!
夏海:「き、消えた!」
スペード:「くそっ!やられる前にやり返すぞ、目視して捉えることができないって言うなら広範囲攻撃で攻めるのみだ!」
神谷:「そうね、なるべくデストロイヤから距離を置いた方がいいわ。みんな、私の後ろに!究極必殺技・ゴットクライシスブラスター!!」
神谷が右手を下に下すと、空から大量のエネルギー砲が降り注いでいく!!
シュッ・・ドカァン!ドカァン!ドカァン!
スペード:「っ・・相変わらずなんつぅ無差別攻撃だ。」
速水:「けど、この攻撃なら!」
神谷:「・・・。」
デストロイヤ:「ククク・・。」
速水・スペード:「「!」」
デストロイヤ:「やるじゃないか・・小娘。」
白鳥:「嘘・・でしょ・・?」
夏海:「朱里の攻撃がまるで効いてない?!」
本田:「いや・・攻撃は確かに命中していたはずだ。考えられる可能性があるとすれば・・。」
本田はかつて交戦したダークモンスターを思い出す。

覇王:「お前たちに備わっている能力は自己再生じゃない、超活性だ。」
本田:「!」
覇王の言葉にダークモンスターたちは固まる・・。
覇王:「恐らく圧倒的な活性速度で自然治癒力を極限まで高めていたんだろう。だが、活性の力が発動するのは体の外部に支障が出たときだけ。そうだろう?つまり外部からの攻撃以外では活性の力は発動しない、お前たちの弱点は内側、分かりやすく言うなら体内ってことだ。本田の体内から発する電気エネルギーがヒントになった、礼を言うぞ、本田。」

本田:「超活性・・。」
奥歯は噛み締め、本田はつぶやく・・。
炎斬:「なんだよ・・その超活性って。」
本田:「あいつは驚異的な活性速度で自然治癒力を高めているのかもしれない。」
速水:「つまり・・攻撃は当たっているけどデストロイヤの回復速度が早すぎてダメージを受けた瞬間に回復しているってことですか?」
ハンター:「なるほどね・・可能性はあるよ。」
速水:「そんな・・。」
炎斬:「どうやって倒せばいいんだよ、そんな化け物!」
瞳:「ただでさえあいつの攻撃を見切れていないのに・・。」
デストロイヤ:「ククク・・お前たちの恐怖心を感じるぞ。そうだ、俺とお前たちの力の差はどうあがいても埋められない。これが現実だ、モンスターセイバーズたちよ。」
デストロイヤは巨大な翼を広げ、羽ばたく!
覇王:「まずい・・さっき俺を攻撃したあの技を!」
スペードがグラビティブレードを振り下ろすと同時に軽くなった重力が一気に重くなり、舞い上がったモノ、周囲にある物すべてが地面に叩きつけられる!!
ドカァァァアアン!!
スペード:「究極奥義・レッドクジャクバイオレンス!!」
デストロイヤ:「うぐっ!!」
(これは・・重力で体が地面に叩きつけられてっ・・!)
スペード:「簡単にやられるわけにはいかねェんだよ。」
炎斬:「そうだ・・俺は決めたんだ。姉ちゃんが命をかけて守り抜いてきたものを守る為に戦うって、こんなところで命を落とすわけにはいかない!X技・マキシマムロックブレス!!」
炎斬は両手をマグナハンドに変化させて、地面を叩き割る!
バシッ!!
ゴボゴボ・・・ボォォォォォウウ!!
カンケツセンのように地面から湧き出てきた炎がデストロイヤを下から押し上げていく!!
デストロイヤ:「ぐああああああっ!!」
(体が焼けるっ・・くそっ!メガネ男の重力のせいで体が想うように動かせない・・!)
炎斬:「お前ら!コイツに勝ちたいなら勇気を出して前に出ろ!!」
スペード:「そうだ!俺たちがコイツを押さえつけている内に!」
夏海:「2人とももう少し耐えて!ライトニングレーザー!!」
ビシュゥゥン・・!
デストロイヤ:「痛っ・・!」
スペード:「この弾丸は!」
夏海:「これでデストロイヤの動きは封じた、スペードも炎斬くんも攻撃に専念できるわ!」
白鳥:「さすが先輩!仕事が早いですね!!」
夏海:「とは言っても油断は禁物よ、覇王!」
覇王:「ああ、俺が突破口をつくる!」
覇王はロイヤルセイバーを発動し、構える!
デストロイヤ:「!」
覇王:「究極奥義・クリムゾンロイヤルセイバー!」
シュッ!!
ズバァァッ!!
電光石火の一撃がデストロイヤを貫く!!
デストロイヤ:「・・・っがは・・っ!!」
覇王:「続け!!」
速水:「ハヤブサランニング!」
炎斬は両手の手の平から炎を噴射する!
炎斬:「究極奥義・チェンジザバーナー!」
デストロイヤ:「近づけさせん!インフィニティヒドラ!!」
覇王:「うぉぉぉっ!!」
覇王はロイヤルディフェンスを持って速水と炎斬の前に立つ!
速水:「覇王さん!」
覇王:「うぐっ・・押し込まれるっ・・!」
ピキッ!
インフィニティヒドラを受けたロイヤルディフェンスにヒビが入っていく・・。
炎斬:「まずい・・覇王の盾がカチ割れるぞ!」
本田:「超必殺技・イナズマボルテッカー!!」
シュッ!ビリリリッ!!
猛スピードで駆けつけた本田が覇王の横に立つ!
本田:「究極奥義・インビシブルボール!!」
本田の右手はインフィニティヒドラの炎の中に入っていく!
覇王:「な、何を?!」
本田:「はぁぁぁぁ!!」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!バシィッ!
覇王:「!小さな球体で炎の中の粒子を閉じ込めているのか。」
本田:「流石は覇王だ・・大した観察眼だ。」
覇王:「イジゲンホールと仕組みが似ている。」
本田:「そりゃあそうだぜ、お前の技イジゲンホールをヒントに作り上げた究極奥義なんだからよ。」
覇王:「!」
本田:「・・よし、これでラストォォォッ!!」
バシィッ!!
デストロイヤ:「俺のインフィニティヒドラが消滅しただと?!何をしやがった・・!」
本田:「道は開けた、行け!」

133話/満を持して 剣崎鳥牙現る!

瞳:「究極必殺技・ゼロフェニックス!」
キシャァァァッ!!
紫の不死鳥が宙を舞う!
瞳:「はぁぁぁっ!!」
神谷:「X技・ホーリーブースト!!」
シュゥッ・・ズババァァァッ!!
瞳に続き、神谷は両手から光の光線を放つ!!
デストロイヤ:「馬鹿が、勢い余って相反する光と闇の力を同時に発動したか。互いの力を打ち消し合い不発に終わるだけだというのに。」
神谷:「しまった!」
瞳:「大丈夫よ、気にしないで。」
夏海:「朱雀無知エスパースラッシュ!」
夏海が叫ぶと神谷のホーリーブーストが瞳のゼロフェニックスを覆うように動きがコントロールされていく!
神谷・瞳:「「?!」」
夏海:「朱雀の力は念動能力サイコキネシス。付け焼刃程度の扱い方しか習得できてないけれど、これぐらいなら!」
デストロイヤ:「ちぃぃっ!また四聖獣の力か・・!!」
ドカァァアン!!
デストロイヤ:「ぐあああああああああああああああっ!!」
(なんだこの威力っ・・まさか2人が発動した技の力が均等になるように部分配分をしつつホーリーブーストの軌道も修正したのか?!何が付け焼き刃だ、どんでもない芸当を見せてくれる・・あの女!)
速水:「僕らのことも忘れないでくださいね!」
炎斬:「究極必殺技・オーバーヒートバースト!!」
ドカァアン!ドカァン!ドカァン!ドカァン!!
デストロイヤ:「ぐおおおおっ!!」
上体の崩れたデストロイヤの胴を速水がハイゼルセイバーで崩れていく地面に押しつけていく!!
速水:「究極奥義・ヘビィクロスエンド!」
デストロイヤ:「うぐっ!押し返す、デスロシアンテール!!」
バシッ!!
速水:「!嘘だろ・・僕のヘビィクロスエンドを弾き返した?!」
デストロイヤ:「まだ技が体に馴染んでない、いかに強力な究極奥義を身につけようと扱いきれなければ宝の持ち腐れだ。技っていうのは己の糧とすることで初めて真価を発揮する。覚えておくといい。」
速水:「くっそぉぉっっ!」
神谷:「速水くんのヘビィクロスエンドは装甲の厚い玄武にすら打撃を与えられる強力な究極奥義。デストロイヤの言うことも一理あるけど、デストロイヤの攻撃が速水くんの攻撃がクリティカルヒットする前に打ち返しているから威力が半減しているのよ。気にすることはないわ。」
速水:「っ・・。」
デストロイヤ:「こんなものか?まだキングダムセイバーズの方が俺と渡り合えていたぞ、なァ三島和人よ?」
ハンター:「人は人だよ、それに僕らは特殊な訓練を受けたハイソルジャーだ。元々の身体能力が違いすぎる。彼らはよく立ち回れている。この短期間にどれだけの鍛錬を積んだんんだろうね・・そんな彼らを僕は誇りに思う。」
デストロイヤ:「そうか・・ならこいつ等を後継者として選んだことを後悔させてやる。次世代のセイバーズたちの命と引き換えにな!」
ハンター:「まずい!神谷さん、特大の防御玄武パーフェクトシールドを!!」
デストロイヤ:「もう遅いっ!ファイナルデストロイヤ!!」

デストロイヤの叫びと共に空と地面から無数の黒い弾丸が出現し、セイバーズたちの体を一瞬にして貫いた。

夏海:「・・がはっ!」
スペード:「何が・・起こっ・・。」
速水:「体を弾丸が・・つらぬ・・。」
小池:「くっ・・・体が・・うごかない・・。」
本田:「んだこれ・・力が・・。」
白鳥:「やだ!わ・・し・・死に・・くな・・。」
炎斬:「ダメ・・だ・・血が・・抑え・・られ・・な・・。」
瞳:「ここまで・・きて・・こん・・な・・。」
覇王:「い・・しきが・・とんで・・い・・。」
神谷:「り・・ゅ・・く・・ん・・。」
ハンター:「み、みんなぁぁぁぁっ!!」
デストロイヤ:「これで場が整った。」
ハンター:「よくも・・・よくもぉぉぉっ!!」
竜牙:「・・・。」
ハンター:「!」
気配を感じたハンターは後ろを振り返る!
ハンター:「剣崎・・くん・・。」
デストロイヤ:「ククク・・約束通り、場は設けてやったぞ剣崎竜牙。お前の為の特設ステージだ。さぁどんな気分か聞かせてくれよォ!お前が抱いた怒りや憎悪がそのまま俺の活力を沸き立たせてくれる。」
竜牙は無言のまま剣を引き抜く。
デストロイヤ:「ほう・・仲間の死体が散らばっている光景を見ても微動だにせず・・か。なかなか強靭な精神力だ。」
ハンター:「黙れ!この外道っ!!」
デストロイヤ:「こいつは驚いた。まさかお前の方が先に感情をむき出しにして怒り狂うとは・・一本取られたよ。なァ、三島和人?」
ハンター:「ふざけるな!お前だけは・・許せないっ!!」
ガイアソードを引き抜こうとするハンターの前に右手を出し、竜牙はそっと口を開く。
竜牙:「ここは・・俺に行かせてくれ。」
ハンター:「!・・ダメだ、危険すぎる。見ただろ、一瞬にして戦況をひっくり返したあいつの力を!!」
竜牙:「ああ。確かにあいつはとんでもない化け物だ、けど今の俺はその状況すらもひっくり返すことができる。」
ハンター:「何を言って・・周りをよく見ろ!こんな光景を見せられて僕が君一人だけを行かせるわけがないだろ!!」
竜牙:「確かにコイツは今まで戦ったやつらとは次元が違うな。正直、立っているだけで足元が救われそうだ・・けど、もう”目の前”なんだよ。」
ハンター:「え?」
竜牙:「お前が長い年月をかけてやり遂げようとしていたことがもう目の前なんだって言ってるんだ!」
ハンター:「!」
竜牙:「すべて青龍から聞いたよ。あの日、俺を信じてお前はこいつドラゴンソードを託したんだろう?だったら最後まで見届けろよ!デストロイヤを倒す力、心を備えた俺たちの戦いを!」
ハンター:「剣崎くん・・。」
デストロイヤ:「何を言い出すかと思えば・・もう口を閉じたらどうだ?冷たくなっていく仲間に触れながら痛感するといい・・・死を!!」
竜牙:「バカヤロー・・俺がここで背を向けるわけにはいかねェんだよ。俺は諦めない!みんなの戦いを無駄にはしねぇぇ!!」
シュゥウンン!!
デストロイヤ・ハンター:「「消えた?!!」」
竜牙:「真・ドラゴンソード!」
ズババッ!!
竜牙が一瞬にしてデストロイヤの右翼を切り落とした!
デストロイヤ:「ぐああああああああああああああああああああ!!」

