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第ニ章・お兄様をさがせ!
第二十二話
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とある国の路地裏、ガリガリに痩せ細った男が倒れていた。
その男の身なりは随分と薄汚れていたが、この辺りでは珍しいワノ国と呼ばれる国の服装によく似ていた。
男はよろつきながら立ち上がると、路地裏を徘徊するようにふらふらと歩き始める。
「ちくしょう、あのクソ社長、いつか絶対ぶっ殺してやる」
そんな物騒な事をぶつぶつと呟きながら男は徘徊を続ける。すると、そう遠くない所から女性の叫び声が辺りに響き渡る。
それは恐らく面倒な荒事だと男は判断すると悪態を吐いた。
「ふざけんな、こんな近くで! 争い事に巻き込まれるなんて冗談じゃねえよ」
男は焦り、必死に来た道を引き返したが、男の努力も虚しく喧騒の音は段々と男の方に近づいて来る。
「ふざ、ふざけんな」
そして、男の不運は予定調和のようにその争い事を引き寄せたのだった。
「おらぁ、まてやブス」
「観念しろ、ブサイク」
「往生際が悪いんだよ悪い人相しやがって」
ダダダ、と。何故か男の周りを取り囲むように渦中の人物たちがその場に集まる。
どうやら一人の女性を三人の男が追いかけていたらしい。
ブスやブサイクと言われた女性の顔は男を盾にするように素早く背後に回られたせいで確認出来なかったが、女性を追っていた三人組はあからさまな犯罪者といった風貌をしている、布で顔を覆い隠し、全身黒ずくめの服装、その姿は野盗を彷彿とさせる。
「勘弁してくれよ、なんなんだよ」
背後に隠れた女を野盗共に突き出そうともがくが、悲しかな、今の男の筋力はブサイクな女にすら劣っていた。
「助けて、アタシはジュエリ・ランジェリカ、あのゴミ共に追われてるの」
そりゃ見れば分かるが何故一々火に油を注ぐような事をいうんだ、と顔を上げたジュエリの顔を見ると男は絶句してしまう。
ーーいや本当にブスだなヤクザみたいな顔してんじゃん、と。
そんな心の声が口から出そうになるのをぐっと堪え、男は自分が生き残る為に目の前にいる三人の野盗に向かって言う。
「オレは関係ないんだ、見逃してくれないか?」
「ちょっと! かわいいアタシが助けてって言ってるのになんなのよ!」
えっ? かわいい? とその場の全員が顔を顰めるがジュエリはそれに気づかない。
何故ならジュエリは本当に自分が可愛いと思っているからだ。
「ま、まあ、感性は人それぞれだからそれは俺らの知ったこっちゃないけどよ」
そう言って野盗は苦笑いをするが、いやそんな話じゃねえ、といきなり唸りを上げると指を指し言う。
「やい、痩せっぽちの兄ちゃん、死にたくないならそのブスを差し出しな」
「よしきた、手伝ってくれ、引きはがせないんだ」
と男が即決すると、ちょっとちょっと! とブスは声を上げる。
本当に嫌そうな顔で男はブサイクの顔を見やると、ブスが露骨なドヤ顔で言うのだ、
「アタシはこの国のお姫様よ? ここで恩を売った方がいいんじゃないの?」
と、そんなジュエリの言葉に男の眉がピクリと釣り上がった。
ーーこいつは、金になるかも知れない。
食い付いた、と確信したのかジュエリは男にそっと耳打ちをする。
「アタシを助けてくれたら貴族にしてあげる」
男はグッと拳を握り戦う姿勢を取ると、野盗に向かって吠えた。
「よおぉぉぉぉぉし、掛かってこいやぁぁぁぁ」
だがしかし、男は弱かった。
二三発拳をもらうと男は崩れ落ち、情けないぐらいあっさりと倒されたのだ。
ーーあっ、これ無理なやつだ。
そう悟った男は立ち上がろうともせずにそのまま起き上がろうともしなかった。
「離しなさいよ、パパに言いつけるわよ」
殴り倒された男の事など既に頭に残って無いのか心配する素振りすら見せずにジュエリは野盗達を捲し立てる。
「いいから、大人しくしろ」
いい加減茶番に付き合っていられないとブサイクを黙らせる為に野盗はその顔を殴った。すると、声を震わせながらジュエリは小さく呟く。
