「神造生体兵器 ハーネイト」 二人の英雄王伝説

トッキー

文字の大きさ
168 / 204

Code 166 天神界の洗礼?

しおりを挟む

「うう……ここは一体。これは、雲、なのか?それにしてはしっかりとしている。雲の上の世界、という感じだなこれは」
「ふう、無事に帰れた。道中で次元を超えてやってくる化け物に出くわさなくてよかったぜ」

 ハーネイトはゆっくりと目を開く、すると自身の体が白い何かに包まれているのを理解した。倒れていた体を慎重に起こすと、自分の置かれている状況を一発で理解した。そう、自身は雲海の上に立っている。しかし彼はすぐに疑問を抱いた。なぜ雲の上なのにしっかりと足を地に着けていられるのだろうか。そう思うとその場から動くことをためらわずにはいられなかった。
 そんな中ミザイルとオーダインも無事に到着し、周囲に何かいないかを確認していた。

「きゃああああああ!」

 ハーネイトたちが到着して少ししてから伯爵が雲の大地に降り立った。すると頭上からリリーの叫び声がした。

「おいおい、大丈夫かリリーよ、ほら」
「あ、ありがと伯爵」

 伯爵は落ちてきたリリーを優しくお姫様抱っこで受け止めた。リリーは少し顔を赤らめて伯爵を見つめてから、雲海の地面に足を下した。

「へっ、来てくれると信じていたぜ」
「も、もうっ」

 相変わらずの仲の良さにハーネイトは笑いながら、彼らと合流した。伯爵とリリーがいるなら怖いものなしだ。そう思いながら景色を見ているとオーダインが彼に話しかけた。

「ハーネイト、無事にたどり着けたな。ここが、天神界。女神が眠りし、神聖な場所だ」
「これが、か。あたり一面雲だらけだが、あれは一体」
「ああ、あそこが古代バガルタ人ことハルフィ・ラフィースの住む国だ。ほぼ全員があの大消滅の影響でここに来た人たちなのだ」

 オーダインが話しながら、かなり遠くにあるとても目立つ建物の数々を指さした。それこそが大消滅により土地ごと転移した古代人の桃源郷である。

「思っていたのとかなり違うが、作りは古代都市みたいだ。……興味がある」
「確かにそうだな、んで、あの中に相棒の実の親がいるんだろ?どんなんだろうな」
「……その通りだ。オーダイン曰く、とても大柄な男らしいのだが」

 伯爵がハーネイトの傍にきて辺りを見ながら話をする。もうすぐ自分の正体がはっきりわかる、そう思うとハーネイトの足が速く進む。

「もうすぐ会えるぞ、私についてきてくれ」
「ぼさっとしていると置いていくぞ?」

 そうして目的地まで進んでいる道中に事件が起きた。

「なんだあれは、いきなり現れたぞ」
「大きいな、しかし何だこれは」
「しまった、魂食獣だ」

突然何の前触れもなく、一体の巨大な獣が現れたのであった。見た目はライオンのようであり、白く輝く体に巨大な体躯、魔獣にしてはどこか違和感のある、今まで出会ったことのない気。敵意をむき出しにして立ちはだかるそれを見たハーネイトは自然と帯刀していた藍染叢雲を抜こうとする。
 
「魂食獣、とは」
「女神が生み出した生物の一種だ。霊量子で構築された、霊量子を食らい体内に蓄積する代物だが、本来はここにはいないはずだ」
「おいおい、向こうはやる気満々だぜ」

「闇に咲く 呪いの蓮花 邪気を纏いて散り行き舞う 無常なる風が行く先を示す!大魔法76号、花蓮黒嵐(かれんこくらん)」

 魔法でけん制しようとしたハーネイトは、大魔法の詠唱を行った。そして口先に運んだ指先を獣のほうに向けると、黒い花びらを無数に含んだ嵐を前方に発射した。それらは一直線に襲い掛かり、飲み込んでいったが風が消えた時、獣はほとんどダメージを追っていなかった。