夏海:「あなたがいなくなる事で悲しむ人だっているのよ・・。」

・・あの日、夏海にかけられた言葉をまた思い出してしまった。

竜牙は瞳に溢れる涙を手で拭い、震える拳をそっと抑え・・ドラゴンソードの矛先をデストロイヤに向ける!
竜牙:「俺がみんなの・・最後の希望だ。」
デストロイヤ:「希望だと?!ほざけ!貴様の目の前には絶望しかないってことをわからせてやる!!」
竜牙:「究極麒麟アルティメットソード!」
デストロイヤ:「何!!」
竜牙の左手に突如として現れた剣は姿を消し、光となってみんなの体に入っていく。
竜牙:「みんな、最後の力を振り絞れ!まだ戦いは終わってねェぞ!!」
ハンター:「これは・・麒麟の力?!」
デストロイヤ:「生命の息吹を吹き返す神の領域の光っ・・!」
竜牙:「みんなの体を貫け、究極麒麟アルティメットソード!心の奥底に眠る闘志を奮い立たせるんだ!!」
デストロイヤ:「!馬鹿な・・確実に心臓を射抜いたはず・・。」
ハンター:「みんなが・・立ち上がった?!」
夏海:「知らないの?剣崎竜牙っていう男はね、困っている人をなりふり構わず助けちゃう男なのよ。本気になった竜を甘く見ない方が身の為よ。」
竜牙:「なんだよその顔。口を閉じるべきなのはお前の方だな、デストロイヤ。まさかとは思うが空いた口が塞がらないのか?」
デストロイヤ:「た・の・し・ま・せ・てくれるぅぅっ!!」
竜牙は剣舞眼を開眼し、ドラゴンソードを鞘に納める。
夏海:「身につけてきたんでしょうね、バトルメイク力。」
竜牙:「ああ、一応合格はもらってきたよ。みんな、俺を信じてついて来てくれ。」
速水:「僕はいつだって部長を信頼してますよ。」
白鳥:「あーそれ!私が言おうとしてたのに~。」
スペードは眼鏡を押し上げる。
スペード:「竜牙、俺にダメ出しされるような指示だけは勘弁してくれよ?」
竜牙:「わーってるよ。」
炎斬:「やっぱお前がいねぇと始まんねぇわ、さぁて第二ラウンド開始だ。」
瞳:「不思議ね、あなたはここにいるだけでみんなに安心感を与えてくれる。」
竜牙:「んな大袈裟な・・。」
小池:「いや、コイツはそーいうやつだ。だから安心して背中を任せられる、だろ?親友。」
竜牙:「嬉しいこといってくれるじゃねぇか。」
神谷:「ついこの間まで一匹狼を貫いていた男の言葉とは思えないわね~。」
小池:「っせぇ、もう忘れろよ。」
本田:「たじたじだな。」
覇王:「フッ・・さて、竜牙。勝算はあるのか?」
竜牙:「一つだけ方法がある。ただ、それを実行する為にはみんなの協力が必要不可欠だ。」
小池:「剣舞眼で見抜いたのか?」
竜牙:「ああ。あいつの弱点、それは細胞にある。」
スペード:「細胞?」
竜牙:「デストロイヤはデカすぎるがゆえに口呼吸だけじゃ酸素が血液に行き届かないんだ。だから右足、左足、右腕、左腕、額・・この五箇所にある起点となる部分で細胞呼吸をしているんだ。」
炎斬:「んだよその細胞呼吸って・・。」
速水:「細胞が外部から取り入れた酸素や酸素以外の酸化剤によって、養分を分解してエネルギーを発生させる現象のことですよ。でも酸化剤なんてないですよね?」
覇王:「・・・まさか!」
スペード:「デストロイヤは俺たちの恐怖心や憎悪を感知してエネルギーに変換させるといっていた。そのエネルギーを酸化剤の代用にしているのか?!」
竜牙:「さすがは覇王とスペードだ、話が早くて助かるよ。」
夏海:「つまりその起点となっている細胞を叩けばいいってこと?」
竜牙:「ああ。だが交戦していたみんななら知っているとは思うけど、あいつの起点はすべて厚い皮膚で覆われている。並大抵の攻撃じゃビクともしないだろうぜ。」
神谷:「私がやるわ。」
竜牙:「朱里?」
神谷:「私の究極奥義ならあの厚い皮膚を溶かすことができるはず。ただ標的ターゲットを絞る必要はあるけれど。」
デストロイヤ:「何をごちゃごちゃと・・ギガブラスターエンド!!」
神谷:「防御玄武《パーフェクトシールド》!!」
デストロイヤの攻撃を神谷は玄武の力で阻止する!
デストロイヤ:「チィッ・・目障りな・・。」
夏海:「的が定まればいいのね・・なら、それは私がどうにかするわ。竜、あいつの起点の位置を教えて。」
竜牙:「後でな。さて、ここまでの段取りが組めたなら後は強力な打撃技で起点を攻め倒すのみだ。」
本田:「俺たちの出番というわけか。」
竜牙:「ああ、本田、速水、正一、小池、覇王の5人で一気に起点を攻め倒す。」
白鳥:「私はどうしたらいいですか?」
竜牙:「白鳥、スペード、瞳はあいつの動きに制限をかけつつ、常に攻めに入る速水たち5人とデストロイヤに一定の距離が空くようフォローしてほしいんだ。遠近両方の技を兼ね備えたお前たちならできるはずだ。」
瞳:「分かった、やってみる。」
スペード:「っし・・。」
竜牙:「朱里と夏海は追撃を休むことなく続けてくれ、あいつの皮膚はすぐに再生する。その隙を与えたらお終いだ。やってくれるか?」
神谷:「竜くんの頼みなら断れないわね。」
夏海:「それで?竜はどうするのよ。」
竜牙:「俺は全ポジションのサポートに回る。みんなの欠けた部分を補いつつ・・俺があいつにトドメを刺す。」
白鳥:「先輩一人で・・そんな無茶な・・。」
竜牙:「大丈夫だ白鳥、ペース配分は考えて動くから。無茶な立ち回りはしないさ。」
ハンター:「剣崎くん、僕は君のフォローに付こう。」
竜牙:「!」
ハンター:「水臭いぞ、僕にだってコイツには個人的に大きな借りがある。」
竜牙:「だな・・そうと決まれば・・。」
神谷が右手を挙げると巨大な魔法陣が出現する!
竜牙:「な・・っ!」
夏海:「なに・・あれ・・!」
神谷:「究極奥義!」
神谷は魔法陣をデストロイヤにぶつける!
デストロイヤ:「な、なんだ・・コレは!ぐっ・・!!」
神谷:「ディフェンスゴットブレイカー!」
デストロイヤ:「!俺の皮膚が溶けている?!ば、バカなっ!!」
神谷:「この魔法陣はモンスターの細胞を溶かす!エネルギーの消耗は激しいけれどあなたの厚い皮膚を剥がすには持ってこいの技よ。」
(けど、この魔法陣はエネルギーの消耗が激しい・・常に回復し続けるデストロイヤのボディにどこまで食いついていけるか・・。)
デストロイヤ:「くっ・・モンスター絶対殺すマンか・・とんでもないセイバーズがいたものだっ・・!!」
竜牙:「夏海!位置は今教えた通りだ、いけるな?」
夏海:「当然!究極奥義・第七の弾・無限弾っ!!」
ビシュゥゥン!!
夏海の放った弾丸が四方八方に分散し、デストロイヤの起点を襲う!!
バァン!バァン!バァン!!
デストロイヤ:「ぐぉぉぉぉっ!!」
(俺の細胞の起点だけをピンポイントに!・・ま、まずい・・!!)
本田:「チャージアップ!」
ビリリリッ!!
本田は電気エネルギーを両手に集めていく・・。

本田:「昔から気に入らなかったんだ、なんで俺の名前を雷攻なんかにしたんだ!こんなの・・!!」
幸子:「お父さんが変えたのよ、あなたのおじいちゃんがね。」
本田:「じいちゃんが?!」
幸子:「電気エネルギーなんぞわけのわからん力など己の一部として取り込んで、人生という名の険しい道のりを攻めて攻めて突き進んでほしいという願いを込めてね。」
本田:「・・・・!」
幸子:「私は反対したんだけどね、最後の最後でじいちゃんに根負けたわ。あんな事言われたらね~断れないわ。」
本田:「・・じいちゃんは何て言ったの?」
幸子:「名前ってのは親が最初の誕生日に与えるプレゼントだ。カッコイイ名前をつけてあげなさい。将来、その名を誇って歩いていけるいい男になれるように・・ってね。」

本田:「俺はこの力を持ってこの戦いを終わらせる。見ててくれ、じいちゃん。じいちゃんの想いが詰まったこの名前に恥じない人生を送る為に今こそ、この力を使いこなしてみせる!!」
シュッ!!
先陣を切ったのは・・本田だ!
本田:「うぉぉぉっ!!」
デストロイヤ:「邪魔だ!デスロシアンテール!!」
本田:「究極必殺技・スパークヘルハリケーン!!」
本田が右手を突きだして手を広げると、落雷が竜巻の如く回転しながら地面をえぐりつつデストロイヤの尻尾と激しくぶつかり合う!!
シュゥツ・・ドカカカッカッ!!
ドッカァアン!
デストロイヤ:「痛っ!・・くそっ、尻尾が痺れ・・っ!」
本田:「なんだ・・力が!」
竜牙:「麒麟からの置き土産だ。四聖獣の力を受け継いでないメンバーは全員、その力を解き放て!」
本田:「うぉぉぉ!ライジングスタンガン!!」
覇王:「!本田の電気エネルギーが・・。」
炎斬:「暴発した?!」
ビリリりッ!!
デストロイヤ:「ぐあああああっ!!」
デストロイヤの尻尾が本田の電気エネルギーによって切り落とされる!!
炎斬:「ナイス本田!」
本田:「すげェ・・俺の電気エネルギーが鋭利な刀のように・・。」
覇王:「これでデストロイヤの攻撃手段が一つ減った!」
小池:「追い打ちをかけるぞ!ビースト細胞っ!!」
速水:「僕も行きます!ハヤブサランニング!!」
デストロイヤ:「調子に乗るな!!」
炎斬:「!」
覇王:「まずい!ファイナルデストロイヤか!!」
速水:「同じ手を何度も・・いい加減見飽きました・・よっ!!」
速水は片手を地面に当てて叫ぶ!
速水:「究極必殺技・デュオスソルジャー!」
ガタン!ガタンガタン!!
デストロイヤ:「そんなもので俺のファイナルデストロイヤが防げると思っているのか!」
速水:「思ってませんよ・・僕一人の力じゃ・・ね?」
デストロイヤ:「!」
竜牙:「小池、地面からのファイナルデストロイヤを食い止めろ!ファイナルデストロイヤは地面からの弾丸と上空からの弾丸が交互に飛んでくる。先にこっちを食い止めることが出来れば上空から振ってくるファイナルデストロイヤは覇王のプロミネンスカタストロフィでいくらか威力を落とせるはずだ!」
小池:「そういうことか・・究極必殺技・激震滅!!」
覇王:「警戒すべき点が一点でいいのなら俺の狙いも定まる!超必殺技・プロミネンスカタストロフィ!」
小池は速水のデュオスソルジャーを利用し、激震滅で地形を変形させてデュオスソルジャーの鉄の破片で地面から飛び出して来るファイナルデストロイヤを相殺する!
一方の覇王も速水のデュオスソルジャーを使いプロミネンスカタストロフィでデュオスソルジャーの破片を粉々に砕くことで上空からのファイナルデストロイヤの威力を半減させていく・・。
覇王:「からの・・イジゲンホール!」
そして、半減し速度の落ちたファイナルデストロイヤをイジゲンホールで消し飛ばしていく!!
デストロイヤ:「なんだと・・このっ・・!」
速水:「どこを見てるんですか?」
デストロイヤ:「いつの間に!」
デストロイヤの左腕まで駆け上がった速水は起点に狙いを定める!
速水:「うぉぉぉっ!」
速水が両手を広げると速水を中心に円を描くように無数のハイゼルセイバーが一瞬にして出現した!
速水:「ハイゼルセイバーブラスト!!」
ズバズバズバズバッ!!
無数のハイゼルセイバーが左腕の起点を貫いていく!!
デストロイヤ:「ぐあああああっ!!」
竜牙:「いいぞ速水!」
炎斬:「あいつが怯んでいる今なら追撃ができる!」
炎斬はチェンジザバーナーでデストロイヤの右腕に突っ込んでいく!
炎斬:「くらえ!スピリットサラマンダー!」
ボォォォォウウ!!
炎斬が左手を広げると白い炎がデストロイヤの右腕の起点を焼き尽くしていく!
デストロイヤ:「うがぁああぁぁぁあああぁぁあぁあっ!!」
炎斬:「すげぇ・・技の使い方がイメージできる。どうやら、俺のスピリットサラマンダ―は俺の勝ちたいという強い気持ちに比例して炎の威力が跳ね上がるようだ。っし、このまま燃やし尽くしてやる!!」
デストロイヤ:「ガキどもがァァァァ!!」
デストロイヤは翼を羽ばたかせ、その風圧で速水と炎斬を吹き飛ばす!
シュゥゥゥッ!!
速水:「うわっ!!」
炎斬:「くそっ!炎が・・・っ!!」
白鳥:「エアーチューニング!」
速水・炎斬:「?!」
(風圧が止まった?!)
デストロイヤ:「!」
(この女・・。)
白鳥:「空気を扱う点では私の方が上手のようね。それに・・麒麟が授けてくれたこのエアーチューニングは空気中の風を自分の力量でコントロールすることができる。」
速水:「追撃です、先輩!」
炎斬:「ああ!助かったぜ、白鳥!!」
スペード:「へぇ面白い力を授かったじゃねぇか、白鳥。」
スペードはグラビティブレードを振り下ろす!
スペード:「超必殺技・アメイジングトルネード!!」
白鳥:「ちょっ!なんで私に向かって撃ってくるんですか!」
スペード:「俺の力を使え、白鳥!」
白鳥:「!」
デストロイヤ:「尻尾だけでなく俺の羽までもちぎり落とす気か?舐めた真似を!!」
白鳥:「エアーチューニング!!」
シュルルルルルッ!!
白鳥:「そういうことなら遠慮なく使わせてもらいますよ!」
夏海:「アメイジングトルネードの威力が跳ね上がってる!」
ハンター:「すごい威力だ・・これなら!」
デストロイヤ:「力比べといこうじゃないか、小娘!」
デストロイヤの背中にある巨大な翼が黒く光る!
覇王:「まずい!あの技だ!!」
デストロイヤ:「ゾークネスダブルウイング!!」
白鳥:「っ!」
シュッ・・。
ズバァッ!!
竜牙:「白鳥!」
鳥牙:「ふぅ・・間一髪だったな。」
白鳥:「!」
気がつくと白鳥は鳥牙にお姫様抱っこされていた。
白鳥:「あれ?!い、いつの間に・・。」
夏海:「鳥牙さん?!」
小池:「あんたは・・あの時の!」
ハンター:「こいつは驚いた・・どういう風の吹き回しだい?」
鳥牙:「桜優香という一人の少女が俺にすべてを教えてくれた。」
竜牙:「!」
夏海:「え・・優香?どういうこと・・。」
鳥牙:「彼女は隠密に行動し俺と剣崎家の関係を独自で調べ上げていた。すべては竜牙、お前の為だ。」
竜牙:「優香が?!」
鳥牙:「お前の中で引っかかっていたものを察した彼女はどうにかしてあげたいと思ったんだろうな。じいちゃんに色々と話を聞いたそうだ。」
竜牙:「!・・だからじいちゃんはあの時・・。」