「なに、すんのよ」
自称可愛いジュエリは大事な顔を殴られると、怒り狂ったように野盗と取っ組み合いを始めた。
鬼のような形相で、ジュエリはあっというまに野盗の一人を押し倒してマウントポジションを取ると即座に格闘家もビックリな連打を野盗に浴びせる。
「シュシュシュシュシュシュシュシュシュ」
連打を受け、マウントを取られた野盗が気絶をしてもジュエリは連打を止める事はなかった、その姿はまるで狂戦士そのもの、野盗たちもただ呆然とその姿を傍観する。
しかし、圧巻の光景に目を奪われていた野盗はハッとすると仲間を助けるべく、棍棒らしきものでジュエリの後頭部を殴打した。
武器による攻撃が効いたのかジュエリはふらつきながら立ち上がると鋭い眼光を棍棒を持っている野盗に向ける。
「アタシの顔に傷をつけてこの世で生きていけると思うなよ」
少し間合いを取っていた棍棒を持つ野盗が目配せでもう一人に合図を送ると野盗は二人同時にジュエリに襲い掛かった。
流石のブサイクも二人同時に相手にする事は出来ず、取っ組み合いを末にジュエリはついに敗れてしまった。
「はあ、はあ、手こずらせやがって、このブスが!」
羽交い締めに拘束されたジュエリを野盗の一人が怒りに身を任せて全力で腹を殴るとジュエリは迫り来る嘔吐感に耐え切れず吐いてしまう。
ゼェ、ゼェと息を荒げながらジュエリは途切れ途切れに声を漏らす。
「あ、んたらぜった、いに、ゆるさ、ないから」
ジュエリの目の闘志は未だ消えていない。
サンドバッグになりながらもジュエリは隙あらば反撃をしてやろうという気概を感じさせるような目をしている。
一人の女がリンチを受けているそんな時に殴り倒された男は急に立ち上がった。
「おい!」
野盗の一人が声を上げると男は振り返りながら走り始める。
ーー悪いね姫さん、俺は金より命が大事なんだよ。
クズもここに極まれり、男はジュエリを置いて逃走を始めたのだ。
男の行動に気を取られたのか、ジュエリを拘束していた野盗が力を緩めると、一瞬の隙を見逃さずジュエリは拘束を振り払い、目の前の野盗を殴り飛ばした。
殴られた衝撃によって、顔を覆っていた布が外れ素顔が顕になるがそんなことを気にする余裕が無いのか野盗は悪態を付いて懐に手を伸ばす。
「クソが!」
もう一度暴れるジュエリを取り押さえる事が無理だと判断した野盗はジュエリを殺すつもりでナイフを構える、すると
「おい、バカ後ろ!」
「えっ?」
ジュエリの後方にいた野盗の声に反応し素顔になった野盗が振り向くと、ズブリと嫌な感覚が全身に走った。
「なんだ、アンタもコッチに来てたのかよ……社長」
グッと、男は手に力をこめグリンと手首を返す。
「ゴプッ」
野盗は口から血を吐き、数歩うしろに下がると、身に起こった事を知る。
「お、おまえ」
腹部には深々と突き刺さる刃物、刺された箇所を捻られたせいか刃物が突き刺さっているのにも関わらず夥しい量の血が腹部から流れ出ている。
「いや~良かったよ、アンタだけは絶対に殺すって決めてたんだ」
だから、死んでくれ。そう言って男が蹴りを浴びせると野盗は力無く倒れこむと、情けなく声を上げた。
「ま、まってくれ、し、死にたく、」
死にたくない、その言葉を男が最後まで聞く事は無かった。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
生々しい音が路地裏に響く。
死んだ野盗に何度も刃を立て、憎しみを吐き出すように男は繰り返す。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
血が吹き出し、返り血を浴びても男は拭き取る事さえしない。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
やがて、気が晴れたかのように男は顔を上げる。
「はあ、スッキリした」
男が辺りを見渡すと、自分と同じように残った一人を延々と殴り続けるジュエリの姿を見た。
ーーああ、コイツ狂ってんな。
男はそう思うとおもむろに気絶した野盗に目を向ける。
「とりあえず、これでオレは貴族になれんのかな?」
