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第十九話 魔法怪盗VSハーネイト 前編
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ハーネイトたちはミィスティルトシティに向かっていた。情報収集ののち、住民や魔獣などが囚われているというガンダス城に向けて車で進んでいた。
「フューゲル、そしてDカイザー。」
「まさかあの人の名前をここで聞くとはね。」
「ミカエルたちはそのカイザーのことをどのくらい知っているのだ?」
「うーん、お父さんが仲良くしていた異世界の住民で、遠くの国に旅に出た時同行したというのは知っているわ。手紙もあるし。」
「しかしその男がハーネイト義兄さんと関係があるなんて驚きだわ。」
ミカエルもルシエルも、昔のことが今こうしてつながりつつあることに驚きを隠せなかった。
「ああ。あの男が、師匠の友人にして侵略魔の男だったんだな。そしてフォレガノの名前を聞いたフューゲルは血相を変えてきた。何か関係があるのかもしれない。」
「聞けるときにフォレガノと話をしてみたらいいんじゃねえのか?」
「それもそうだな、伯爵。」
そういいつつも足を組んでソファーにもたれかかり、車内の天井を見るハーネイトであった。これほど自身の出生に関してややこしい問題がまとわりついていることに頭の整理が追い付いていない状況であった。
「ハーネイト様、ミスティルトが見えてきましたぞ。」
「わかったシャムロック。ご苦労だったな。」
「ハーネイト様のためならば。」
シャムロックは嬉しそうにそう返事をし、森林地帯を抜けてヴィストラ砂漠平原をベイリックスで駆け抜ける。この砂漠平原は正確には荒野ではあるが徐々に砂漠化が進行している領域である。そして通常の砂漠と違うのが、最高気温が最大で30℃程度までしか上がらず、最低気温がマイナス8から15と夜の寒さが尋常ではないという点であった。そしてこの砂漠周辺にしか生息しないとある生物が存在するという。
ようやく目的地に到着したハーネイトたち。このミスティルトシティは今はほとんどいないという古代人により作られたハイテクな都市であり、文明度が機士国よりも進んでいる個所も多く存在するほどに発達していた。このような中規模の都市が、北大陸に3つ、東大陸と西大陸に1つずつ存在している。
「到着したぞ。本当に、いつ見ても古代人の技術力は驚きを禁じ得ない。」
「機士国よりも立派な建物ばかりだ。すげえ。」
「これは、言葉がでないほどに巨大な建物の群れでござるな。」
ハーネイトたちは巨大なビル群がいくつも並ぶ街の中央部を見ていた。この街に拠点を一応構えている彼はともかく、リシェルと南雲は古代人が作り、そして彼らがいなくなってからも形状を何百年も維持していた建物群を見て率直な感想を述べた。
「すごいわ、こんなところがあるなんて。」
「砂漠に摩天楼……。故郷を思い出しますね。」
「わああ!立派な建物ね。ここの規模なら補給も安心ね。」
ハーネイト: では向かうぞ
一行はミスティルトシティの中に入る。このミスティルトは探すのが地形や気候上難しいところであり、あまり知られていない街ではある。そのためハーネイトと召使3人以外にここを訪れたものは皆無であった。
「さて、久しぶりにきたがここはいつも通りか。流石砂鯨たちだ。元気に泳いでるね。」
ハーネイトは街の先にある広大な砂漠で、砂の中から勢いよく飛び出すクジラを見ていた。砂鯨といい、縄張りに入ったものはすべて捕食するかなり気性の激しい大型の哺乳類である。ハーネイトはこの砂鯨たちとは友達のようなものであり、以前から彼に身についていた動物会話と純粋な心に鯨たちも心を通わせるようになったという。こうしてあらゆるものを仲間にしてしまうのが彼の能力であるが、問題は彼自身がその力に無自覚ということである。
「まさか、あのでかい砂漠を泳いでいた化け物か?」
「いかにもそうだが。俺の友達みたいなものだ。」
「本当に節操ないな。何でも仲間にするとかいくらなんでもおかしいだろ!」
「えー、だっていつの間にかそうなっているというか、本当に成り行きなんだって。」
伯爵の指摘にハーネイトはあくまで成り行きでそうなったと高い声でそう反論する。