誠一:「それで、話というのは?」
竜牙:「うん。率直に言うと俺にあの技を教えてほしいんだ。」
誠一:「あの技?」
竜牙:「そうあの秘伝の技だよ。」
誠一:「。」
竜牙:「じいちゃん?」
誠一:「事態は深刻のようじゃな。」
誠一はぽつりと小言を呟く。
ハンター:「え・・?」

竜牙:「優香があらかじめ話していたのか・・モンスターセイバーズのこともモンスターのことも。」
鳥牙:「俺は彼女を通して真実を知ることができた、本当にどう感謝を伝えたらいいのか分からない。けど・・俺がお前や剣崎家のご両親にしたことは許されることじゃない、今更どんなツラをして会えばいいのかもわからない。それでも今、俺がやらなきゃいけないことをあの子が教えてくれたんだ。」
鳥牙は剣舞眼を見開く。
竜牙:「剣舞眼の模様が変わった?!」
ハンター:「鳥牙、その目は?」
鳥牙:「剣舞眼解禁。どうやら剣舞眼は使用者の血液濃度で眼力の精度が上がるみたいだ。俺は眼力を完全に解放したこの状態のことを剣舞眼解禁と呼んでいる。」
鳥牙は竜牙の方に体を向ける。
鳥牙:「竜牙、お前を必ず親父とおふくろの元に返す。それなら兄である俺でもできることだ。哲学的な話にはなるが家族にとって大切なもの・・俺の中にずっと引っかかっていたものの答え・・それは血の繋がりじゃなかった。血の繋がりがある者だけが家族じゃない、共に過ごしてきた長い年月を得て生まれた絆もまた家族と成り得る。俺はようやくその事に気づけた。だから俺はこれからもっと長い時間をかけて剣崎家の両親と竜牙と本当の意味で家族になりたいと願っている。かつてお前の両親がそうしてくれたように。」
(そして、俺と飢餓の両親との関係がそうであったように。)
竜牙:「い、一体・・どうしちまったんだよ・・兄貴。」
鳥牙:「戦うことをやめっちまったら人として生きているとは言えない・・だったか?」
竜牙:「その言葉・・!」
鳥牙:「俺もお前と共に戦う、俺にはまだやり残したことが山ほどあるからな。だが目的はお前たちとちょっと違う、あくまで俺は俺の未来あしたを守るために戦う。それだけだ。」
竜牙:「な~にカッコつけてんだよ。ここにいるみんながそれぞれの未来あしたを守る為に命を賭けて戦ってんだ。それに兄貴に何があったのかは知らねェがあんたがやったことは決して許されることじゃない。」
鳥牙:「ああ・・そうだな。」
竜牙:「けど、目の前の敵を倒すのに協力するってんなら今は仕方がねェ。」
鳥牙:「!」
竜牙:「手を貸してくれ、兄貴。ここでデストロイヤを討伐しなきゃ世界が崩壊する!」
鳥牙:「ああ、そのつもりでここに来た。」
デストロイヤ:「フン、雑魚が一人増えたところで・・。」
竜牙:「兄貴、やつの動きを封じることはできるか?」
鳥牙:「どうする気だ?」
竜牙:「特攻組で一気にやつの起点を打ち抜きたいんだ。そうすれば警戒すべき攻撃手段が口だけになって次の手が打ちやすくなる。」
鳥牙:「数分でいいのか?」
竜牙:「ああ、少しの時間でいい。あいつの意表を突きたいんだ。」
ハンター:「僕らはどうする?」
竜牙:「俺と兄貴がその間にデストロイヤの羽を切り刻む。けど、ファイナルデストロイヤだけはこの作戦を持ってしても完全に防ぐことはできないはず。さっき、やつの攻撃を止めてくれた小池と覇王が特攻組に混ざる以上、次に来るファイナルデストロイヤを止められるのはハンター、お前しかいない。」
ハンター:「僕じゃなきゃダメなのか?」
竜牙:「中継組の3人は特攻組のサポートになら回せるけど、止めておいた方がいい。というのもスペードは重力、白鳥は空気、瞳は広範囲を狙える大規模な攻撃を得意しているがこの3人の攻撃はファイナルデストロイヤとの相性が悪い。」
ハンター:「僕の太陽ガイアフォースの力だってあいつのファイナルデストロイヤに通用するかと言われたら怪しいぞ。」
竜牙:「んなこと分かってるよ。狙いはただ一点だ。」
ハンター:「?」
デストロイヤ:「またコソコソと・・。」
鳥牙:「X技・ロストタイム。」
パチン。
鳥牙が指を鳴らすと同時にデストロイヤの起点を目掛けて5人が駆け上がる!
デストロイヤ:「な・・一瞬でここまで距離を詰められた?!」
鳥牙:「お前以外の時間ときを進めたんだ。そしてこの5人も進んだ時間の数だけ行動が素早くなる!」

