君と僕と先輩と後輩と部長とあの子と宇宙人とメイドとその他大勢の日常

ペケペケ

文字の大きさ
6 / 18

先輩と後輩・2

しおりを挟む
「わははははは」
「どうした後輩、今日はいつもよりネジが多めにとんでるけど」
「実はですね~、投稿した小説がお気に入り登録されたんですよ」
「昨日のアレを人目に晒す度胸があったのかお前」
「アレって何ですかアレって」
「文法メチャクチャ、改行しない、言葉使いがなってない、アレを小説と呼ぶにはちょっとなぁ」
「ひ、酷い」
「後輩、正当な評価を受けて落ち込むのは三流のする事だ、悔しかったら俺に面白いって言わせるような物を書くんだな」
「う~ん、でも先輩、最近の小説ってこんなものじゃないんですか? 私、一応他の人の作品を読みながら書き方を真似したんですけど」
「嘘、だろ? お前の読んだやつをちょっと見せてくれ」
「えっ!? …………いいですけど、でもやめた方がいいと思いますよ?」
「いいから」
「そこまでいうなら……いいですけど」
「なに渋ってんだよ、自分の小説を知り合いに読まれるよりはマシだろ?」
「その、私はどちらかというと先輩の心配をしてるんですけどねぇ」
「は? 意味わかんねえ」
「後悔しても知りませんからね」
「本当に意味、わかん……ねぇ……」
「あーあ、だから言ったのに」
「後輩……これ、どこから仕入れて来たんだ?」
「えっと『異世界転生した俺が強すぎてハーレムを作っちゃった』の事ですか?」
「やめろォォォォォォォォォォォォ、テメェ! その名を口にするじゃねぇ!」
「いきなり追いかけてくるの止めて下さいよ! 漆黒の堕天使さん」
「やめ、止めて下さいお願いします」
「うわぁ、綺麗な土下座、人ってこんなに簡単に心が折れるもんなんですね」
「クソォ、絶対に部長がバラしたんだ絶対にそうだ」
「先輩、ちょっと恥ずかしいのは分かりますけど落ち着いて下さいよ、私は面白いと思いましたよ?」
「俺の痴態が?」
「それも少し」
「しにてぇ」
「でも小説も面白いと思いました、ほんとです!」
「あんな小説とも呼べないような妄想が!?」
「そうです! そんな妄想がですよ! 小説は自由なんだって私は先輩の小説に教わりましたから」
「小説は自由?」
「はい、すごい読み難かったり変な所でお色気シーンが入ってたり意味わからない理由で女の子がせんぱ……主人公を好きになったりしてたけど好きなように書いて楽しみながら書いてるんだなって思いました」
「読み難いし気持悪いお色気シーンがマイナスと」
「いや、うん、少ししか気持ち悪いと思ってないですよ」
「…………大丈夫、俺はまだ生きてる」
「と、とにかく!  だから……あれ? そういえば先輩に私が書いた小説否定されたような?」
「僕が間違ってました、すいません調子に乗ってました、ちょっとまともな文が書けるようになって頭にのってました、ごめんなさい」
「うわぁ、卑屈ですねぇ、そこまで遜られると逆に馬鹿にされてる気がしますよ」
「……いや、本当に悪いと思ってるよ、お前も始めて書いたんだもんな」
「先輩!」
「手本もあれだったし」
「本当ですね!」
「うおぃ! オブラートに包めよ!」
「正当な評価を受けて落ち込むのは三流のする事だ、ですよね?」
「う、その通りです」
「じゃあ先輩の作品を掘り返して読んでいきますね」
「えっ、何そのくだり、やっぱりお前の前後意味わかんない」
「今の先輩がどうゆう風に成長して行くか気になったんです」
「せめて総数の半分くらいから始めてくれないか?」
「ダメです、ムリです、あり得ません」
「何故!?」
「先輩のファン2号だからですよ」
「……何で2号? 1号がいるのか?」
「えっと、言っても良いのか分からないので黙秘権を行使します」
「言っても良いか分からない?」
「そんなことより先輩! ファンですよ! ファン!」
「ファンって言われてもなぁ俺はまだプロじゃないし」
「じゃあプロになってからのファン1号ですね」


 花が咲く様な笑顔で、後輩はそう言った。

 後輩が部活に力を入れ始めてくれて良かったけど、ファン1号は一体?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...