「本当に恐ろしいぜ、相棒は。」
「砂鯨にあと鮫みたいなものもいたけど、なんなのよあの砂漠!」
「本当に面白いわね。任務だとこうする余裕もなかったし、こうしてみんなといられるのは楽しいわ。」
「あの、風魔。一応仕事だからね?仲間と一緒に居られて楽しいのはまさに同感だけど。」
伯爵はハーネイトの力の底なさに驚き、リリーは砂鯨をしばらく見ていた。そして若干遊び感覚の抜けていない風魔にハーネイトは優しく指摘する。
「そ、そうですねすみません。忍って基本一人で任務にあたることが多くて、こういったみんなで力を合わせるなんてことは国攻めの時ぐらいしかなかったので嬉しくて。」
風魔が笑顔でそう言いながらリシェルやミカエルたちのほうを向く。
「そうか。それなら仕方ないか。しかし仕事はしてもらうからな。みんな!先に情報収集と補給を済ませ、このままガンダス城に突撃する。」
「ま、まじすか?」
「中々大胆ですね。最初に出会った頃とは大分いい意味で違ってきましたね。」
そして遅れて車内から出てきたミフェイルとイザーナクはハーネイトの声を聴き提案をする。彼らの仲間と連携をとる必要があるためハーネイトはミフェイルたちを連れてきたのである。
「私は構いませんが、しかしここは一つ休んでからいく方がいいかと。」
「ハーネイト大先輩はともかく、他の人たちは疲労しています。」
「わかった。それならばやるべきことの順番を少し変えるだけだ。いまから自由行動だ、3時間後にこの広場に集まってくれ。宿の手配をしておく。」
そういい、ハーネイトは街のやや西側にある巨大な建物を指さす。
「あそこに私の拠点がある。全員私が費用を持つから心配しないでくれ。」
「さすがですね師匠。ありがとうございます。」
「本当にいいのハーネイト?」
「ああ。というかあそこは私が出資して建てたホテルだし。」
「ハーネイトさんの出生もですが、資金の在り方と使い方もすごそうですね。」
ミカエルやエレクトリールがハーネイトの言葉に驚きつつも感謝していた。そしてハーネイトは先にホテルのほうに向かった。
「では伯爵、いきましょう?ハーネイト気をつけてね?
「ああ。もし変な奴らがいたら監視を頼む。」
「任せとけ、相棒。」
そうして伯爵とリリーは街内観光に出かけて行った。
「リシェルさん、探索しませんか?」
「ああ、そうしようか。」
「さて、拙者らは偵察をしなければな。」
「私たちはどうしようかしら。」
「魔女のお二方さん?そういや、ここは様々なお店があるし、マルクでほとんど支払える。みていくといいのではないか?」
各々がこれからどうしようかと考えていた。そしてミフェイルはミカエルにそう説明し、一旦別れることにした。先に城のほうに向かいゴウカイザと合流するためである。
「ありがとねミフェイルさん。お店見てこよう、かな。」
「んじゃ、俺とイザーナクは仲間たちのもとに向かうからいったんお別れだ。次は城で会おう。」
「またな。」
各人は一旦離れ、それぞれ行動することにした。
「本当になんでもあるのね。服に宝石、魔法関係のアイテムまであるわ。」
「確かに、ここは大切な拠点かも。」
実は交通の要衝であり、北大陸からも近いこの都市は規模からしても遊撃隊にとって決して奪われてはならないところである。とはいっても攻め落とすのは用意ではないが。
「あれ、あそこにいるのは誰かしら。」
「人影?まさかね。」
二人はビルから別のビルに飛び降りる3人の人影を偶然見つけ、目で追っていた。
「さて、なにしようか。」
「このお店のケバブというのはおいしいですねえ。」
「あの、さっき食べなかったか?また食べて太るぞ。」
「太りません!この体少し燃費悪いのです。」
リシェルは公園のベンチに座り青空を見ていた、がエレクトリールが早速何かを買って食べながら戻ってくるのが見えて起き上がった。城でもそうだったが彼女の食欲は尋常ではなく、ハーネイトもリシェルも目をくぎ付けにして彼女が食べているところを見ていたほどである。
「ねえ、あなたたちは外から来たの?」
そんなやり取りをしている二人の前に突然一人の少女が現れ、二人に話しかける。
「確かにそうですが、いきなりはなしかけてどうしたのですか?」
「あなたたち、あの紺色のコートの人と知り合いなの?」