134話/全員集結!長き戦いの果て・・前編

鳥牙:「俺がここに到着した時点でお前は詰んでいるんだよ、観念しろ!」
デストロイヤ:「奇怪な技を・・っ!!」
覇王:「ロイヤルセイバーウイップ!!」
覇王のロイヤルセイバーは麒麟の力で形状変化し、鞭のような武器に姿を変えていく!
デストロイヤ:「まずいっ・・!」
覇王:「はぁぁぁっ!!」
シュルルルッ!!
竜牙:「!デストロイヤの首を!」
デストロイヤ:「ぐおおおっ!!」
(くるしっ・・!)
覇王:「これで放射系の技も使えないはず!畳み掛けるぞ!!」
デストロイヤ:「ふぅいるる・・どぅすとぉるぅい・・やぁ!!」
竜牙:「来るぞ!ハンター!!」
ハンター:「ガイアフォースリフレクト!!」
デストロイヤ:「っ?!」
(眩しっ・・目暗ましか!)
竜牙:「それでいい、どんなに強力な技でも発動させなければ問題ない!」
ハンター:「頼んだぞ、特攻組!」
速水:「ハイゼルセイバーブラスト!」
炎斬:「スピリットサラマンダー!」
本田:「ライジングスタンガン!」
デストロイヤ:「ぐあぁぁぁぁあああぁぁあぁああっ!!」
(鼠どもがぁぁっ・・!)
小池:「覇王!左足は任せたぞ!!」
覇王:「ああ、俺たちの攻撃で残りの起点を潰す!」
小池:「破壊白虎デストロイバースト!!」
覇王:「究極奥義・クリムゾンロイヤルセイバー!!」
2人の攻撃がデストロイヤの最後の起点を貫いた!!
デストロイヤ:「・・っ!!」
小池:「ハァ・・ハァ・・。」
(くそっ・・疲労でこの状態が維持できねぇ・・。)
小池はアルティメットフォームを解く。
覇王:「手ごたえはあった・・。」
デストロイヤ:「トラップゾーンバインド!」
ズバズバズバッ!!
小池:「ぐあっ?!」
覇王:「な・・にっ・・?!」
速水:「赤外線のレーザー?!」
本田:「んだコレ・・動けね・・っ!!」
炎斬:「やべぞ・・このままじゃ・・。」
竜牙:「!あれは・・スカルエンペラーが使っていた・・。」
ハンター:「早く助けないとまずい!あの赤外線には神経の伝達機能を麻痺させる力がある!」
白鳥:「そんな!」
スペード:「どうしてこうなった!完全に身動きを封じられていたはずだぞ?!」
小池:「!なんだ・・。」
覇王:「体が引き寄せられる!!」
スペード:「グラビティチェイン。」
炎斬:「コレ・・銀河の元に吸い寄せられているのか?!」
スペード:「ああ、俺がお前たちにかかっている重力を操ってんだ。重力加速度を変化させている。」
炎斬:「・・ごめん、何を言ってるか分からない。」
スペード:「あーもう、説明がめんどい!とにかく、お前たちは動けるようになるまで後ろで待機してろ!俺がお前たちを前線から下げる。」
速水:「そんな!」
本田:「このまま指加えて見てろって言うのか!」
竜牙:「お前ら落ち着けって。動けない以上、お前たちをあのままにしておくのは危険だ。スペードだってお前たちの気持ちは分かっているよ。それに何もしてないわけじゃない、むしろ5人の功績は大きい。お前たちのおかげであいつを討伐する突破口が見えた!」
鳥牙:「ああ、俺には見えるぞ。5人がすべての起点を潰したことでデストロイヤが呼吸困難に陥っている。さっきのトラップゾーンバインドは苦しまみれの一手だったようだな。」
竜牙:「そんなことまで分かるのか?!」
鳥牙:「ああ。剣舞眼解禁は対象相手の弱点を見抜くだけでなく、対象相手の状態コンディションを常に把握することが出来る。そこから奴の攻撃パターンを粗方予測し次の攻撃に繋げることも可能だ。ただ、常に複数の情報が一気に頭の中に流れ込んでくる為、長時間の開眼はできない。」
竜牙:「なんつぅ力だ・・。」
ハンター:「簡単にはいかなかった・・けどまさかここまでデストロイヤを追い詰めることができたなんて。」
(アースが言っていたように以前僕らと戦った傷がまだ癒えてなかったとしか思えないな。本来デストロイヤの攻撃はすべて人の認知では追えないほど素早いはずだ。嫌な予感がする。)
鳥牙:「それで?後は俺たちが左翼を仕留めればいいわけだな?」
竜牙:「ああ、あいつの移動手段はここですべて断ち切る!」
鳥牙:「究極奥義・フラッシュオーバーソード!」
竜牙:「究極奥義・オールクロスジェネレート!」
ズバッ!
鳥牙:「これでやつはもう飛べない。」
竜牙:「兄貴・・今の・・。」
鳥牙:「ああ、利き手を変えたオールクロスジェネレートだよ。俺は左利きなんだ、だから右利きの要領で修行しても究極奥義が身に付かなかったわけだ。習得できない原因を突き止めた俺は長い年月をかけて左利きでもオールクロスジェネレートが扱える修行方法を模索し、そして会得した。」
竜牙:「オールクロスジェネレートを身につけるだけでも大変なのに・・修行方法をゼロから探して会得したっていうのか・・嘘だろ・・。」
鳥牙:「なーに呆気にとられてるんだよ、身につけたんだな・・オールクロスジェネレート。」
竜牙:「ああ、兄貴のおかげでようやくな。」
鳥牙:「俺は何もしていない、お前の努力が実を結んだんだ。」
竜牙:「へっ。」
夏海:「竜、もう・・限界・・。」
神谷:「わ・・私も・・。」
竜牙:「!大丈夫か、2人とも。」
鳥牙:「少し休ませてやれ、力を使いすぎて体力を消耗している。」
竜牙:「すまねぇ、2人とも。無理させっちまった。」
夏海:「気にしないで・・。」
神谷:「これでデストロイヤは・・え・・!」
デストロイヤ:「・・・。」
白鳥:「あいつの体から黒い煙が漏れてる?!」
瞳:「これ・・瘴気だわ!!」
ハンター:「神谷さん、防御玄武パーフェクトシールドを!!」
神谷:「え、ええ!防御玄武パーフェクトシールド!!」
瞳:「危なかった、あなたの力がなかったらどうなっていたか・・。」
神谷:「玄武に感謝ね・・。」
鳥牙:「まずいな。」
竜牙:「どうしたんだ?」
鳥牙:「デストロイヤの姿が消えた。」
全員:「「「?!」」」
速水:「な、なんで・・!」
本田:「おい、まさかあの黒い瘴気って・・。」
小池:「デストロイヤそのものなのか・・?!」
竜牙:「ハンター!」
ハンター:「残念だけど、ここまでデストロイヤを追い詰めた前例がない。僕にもこの状態がどういうものなのか見当もついてないんだ。」
竜牙:「マジかよ・・何が起こるってんだ・・。」
夏海:「そ、空を見て!」
炎斬:「そ、空全体が・・。」
覇王:「真っ黒に染めあがっている・・だと・・。」
デストロイヤ:「ククク・・俺をここまで追い詰めるとはなァ・・。」
竜牙:「この声!」
鳥牙:「テレパシーか。」
デストロイヤ:「俺の最終形態、アポカリプスディ。この力を持ってこれよりモンスターワールドをすべて抹消する。そうすれば時空間が大きく歪み、人間界に大量の次元の狭間が出現することになる。」
竜牙:「てめぇ・・!」
デストロイヤ:「お前たちの世界を俺が支配してやる・・ククク・・。」
白鳥:「上ばかりを見てはいられませんよ、先輩。」
竜牙:「!」
スペード:「っ・・ゾンビモンスターたちがこっちに向かってきてんな。」
竜牙:「くそっ・・どうすれば・・。」
速水:「剣舞眼であの黒い瘴気の弱点を見抜けないんですか?」
竜牙:「いくら剣舞眼でもこれだけ範囲が広いと見渡せねぇよ。やつの弱点が俺の視界に入ってないと見抜くことはできない。」
速水:「そんな・・。」
夏海:「アポカリプス・・古代ギリシャ語で天の啓示の意味合いがある言葉ね。もしかして・・。」
竜牙:「な、なんだよ・・。」
スペード:「もしかしてヨハネの黙示禄か?!」
竜牙:「な、なんだよそのヨハネの黙示禄って・・。」
速水:「キリスト教において神の愛と救いについて説いている聖書みたいなものですよ。ヨハネの黙示録は赤色のドラゴンや千年王国、ハルマゲドンといったアニメや漫画で出てくるような単語が数多く記載されている為、それらの内容が映画やゲームなどエンターテインメントの世界でよく題材として使われることが多いんです。」
鳥牙:「よく知ってるな、そんなこと。」
夏海:「アポカリプスには世界の終末について触れている要素が強いため、アポカリプス=世界の終末としてヨハネの黙示禄には記されていたはず。具体的には、善と悪とが世界の命運をかけて対決し、善の勢力が勝って世界が終わるという内容だったんだけど・・。」
その場にいた全員が一気に静まりかえる・・。
小池:「天変地異でも起こす気かよ、デストロイヤのやつ・・。」
白鳥:「と、止めないと!」
速水:「けどどうやって・・。」
スペード:「神谷だっていつまでも防御玄武パーフェクトシールドを張り続けていられないだろうし、向かって来てるゾンビモンスターたちもどうにかしねぇといけねぇ。あんまり長いこと時間はかけられねぇぞ。」
夏海:「・・竜、鳥牙さん。」
竜牙:「!」
鳥牙:「!」
夏海:「2人を私の朱雀無知エスパースラッシュで空の彼方まで送り届けようと思う。」
竜牙:「な・・。」
鳥牙:「夏海ちゃん、そんなこと出来るのか?」
夏海:「今の私には四聖獣・朱雀から受け継いだ力があります。この力を使えば少人数なら恐らく送り届けることができるはず。」
小池:「そういうことなら確かに剣崎兄弟が適任だな。」
神谷:「ええ、2人には剣舞眼がある。私たちにはない特別な力が。」
スペード:「やむを得ないか・・。竜牙が抜けるのはデカいがデストロイヤを討伐する為ってんなら仕方がない。」
白鳥:「私たち中継組でゾンビモンスターたちを一掃しないと。」
神谷:「私は中継組のサポートに回るわ。」
本田:「くそっ・・俺たちも動ければ・・。」
覇王:「だが、さっきより体が動くようになった。時間の経過と共に痺れは緩和するようだぞ。」
小池:「なら・・今は待つしかないな、動けるようになったときにすぐ動けるように。」
炎斬:「竜牙、死ぬんじゃねぇぞ。」
竜牙:「ああ、必ずデストロイヤを討伐してくる。」
速水:「部長、上空に飛ぶなら・・。」
速水は闘技場の方向を指差す。
速水:「デストロイヤエリアの最深部まで駆け上がってから飛ばしてもらう方がいいですよ。ここだと、木嶋先輩の意識も散って上手く力をコントロールできないかもしれません。」
ハンター:「最深部・・玉座のあるエリアか。」
竜牙:「そこまで駆け上がればいいんだろ?」
瞳:「私が道をつくるわ、であまり長くは持たない・・構えて。」
白鳥:「それと!」
白鳥が神秘の守りで竜牙、夏海、ハンター、鳥牙の4人を包み込む。
白鳥:「これで瘴気を吸引することなく前に進めるはずです。
白鳥は続いて全員に神秘の守りをかける。
竜牙:「全員に・・大丈夫なのか?」
白鳥:「そりゃあ多少の無茶はしますよ、私の神秘の守りもあんまり長いこと発動できません。頼みましたよ、先輩。」
竜牙:「ああ、任せてくれ。」
鳥牙:「・・・。」
ハンター:「僕も行こう。」
竜牙:「ハンター?」
ハンター:「木嶋さんが力を使っている間、彼女の身は僕が守り抜く。」
夏海:「ありがとう、ハンター。」
瞳:「究極必殺技・ゼロフェニックス!!」
キシャァァァッ!!
紫の不死鳥がゾンビモンスターの群れをなぎ倒していく!
竜牙:「掴まれ、夏海!音速青龍ライトスピード!!」
鳥牙:「ハンター、手を取れ!X技・ロストタイム!!」
スタッ・・。
スペード:「ハハ・・本当に一瞬んで螺旋階段まで駆け抜けやがった。」
白鳥:「さてと、私たちも行きますよ!」
瞳:「そうね、長丁場な戦いになるわ。気を引き締めましょ。」
神谷:「私がヘブンズゲートを複数個つくる。3人はゾンビモンスターたちを一番近いゲートにできるだけ沢山放りこんで!あいつらは討伐できない・・だから竜くんがデストロイヤを討伐するまでの間、異空間に飛ばす!」
スペード:「グラビティチェイン!」
シュゥゥゥン!
複数のゾンビモンスターを自分の元にスペードは引き寄せる!
神谷:「超必殺技・ヘブンズゲート。」
神谷が両手を重ねて唱えると複数のヘブンズゲートが出現した!
スペード:「あの円形の入り口に放り込めばいいんだな、おらぁぁっ!!」
スペードは引き寄せたゾンビモンスターたちをヘブンズゲート内にぶち込んだ!
ゾンビモンスター:「ギシャァァアアアッ!!」
瞳:「Ⅹ技・ホールインインサイト!」
瞳が叫ぶと同時に複数のゾンビモンスターたちが地面に足をとられていく!
瞳:「私がホールインインサイトを唱えたフィールドは私の意志で動かすことができる、これで・・。」
ホールインインサイトをかけられた地面が複数のゾンビモンスターたちを一束に縛り上げ、ヘブンズゲートに放り込んでいく!
一方、白鳥は目を瞑り、両手を広げる!
白鳥:「究極奥義・クリアストームシンフォニー!!」
白鳥が両手を横に広げると空気が振動し、そこらじゅうで強風が吹き荒れていく!!
ボォォォォオォゥウ!!

リリス:「まずは黙想ね。」
白鳥:「黙想?」
リリス:「そう。黙想で目を閉じて、聴覚で風を感じるの。」
白鳥:「そ、そんな事できるの?」
リリス:「物は試しよ、やってみさない。あなたの素質がこれで分かるわ。」
白鳥:「や、やってみる・・。」
白鳥は黙想をした。
シュゥゥゥ・・。
白鳥:「な、ナニコレ・・。色んなところから風の音が聞こえる。」
リリス:「その風を手に巻きつけてみなさい。」
白鳥:「えっ・・手に?」
シュルルル・・。
白鳥は糸を巻くイメージで黙想したまま風を手に巻きつけていく。
リリス:「今よ、それを投げなさい。」
白鳥:「えいっ!」
ズバッ!
リリス:「目を空けてごらん?」
白鳥:「えっ?!」
白鳥が目を開けると、目の前に真っ二つにキレた木の葉が複数落ちていた。
リリス:「これはあなたがやったのよ。」

白鳥:「風の音を掴みとれ、雑音を一切耳に入れるな。集中しろ・・そう・・イメージ!!」

誠一:「白鳥ちゃん、イメージトレーニングをしたことはあるかのぅ?」
白鳥:「あ、はい!」
誠一:「うむ。実はイメトレは凄く効果的な学習法なんじゃよ。特に体を動かそうとする時のイメトレは非常に効果的じゃ。ゆえにスポーツだけでなく、芸術やリハビリといった様々な分野でこの学習法は活用されとる。つまり人は何かしらの運動をイメージすることで、人の頭の中・・つまり脳の中で運動を行っている時と同じ領域が活動しておるわけじゃ。」
白鳥:「!じゃあ修行の時もイメージすることが大事ってことなんですか?」
誠一:「察しがいいのう。じゃがイメトレにも大きく分けて2種類のパターンが存在する。まずはそこから説明するとしようかのぅ。」
白鳥:「お願いします!」
誠一:「主観的ないマージと第三者的視点から見る三人称的なイメージ・・と言っても難しいかのぅ。一般的なイメトレは恐らく前者であげた主観的なイメージじゃ。自分の視点から自分の動作をイメージするもの。そして、三人称的なイメージというのは・・そうじゃあな、サッカーやバスケをイメージすると分かりやすくなるかのぅ。自分がフィールドのどこに居て、周囲の人がどこに位置しているかという関係性を第三者の視点からイメージし、把握するものになる。」

