「神造生体兵器 ハーネイト」 二人の英雄王伝説

トッキー

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第5話 DGという恐怖の存在

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 ハーネイトたちはリラムの案内で、木造の味のある雰囲気の店内に入り、店の中央にある大きなテーブルをみんなで囲んで座った。

 するとリラムがエプロン姿になりながら厨房に入り、少ししてから彼がステーキやパン、サラダを運んできたのであった。

「みんな、遠慮せずに食べていってくれ。エレクトリールの歓迎会だ ハハハ!しっかり食べて筋肉つけろよな?お2人とも」

「わああ、すごく美味しそうです。頂きますねリラムさん! 」

「おう! みんなも遠慮すんなよ? 食べてけ食べてけ」

 テーブルに並べられた、豪快な料理の数々。牛の近縁種とされるモーバイのもも肉のロースト、数種の野菜をじっくり煮込み、ハロハラスと呼ばれる鳥のエキスがよく効いた野菜スープ、街の外にある自家農園からとれた、新鮮な葉物野菜でできたサラダ、自家製のパンが幾つもの皿に並び、さながらパーティーのようであった。

「相変わらず、リラムの作る料理はおいしいな。これを食べずして、仕事を終えた気分にはなれない」

「そう言ってくれると作り甲斐があるぜ」

「急遽エレクトリールちゃんの歓迎会みたいになったけど、遠慮しないで食べてね。お代はハーネイトが払うから」

  ハーネイトとリラムがそう話す中、ハルディナは少し意地悪して食事代はすべてハーネイトが払うことにするからと言う。

「こういう時は気前よくドーンとしちゃう方がエレクトリールちゃんも不安がらないでしょ?」

「確かに同感ですが。やれやれ、仕方ないな。ハルディナさんはいつも強引だ」

 ハーネイトは少しやる気のない返事しつつモーバイのもも肉にかぶりつき、エレクトリールはスープを堪能していた。その飲みっぷりは豪快でありリラムも笑いながら驚いていた。

「今回事務所を襲ったあれ、機士国でできた兵隊だったよね。そして悪魔がそれを率いていた。不思議すぎますね」

 ダグニスは、先ほどの話を聞き自身が思っていた疑問をハーネイトにぶつけた。数年彼と行動を共にしてきたが、このような事態は初めてで彼女も困惑していた。

「そうだな、推測ではあるがエレクトリールを追ってきた敵が、この星にいる他の仲間と連絡し、彼の持つアイテムを奪いに来たという可能性もある。いや、そうでないと不可解な点が多い。あまりに手際がよすぎる。だがなぜ侵略魔が……」

 ハーネイトの返答に納得しダグニスはさらに考え込んだ。考えてみれば妙なことばかりが気になり、食べながら聞いていたモーナスが考えたことを口に出した。

 「ふむむ、事務所だけが襲われた点、エレクトリールがここにきてすぐに起きたこと、エレクトリール自体が貴重なアイテムの所持者で、敵がそれを狙って追っ手を仕向けたことから見ても、ハーネイトの考察は間違いないだろう。先ほど見せてくれた奴らのマークも間違いない、20年前に見たそれと同じものじゃ。阿奴らのことを、忘れることはできん!」

  モーナスが、ハーネイトの推測に付け足しをし、証拠の裏付けをする。そしてここに来る前に彼に見せてもらった証拠品のことも加えて話をした。

 「しっかしよう、そのエレクトリールを付け狙ったやつらは、何を企んでいるんだろうな」
 
「少なくとも、私の故郷の星はそのDGと言う存在に襲撃され、占拠状態になっています。今まで見たこともない兵器を多く使われ思うように対応することができませんでした。私も敵の一人を捕まえて尋問したところ、他の星も同様に襲っているらしく、何十と言う星が壊滅したそうです」
 