「そうだが、それがどうしたのだい?」
「そう。ねえ、私はギリアムという男の人を探しているの。」
そう言いつつローレシアは写真を見せる。りシェルはその男の顔を見て何かを思い出した。
「この男、機士国のだな。しかもギリアム、あっ!」
「リシェルさん、なにか覚えているのですか?」
「ギリアム先輩…。」
「 知っているのですか?私の兄のことを?」
「え、えーーー!妹さんがいたのか。ギリアム先生。」
「 実はその話なんだけどね。」
ローレシアは兄が何者かに捕まったこと、そして居場所だけはどうにか掴んだものの救出が困難なところにいることを話した。
「場所は、ここから北西におよそ120キロほど離れた場所にある、古いお城、ガンダス城よ。友達が教えてくれたわ。」
「私たちがいくところと同じですね。住民たちと一緒に囚われている可能性があります。」
「しかし王様から聞いたが、今回の作戦に参加し諜報活動をしていると聞いたぜ。先生、無事だといいが。」
リシェルはギリアムという男のことを思い出していた。彼が軍学校に入って一番最初に担任になった陽気で快活な軍人。それがギリアム・ラシュメール・ラスラという人物である。ハーネイトの知り合いであり、昔彼が機士国を訪れた際に助けてもらった人物でもある。近接銃術とサーベルの使い手であり彼によく訓練をつけてもらったことを懐かしんでいた。
「早く助けにいきたいですが、私たちも旅をして疲れているのです。」
「そうですか、でも、兄が無事だったら助けてもらえませんか?諜報活動をしているとは教えてくれたのですがあれから連絡がないのです。」
ローレシアは不安そうに顔を俯ける。
「それは任せてくれ。先生のためにも必ずな。」
「救出はどのみち明日の夜に行いますから待っていてください。それで他になにか知っていることは?」
「 あの辺りでは最近、今まで現れなかった魔獣が現れているようです。」
エレクトリールの質問に対しローレシアは他にも気になったことを説明する。城の周辺で今までいなかった魔物が出現し、その数を増やしているということである。
「それは重要な情報だな。」
「しかもほとんどが何か別の生物と合わさった物と友達から聞きました。」
「アル爺さんやルズイーク隊長が出会ったあれみたいなものか。戦うとしたら厄介かもしれないな。」
リシェルは城で聞いた話を思い出し、今まで戦ってきた魔獣とは違う存在にどう戦うか考えてみた。
「どうかお気を付けてください。これが私の連絡先です、」
ローレシアはリシェルに連絡先を書いた紙を渡す。
「ああ。ギリアム先生を必ず連れて帰るからな。」
「よろしくお願いします。」
そういい、リシェルとエレクトリールはローレシアと別れ広場のほうに向かった。
「面白いでござるな。機士国よりも立派だ。」
「そうね。しかし迷子にならないでね?探すの大変だから。」
そのころ南雲と風魔は街の中を駆けながら偵察をしていた。
「あ、いたいた!南雲先輩、お久しぶりです。」
「その声は、葉隠か!」
二人の前に突然白い忍び装束を着た若い男がスッと現れ、南雲に話しかけた。彼の名は葉隠才刃。変装と追跡で右に出るものがない諜報型忍者である。
「はい、藍之進様より諜報任務に長らく就いてます。しかし先輩がここにいるとは、あの試験の話を聞いたのですが受かったのですね?」
「ま、まあな。」
「風魔さんも?」
「そう。念願の解決屋デビューよ。愛しのハーネイト様のそばに居られて今一番幸せ。」
風魔は満面の笑みを浮かべ、嬉しいことを強調していた。
「おめでとうございます。風魔先輩の夢でしたからね。」
「ありがとう。そういや才刃、零の噂は知っている?」
風魔の顔がいつも通りの顔に戻り、まじめな顔になった。そして才刃に零について尋ねてみた。
「はい、中堅の忍が計五名死亡しております。彼の手によって。」
「その後の行方は?」
「いまだ調査中です。彼の行方を掴む事すら容易ではありません。」
「そうか、あれほどの人がなぜ…。」
南雲は昔のことを思い出していた。零は南雲の兄のようなものであり、幼くして両親を亡くした彼にとって零は血は繋がらなくとも本当の兄のような存在であった。そんな彼が今では行方不明になり、同じ忍の仲間たちを手にかけるなど信じることがいまだできずにいた。