白鳥:「スカイカリバーの時とは違う、今私がイメージすべきなのは・・そう三人称的なイメージ!空間を把握し、支配しろ!私が今どの位置にいてゾンビモンスターたちがどの辺りにいるのかを目でなく風の音で感じるんだ!私ならできる、今こそ自分の限界を超えるのよ!!」
シュゥッ!!
シュゥゥッ!!
白鳥:「はぁぁぁっ!!」
白鳥はおよそ8つの竜巻を正確にコントロールし黙想したまま、ゾンビモンスターたちをヘブンズゲートに放り込んでいく!!
スペード:「んだ・・あいつ・・!」
瞳:「凄い・・彼女は身動き一つとってないのに、風の力だけでゾンビモンスターたちを一掃している!」
スペード:「この土壇場で見せつけてくれるぜ、俺も負けていられねェ!俺は今までの自分を超えるためにセイバーズになったんだ。新しい人生を歩む為に、常に自分の100%を超えていく為に!白鳥に遅れを取るわけにはいかねェ!!」
スペードの周辺の重力が軽くなり・・小石や砂利が舞い上がっていく・・。
スペード:「究極奥義・レッドクジャクバイオレンス!!」
ゴゴゴゴゴッ!!
スペード:「はぁぁぁっ!!」
スペードがグラビティブレードを振り下ろすと同時に軽くなった重力が一気に重くなり、舞い上がったモノ、周囲にある物すべてが地面に叩きつけられる!!
ドカァァァアアン!!
ゾンビモンスター:「グォォォウウォォ!!」
スペード:「っし!瞳、俺がこんな感じでゾンビモンスターたちを地面に叩きつけていくから回収を任せてもいいか?」
瞳:「ええ!」
覇王:「やるじゃないか、3人とも!」
速水:「くっ・・僕も動ければ・・。」
小池:「焦るな速水、体の痺れが緩和してきている。もう少しの辛抱だ。」
炎斬:「ああ、動けるようになった瞬間大暴れだぜ。」
本田:「そうだな、俺たちはその為にここにいるんだから。」
神谷:「こっちはどうにかなりそうよ、竜くん、夏海っち。必ず帰って来て!」

135話/全員集結!長き戦いの果て・・後編

竜牙:「おらぁぁっ!!」
ズバッ!ズバッ!
鳥牙:「見えたぞ、出口だ!」
竜牙:「強行突破だ!」
ゾンビモンスター:「ギシャァァ!」
ズバッ!!
竜牙:「はぁ・・はぁ・・。」
ハンター:「着いたね。」
鳥牙:「ここが最上階か・・。」
竜牙:「死角になりそうな場所が見つからない、お前一人で本当に大丈夫か?」
ハンター:「見くびってもらっちゃ困るよ。こう見えてもかつて世界を救ったモンスターセイバーズだ。」
竜牙:「・・・頼んだぞ、ハンター。」
ハンター:「それはこっちの台詞だよ、未だ高校生である君をこんな戦いに巻き込んでしまったこと・・本当に申し訳ないと思ってる。でもね、不思議と君と出会えたことを後悔していないんだ。僕らの思いはその剣に乗っている、その力で世界を救ってくれ。」
竜牙:「!」
(ドラゴンソードが光って・・!)
ハンター:「!もしかしてデストロイヤの力と共鳴しているのか?」
竜牙:「共鳴?!な、なんで・・。」
ハンター:「ドラゴンソードにはデストロイヤの鱗が加工されている。デストロイヤの力と渡り合う為にはデストロイヤと同等の力が必要だと判断してね、当時の僕が生み出した剣・・それがドラゴンソードの正体だ。」
竜牙:「じゃあ俺は今までデストロイヤの力を使ってモンスターを討伐していたのか・・。」
ハンター:「うん。イナズマドラゴンやドラグアーマーはデストロイヤの力だよ、もっと言えばギャラクシーブレードに秘められている太陽と月の力はかつて奴に取り込まれた僕の太陽ガイアフォースの力とアースのムーンフォースの力の片割れなんだ。」
竜牙:「そうだったのか・・。」
ハンター:「もしかしたらドラゴンソードの光が強く共鳴しているところにデストロイヤの本体が潜んでいるのかもしれない。」
竜牙:「光が強く共鳴しているところ・・あそこだ!」
夏海:「場所がそこまで定まれば私も力を一点に集中できる。」
竜牙:「っし、いよいよか・・いっちょ頼んだぜ夏海。」
夏海::「竜っ・・!」
夏海は竜牙がくれた指輪のついたネックレスを握りしめ、竜牙の元に駆け寄る!
竜牙:「え?・・ちょっ!」
振り返った竜牙の唇に夏海の唇が重なった。
竜牙:「っ?!」
夏海はそっと唇を離す。
夏海:「・・行ってらっしゃい。」
竜牙:「・・オウ!行ってきます!!」
鳥牙:「フッ・・。」
夏海:「朱雀無知エスパースラッシュ!」
竜牙:「!すげぇ・・体が浮いて・・。」
鳥牙:「いくぞ竜牙、あの先には何が待っているか分からない。剣舞眼を開眼し、常に警戒を怠るな。」
竜牙:「ああ、これが最後の戦いだ。」
ビシュゥゥン!
竜牙と鳥牙は黒い空の彼方へ消えていった。
夏海:「・・・くっ、手元がぶれる。集中しないと。」
ハンター:「頑張ってくれ木嶋さん、2人がデストロイヤを討伐するまでどうにか持ちこたえてくれ。」

デストロイヤエリア・上空。
竜牙:「スッゲェ・・空の上にいるのか俺たち。」
鳥牙:「見えるぞ。どうやらあの赤く巨大な渦がデストロイヤの変わり果てた姿のようだ。」
竜牙:「なんだあれ・・稲光が走ってるぞ・・。」
鳥牙:「あの中に潜るのは厳しいだろうな、外部からの攻撃で渦を勢いを軽減させる。」
竜牙:「あの渦の中には何かあるのか?」
鳥牙:「渦の中には核がある。恐らくデストロイヤの心臓が変貌した姿だ。」
竜牙:「!じゃあその核を壊せばいいのか。」
鳥牙:「ああ、そしてその核を壊すのは竜牙・・お前の役目だ。」
竜牙:「俺が?!」
鳥牙:「仲間たちの思いが乗っているその剣でこの戦いに終止符を打て。」
竜牙:「・・ああ、分かった。」
鳥牙:「俺が突破口をつくる。」
竜牙:「兄貴!」
鳥牙:「?」
竜牙:「今まで色んなやつらと戦ってきたんだ俺、その中で気づいたことがある。今までモンスターセイバーズはモンスターを討伐する狩人だと俺は思っていた。けど違った、自分の中の大切な”もの”を守る為に戦う存在それがモンスターセイバーズだ。そしてそれは誰の中にもある譲れない大切な思いだ、その思いが俺たちをより強くしてくれた。そして、その強い思いに呼応するように光り輝いている物がある、俺たちの持つ心の証だよ。」
竜牙は勇気の証を手に取り、鳥牙に見せる。
鳥牙:「!証が光ってる・・。」
鳥牙もまた絆の証を手に取る。
竜牙:「証を通じて伝わってくるんだ、みんなのこの戦いに賭ける強い思いが。俺たちはセイバーズになったことで今までの自分と向き合うことができた、そしてこの戦いが終わりを迎えた時・・今度は大人になる為にそれぞれが自分の足で歩いていかなきゃならない。前に兄貴の言っていた自分の道を歩めってやつだ。」
鳥牙:「何が言いたいんだ?」
竜牙:「俺たちはそれぞれの道に進んで伝えていかなきゃなんねぇって話だよ。ハンターが言ってたんだ、人の強さって次の世代に託せる事なんだって。」
鳥牙:「!」
竜牙:「俺は色んな人を見て学んだんだ、失敗して次どうすればいいのかを。そしてそれは次の世代に伝えていかなきゃならない大切なことだ。だから消させない、この世界を!俺たちが歩んできた人生をなかったことになんかできない!!」
鳥牙:「・・大きくなったな、ほんとに。そうだな・・俺たちが歩んできた人生は決して順風満帆な人生とは言えないだろう、だがなかったことにはできない。・・フェニックスソード!!」
鳥牙は自身の剣を渦の中に投げ入れる!
竜牙:「!」
鳥牙:「フェニックスソードは倒したモンスターの力を吸収し、刀の強度を上げることができる特殊な剣だ。この力で渦を飲み込む!!」
竜牙:「なっ!外部からの攻撃で渦を勢いを軽減させるんじゃなかったのかよ!」
鳥牙:「こうすればお前が渦の勢いに乗って一気に中心核まで突き進めると判断した。」
竜牙:「!」
鳥牙:「この際、俺の剣はどうなっても構わん!俺たちの歩んできた人生をこんなやつに滅茶苦茶にされてたまるか、お前の手で引導を渡してやれ竜牙!!」
竜牙:「兄貴・・!」
鳥牙:「早く行け!!」
竜牙:「っ・・ああ!音速青龍ライトスピード!!」
シュッ!
竜牙は渦の勢いに乗り込む!!
竜牙:「っ・・なんて風圧だっ・・押し戻されそうになる・・くそっ、もう少しで核のある場所だ。振り切れ・・オレっ!究極奥義・オールクロスジェネレート!!」
ズババッ!!
竜牙:「!・・暴風どころか風が吹いていない・・もしかしてここが核か?!」
デストロイヤ:「来たか、剣崎竜牙。」
竜牙:「その声は・・デストロイヤ!」
(お得意のテレパシーか!)
デストロイヤ:「仲間の力を借りてここまで辿り着いたか。わざわざ私の中に飛び込んでくるとは馬鹿な男だ、このまま肉体ごと取り込んでやる!」
青龍:(やってみろ、ただ一つ言っておくぞ。お前が相手にしているのは剣崎竜牙だけじゃない、この戦いに命を賭ける者すべてだ。そして全員の思いを背負ってこの場に立っているのがセイバーズたちを導くリーダー、剣崎竜牙だ。)
デストロイヤ:「この声・・青龍か。」
竜牙:「!」
青龍:(剣崎竜牙、証を通じて皆の思いを感じていると言っていたな。)
竜牙:「・・ああ、今でも伝わってるぜ。みんなの思いが。」
青龍:(俺がその力をすべてドラゴンソードに集める。)
竜牙:「!」
デストロイヤ:「!」
ドラゴンソードの刀身が太くなり、大きな大剣となる!
青龍:(俺がしてやれるのはここまでだ、決めろ剣崎竜牙!)
デストロイヤ:「な・・なんだあれは・・あの小さな剣から感じる強大な力・・計り知れないっ!」
竜牙:「スゲェ・・これが・・みんなの・・!」
(これだけ大きな剣なのにこんなに軽いなんて・・。)
デストロイヤ:「あの剣はまずい・・ここで仕留める!」
ビリリッ!
竜牙:「この力・・イナズマドラゴンの!」
デストロイヤ:「無数の雷撃で塵となるがいい、剣崎竜牙ァ!!」
竜牙:「・・今の俺にそんな攻撃は通用しない。」
シュッ!シュッ!
竜牙は間髪入れずに叩き込まれるイナズマドラゴンを全て回避していき、ただひたすら前に突き進んでいく!
デストロイヤ:「なんなんだ、一体・・なんなんだあの速度は!攻撃が全然当たらないだと?!くそがっ・・早急に終わらせるこの戦いを!!アポカリプスデイ発動!!!」
竜牙:「くらえ!これが俺たちの歩んできた人生みちだ!ドラゴンソード零式っ!!」
シュゥッ・・
               ズバァァッ!!
爆風と共に竜牙の姿が見えなくなった・・。
ドカァァァアアン!!
鳥牙:「な、なんだっ・・!」
(これはまずい!)