「そいつは、笑えねえ話だな」

 エレクトリールの話に、いつも陽気なリラムも表情を変えてまじめな表情になる。本当ならば、相当危険な存在がすでにこの星の上にいることになる。

 「はい。そうですね。彼らの目的は一体……」

  更に彼は話を進める。捕虜の話を整理すると、その侵略集団はその星の、戦争に利用できる技術を集めては戦争を水面下で引き起こし、利益を上げながらすべてを奪い尽くす、極悪非道にして許されること非ずの集団であると。

 ここでモーナスは疑問を抱いていた。彼はかつてDGがこの星に侵略しに来た際戦ったことのある人物であり、そのやり方が今回は異なっていると感じていた。

「DGは巨大な宇宙船をもって電撃戦を仕掛け、抵抗する隙も与えずにその星を占領するやり口であったが、今回はどうも異なるようじゃな」

「それはどういうことですか?」

「以前の戦争の後、敵側に生き残った連中がこの星に潜伏しているのではないかとな。それならば暗躍して行動することも容易だろう。問題は霊量士(クォルタード)、龍と女神などの言葉じゃ。儂らのDGに対する認識は侵略戦争で資源や人材を搾取する存在だったのじゃ。何かが引っかかる」

「そうなると、今回の一連の動きはそれとは別に何かあると考えられますね。モーナスさんの情報はいつも助かります。独自に調査をしなければならないでしょうね」

 モーナスとハーネイトの話を聞いていた人すべてが沈黙していた。他の星が危険な状態にあり、住んでいるこの星でもそれが起きかねないと理解して、複雑な表情を浮かべていた。

 DGが20年ほど前に来襲してきた事件に関しては、まだその時生まれていない人が大半であり思い出せる人が少なかったのである。この中で知っているのはリラム、モーナスとハルディナであった。

「ドグマ・ジェネレーション。性懲りもなくまた悪いことをしようとするのですね」

「そうじゃのう。何としてでも奴らの息の根を止めなければならん。あの時も多くの人が死んだ。儂も大切な友人を無くした。10年以上前の血海事件も凄惨な物だったがな」

 モーナスの話を聞き、ハーネイトは昔のことを思い出しながら言葉を返した。師匠が2度と戻ってこなかったのは、以前起きたDG襲来事件の時と同じころであった。

 やはり師匠はそれらと戦うために旅だったのではないかと彼は考えていた。多くは語らなかったが、あの目は覚悟を決めていた。顔を思い出すたびに何処か寂しさがこみ上げるハーネイトであった。

「血海?何ですかそれは」

「ああ、昔この星を襲った血の怪物が生み出した、死の領域だよ。私がリーダーとなって、汚染された場所を綺麗にしたのだけど、数億人の死者と行方不明者が出たのだ」

 エレクトリールの質問に対しハーネイトは、今から10年以上も前にこの星を襲った大災害、血海に関して話をした。

 いきなり血を流し、血を求める怪物こと血屍になった者による村単位、街単位の消滅と彼らが流した血、その者を操る存在が生み出した領域、呪血領域とも呼ばれる血海(けっかい)による被害は、数えるだけで100以上の街と数億人の命を消滅させたと言う。

 ハーネイトはその事件の対応に当たり、一躍最強の英雄王として名を馳せたのだが、それに至る経緯はとても悲惨過ぎるものであったという。

 何せ彼も、その事件で最愛の人物と友人を失っていたからである。

「そ、そんなことが? やはりあなた、只者でなさすぎますね」

「……それは君もでしょ?悪いけど、昔のことをあまり思い出したくないからそのくらいにして? 」

「ご、ごめんなさい」

 ハーネイトは暗い表情でそう言い、その話をこれ以上したくないとエレクトリールに言う。するとリラムが会議の続きについて話をする。

「それに加え、事務所を襲った機械兵は機士国で作られたものだとハーネイトが言っていたが、機士国は既に敵の手に落ちたと見てもいいのかもしれん。両方のマークが機械兵の部品内にある以上、否定は難しいな」

「星の中でも工業化が最も進んでいて、機械を大量に生産できる国力をを持つ国が敵の手に堕ちた。それならば、やつらの蛮行を止めるのは難しいかもしれん。人口も国力も段違いだからのう」