こうして最悪の人間が貴族になった。
そんな最悪の人間が貴族になった事により、国一つが滅びの道を歩む事になるのはこれより少し先の話。
その男の身なりは随分と薄汚れていたが、この辺りでは珍しいワノ国と呼ばれる国の服装によく似ていた。
男はよろつきながら立ち上がると、路地裏を徘徊するようにふらふらと歩き始める。
「ちくしょう、あのクソ社長、いつか絶対ぶっ殺してやる」
そんな物騒な事をぶつぶつと呟きながら男は徘徊を続ける。すると、そう遠くない所から女性の叫び声が辺りに響き渡る。
それは恐らく面倒な荒事だと男は判断すると悪態を吐いた。
「ふざけんな、こんな近くで! 争い事に巻き込まれるなんて冗談じゃねえよ」
男は焦り、必死に来た道を引き返したが、男の努力も虚しく喧騒の音は段々と男の方に近づいて来る。
「ふざ、ふざけんな」
そして、男の不運は予定調和のようにその争い事を引き寄せたのだった。
「おらぁ、まてやブス」
「観念しろ、ブサイク」
「往生際が悪いんだよ悪い人相しやがって」
ダダダ、と。何故か男の周りを取り囲むように渦中の人物たちがその場に集まる。
どうやら一人の女性を三人の男が追いかけていたらしい。
ブスやブサイクと言われた女性の顔は男を盾にするように素早く背後に回られたせいで確認出来なかったが、女性を追っていた三人組はあからさまな犯罪者といった風貌をしている、布で顔を覆い隠し、全身黒ずくめの服装、その姿は野盗を彷彿とさせる。
「勘弁してくれよ、なんなんだよ」
背後に隠れた女を野盗共に突き出そうともがくが、悲しかな、今の男の筋力はブサイクな女にすら劣っていた。
「助けて、アタシはジュエリ・ランジェリカ、あのゴミ共に追われてるの」
そりゃ見れば分かるが何故一々火に油を注ぐような事をいうんだ、と顔を上げたジュエリの顔を見ると男は絶句してしまう。
ーーいや本当にブスだなヤクザみたいな顔してんじゃん、と。
そんな心の声が口から出そうになるのをぐっと堪え、男は自分が生き残る為に目の前にいる三人の野盗に向かって言う。
「オレは関係ないんだ、見逃してくれないか?」
「ちょっと! かわいいアタシが助けてって言ってるのになんなのよ!」
えっ? かわいい? とその場の全員が顔を顰めるがジュエリはそれに気づかない。
何故ならジュエリは本当に自分が可愛いと思っているからだ。
「ま、まあ、感性は人それぞれだからそれは俺らの知ったこっちゃないけどよ」
そう言って野盗は苦笑いをするが、いやそんな話じゃねえ、といきなり唸りを上げると指を指し言う。
「やい、痩せっぽちの兄ちゃん、死にたくないならそのブスを差し出しな」
「よしきた、手伝ってくれ、引きはがせないんだ」
と男が即決すると、ちょっとちょっと! とブスは声を上げる。
本当に嫌そうな顔で男はブサイクの顔を見やると、ブスが露骨なドヤ顔で言うのだ、
「アタシはこの国のお姫様よ? ここで恩を売った方がいいんじゃないの?」
と、そんなジュエリの言葉に男の眉がピクリと釣り上がった。
ーーこいつは、金になるかも知れない。
食い付いた、と確信したのかジュエリは男にそっと耳打ちをする。
「アタシを助けてくれたら貴族にしてあげる」
男はグッと拳を握り戦う姿勢を取ると、野盗に向かって吠えた。
「よおぉぉぉぉぉし、掛かってこいやぁぁぁぁ」
だがしかし、男は弱かった。
二三発拳をもらうと男は崩れ落ち、情けないぐらいあっさりと倒されたのだ。
ーーあっ、これ無理なやつだ。
そう悟った男は立ち上がろうともせずにそのまま起き上がろうともしなかった。
「離しなさいよ、パパに言いつけるわよ」
殴り倒された男の事など既に頭に残って無いのか心配する素振りすら見せずにジュエリは野盗達を捲し立てる。
「いいから、大人しくしろ」
いい加減茶番に付き合っていられないとブサイクを黙らせる為に野盗はその顔を殴った。すると、声を震わせながらジュエリは小さく呟く。
「なに、すんのよ」
自称可愛いジュエリは大事な顔を殴られると、怒り狂ったように野盗と取っ組み合いを始めた。