「前に聞いたある任務の派遣後から様子がおかしいと言う話と関係があるのかしら。」
「あの任務ですか。あのとき生き残ったのも零一人だけ。その時に何があったか調査しないといけないですね。」
零がおかしくなったのは機士国でクーデターが始まる少し前であった。ある小国で不穏な動きがあると独自に調査団が組まれたのだがそれに零は入っていた。だがその任務で帰ってきたものはその零だけであった。明るい性格の零が暗く陰鬱な性格になり、それから少しして行方をくらませたのである。
「そうね、これは里の信用に関わる問題。早く見つけなければ。」
「はい。そういえばハーネイト様とは今は一緒にはいないのですか?」
「いまは自由行動だ。どうかしたのか?」
「彼にこれを渡してほしいのです。そろそろいかなければ。」
才刃は南雲に手紙を渡した。
「手紙、か。わかった。才刃も気を付けろよ?」
「先輩もお気をつけて。では。」
そういい、才刃は人ごみの中に消えていった。戦いとは無縁のこの古代人の街はいまだ人々の活気で満ち溢れていた。それは他の所、そしてDGの影響を受けているところでさえ。この星にいる多くの人々は、かつて襲来したDGのことを忘れている人が多かった。そしてまたその脅威が迫っていることに気づいていない人が非常に多かった。ハーネイトたちの活躍やガルバルサスの奇策、エージェントたちの活躍で今のところ北大陸の東側の領域では特に目立った戦闘は起きていなかったのである。
「同胞の者に出会えるとほっとするわね。」
「そうだな。しかし敵は多いなあ。少しでも貢献できる方法を探さないとな。」
二人はそういいながら偵察を続ける。その頃、ハーネイトは市街の中央部にあるとあるホテルを訪れていた。
「お、お久しぶりですハーネイト様。」
「いつもご苦労だな。
「いえいえ。このホテルの管理はお任せください。」
「お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」
ホテルの受付にいる男女はミランダとローレミッドという。このホテル「ウルシュトラ」の従業員であり、優秀な人材でもある。
「連れを数名宿泊させたいのだが空き部屋はあるか?」
「確認します。…ありますよ。しかしそれでしたらハーネイト様専用の棟の方がよろしいのでは?」
「それもあったか。いや、こうしてこの拠点を守ってもらっている君たちにボーナスをあげたくてな。」
ハーネイトはお金をわざわざ出して従業員の給料が不自然なく上がるようにそう言う。
「ありがとうございます。ですがフロアの方もいつでも使えますよ。」
「わかった、別に特別手当て出しとくから後で来たときに案内してくれ。だがホテル内に不振な人物がいたら普通の部屋を案内してくれ。」
ハーネイトは二人に指示を出しながら周囲を見渡す。今のところ特に不審な人物はいないと確認した。
「わかりました。警戒を怠らないようにします。」
「ありがとう。では一旦外に出る。」
ハーネイトはホテルを後にし、広場の方に向かう。その途中で背後から突然声をかけられる。
「ねえ、そこのお兄さん。」
「うわ、いきなりなにかな?」
何も気配がなくいきなり話しかけられ、警戒するハーネイトは、目の前にいる銀髪で腰まではねた髪を伸ばした少女を見た。
「お兄さん、あのハーネイトさんよね?」
「如何にも、そうだが。顔を見せて欲しいが。」
「よかった、あのね、ある人からハーネイトさんに手紙を渡してほしいと言われて探していたの。人を待たせて急いでいるの。」
少女の言動にやや怪しいところがあるものの、少々のことで動じないハーネイトは手紙を少女から受け取った。
「しかしあまりここにはいま来ないのにな。事務所の広告は確か幾つかこの街にあるはずだが。
「事情があって、そこまでいけなかったの。でも友達があなたがここに向かっていることを教えてくれたから待っていたのよ。」
「なんか怪しいが、まあいい。後で手紙は読むが。」
「すみません、失礼します。今度もしよければお茶したいですね。ありがとうございました。
彼女はそう言いその場を立ち去った。そして道路を挟んだ向こう側で3人の人物とその少女が何かを話し、ひげを生やした男が笑顔で少女にお金を渡しているのをみた。
「変なやつだ。はあ、ホテルについたら読んでみるか。しかしあの顔…。まさか!
