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第ニ章・お兄様をさがせ!
第四十三話
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旧校舎周辺の鬱蒼と生い茂る木々の中に少しだけ開けた場所に湖がある。
そこには意地悪な精霊が住み着いており、近づく者にイタズラするのだとか。
そんな湖に剣撃がぶつかり合う音が響き渡る。
剣尖が頬を掠め、それを切り返す。
木剣を打ち返し、それを受け止める。
ギリギリの均衡を保ち、二人は何度も繰り返し剣を交わす。
言葉もなく、ただひたすらに。
先に動きに乱れたのは竜騎士の方だった。
乱れ、というよりも剣閃のヨレだったのだが、精霊剣士はその僅かな隙を見逃さない。
僅かに歪んだ剣閃を紙一重で完璧に回避すると精霊剣士の鋭い切り返しが竜騎士の胴を捉えた。
重く、鋭い一撃に竜騎士は苦悶の表情を浮かべる。
「ぐっ」
膝をつく事はなかったが少なからずダメージがあると悟った精霊剣士は、ここが一息の入れどころと思ったのか木剣を引き、静かに口を開く。
「どうだ? アルフレッド、話をする気にはなったか?」
そんな問いの言葉にアルフレッドは鋭い視線を向けて強い怒りと拒絶の意思を含む口調で返す。
「シーカーと話す事なんかないっす、なんで放って置いてくれないんすか? アンタには関係ないじゃないっすか」
怒りを含む口調、拒絶の言葉。
冗談などではない、アルフレッドはシーカー・マクシミリアンという人物に怒りを覚えていた。
しかし、それはシーカーも同じだった。
「関係がない、か。アルフ、それは本気で言っているのか?」
「これが冗談に聞こえるなら流石の俺も笑えないっすよ、どうしようもないアンタに俺の事なんか分からないっす、これ以上やるって言うなら……俺も全力でやらせてもらうっすよ」
喉元まで出かかった言葉を飲み込みシーカーは大きく深呼吸をする。
「御託はいい、私もいい加減にハラワタが煮えくりそうだ、全力で来るというのなら私も全力で迎え撃つ、お前が考えを正すまで私は剣を振るうとしよう」
木剣を構え直し、シーカーは真っ直ぐにアルフレッドを見据えるとアルフレッドもまた全力で闘う為に大きく息を吸った。
「竜の咆哮」
闘う意思が蒼色の瞳が金色に変化させ、空気を震わせる怒号が周囲の生物を無差別に威嚇する。
しかし、辺りの生物がバッタバッタと気を失い倒れて行く中で、シーカーは涼しげな表情を浮かべていた。
「ワンパターンだな、アルフ」
「これ以上なんか俺にはないっす、これで負けた事なんか…………一度もないっすよ」
少しばかりの言葉の間に、自信の揺らぎを感じたシーカーは少しだけ口元を緩める。
「フッ、そうか」
「なんすか、その笑いは」
「いや、お前にしては珍しく言葉に迷いを感じてな」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、アルフレッドは一つ舌打ちをした。
「俺のこと、わかったような事を言わないで欲しいっす」
「わかったような事を、か。確かに私はお前の理解者などではないからな、そう言われても仕方ないかもしれない」
ピクリと眉を吊り上げ、アルフレッドは顔を顰め、呟く。
「アンタ、マジで意味が分からないっすよ」
アルフレッドが木剣を捨てて拳を構えると、シーカーもそれに応えるかのように表情を引き締める。
そして、意外にも先手を打ったのはシーカーの方だった。
お互いの距離は約六メートル。
シーカーは緩やかに駆け出しアルフレッドの間合いに入ると流れるように上段から木剣を振う。
一つの型を成すようにシーカーの動きが止まる事は無い。
一から二、三から四へ、無駄のない動きからは考えられないほどに剣線が増えて行く。
エルフィアの剣術が舞と例えるとしたら、シーカーの剣術は流水と揶揄出来るだろう。
時に激しく、時には緩やかに、緩急を付けながら振るうシーカーの剣撃をアルフレッドは、見切れない、と感じた。
一閃を放つ毎にまた一閃、淀みなく繰り出される連撃はアルフレッドの反応速度を遥かに超えていた。
ーーシーカー腕を上げたっすね、でも。
流石だと思う気持ちを右拳と一緒に握り込み、アルフレッドはしゃらくさい、と強引に拳を突き出す、しかし、
「闇雲の一撃が当たるとでも思ったのか!」
アルフレッドの拳が空を切ると、狙い澄ました一撃がアルフレッドの額に直撃した。
「グッ」
「まだだ!」
後ずさるように後退する竜騎士をシーカーは見逃さない。
瞬時に間合いを詰め木剣でアルフレッドの急所を突く。
顎、鳩尾、喉仏、高速の三連突きは吸い込まれるようにアルフレッド急所に直撃した。