デストロイヤエリア・玉座。
夏海:「ば、爆発?!」
ハンター:「木嶋さん、早く2人を呼び戻すんだ!!」
夏海:「今やってる!」
鳥牙:「うわぁっ!」
ハンター:「鳥牙!」
鳥牙:「痛っ・・。」
夏海:「・・・あれ・・竜は?」
鳥牙:「!」
ハンター:「い、いない?!」
夏海:「う、嘘・・な、なんで・・!」
麒麟:(聞こえるか、ハンター。)
ハンター:「!その声は麒麟かい?!」
鳥牙:「テレパシーか!」
麒麟:(お前たちを麒麟の間までワープさせる。このエリアはもうもたない。)
夏海:「竜は?!竜はどうなるのよっ!!」
ハンター:「お、落ち着くんだ木嶋さん!」
麒麟:(今は皆の安全を確保するのが最優先だ。どのみちこのままだとお前たちも無事では済まないぞ!)
ハンター:「っ・・分かった、頼むよ麒麟。」
鳥牙:「まずいことになった・・。」
夏海:「竜っ!りゅぅぅぅっっ!!」

デストロイヤエリア・殺離さくりロード。
小池:「な、なんだ今の爆発・・。」
速水:「そ、空が晴れていく・・!」
覇王:「それはいいことだが・・このままだとまずくないか?」
白鳥:「っ・・デストロイヤエリアが崩壊してく・・。」
神谷:「!みんな静かに・・。」
麒麟:(よくぞ戦い抜いた、モンスターセイバーズたちよ。このエリアは間もなく崩壊する、よってお前たちを俺の領域に強制送還する。)
本田:「ってことは剣崎たちがやったのか?!」
麒麟:(・・・剣崎竜牙の安否は確認できていない。)
炎斬:「は?」
白鳥:「ちょっと!それどういう意味ですか!!」
覇王:「ハンターたちは無事なのか?」
麒麟:(今、私の元にいる。生存の有無が確認できていないのは剣崎竜牙・・ただ一人だ。)
速水:「そんな・・部長・・!」
小池:「あいつは・・そんな簡単に死ぬようなやつじゃない。」
スペード:「小池・・。」
瞳:「共士郎、仮に剣崎が生きていたとしてもこれだけエリアの崩壊が進行している・・このままだと。」
小池:「大丈夫だ!」
瞳:「!」
小池:「剣崎、一足早く帰るぞ。早く戻ってこい!」
神谷:「手が震えてるわよ、小池くん。」
小池:「ったり前だろ・・。」
神谷:「竜くん・・。」

136話/戦いの傷と心の傷

神の領域・麒麟の間。
麒麟:「よくぞ戻ってきた、次世代のセイバーズたち・・それに瞳舞、三島和人。」
スペード:「・・大丈夫か、白鳥?」
白鳥:「大丈夫じゃないですよ・・。」
夏海:「連れ戻せなかった・・。」
鳥牙:「夏海ちゃん、それは違う。夏海ちゃんは正確無比なコントロールで俺たちを導いてくれていた。恐らくアポカリプスデイの爆風と共に竜牙が弾きだされたんだ。夏海ちゃんの力が働く範囲外にな。」
炎斬:「どちらにしてももう動けないぞ・・。」
本田:「結局視界に入るゾンビモンスターをすべて一掃したからな、俺たち。」
速水:「それに油断のできない環境下にずっといましたからね、精神的疲労も相当溜まっていると思います。」
ハンター:「そうだね、パラレルワールドに突入してから今に至るまでの戦いの中で肉体的な疲労も精神的な疲労も相当溜まっているはずだ。それでも剣崎くんを除くメンバー全員が生きてこの場所に戻ってきている。本当にすごいよ、君たちは・・。」
神谷:「竜くんがいたからよ、彼がいなかったら私たちはとっくの前に死んでいた。」
覇王:「あいつの剣舞眼と的確な指示が俺たちの潜在能力を極限まで高めてくれたんだ。」
ハンター:「剣崎くんの功績はとてつもなく大きい、だからこそ彼には生きていてほしいんだけどね。彼が死んでしまったら僕らの中にはずっと大きなしこりが残ってしまう。」
麒麟:「気休め程度にしかならないが一つ朗報がある。剣崎竜牙がデストロイヤを討伐したことで人間界に出現していた数多の次元の狭間がすべて閉じたようだ。これに伴ってゾンビモンスターたちの消滅も確認できた。」
ハンター:「!本当かい・・!!」
麒麟:「ああ、後は俺がこの戦いでモンスターとなってしまった人々、傷ついた人、物、自然をすべて元の状態に戻す。当然だが世界中がパニックにならないようここにいる者以外の人々の記憶もすべて抹消させてもらう。そう、かつて小池共士郎がやったようにな。」
小池:「あの時と規模が違うだろ・・とんでもない事を当たり前のように・・。」
瞳:「さすがは神様といったところかしら。」
夏海:「これで本当に何もかも元通り・・竜だけを残して・・。」
ハンター:「麒麟、お願いがあるんだ。」
麒麟:「?」
ハンター:「僕を一度人間界に返してほしい。」
麒麟:「?」
ハンター:「僕の勘が当たっていれば戦いはまだ終わってない。ある人物を連れて戻って来る。」

竜牙:「こ、ここは・・?」
青龍:(目が覚めたか。)
竜牙:「その声は・・青龍?!」
青龍:(起きて早々に悪いがすぐに戦闘態勢をとれ、奴はまだ生きている。)
竜牙:「!・・そうだ、デストロイヤは?!」
青龍:(まだこの辺りにいるはずだ。)
竜牙:「ここは・・どこだ?」
青龍:(デストロイヤの中心核をお前が切った瞬間、巨大な爆発が起こったんだ。お前はその爆風に飲み込まれて吹き飛ばされてきたんだ、ここに。)
竜牙は視線を落とす・・。
竜牙:「!マジかよ・・ここって!!」
青龍:(そうだ、フォルテの住んでいるネガの世界の真上だ。)
竜牙:「どういう原理だよ!それに・・なんで俺、空に浮いてるんだ?」
青龍:(浮いてるわけではない。デストロイヤのアポカリプスデイによってお前は少しずつ落下している。もうしばらくすれば大気圏から外れてお前はこの高さから地上へと真っ逆さまだ。それと、お前がこの世界の真上にいる原因は時空間の歪みが起こしている。)
竜牙:「冗談じゃねぇよ!この高さから落ちたらイチコロじゃないか!!」
青龍:(こうなってしまった以上、物理攻撃を無効化できるルインモードを身に纏って落下するしか道はないだろう。まぁものすごい勢いで落下する為、腹をくくる必要はあるがな。)
竜牙:「他人事のように・・ジェットコースターと比にならないレベルだぞ!そもそもなんでデストロイヤがまだ生きているって断言ができるんだよ。」
青龍:(零式で引き裂かれた直後に残った力を振り絞り、不完全な状態を保ったまま翼を広げて飛んでいく様子を目撃した。」
竜牙:「どこまでもしぶてぇ野郎だな・・。」
青龍:(だが、もう風前の灯だろう。逃げ切る力しかもう残っていないはずだ。)
竜牙:「なら、さっさと仕留めにいくぞ。あいつを野放しにしていたらとんでもない事になる!」
青龍:(勿論だ、奴はここで確実に仕留めなければならない。)
竜牙:「でもどうやって探すんだ・・ネガの世界ってフォルテ以外の住民はいなかっただろ?」
青龍:(それは向こうに降りて考えろ、今は生き抜くことだけに頭を回せ。そろそろ・・落下する!)
竜牙:「え?!・・・・う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
竜牙はものすごいスピードで落下していく!!
竜牙:「くっ!こんなところで死んでたまるか、超必殺技・ドラグアーマールインモード!!」
シュゥゥゥゥゥゥッ!!
竜牙:「ぐっ・・うぉおぉぉぉぉぉおぉおぉぉっ!!」

ドサッ!!

竜牙:「痛っぅうううっ!!」
青龍:(無事に直陸できて良かったな。)
竜牙:「他人言ひとごとみたいに・・っ。」
青龍:(問題はここからどうするかだな。どうやらパラレルワールドの出入り口がすべて閉じている。)
竜牙:「な・・じゃあ俺はここから出られないっていうのか!」
フォルテ:「騒がしいと思ったら・・お前か。」
竜牙:「!フォルテ・・。」
フォルテ:「丁度いい、手を貸せ。」
デストロイヤ:「!剣崎ィィィッッ!!」
竜牙:「!」
フォルテ:「これ以上、この化け物に好き勝手暴れてもらっちゃ困るんだよ。」
デストロイヤは眉間にシワを寄せて充血した鋭い眼光で竜牙たちを睨む!
デストロイヤ:「お前だけはここで仕留めるっ!!」
デストロイヤ:「ゾークネスダブルウイング!!」
シュッ・・。
デストロイヤの背中にある巨大な翼が黒く光ると一瞬で竜牙を引き裂いた!!

ズバァッ!!

竜牙:「がはっ・・!!」
(な・・目視する前に・・っ!)
フォルテ:「究極必殺技・ダークネスオーバーロード!!」
フォルテが両手を広げると、デストロイヤを覆い尽くすほどの大きさを誇る黒い塊がつくりだされていく・・!
デストロイヤ:「!なんだコレは・・飲み込まれるっ!!」
フォルテ:「剣崎、お前はその程度でくたばるようなやつじゃないだろ。デストロイヤにトドメを刺せ!」
デストロイヤ:「この・・っ!エンドレスフォルテェ!!なぜ剣崎竜牙の味方をするっ、お前も欲望にまみれたモンスターだろうがっ!!」
フォルテ:「冗談はよせ。私はコイツの味方になった覚えはない、互いの利害が一致した利害関係だ。それだけのこと!」
デストロイヤ:「おのれぇぇぇぇっ!!」
竜牙:「っ・・ルインモードを纏っていて助かったぜ。」
デストロイヤ:「なぜ効いていない・・なぜっ!!」
竜牙:「ま、今回ばかりはついてたぜ。あとはデストロイヤの懐に駆け込むだ・・うっ!」
(足に痺れ?!音速青龍ライトスピードを使いすぎたのか・・?!)
フォルテ:「・・何をしている。」
竜牙:「!」
フォルテは攻撃を中断し、竜牙の背中に触れる。
フォルテ:「テレポーテーション。」
シュッ!!
竜牙は一瞬でデストロイヤの懐にテレポートした!
竜牙:「!」
デストロイヤ:「!」
フォルテ:「二度はない、一撃で仕留めろ!」
竜牙:「恩に着るぜ・・斜め45度、脇を閉めて右足を前に出し腰を振るっ!」
スッ・・!
デストロイヤ:「や、やめろ・・来るなァ!!」
竜牙:「そうすれば・・自ずと剣が動きについてくる!」
(オールクロスジェネレート!)
デストロイヤ:「やめろぉぉっ!」
竜牙:「はぁぁぁぁっ!!」

シュゥッ・・ズバァッッッッ!

竜牙:「お前はもう充分生きた、長い年月をかけて積み重ねてきた罪を自らの死で償え!」
デストロイヤ:「私は・・不滅・・だ・・ぁぁぁ・・っ・・!」
一刀両断されたデストロイヤは塵となって消えて逝った・・。
竜牙:「これで・・終いだ。」

137話/真の最終決戦・竜牙最後の戦い!!

竜牙:「ふぅ・・。」
ドサッ!
竜牙はその場に大の字になって倒れた。
フォルテ:「さすがのお前も体力が底をついたか。」
竜牙:「ったりめーだ。ずっと剣舞眼を開眼しつつ、体を酷使して戦っていたんだからよ。」
フォルテ:「そうか。なら今のお前なら私の一撃ですぐにでもあの世にいけそうだな。」
竜牙:「え?」
フォルテ:「フォルテアナザー!」
竜牙:「っ!」
フォルテの不意を突いた攻撃を竜牙はハヤブサランニングストームで回避する!
竜牙:「一体・・何のつもりだ!!」
フォルテ:「勘違いするな、私たちは強大な力を持つデストロイヤを討伐する為に一時休戦をしていただけに過ぎない。」

竜牙:「なっ・・マジかよ・・。」
フォルテ:「お前たちに集まってもらったのには理由がある。」
竜牙:「理由?」
フォルテ:「私と手を組め。」
スペード:「んだと・・。」
竜牙:「どういうつもりだ?」
フォルテ:「先程話した通りだ、私としてもデストロイヤにこのまま復活してもらうわけにはいかない。私の世界は私がこの手で守り抜く・・それだけだ。」
スペード:「犯罪者が・・何をふざけたことを!」
竜牙:「待て!」
スペード:「おい!」
夏海:「・・・。」
竜牙:「フォルテの実力は一度拳を交えた俺が一番知っている。これから先の戦いに向けてフォルテが力を貸してくれるって言うのなら俺たちにとっても悪い話じゃないはずだ。」
スペード:「本気なのか!」
竜牙:「敵はハンターたちでも討伐できなかったかつてない強敵だ。お互いに倒すべき相手が同じだと言うのなら一時休戦も悪くない話だ。」