ハーネイトは少女にお金を渡した男の顔を見て、すかさず手紙の封を破り中の手紙を確認する。一つはホミルドと言う男からの手紙だった。
「ホミルド、まさかあのホミルドか。そういうことになっていたとはな。これは早く助けなければ。いろいろ世話になったしな。遺伝子研究の第一人者、キメラというのとかかわりがありそうだ。そして…。」
見るからに派手なもう一枚の紙。それをよく見ると、北地区にある博物館に保管されている宝石を今夜の夜10時に盗むからよろしくという文章が書いてあった。つまりこれは、解答からの予告状である。そしてその名前を見て、ハーネイトの表情が鬼と化した。
「どういう、ことだ。ホミルドと知り合いで、なおかつこの予告状。ふざけた真似を。」
「あっ、ハーネイト!」
「よう相棒。血相変えてよ。というかどうした。」
「二人ともこれをみてくれ。」
ハーネイトは伯爵とリリーに予告状とホミルドからのを見せた。
「わあ、始めてみたわ。予告状とか何があったのよ。」
「へえ、それはお前さんを呼び出す罠かもしれないな。」
「しかしホミルドの手紙は直筆だ。このおじさんは独特の文体をしていたからよく覚えている。」
「そういうなら、ホミルドと言うおっさんの手紙のことは事実だろうな。こちらも更に調査を部下たちに命じたが、やはりあの城は怪しい研究の拠点だ。」
「それは逆にうまくいけばそこを押さえれば敵の計画に大打撃与えられるわね。」
「ああ、そこさえ攻略できれば、他は白い男とエージェントたちによりどうにかできる。しかしこの怪盗からの予告状も無視できない。もし美術品が盗まれたらこちらの信用問題だ。」
「だよねー。ねえ伯爵。久しぶりに一人で暴れてきたら?そもそもひとりでなんでもできるよね?」
リリーは伯爵に一人で城を攻めに行ったらどうだと提案した。
「えー、めんどくせえな。無差別にやりかねないからぜ。」
「リリー、問題ない。時間を見てみろ。今日の夜10時だ。朝までにけりをつければいいんだ。あの怪盗たちを捕らえて事情を聴く。それでわかることもあるだろう。」
「まあ保険懸けとくか。ウェルシュとビブリオの二人に指示をだそう。」
「面倒なことに巻き込んですまない。」
ハーネイトは伯爵とリリーに頭を下げた。
「それはしゃーないない。だがその博物館にいきたいんだがなあ。」
「私もいきたいわ。」
二人は生の怪盗が見られると興奮していた。
「分かったよ。但し捕らえるのは俺がやる。」
「いいぜ。そろそろ時間じゃないか、広場に行こうぜ。」
全員は広場に集まった。ハーネイトが全員いるか確認しているときリシェルが寄ってきた。
「ハーネイトさん、ギリアムという男は聞いたことありますか?」
「ギリアム・ラシュメールか?」
「そうです。」
リシェルがハーネイトに、ローレシアから頼まれたことを伝える。
「ギリアムがどうしたのだ?」
「先ほどそのギリアムさんの妹さんと出会いまして、ギリアム先生がガンダス城で囚われているようです。」
「確か諜報組織ブラックストームの第一隊長だったな。そして今回の作戦にも参加してはずだがあれほどの男がなぜ。わかった、もし発見したら優先的に保護だ。」
「イェッサー!ハーネイト師匠。」
リシェルが敬礼をし報告を終え、一歩下がる。次に南雲が話しかけてきた。
「次は拙者だが、後輩の忍者から手紙を渡してほしいと言われた。これがその手紙です。」
「これは藍之進からの手紙か。…そうか。里の方も情報収集に協力してくれてありがたいな。一方の伯爵は…。」
ハーネイトは伯爵の方をじとっと見つめた。
「なんだよ、俺の能力も一度いったところじゃないと精度が落ちるんだよ。微生物の種類も少し特殊だし、従えるのに少し時間がかかる。」
伯爵は探知系の能力についてまだ完全状態ではないことを説明した。それを聞きハーネイトは呆れていた。
「ちょ、それをなぜ早く言わないのだ。はあ、とにかく藍之進さんのメッセージは確認した。」
「という事で長くお世話になります。」
手紙の内容は、零に関する情報と、南雲と風魔の契約に関しての話であった。風魔は長くハーネイトのそばにいられることにほっとしていた。
「次に、この街で変な三人組がビルの間を駆け抜けているのを見たんだけど。」
「ミカ姉、特徴はなにかあった?」
「そこまでははっきりと見えなかったわ。」
「だけど、帽子と杖を身に付けていたわ。しかも3人とも同じのをね。」