二転三転と後方に転がり、アルフレッドはうつ伏せに倒れ込む姿を見て、流石にやり過ぎたか? と思ったその瞬間、アルフレッドは地面を投げた。
地面を投げた、比喩にあらず。
アルフレッドは力任せに腕を地面に突っ込み、前方一帯の地面をひっくり返したのだ。
「そう来たか!」
視界を覆う程の地面の津波。現状のシーカーでは受け止める事も打ち砕く事も出来ないであろう質量。
しかし、シーカーはそんな飛来する地面を避けようとするどころか木剣を構え前進した。
本来であれば愚策どころの話ではない、ただの自殺行為だ。
だが、飛来する物体を相手が砕いてくれるならば話は別だ。
眼前に迫る地面はシーカーの思惑通り粉々に吹き飛んだ。
「お前なら必ずそう来ると思ったよ」
「俺もシーカーならそう来ると思ってたっすよ!」
細かくなった岩盤を避けながらシーカーはアルフレッドに迫る。
間合いが肉迫し、再び竜騎士と精霊剣士は拳と剣を交える。
お互いの力を試すように、お互い気持ちを確認するように、何度も何度も繰り返す。
それは陽が沈み、また陽が昇る頃まで続いた。
*
「い、いい加減、負けを認めたらどうだ?」
「そっちこそ、ただの人間がこれ以上無理するとマジで死ぬっすよ」
陽が昇ると今にも倒れそうな二人がそこに立っていた。
着衣は破れ、体中泥だらけ、所々傷を負っていて、肩で息をしている。
負けたくないと、コイツだけには負けたくないと、意地を張りなんとか立っているような状態だ。
「これで終わりっすよ、シーカー」
「ああ、そうだな」
静かに頷き、大きく息を吸う、そして……
身体中の力を集め、二人は同時に駆け出す。
竜騎士は拳を振りかぶり、精霊剣士は剣を振りかぶる。
間合いが交差しシーカーの木剣がアルフレッドの拳より先に額に届こうかという刹那の時、シーカーはアルフレッドの拳が自分の身体に向かって放たれている訳ではないと気付いた。
ーーコイツ!
アルフレッドの拳はシーカーの木剣目掛けて繰り出されていたのだ。
勝利を確信しアルフレッドは右拳を振り抜き木剣を粉砕した。
「俺のーー」
だが、勝ち名乗りを上げようとした瞬間、違和感に気付く。
ーーこんなに簡単にシーカーが武器を手放す筈がない! と。
軽すぎたのだ、最後打ち込みが、シーカーの意地の一撃がこんなに軽い筈が無い、そう気付いた時にはもう遅かった。
拳を振り抜いてしまった反動で身体が流れてしまう。
そんなアルフレッドの拳をかいくぐり懐に潜り込むとシーカーは残りの魔力を振り絞り拳に風を纏わせた。
渾身の力と意地を込めシーカーは全力で拳に振り上げる、そして……
シーカーの渾身の一撃はアルフレッドの頬に深々と突き刺さった。
そこには意地悪な精霊が住み着いており、近づく者にイタズラするのだとか。
そんな湖に剣撃がぶつかり合う音が響き渡る。
剣尖が頬を掠め、それを切り返す。
木剣を打ち返し、それを受け止める。
ギリギリの均衡を保ち、二人は何度も繰り返し剣を交わす。
言葉もなく、ただひたすらに。
先に動きに乱れたのは竜騎士の方だった。
乱れ、というよりも剣閃のヨレだったのだが、精霊剣士はその僅かな隙を見逃さない。
僅かに歪んだ剣閃を紙一重で完璧に回避すると精霊剣士の鋭い切り返しが竜騎士の胴を捉えた。
重く、鋭い一撃に竜騎士は苦悶の表情を浮かべる。
「ぐっ」
膝をつく事はなかったが少なからずダメージがあると悟った精霊剣士は、ここが一息の入れどころと思ったのか木剣を引き、静かに口を開く。
「どうだ? アルフレッド、話をする気にはなったか?」
そんな問いの言葉にアルフレッドは鋭い視線を向けて強い怒りと拒絶の意思を含む口調で返す。
「シーカーと話す事なんかないっす、なんで放って置いてくれないんすか? アンタには関係ないじゃないっすか」
怒りを含む口調、拒絶の言葉。
冗談などではない、アルフレッドはシーカー・マクシミリアンという人物に怒りを覚えていた。
しかし、それはシーカーも同じだった。
「関係がない、か。アルフ、それは本気で言っているのか?」
「これが冗談に聞こえるなら流石の俺も笑えないっすよ、どうしようもないアンタに俺の事なんか分からないっす、これ以上やるって言うなら……俺も全力でやらせてもらうっすよ」
喉元まで出かかった言葉を飲み込みシーカーは大きく深呼吸をする。
「御託はいい、私もいい加減にハラワタが煮えくりそうだ、全力で来るというのなら私も全力で迎え撃つ、お前が考えを正すまで私は剣を振るうとしよう」
木剣を構え直し、シーカーは真っ直ぐにアルフレッドを見据えるとアルフレッドもまた全力で闘う為に大きく息を吸った。
「竜の咆哮」
闘う意思が蒼色の瞳が金色に変化させ、空気を震わせる怒号が周囲の生物を無差別に威嚇する。
しかし、辺りの生物がバッタバッタと気を失い倒れて行く中で、シーカーは涼しげな表情を浮かべていた。
「ワンパターンだな、アルフ」