鬼のような形相で、ジュエリはあっというまに野盗の一人を押し倒してマウントポジションを取ると即座に格闘家もビックリな連打を野盗に浴びせる。
「シュシュシュシュシュシュシュシュシュ」
連打を受け、マウントを取られた野盗が気絶をしてもジュエリは連打を止める事はなかった、その姿はまるで狂戦士そのもの、野盗たちもただ呆然とその姿を傍観する。
しかし、圧巻の光景に目を奪われていた野盗はハッとすると仲間を助けるべく、棍棒らしきものでジュエリの後頭部を殴打した。
武器による攻撃が効いたのかジュエリはふらつきながら立ち上がると鋭い眼光を棍棒を持っている野盗に向ける。
「アタシの顔に傷をつけてこの世で生きていけると思うなよ」
少し間合いを取っていた棍棒を持つ野盗が目配せでもう一人に合図を送ると野盗は二人同時にジュエリに襲い掛かった。
流石のブサイクも二人同時に相手にする事は出来ず、取っ組み合いを末にジュエリはついに敗れてしまった。
「はあ、はあ、手こずらせやがって、このブスが!」
羽交い締めに拘束されたジュエリを野盗の一人が怒りに身を任せて全力で腹を殴るとジュエリは迫り来る嘔吐感に耐え切れず吐いてしまう。
ゼェ、ゼェと息を荒げながらジュエリは途切れ途切れに声を漏らす。
「あ、んたらぜった、いに、ゆるさ、ないから」
ジュエリの目の闘志は未だ消えていない。
サンドバッグになりながらもジュエリは隙あらば反撃をしてやろうという気概を感じさせるような目をしている。
一人の女がリンチを受けているそんな時に殴り倒された男は急に立ち上がった。
「おい!」
野盗の一人が声を上げると男は振り返りながら走り始める。
ーー悪いね姫さん、俺は金より命が大事なんだよ。
クズもここに極まれり、男はジュエリを置いて逃走を始めたのだ。
男の行動に気を取られたのか、ジュエリを拘束していた野盗が力を緩めると、一瞬の隙を見逃さずジュエリは拘束を振り払い、目の前の野盗を殴り飛ばした。
殴られた衝撃によって、顔を覆っていた布が外れ素顔が顕になるがそんなことを気にする余裕が無いのか野盗は悪態を付いて懐に手を伸ばす。
「クソが!」
もう一度暴れるジュエリを取り押さえる事が無理だと判断した野盗はジュエリを殺すつもりでナイフを構える、すると
「おい、バカ後ろ!」
「えっ?」
ジュエリの後方にいた野盗の声に反応し素顔になった野盗が振り向くと、ズブリと嫌な感覚が全身に走った。
「なんだ、アンタもコッチに来てたのかよ……社長」
グッと、男は手に力をこめグリンと手首を返す。
「ゴプッ」
野盗は口から血を吐き、数歩うしろに下がると、身に起こった事を知る。
「お、おまえ」
腹部には深々と突き刺さる刃物、刺された箇所を捻られたせいか刃物が突き刺さっているのにも関わらず夥しい量の血が腹部から流れ出ている。
「いや~良かったよ、アンタだけは絶対に殺すって決めてたんだ」
だから、死んでくれ。そう言って男が蹴りを浴びせると野盗は力無く倒れこむと、情けなく声を上げた。
「ま、まってくれ、し、死にたく、」
死にたくない、その言葉を男が最後まで聞く事は無かった。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
生々しい音が路地裏に響く。
死んだ野盗に何度も刃を立て、憎しみを吐き出すように男は繰り返す。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
血が吹き出し、返り血を浴びても男は拭き取る事さえしない。
ズシャ、ズシャ、ズシャ。
やがて、気が晴れたかのように男は顔を上げる。
「はあ、スッキリした」
男が辺りを見渡すと、自分と同じように残った一人を延々と殴り続けるジュエリの姿を見た。
ーーああ、コイツ狂ってんな。
男はそう思うとおもむろに気絶した野盗に目を向ける。
「とりあえず、これでオレは貴族になれんのかな?」
こうして最悪の人間が貴族になった。
そんな最悪の人間が貴族になった事により、国一つが滅びの道を歩む事になるのはこれより少し先の話。
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