ルシエルの言葉を聞きハーネイトは大きく肩を落としため息をつく。久しぶりのため息に全員が心配していた。
「いや、それで十分だ。ルシエル、助かった。」
「どうもです。私目は良いので。」
ルシエルに感謝をするも表情はどこか虚ろであった。
「なぜそのようなことを聞くのですか?」
エレクトリールが突然質問を切り出す。
「嫌な予感が確信に変わったのさ。あーあ。こんな時にもう!覚悟しておけよあいつら。」
「それは、あの教え子たちのことですか?」
「魔法で犯罪を働く者がいると仕事中に耳にしたことがありますな。」
普段見せない表情で今の現状に苛立つハーネイト。しかし以前よりも表情が豊かになった彼 を見て、伯爵や南雲たちは安心していた。そしてミロクとシャムロックが事情を察し話しかけた。ハーネイトに予告状を叩きつけた怪盗の名前はアルシャイーン3兄妹といい、ハーネイトと関係のある人物であった。ミロク含め召使たちもその話を聞かされており、事情は理解していた。
「本当に、下衆な連中ですわね。」
ミレイシアもあまりその人たちのことを言えないのだが、その怪盗たちのやり方が気に食わないようであり、ましてや今の現状から心の中で相当腹が立っていたのである。どうせ盗むなら、DGに関連するところから盗めばいいのにと。
「そ、そうなのですね。私も手伝います。」
「まあまあ、そろそろ日も落ちそうだしホテルにいこうぜ。」
「そうだな、案内しよう。」
一行はホテルの中に入った。
「お待ちしておりましたハーネイト様。」
「待たせた。さて、大丈夫だな。フロアの方へ案内を頼む。」
「了解しました、ハーネイト様。」
そして周囲を確認すると、奥の方にあるエレベーターに乗り込む。このエレベーターは魔力で動いているハーネイトとその教え子が考えた装置である。
「この街の建物、色々進んでいるな。」
「そうですね、今まで見た中では一番発展しています。面白いです。」
リシェルとエレクトリールがエレベーター内でそう話していると目的の15階につく。そこに先回りしていたミランダが部屋を案内する。赤い絨毯が長い廊下に敷き詰められており、手入れも行き渡っている。そして和風の大部屋に全員が入った。
「 これは、いいものだ。」
「これが日之国の文化、こんなところでも出会えるとは。」
「ルシエルは本当に昔から好きよね。」
「ええ、お姉さま。私は侍の家に生まれたかったわ、なんてね。」
ミカエルとルシエルは日之国のことを思い出す。ルシエルは日本、そしてその影響を強く受けている日之国の文化が特に好きで、その話になると寡黙な彼女も饒舌になるほどであった。
「本当に不思議ね。刀やあの衣装、美しい。」
「終わったら、みんなを連れて日之国でしばらく遊ぶのもいいな。温泉巡りしたい。」
「ハーネイトも相当よね。断ることを知らない解決屋の鏡、も少しづつ変わってきているのかしらね。」
「その呼び名はやめてほしい。さあね、素を出しやすくなっているのかもしれない。」
ミカエルの言葉にそう言いながら自身で茶を湯飲みに入れてゆっくりと飲む。
「これなら落ち着けそうだわ。」
「えーと、靴は脱がないといけなかったな?城にいたときと同じか。」
「まあ俺様は浮いているから関係ないな。」
「さて、早速だが明日の早朝にここを出て、ガンダス城まで向かう。シャムロック、いつも運転を任せてすまないな。」
「構いませんが、時間ができたらバイクや車の運転でも習いますか?」
「そうだなあ、折角シャムロックにカッコいいもの作ってもらったし、この際そうだな。」
「了解しました。ベイリックスはいつでもいけますぞ。」
シャムロックに確認を取り、次に南雲たちに話しかける。
「風魔、南雲。例の地図を。」
「は、はい。」
ハーネイトは、二人から地図を受け取り、部屋の中央にある机に地図を置いた。
「今回は遊撃隊初の大規模な作戦だ。各々が力を発揮し、救出と施設の占拠を行わないといけない。」
「俺様ワクワクしてきたぜ。別にすべて醸しても構わないよな?」
「ああ。という事で先に伯爵は施設内に。そして囮になってもらおう。」
「 囮かよ!」
伯爵がハーネイトに思いっきり突っ込みを入れる。
「一番タフなのは伯爵しかいないだろう?それに伯爵がいるだけで敵の士気は大幅に下がるからな。俺もあの一撃を食らって大分精神に来たからな。」
「ふ、ふん。まあそれなら。やってやるよ。」
少々納得がいかないものの、伯爵はその指示に従うことにした。
「私はどうしようかしら。」