「これ以上なんか俺にはないっす、これで負けた事なんか…………一度もないっすよ」
少しばかりの言葉の間に、自信の揺らぎを感じたシーカーは少しだけ口元を緩める。
「フッ、そうか」
「なんすか、その笑いは」
「いや、お前にしては珍しく言葉に迷いを感じてな」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべると、アルフレッドは一つ舌打ちをした。
「俺のこと、わかったような事を言わないで欲しいっす」
「わかったような事を、か。確かに私はお前の理解者などではないからな、そう言われても仕方ないかもしれない」
ピクリと眉を吊り上げ、アルフレッドは顔を顰め、呟く。
「アンタ、マジで意味が分からないっすよ」
アルフレッドが木剣を捨てて拳を構えると、シーカーもそれに応えるかのように表情を引き締める。
そして、意外にも先手を打ったのはシーカーの方だった。
お互いの距離は約六メートル。
シーカーは緩やかに駆け出しアルフレッドの間合いに入ると流れるように上段から木剣を振う。
一つの型を成すようにシーカーの動きが止まる事は無い。
一から二、三から四へ、無駄のない動きからは考えられないほどに剣線が増えて行く。
エルフィアの剣術が舞と例えるとしたら、シーカーの剣術は流水と揶揄出来るだろう。
時に激しく、時には緩やかに、緩急を付けながら振るうシーカーの剣撃をアルフレッドは、見切れない、と感じた。
一閃を放つ毎にまた一閃、淀みなく繰り出される連撃はアルフレッドの反応速度を遥かに超えていた。
ーーシーカー腕を上げたっすね、でも。
流石だと思う気持ちを右拳と一緒に握り込み、アルフレッドはしゃらくさい、と強引に拳を突き出す、しかし、
「闇雲の一撃が当たるとでも思ったのか!」
アルフレッドの拳が空を切ると、狙い澄ました一撃がアルフレッドの額に直撃した。
「グッ」
「まだだ!」
後ずさるように後退する竜騎士をシーカーは見逃さない。
瞬時に間合いを詰め木剣でアルフレッドの急所を突く。
顎、鳩尾、喉仏、高速の三連突きは吸い込まれるようにアルフレッド急所に直撃した。
二転三転と後方に転がり、アルフレッドはうつ伏せに倒れ込む姿を見て、流石にやり過ぎたか? と思ったその瞬間、アルフレッドは地面を投げた。
地面を投げた、比喩にあらず。
アルフレッドは力任せに腕を地面に突っ込み、前方一帯の地面をひっくり返したのだ。
「そう来たか!」
視界を覆う程の地面の津波。現状のシーカーでは受け止める事も打ち砕く事も出来ないであろう質量。
しかし、シーカーはそんな飛来する地面を避けようとするどころか木剣を構え前進した。
本来であれば愚策どころの話ではない、ただの自殺行為だ。
だが、飛来する物体を相手が砕いてくれるならば話は別だ。
眼前に迫る地面はシーカーの思惑通り粉々に吹き飛んだ。
「お前なら必ずそう来ると思ったよ」
「俺もシーカーならそう来ると思ってたっすよ!」
細かくなった岩盤を避けながらシーカーはアルフレッドに迫る。
間合いが肉迫し、再び竜騎士と精霊剣士は拳と剣を交える。
お互いの力を試すように、お互い気持ちを確認するように、何度も何度も繰り返す。
それは陽が沈み、また陽が昇る頃まで続いた。
*
「い、いい加減、負けを認めたらどうだ?」
「そっちこそ、ただの人間がこれ以上無理するとマジで死ぬっすよ」
陽が昇ると今にも倒れそうな二人がそこに立っていた。
着衣は破れ、体中泥だらけ、所々傷を負っていて、肩で息をしている。
負けたくないと、コイツだけには負けたくないと、意地を張りなんとか立っているような状態だ。
「これで終わりっすよ、シーカー」
「ああ、そうだな」
静かに頷き、大きく息を吸う、そして……
身体中の力を集め、二人は同時に駆け出す。
竜騎士は拳を振りかぶり、精霊剣士は剣を振りかぶる。
間合いが交差しシーカーの木剣がアルフレッドの拳より先に額に届こうかという刹那の時、シーカーはアルフレッドの拳が自分の身体に向かって放たれている訳ではないと気付いた。
ーーコイツ!
アルフレッドの拳はシーカーの木剣目掛けて繰り出されていたのだ。
勝利を確信しアルフレッドは右拳を振り抜き木剣を粉砕した。
「俺のーー」
だが、勝ち名乗りを上げようとした瞬間、違和感に気付く。
ーーこんなに簡単にシーカーが武器を手放す筈がない! と。
軽すぎたのだ、最後打ち込みが、シーカーの意地の一撃がこんなに軽い筈が無い、そう気付いた時にはもう遅かった。
拳を振り抜いてしまった反動で身体が流れてしまう。
そんなアルフレッドの拳をかいくぐり懐に潜り込むとシーカーは残りの魔力を振り絞り拳に風を纏わせた。
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