竜牙:「このヤロー・・全部計算の内だったって言うのか。」
フォルテ:「正直、お前たちとデストロイヤがぶつかり合うことで得をしていたのは私なんだよ。デストロイヤも剣崎竜牙も私にとっては邪魔な危険因子でしかないからなァ。」
竜牙:「だからってここで裏切るなんて・・。」
フォルテ:「裏切る?私たちはあくまでデストロイヤを倒すまでの協力関係を結んでいただけだ、何よりお前を潰すにはまたとない絶好の機会チャンス。これを逃す手はない、お前から受けた屈辱を忘れた日はないぞ剣崎。」
竜牙:「っ・・やべぇ・・。」
(まずい、今の俺はとても戦える状態じゃない。せめてダメージがなければ今の俺なら本来の力を取り戻したフォルテを相手にしても対等に渡り合えるはずなのに・・っ!)
フォルテ:「HELLヘルフォルテの時はしてやられたが、今こそあの時の決着をつける時だな。」
竜牙:「卑怯だぞてめぇ!」
フォルテ:「超必殺技・ダークアームブレード!!」
スッ!
竜牙:「消えた?!右っ?!」
ズバババッ!
竜牙:「があああっ!!」
スッ!
フォルテ:「フン!」
竜牙:「今度はひだ・・!」
ズバババッ!
竜牙:「うがあああっ!!」
スッ!
フォルテは右、左とワープしながら剣で数回に渡る攻撃を仕掛けていく・・!
ズババッ!
竜牙:「ぐあああっ!!」
フォルテ:「剣舞眼を開眼できないお前など私の敵ではない。なぜなら、人間の視力じゃ全開の私の動きを捉えることがまず不可能だからなァ。」
竜牙:「あぐっ・・くそが・・ぁ・・っ!」
フォルテ:「念の為、その厄介な足を封じておくか、奥義・ポイズンアーム!!」
毒を帯びた触手がフォルテの背中から抜き出て襲い掛かる!!
ズババッ!!
竜牙:「あああああああああああああああああああああああっ!!」
フォルテ:「これで・・もうお前はまともに歩けん。」
ポイズンアームの毒針が竜牙の足に突きささり、竜牙はその場に倒れこんでしまう。
ドサッ・・!!
竜牙:「がは・・っ・・っ・・・!!」
(やべぇ・・やべぇ・・このままじゃ・・殺される!)
フォルテ:「Ⅹ技・ヘルズローリング!」
フォルテは両手から紫色のリングをつくりだし、竜牙に向けて投げつけた!
竜牙:「ごほっ・・!!」
ズザザザッ・・!
フォルテ:「世界を救った英雄がなんとも惨めなものだな、剣崎竜牙。その状態じゃもう立つこともままならないだろう。」
竜牙:「・・・だよ・・。」
フォルテ:「?」
竜牙:「まだ死ぬわけにはいかないんだよっ・・・夏海と作りたい思い出・・たっくさんあるんだよ!
くそぉ・・動けよ、動けよ・・俺の体っ・・やっと自分のやりたいことだって見つけたのに・・ちくしょう・・。」
フォルテ:「まだ喋る力が残っていたか。」

市原:「あきらめるなぁぁぁっ!!」

竜牙:「!」
フォルテ:「何っ・・!」
竜牙:「勇太郎?!なんでここに・・。」
市原:「俺の!俺の知ってる剣崎竜牙は・・最後まで・・最後まで諦めねぇぞっ!!」
竜牙:「っ・・!」
市原:「俺さ、オーロラマウンテンで初めて戦ってるお前を見た時、かっけぇって思ったんだよ!」
竜牙:「!」
市原:「化け物を前にして、怯むことなく誰かを助ける為に剣を振り回しているお前は俺の目にはかっこよくしか映らなかったって言ってんだ!!」
竜牙の瞳から涙がこぼれ落ちる・・。
市原:「やるって決めたなら・・最後までやりぬけっ!それができる男だお前は!・・勝てよ、竜牙!!」
竜牙:「うっ・・ううっ・・。」
橘:「剣崎っ!」
竜牙:「橘・・。」
橘:「俺はっ・・例えお前が動けなくてもムチ撃ってでも戦わせるぞ!俺はずっと見てたんだ、木嶋さんが剣崎・・お前の事をずっと見ていたのを。だからっ・・自分の感情を押し殺して、彼女が笑顔になれるようにお前たちの幸せを影ながら応援しようって決めたんだ!!」
竜牙:「っ・・!」
橘:「こんなところでお前を死なせねぇ!絶対に認めねェ!!死にもの狂いで生き抜けぇぇっ!!彼女を幸せにできるのはただ一人!剣崎竜牙!!おめぇしか・・いねぇんだよっ!!!」
同級生たちの言葉が竜牙の心に突き刺さっていく・・。
竜牙:「たち・・ばな・・うっ・・ううっ・・。」
「頑張れ!」
「負けないで、剣崎くん!!」
「立ち上がってくれ!!」
「剣崎っ!!」
クラスメイト達の声援が響き渡る!
竜牙:「どうなってんだよ・・ほんと・・ううっ・・。」
石山:「ここは次元統合が進んでいたエリアだったんだろう、今ネガの世界と光ヶ丘学院が時空間の歪みが原因で混ざり合っているんだ。だから光ヶ丘学院にいる者たちにははっきり見えているはずだ、ネガの世界で命を賭して戦っている君の勇姿が。」
竜牙:「石山さん?!」
ハンター:「僕が連れてきたんだ。それにしても案の定手のひらを返してきたね、フォルテ。」
フォルテ:「ちっ・・雑魚どもがゾロゾロと・・。」
ハンター:「麒麟がデストロイヤの騒動でめちゃくちゃになった歪みを今、戻している最中だ。この状態は恐らく一時的なものだろう。けど、今の君には願ってもない声援だね・・ほら。」
竜牙が視線を向けると・・一人の少女が涙を拭い竜牙を指差していた。
竜牙:「優香・・。」
桜:「竜牙、世界を救った英雄ヒーローがそんな顔をしちゃ駄目だよ・・。」
竜牙:「っ・・ご、ごめ・・!」
桜は指を降ろす。
桜:「前に言ったよね?2年前、私の背中を先輩は押してくれましたよね、今度は私が先輩を後押しする番です!って・・。」
竜牙:「!」
桜:「もう散々背中を押したのにぃ・・これが最後だからね!」
竜牙:「最後って・・な、何を・・。」
桜:「すぅ~。」
桜は大きく息を吸い込み、肺を膨らまかせる。



桜:「いっけぇぇぇっ!!」



竜牙:「・・!!」
フォルテ:「な、なんてデカい声だ・・っ!」
「いけぇぇっ!」
「剣崎ぃぃっ!!」
「剣崎くん!!」
市原:「行け!竜牙ぁぁっ!!」
橘:「ぶちかませっ、剣崎ぃぃぃっ!!」
竜牙:「へへっ・・。」
竜牙は涙を拭い、ドラゴンソードを掴む。
フォルテ:「おま・・まだ戦う気か!」
竜牙:「みんな・・ありがとう。」
フォルテ:「小癪な・・一撃で終わらせてやるよ!!」
フォルテは両拳に黒いオーラを纏わせる!
竜牙:「・・・。」
竜牙はそっとドラゴンソードを鞘に納める。
フォルテ:「究極奥義・アルティメットブレイクLV5!!」
竜牙:「スゥ~。」
竜牙は剣を引き抜く!
シュッ!


        ズババッ!!
フォルテ:「・・・!」
(私が攻撃するよりも早く・・!!)
竜牙:「ドラゴンソード・・零式っ!!」
フォルテ:「ごほっ・・!ばかなっ・・!!剣舞眼を使わずにその状態で私の攻撃速度上回ったとでもいうのか?!」
竜牙:「桜優香は普通の女の子と ちと違げぇからな。」
フォルテ:「!」
ハンター:「そうかグラウンドのLED灯光器!!」
フォルテ:「なに・・?」
竜牙:「フォルテの動きを目で捉えることはできなくても影なら追えるって話だよ。桜は俺に話しかけるときにお前に気づかれないよう少しずつ立ち位置から動いていた。それはフォルテの向かいでLED灯光器のライトの位置を調整している花音の基準になる為だ。桜はLED灯光器の光がフォルテの影を作る的確な位置を花音に伝える為に危険を承知の上でみんなの前に出たんだ、俺への掛け声と共にライトを点灯させる為に。そう、俺の”目”になる為に!!」
フォルテ:「っ・・・!!」
桜:「ふふっ。」
(最高にかっこよかったよ、竜牙。)
フォルテ:「小娘の策に俺がやられたとでもいうのか・・!」
竜牙:「残念だったな、相手が俺一人だったら確実に俺はお前に負けていただろうぜ。けど皮肉なもんだな。お前は俺に屈したんじゃない。今まで兵器として扱っていた人の力に負けたんだからよ。」
フォルテ:「くっ・・くそがぁぁぁぁぁっ!!」
石山:「フォルテ、ここまでだ。」
ガチャッ。
石山は特殊な手錠をフォルテにかける。
フォルテ:「くっ・・。」
(剣崎め・・ピンポイントに古傷を狙ったのか・・動けん・・っ。)
石山:「ご協力感謝する、君がデストロイヤを討伐したことで次元の狭間が再発する恐れもなくなったわけだ。フォルテの身柄をこちらで拘束した今、もうモンスターの脅威に人々が脅かされることはないだろう。」
フォルテ:「ここまでか・・。」
竜牙:「・・やったぜ。」
ドサッ!
ハンター:「け、剣崎くん!」
石山:「!いつの間にかネガの世界が元に戻っているな。」
ハンター:「彼をすぐにでも麒麟のところに連れていきたい、フォルテのことは任せてもいいかい?」
石山:「勿論だ、君たちと戦えたことを誇りに思うよ。ありがとう、モンスターセイバーズ。」

138話/帰還

麒麟の間。
夏海:「!」
ハンター:「みんな・・彼を迎えてやってくれ。」
竜牙:「み・・んな・・。」
夏海は竜牙の元に駆け寄っていく!
竜牙:「えと・・す、すまねぇ・・夏海!」
ギュッ!
竜牙:「え?」
夏海:「心配したんだから・・おかえりなさい。」
竜牙:「あ・・。」
湧きあがる思いをぐっと抑えた夏海の声が竜牙をそっと包みこんだ。
竜牙が見渡すと・・涙を流す仲間たちの姿が映った。
白鳥:「せぇんぱぁいぃぃっ!!」
速水:「ぶちょう・・っ・・ううっ・・よかっ・・。」
炎斬:「竜牙ぁ・・よかっ・・た・・ほんと・・に。」
スペード:「心配させやがって・・ばかやろ・・っ。」
本田:「くっ・・。」
神谷:「もうっ!本当にダメだと思ったんだからっ!!」
瞳:「あなたの言う通りになった・・ね共士郎。」
小池:「無事でよかった・・ほんとに・・っ。もう親友を失う悲しみは味わいたくたかった・・っ!」
竜牙:「みんな・・ううっ・・。」
覇王:「よく戻ってきた・・・お前はほんっとうに凄いやつだ・・。」
鳥牙:「フッ・・。」
白鳥:「木嶋先輩なんてもう凄かったんですから!」
夏海:「だってぇ・・・あなたをのいない未来あしたなんて迎えたくなかったの!!」
竜牙:「夏海、俺を助けてくれたのは・・優香だよ。」
夏海:「ゆう・・か・・?」
竜牙:「ああ・・。優香だけじゃない、勇太郎、橘、花音・・光ヶ丘学院のみんなが俺に希望の光をくれたんだ。みんなの声援がなかったら俺はもう生きてなかったかもしれない。」
夏海:「そっかぁ。改めて色んな人に助けてもらったね・・竜だけじゃない、私たち・・みんなそう。」
竜牙:「ああ・・感謝してもしきれねぇよ・・どれだけの人に救われたか。」
ハンター:「みんな・・。」
竜牙:「ハンター・・。」
ハンター:「キングダムセイバーズを代表し、この場を借りて礼をさせてほしい。」
竜牙:「・・。」
ハンター:「ありがとう。君たちのおかげですべての元凶であるデストロイヤをようやく討伐することに成功した。君たちにはホントにどう感謝を述べたらいいのか分からない。そして、こんな危険な戦いに巻き込んでしまったことを重ねて謝罪させてほしい。本当にすまなかった!」
ハンターは深々と頭を下げる。
竜牙:「ありがとなハンター。俺を後継者に選んでくれて。」
ハンター:「え・・。」
竜牙:「お前のおかげでこんなにも沢山の仲間と巡り合うことができたんだ。そしてこの繋がりはこの先、何物にも代えがたいかけがえのない繋がりになると俺は信じている。そして、セイバーズとして戦ってきた経験も俺たちの人生において大きな経験となり財産となったはずだ。」
ハンター:「剣崎くん・・。」
竜牙:「ありがとうはこっちの台詞だよ、な!みんな?」
小池:「ああ、剣崎と会えなかったら俺は今もまだ・・力に執着していたはずだ。」
本田:「俺もセイバーズにならなかったら、自分のコンプレックスだった電気エネルギーをここまで使いこなせなかったと思う。」
炎斬:「竜牙と会えたから姉ちゃんと本気で向き合えたんだ、だから今の俺がある!」
白鳥:「剣崎先輩は私にとってずっと憧れでした、でもセイバーズとして修行を積んで・・今では、こうして肩を並べて戦えるぐらい強くなれました。今だから思うんです、モンスターセイバーズになってよかったって。」
速水:「僕にはセイバーズとして拳を交えたからできた繋がりがあります。セイバーズとして守り抜いたから芽生えた繋がりがあります。そしてこの2つの繋がりは僕に欠けていた大切なことを学ばせてくれました。」
スペード:「セイバーズになれたから、ここまで強くなれたんだ。あの頃の弱かった自分をやっと克服できたんだ、今の俺があるのはこれまでの過程があったからこそだと俺は思う。」
覇王:「セイバーズになってなかったら・・もしかしたら俺はあの両親に売りとばされていたかもしれない。辛いことも沢山あったが、全部ひっくるめて今の俺がある。最後までみんなと戦うことができて良かった。」
神谷:「自分の役目・・最初にこれを麒麟に言われた時、なんで私が?ってずっとなってた。でも今だから分かるんだ。この力は世界を救う救世主を支える力だったんだって!それが竜くんでよかった・・大好きな竜くんの力になれたのはこの力のおかげ・・だからほんっとうに感謝してるんだから!」
竜牙:「朱里・・へへっ。」
夏海:「なーにニヤニヤしてんのよ。」
竜牙:「い、いや・・。」
夏海:「ハンター、ここにはセイバーズになったことを恨んでる人間も後悔している人間もいないわ。最後にはみんなでこうして笑って大団円!いいじゃない、終わりよければすべてよし。ほら、人間界はもうそろそろ朝なんじゃない?私たちはこの朝日を見る為に戦ってきたんだもの。後ろを振り向く必要はもうないんじゃないかしら?だって・・私たちの進むべき道は前にあるんだから。」
ハンター:「みんな・・ありがと・・ううっ・・。」
竜牙:「そーいうことだぜ、ハンター。」
ハンター:「ああ・・君たちのことを僕はこれから先も忘れることはないと思う。一緒に戦ってくれてありがとう。」
こうして、俺たちモンスターセイバーズの長い戦いは幕を閉じた。辛いことや悲しいことも沢山あった2年間だったけど、俺たちはセイバーズになったことで今までの自分と向き合うことができた。そして今度は大人になる為にそれぞれが自分の足で歩みだしていく・・それぞれを人生みちを進んで行く!