「リリーはついてきてほしい。大魔法は2人以上で使った方が効率がいい。一番優秀な魔法使いの弟子はリリー。君だ。頼む。」
「え、ええ。承ったわ。」
「次に、南雲と風魔は私に続いて施設内に入る。」
「わかりました、マスター。」
「ミカエルとルシエルは上空の監視を頼む。それと空からの魔法爆撃も隙をみてやってほしい。」
「 わかったわ。」
空を飛ぶ使い魔による機動力は今のメンバー内でもレアなため、ハーネイトは二人に空中からの支援をお願いした。
「最後にリシェルは狙撃ポジションからの支援砲撃を頼む。エレクトリールはリシェルを守れ。ある意味危険が大きい。だからこそ実力のあるエレクトリールを護衛に置く。」
「分かりました。全力でリシェルさんを護衛します。」
「怪しいやつは悪即バン!でよろしいんですね?」
「その通りだ。遠慮はいらん。各人は準備を怠らないでほしい。出発は、明日の朝8時だ。それとホテル内にはレストランやお店、大浴場もある。不足品を補充したり疲れを癒してほしい。以上だ。」
最後にリシェルとエレクトリールにポジションの説明をし、ハーネイトはホテル内の施設を好きに使っていいと指示を出す。
「さすがですねマスター。」
「では、私たちも。」
こうして各々が自由行動をとり始めたが、ハーネイトの表情はまだ険しいものがあった。予告状を突き付けられた以上、引くわけにはいかないと。
「では私は外出する。後は頼んだ。」
「師匠、お気をつけて。あれ。これは一体。」
リシェルはハーネイトを見送ったが、床に落ちていた資料の中にあった派手な一枚の紙を見つけ手に取る。
「こ、これは。アルシャイーンの兄貴に姉貴たちじゃないか。ちょ、しかもハーネイトさんご指名かよ。これはただ事じゃない。俺的にも!」
心の中でそう言いながら、リシェルもライフルを背中に担ぎ部屋の外に急いで出た。
「フューゲル、そしてDカイザー。」
「まさかあの人の名前をここで聞くとはね。」
「ミカエルたちはそのカイザーのことをどのくらい知っているのだ?」
「うーん、お父さんが仲良くしていた異世界の住民で、遠くの国に旅に出た時同行したというのは知っているわ。手紙もあるし。」
「しかしその男がハーネイト義兄さんと関係があるなんて驚きだわ。」
ミカエルもルシエルも、昔のことが今こうしてつながりつつあることに驚きを隠せなかった。
「ああ。あの男が、師匠の友人にして侵略魔の男だったんだな。そしてフォレガノの名前を聞いたフューゲルは血相を変えてきた。何か関係があるのかもしれない。」
「聞けるときにフォレガノと話をしてみたらいいんじゃねえのか?」
「それもそうだな、伯爵。」
そういいつつも足を組んでソファーにもたれかかり、車内の天井を見るハーネイトであった。これほど自身の出生に関してややこしい問題がまとわりついていることに頭の整理が追い付いていない状況であった。
「ハーネイト様、ミスティルトが見えてきましたぞ。」
「わかったシャムロック。ご苦労だったな。」
「ハーネイト様のためならば。」
シャムロックは嬉しそうにそう返事をし、森林地帯を抜けてヴィストラ砂漠平原をベイリックスで駆け抜ける。この砂漠平原は正確には荒野ではあるが徐々に砂漠化が進行している領域である。そして通常の砂漠と違うのが、最高気温が最大で30℃程度までしか上がらず、最低気温がマイナス8から15と夜の寒さが尋常ではないという点であった。そしてこの砂漠周辺にしか生息しないとある生物が存在するという。
ようやく目的地に到着したハーネイトたち。このミスティルトシティは今はほとんどいないという古代人により作られたハイテクな都市であり、文明度が機士国よりも進んでいる個所も多く存在するほどに発達していた。このような中規模の都市が、北大陸に3つ、東大陸と西大陸に1つずつ存在している。
「到着したぞ。本当に、いつ見ても古代人の技術力は驚きを禁じ得ない。」
「機士国よりも立派な建物ばかりだ。すげえ。」
「これは、言葉がでないほどに巨大な建物の群れでござるな。」
ハーネイトたちは巨大なビル群がいくつも並ぶ街の中央部を見ていた。この街に拠点を一応構えている彼はともかく、リシェルと南雲は古代人が作り、そして彼らがいなくなってからも形状を何百年も維持していた建物群を見て率直な感想を述べた。
「すごいわ、こんなところがあるなんて。」
「砂漠に摩天楼……。故郷を思い出しますね。」
「わああ!立派な建物ね。ここの規模なら補給も安心ね。」