 モーナスとリラムの2人は、機士国が敵の手に落ちている可能性に改めて触れつつもしそれが事実ならば大変な事態だと述べた。

「確かにそうなるな。しかし敵の手に機士国が落ちたかどうか、それとあれから何があったのか。行方不明の王を探して経緯を聞く必要がある。早い内に支度をせねばな」

「兄貴、その王様の話ですが、別の村のダチからそれっぽい人を見かけたとの話が先ほど連絡で上がっています。写真があるので見てください」

 ダグニスはそう言うと鞄から数枚の写真をとりだしハーネイトに渡す。ハーネイトはそれを一枚づつ確認する。

「アレクサンドレアル王とルズイーク、アンジェルだな。確かにそうだ。ダグニス、何日前に何処で撮影したかわかるか?」

「確か、3日前で、リンドブルクから西に40キロほど離れた町、フラフムです。街道を通った証言もあるそうで、そうなるとリノス辺りに今はいそうですね」

「何だと? それは本当かダグニス。でかしたな。東大陸まで来ているのは把握済みだったが、よくそこまで。急ごう」

 ダグニスの話を聞き、思わず立ち上がるハーネイト。自身も機士国王を捜索していたが、一向に見つからず焦りを募らせていたところに、手掛かりとなる情報が現れたのだ。

 驚くのも無理はない。このダグニスが会長であるファンクラブは、公式に彼の支援をしているバイザーカーニアと言う秘密結社とは違った意味で強力であり、情報面で支援や襲撃の報告を支援していた。1人で基本動くハーネイトにとって彼女らは重要な感覚器官のようなものであった。

「だが今になって場所がわかるとは。魔法がたまたま切れたのか、それとも私と同レベルの感知能力者か。どちらにせよそれは、事実なのだな?」

「間違いないでしょう、その友達は国王の顔を見ている上に、国王が大好きで良くポスターで顔を見ていて、間違いはないといっていました」

「そうか。ダグニスも支度できるか?」

「いつでもどうぞです兄貴」

 ハーネイトは親交のあった国王たちが置かれている状況を察しこぶしに力を入れる。

「ハーネイトを探しにわざわざやって来たのでしょうね。ハーネイト、早く見つけてあげないと危ないわ。」

 ハルディナの言葉を聞き、ハーネイトは急いで席を立ち、椅子に掛けていた紺色のロングコートを羽織る。エレクトリールも次いで立ち上がる。

「ああ、事態は一刻を争う。支度をせねば。エレクトリール、ついてくるか? 」

「勿論ですよ。行きましょう」

 2人はそうしてリラムのレストランから出ようとする。その時モーナスたちが声をかけた。

「ちょっと待て、儂らから餞別がある。準備が出来たらもう一度ここへこい。

「私もよ。あの話を聞いたら何もせずにはいられないわ。いいもの渡してあげるからここに寄ってね」

「美味しいもの持たせるからよ、速く支度してきな」

 モーナス、ハルディナ、リラムの3人がそれぞれ話しかけ、それを聞きハーネイトは礼をする。

「助かります。では一旦席を外す。ダグニス、君のお陰で助かった。礼をせねばならんな」

 ハーネイトは、機士国王の手がかりを教えてもらったダグニスに軽く礼をする。

「いえいえ、兄貴の役に立つなら本望です。2人の活躍を写真にさらに納めたいんで、ついていってもいいですか? 俺も各地のハーネイトファンのみんなに協力を要請して、情報と補給面で援護します。そもそもバイザーカーニアの連絡員ですしロイ首領も裏で支援していますけど?」

「それはとてもありがたいが、無茶をするなよ。見つからないよう、ひっそりとやる分には構わない。では行くぞ。しかしまた首領に借りを作る羽目になるか」

「はい、ハーネイトさん!」

 それから2人は先にお店を出て、事務所まで足早に向かい事務所のドアを開けると、階段を昇りリビングに入ったのであった。
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