「っ、効きが悪い。霊量子で構築されているからか?」
「話が本当ならば、俺様ですらも醸せねえな」
「私は魔法しかできないわよ、どうすればいいの」

 そうこうしている間に魂食獣は口から光の奔流を放ってきた。ハーネイトはとっさに攻撃を打ち消そうと、掌をかざす。

「創金剣術・剣銃!(ブレイドバスター)」

 ハーネイトは創金術で数本剣を作り、それを奔流のほうへ飛ばし切り裂いて見せた。

「賭けてみたが、うまくいったか。しかしなぜだ、創金術は……」
「確かにおかしいぜ。あれは物理系の技だろ?」
「まさか……!! 」

 リリーも伯爵も、ハーネイトが放ち打ち消した一撃に違和感を覚えていた。指摘されたハーネイトも同様で、シャックスとの一戦から、完全には防げないと思っていたのに、防御できたことが不思議だった。

「皆さん、霊量子には霊量子、ですよ。いかにそれを操れるかどうか、それがカギなのです」
「そういうわけで、戦い方でも見ときな」

 そういうとオーダインとミザイルは素早く前進し、戦技を繰り出す。

「行くぞ、創金剣術・槍銃!」
「グラスターインペルズ!」

 オーダインは空気中から創金術で槍を数十本作り出しそれを激しく打ち出す。ミザイルは腕に装着したガントレットを突き出し、強烈な衝撃波を打ち出す。
 その二つの攻撃は見事命中し、魂食獣は悲鳴を上げて虚空へと消え去っていったのであった。

「まじかよ、一撃だぜ」
「オーダインさんは創金術を使ったみたいだけど、ハーネイトのとどう違うのよ」
「おや、もしかして知らないのですか?」

「どういうことですか、オーダイン」
「創金術も、霊量子運用術の一種だ。故に相手が霊体だろうが干渉してダメージを与えられる」
「ど、どういうことなんだ」

 ここで驚愕の真実を一つ、ハーネイトは知ってしまったのであった。いや、正確に言えば霊量子の存在に気づいた時点で何か関係性があるのかと一瞬思っていたのが当たっていたためはっとした顔のまま固まっていた。
 オーダインが軽く説明すると、納得したとはまだ言えないような表情のハーネイトは今まで使ってきた術が相当なものであると改めて実感していた。古代人ことバガルタ人は、皆霊量子使いだったということではないか、次から次に疑問が襲い掛かってくる事態に混乱していた。

「なん、だと?創金術は、霊量術の派生というか、進化した技だったのか……」
「それを知らずに、あそこまで使いこなせるハーネイトも恐ろしいのですがね。今まで無意識に剣を作っていたのでは?」
「なぜそれが……はい。作りたいものをイメージすれば、剣ぐらいならばすぐに製作できます。大きなものは設計図とか必要ですが」

「詳しい話は、向こうについてからにしましょう。長くなりますので」
「そこまで、今まで使ってきた能力が強力で複雑だったとは……」
「薄々気が付いていたはずでは?しかしそれから目をそらしていたのならば、まだまだですね」

 ハーネイトは、なぜ先ほどのような現象が起きたのか考え込んでいた。思っていたことをボソッと口に出したのをオーダインが答える。それにハーネイトは返す言葉を見つけられなかった。

「だから言っただろう、力なんざ理解し支配し、自在に扱えるようになれば怖くねえ」
「そうはいっても、使う時のリスクと影響はいつも考えておかないと」
「へいへい。俺様だって自分が危険な奴だってのは自覚してるし」

 伯爵の独自理論にリリーが戒めて、にぎやかな様子で街まで向かう。そうして一行は30分ほどかけて古代都市の入り口まで足を運んだ。その都市の光景を見たハーネイト達は息を呑んだ。
 それはミスティルトやゴッテスシティよりもはるかに規模や建造物の数が多く、いつか子供の頃に読んだ絵本に出てきた未来都市さながらの光景だったからである。
 巨大なゲートをくぐり、オーダインの案内のもと、巨大な建造物が立ち並ぶ中心街の中を歩いていくのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日ごろに発売となります。 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...