139話/それぞれの明日に向かって

それから数カ月後。
光ヶ丘学院。
竜牙:「え?モンスターワールドに残る?!」
覇王:「ああ。俺はセイバーズとしてボロボロになったデストロイヤエリアの復興を目指してしばらくはモンスターワールドに身を潜めようと思う。正直目途は立っていないが、ハンターやキングダムセイバーズの面々と共に少しずつやっていこうと思っているんだ。」
竜牙:「そっか・・じゃあお別れだな。」
覇王:「ああ、最後に元気そうなお前の顔が見れて良かったよ。」
竜牙:「松葉杖は外せないけどな、ハハ・・。」
覇王:「まぁとりあえず治療に励め。お前と会えて良かった。」
竜牙:「俺もだよ、元気でな覇王。」
ハンター:「剣崎くん。」
竜牙:「ん?」
ハンター:「そのドラゴンソードなんだけど、君がそのまま貰ってくれないか?」
竜牙:「いいのか?」
ハンター:「もう青龍はいないけど、その剣には君のこれまでの戦いが沢山刻まれている。もう使うことはないと思うけど、君が大切に保管している方がドラゴンソードも喜ぶと思うんだ。」
竜牙:「そっか・・じゃあありがたくいただいていくな!」
覇王:「さ、別れを惜しんでいたらキリがない。」
ハンター:「そうだね。僕も君と出会えて良かったよ・・あ!最後に一つだけ・・。」
竜牙:「ん?」
ハンター:「人生は一度きり、悔いのないようしっかり生きるんだよ。」
竜牙:「・・ああ。」
ハンター:「それじゃ、さようなら!」
覇王:「じゃあな、竜牙!みんなにもよろしく伝えといてくれ!」
こうして2人はパラレルワールドに帰っていった。
神谷:「あれ、今出て行ったのってハンターと覇王?」
竜牙:「ん?ああ・・そうだよ。」
神谷:「そっか、じゃあ私も帰ろうかな。」
竜牙:「ってかなんでお前、光ヶ丘学院にいるんだよ。」
神谷:「次元の狭間が本当にすべて消滅したのかの最終確認をしにね。大丈夫みたい。」
竜牙:「そっか・・なら安心だな!」
神谷:「他のみんなも挨拶をしに来てるわよ。」
炎斬:「よ、竜牙!」
竜牙:「正一!」
炎斬:「その様子だと回復は順調そうだな。」
竜牙:「ああ、まだかかりそうだけど・・どうにかな!」
炎斬:「無理はするなよ、じゃあ俺は栃木に帰るわ。これ以上福岡にいたら出席日数が足りなくなっちまうからよ。」
竜牙:「わざわざ来てくれてありがとな。」
炎斬:「いいさ。あ、俺も剣道部所属なんだ。もしかしたら今後全国大会でまた顔を合わせるかもしれないな。」
竜牙:「!そいつは楽しみだな・・大会で再会できる日を楽しみにしているよ。」
炎斬:「ああ、元気でな。」
竜牙:「正一もな。」
本田:「俺も行くか。」
竜牙:「お前もいっちゃうのか。」
本田:「俺、警察学校の教官になろうと思ってんだ。」
竜牙:「教官?!」
本田:「今までの戦いで身につけたことを次の世代に伝えていきたいんだ。育てたいんだ、俺たちのように誰かを守る為に強くなれる警察官を。」
竜牙:「そうか・・お前も夢を見つけたんだな。」
本田:「ここでお別れだ、もしまた会うことがあればその時はよろしくな。」
竜牙:「ああ!」
小池:「元気そうだな、剣崎。」
竜牙:「小池!」
小池:「終わったんだな、本当に。」
竜牙:「ああ、けど感傷にいつまでも浸ってられねぇよ。俺たちには受験が控えてるからな!」
小池:「そうだな・・特にお前は本腰入れて勉強しないとまずいだろうな。」
竜牙:「言ってろ、俺には必殺の一夜漬けがあるんだからよ。」
スペード:「流石に受験は一夜漬けじゃ無理だろ。」
竜牙:「うっ・・。」
速水:「とりあえず部長は体を治してください、秋季大会には間に合わせてくださいね。」
竜牙:「お、オウ!やってやるよ。」
白鳥:「あれ、木嶋先輩はきてないんですか?」
竜牙:「いや、夏海は今俺んとこに泊まってるよ。今日の最終便でNYニューヨークに戻るみたいだ。俺のことを心配して今まで残ってくれていたんだよ。」
白鳥:「ま、当然ですね!彼女なんですから。」
竜牙:「相変わらず夏海に厳しいな、お前は。」
白鳥:「当たり前ですよ!私にとって木嶋先輩は恋敵であり、目標なんですから。」
竜牙:「え?」
白鳥:「容姿端麗で頭のキレる生徒会長・・この肩書きは木嶋先輩にとってとても大きな重圧プレッシャーだったはずです、きっと陰で相当な努力を積み上げてきたはずなんです。」
竜牙:「白鳥・・。」
白鳥:「私が目指す女性像は自分に自信がなくても皆に認めてもらう為、満身創痍にならず常に自分を磨き続けることができる女性なんです。木嶋先輩はそんな私の憧れなんですよ。」
竜牙:「お・・。」
白鳥:「ちょっと、何ですか・・そのおって・・。」
竜牙:「あ、いや・・白鳥がまさかそんな風に夏海を見ていたなんて・・。」
白鳥:「ぜーーーーったいに言わないで下さいね!」
速水:「白鳥さんの気持ち、僕も分かりますよ。」
白鳥:「でしょ?」
竜牙:「ま、でも夏海は気づいてそうな気もするけどな。」
白鳥:「そこがまたむかつくんですよね。」
竜牙:「ハハハ・・。」
神谷:「竜くん、ここでお別れね。」
竜牙:「・・行くのか?」
神谷:「ええ、東京に戻らないと。私ね、パパの銀行を継ぐことにしたんだ。」
竜牙:「総一郎さんの?」
神谷:「うん、竜くんが婚約を破棄したことを後悔しちゃうぐらい立派な経営者になってみせる。だから・・。」
神谷は竜牙の頬にキスをする。
竜牙:「ちょっ!」
白鳥:「あ、ああああああああああっー!!」
神谷:「これで最後!・・しばらくはみっちり色んな事を叩き込まれるから会えなくなると思うけど、成人式には顔を出せるようにプランを立てて勉強するわ。次に会う時・・一皮剥けた竜くんに会える事を楽しみにしてるね!」
竜牙:「ホント、朱里は本当に底が知れない女だよ。」
白鳥:「うぐ・・これが大人の余裕ってやつですか・・。」
神谷:「ううん、余裕ぶってるだけよ。今でも夏海に負けた事を悔いているんだから。」
竜牙:「お前には俺よりもっといい男が現れるよ。」
神谷:「あら、できる女は待たずに行動を起こすものよ。自分で素敵な男性を見つけてあの手この手を駆使して自分の虜にするの。幸せは誰かが運んでくれるものじゃない、自分て掴み取るものだからね。まぁでもしばらくは百合花ちゃんが言っていたように自分磨きかな?・・あ、時間が押してる・・そろそろ行くね!!」
竜牙:「またいつか、いつものメンバーで集まろう!」
神谷:「そんなの・・当ったり前でしょ!」

その夜・・。
剣崎家の前。
竜牙:「本当にここでいいのか?」
夏海:「うん、お父さんが迎えにきてくれるから。」
竜牙:「そうか・・。」
夏海:「また竜と一緒に戦えて嬉しかったよ。」
竜牙:「俺もだよ。」
夏海:「覚えてる?竜がセイバーズになって間もない頃、私があなたを引っ叩いたでしょ。」
竜牙:「あーあれすっげぇ痛かったな。」

竜牙:「オーロラマウンテンのこと、もう少し調べてみるかなって・・ずっと考えてた。」
夏海:「?!・・バカじゃない!登山するだけでも危険な山なのにまた登る気なの?それに、まだモンスターが潜んでいるかもしれないじゃない。」
竜牙:「けど、あのダイヤって男は何か目的があってあの山にいたはずなんだ。あの山には何かあるんだよ、きっと!」
バシッ!
・・夏海は平手で竜牙の頬をひっぱたいた。
竜牙:「・・!」
夏海:「今は・・命を大切にしなさいよ・・。」
竜牙:「なつ・・み・・?」
夏海:「あなたがいなくなる事で悲しむ人だっているのよ・・。」
ポロっ・・。
彼女の瞳から涙がこぼれ落ちる。
竜牙:「・・・。」
夏海:「竜はみんなを守る為にセイバーズになった。そんな竜を私は守るためにセイバーズになったのよ!なのにあなたがここで無茶していなくなったりしたら本末転倒じゃない・・私たちまだ17よ?これから先の人生をこんな訳のわからない奴らに無茶苦茶にされて言い訳がないじゃない!!!」

夏海:「あなたがいなくならなくて良かった。最後まで竜は無茶苦茶だったけどね。」
竜牙:「返す言葉が見つかりません・・本当に心配かけてすまなかった。」
夏海:「いいよ。私たちを繋いでくれても竜だから。いつも竜が先陣切って危険な橋を渡ってくれていたから私は迷うことなくあなたについていくことができたんだよ。」
竜牙:「夏海・・。」
夏海:「受験、頑張ってね!私も向こうで頑張るから。」
竜牙:「う・・が、頑張る。」
夏海:「ほーら!卒業したらNYニューヨークに来てくれるんでしょ?」
竜牙:「!」
夏海:「私、ずっと待ってるから。ここまできて推薦通りませんでしたとか言った日には張っ倒すからね!!」
竜牙:「ああ、待っててくれ夏海。」
夏海:「うん!」
夏海は歩み出して、後ろを振り向く。
夏海:「あ・・。」
竜牙:「ん?」

夏海:「今夜は月が綺麗だね!」

竜牙:「え・・あ、言われてみれば。」
夏海:「はぁ~先が思いやられるわ。」
竜牙:「え?ちょっ・・どういうことだよ!」
夏海:「自分で考えなさいよ、バーカ。」
竜牙:「ちょっ!なんだよそれ!!」
夏海:「フフッ・・。」
夏海はネックレスを握りしめる。

竜牙:「ん~難しいことはよく分かんねぇ、でも会えないからこそお互いを想う気持ちはより強くなる。そういう繋がりのカタチだってあるんじゃないか?」
竜牙は指輪をポケットから取り出す。
夏海:「あ・・それ・・!」
竜牙:「持ってるんだろ?今も。」
夏海:「うん・・私の宝物だから・・。」
夏海もポケットから指輪を取り出す。
竜牙:「やっぱりな。」
夏海:「!」
竜牙:「こんな物、気持ちが離れていたら当たり前のように持ってこねぇよ。もう分かるだろ?こいつがお互いのポケットの中にあるってことは、お互いに欠けてはいけない大切な存在になってる証拠だ。」

ボソッ。
夏海:「この指輪に免じて許してあげるわよ。」
竜牙:「?さっきから何言って・・。」
夏海:「こっちの話よ、それより・・竜はもう少し乙女心を学ぶ必要があるんじゃない?」
竜牙:「どういう意味だよ、それ~!」

~to be continued

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