君と僕と先輩と後輩と部長とあの子と宇宙人とメイドとその他大勢の日常

ペケペケ

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先輩とメイド

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「おや? 穀潰し様じゃありませんか」
「いきなりメイドらしからぬ発言すんなよ、あんた仮にもメイドだろ?」
「これは失礼しましたゴキブリ様」
「もう罵倒出来ればなんでも良いのかよ」
「当たり前じゃないですか」
「当たり前なのかよ、んで? 校門で突っ立って何してんすか?」
「何故わたしの行動を貴方に、おっと、ダンゴムシ様に報告しなくてはいけないのでしょうか?」
「あんたってブレないよな、無駄に高性能だから余計に質が悪い」
「まあゴミムシ様に褒められても五ミリ程しか嬉しくないですね」
「一応嬉しいのかよ」
「それでカス虫様はどうしてわたしの目の前で呼吸しているのですか?」
「呼吸くらいさせろよ! つーか用なんかねーよ! 学校の校門でメイドの格好した不審者がいたら話しかけるっつうの!」
「メイドとはなにか? そういうことですか?」
「ちげえよ! 仮にその話をするなら俺はあんたメイドとしては認めたくねえよ!」
「メイドに対してメイドとして認めないとは中々どうして、やはりカメムシ様には少しばかりお灸を据える必要があるようですね」
「後にも先にも主人以外の人間に毒しか吐かないメイドなんかこの世にいねーよ!」
「ゾウリムシ様は何か勘違いなさっていますが、私は貴方以外の方には普通の対応しますよ?」
「逆になんでだよ!」
「いや、逆になんでだよと言われましても、それが普通ではないですか?」
「はあ?」
「私も一応社会人ですし、暴言を吐いていい人間と悪い人間の区別くらいつけますよ?」
「……いや騙されねえから! その普通は俺にも適応させるべきだろ!」
「チッ」
「チッじゃねえよ!」
「それでクマムシ様はどう行ったご用件で生きてるのですか?」
「生きてる理由が分かる奴なんてこの世にどんだけいんだよ!」
「全体の五割といったところですかね?」
「そんだけ自分の人生に意義を見つけてる奴がいるなら世の中もっと平和になってるっつーの!」
「さっきから私は言う事を全て否定して、ミドリムシ様は何様なんでしょうか?」
「あんたがボケ倒すからだろうが!!!」


 ゼェゼェと肩で息をする。このメイドと話をするといつもこうだ。


「ふふ」
「なに笑ってんだよ」
「いえ、愉快でしたので」
「そりゃあんだけ人を馬鹿にすれば愉快この上ねえだろうよ」
「そういう意味ではないですか、しかし愉快な時間もここまでのようですね」
「はあ?」

「セーンパーイ、どうしたんですか? ウチのメイドにナンパですか?」
「あ? あんま調子にのるなよ後輩」
「ひっ、なんて冷めた目をしてるんですか!?」
「というかメイド、あんた俺を暇つぶしに使ったな?」
「いえ、なんのことかワカリマセンガ」
「はぁ、まあいいや、またな後輩」
「えー先輩一緒に帰らないの?」
「ああ、今日は疲れた、また今度な」
「ブーブー」


 うるさい後輩を尻目にメイドにも目をやると珍しく俺に向かい小さく礼をしていた。

「ホント、嫌なヤツじゃないんだけどな」

 只々つかれるんだよ、メイドは。



end
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