ハーネイト: では向かうぞ
一行はミスティルトシティの中に入る。このミスティルトは探すのが地形や気候上難しいところであり、あまり知られていない街ではある。そのためハーネイトと召使3人以外にここを訪れたものは皆無であった。
「さて、久しぶりにきたがここはいつも通りか。流石砂鯨たちだ。元気に泳いでるね。」
ハーネイトは街の先にある広大な砂漠で、砂の中から勢いよく飛び出すクジラを見ていた。砂鯨といい、縄張りに入ったものはすべて捕食するかなり気性の激しい大型の哺乳類である。ハーネイトはこの砂鯨たちとは友達のようなものであり、以前から彼に身についていた動物会話と純粋な心に鯨たちも心を通わせるようになったという。こうしてあらゆるものを仲間にしてしまうのが彼の能力であるが、問題は彼自身がその力に無自覚ということである。
「まさか、あのでかい砂漠を泳いでいた化け物か?」
「いかにもそうだが。俺の友達みたいなものだ。」
「本当に節操ないな。何でも仲間にするとかいくらなんでもおかしいだろ!」
「えー、だっていつの間にかそうなっているというか、本当に成り行きなんだって。」
伯爵の指摘にハーネイトはあくまで成り行きでそうなったと高い声でそう反論する。
「本当に恐ろしいぜ、相棒は。」
「砂鯨にあと鮫みたいなものもいたけど、なんなのよあの砂漠!」
「本当に面白いわね。任務だとこうする余裕もなかったし、こうしてみんなといられるのは楽しいわ。」
「あの、風魔。一応仕事だからね?仲間と一緒に居られて楽しいのはまさに同感だけど。」
伯爵はハーネイトの力の底なさに驚き、リリーは砂鯨をしばらく見ていた。そして若干遊び感覚の抜けていない風魔にハーネイトは優しく指摘する。
「そ、そうですねすみません。忍って基本一人で任務にあたることが多くて、こういったみんなで力を合わせるなんてことは国攻めの時ぐらいしかなかったので嬉しくて。」
風魔が笑顔でそう言いながらリシェルやミカエルたちのほうを向く。
「そうか。それなら仕方ないか。しかし仕事はしてもらうからな。みんな!先に情報収集と補給を済ませ、このままガンダス城に突撃する。」
「ま、まじすか?」
「中々大胆ですね。最初に出会った頃とは大分いい意味で違ってきましたね。」
そして遅れて車内から出てきたミフェイルとイザーナクはハーネイトの声を聴き提案をする。彼らの仲間と連携をとる必要があるためハーネイトはミフェイルたちを連れてきたのである。
「私は構いませんが、しかしここは一つ休んでからいく方がいいかと。」
「ハーネイト大先輩はともかく、他の人たちは疲労しています。」
「わかった。それならばやるべきことの順番を少し変えるだけだ。いまから自由行動だ、3時間後にこの広場に集まってくれ。宿の手配をしておく。」
そういい、ハーネイトは街のやや西側にある巨大な建物を指さす。
「あそこに私の拠点がある。全員私が費用を持つから心配しないでくれ。」
「さすがですね師匠。ありがとうございます。」
「本当にいいのハーネイト?」
「ああ。というかあそこは私が出資して建てたホテルだし。」
「ハーネイトさんの出生もですが、資金の在り方と使い方もすごそうですね。」
ミカエルやエレクトリールがハーネイトの言葉に驚きつつも感謝していた。そしてハーネイトは先にホテルのほうに向かった。
「では伯爵、いきましょう?ハーネイト気をつけてね?
「ああ。もし変な奴らがいたら監視を頼む。」
「任せとけ、相棒。」
そうして伯爵とリリーは街内観光に出かけて行った。
「リシェルさん、探索しませんか?」
「ああ、そうしようか。」
「さて、拙者らは偵察をしなければな。」
「私たちはどうしようかしら。」
「魔女のお二方さん?そういや、ここは様々なお店があるし、マルクでほとんど支払える。みていくといいのではないか?」
各々がこれからどうしようかと考えていた。そしてミフェイルはミカエルにそう説明し、一旦別れることにした。先に城のほうに向かいゴウカイザと合流するためである。
「ありがとねミフェイルさん。お店見てこよう、かな。」
「んじゃ、俺とイザーナクは仲間たちのもとに向かうからいったんお別れだ。次は城で会おう。」
「またな。」
各人は一旦離れ、それぞれ行動することにした。
「本当になんでもあるのね。服に宝石、魔法関係のアイテムまであるわ。」
「確かに、ここは大切な拠点かも。」
実は交通の要衝であり、北大陸からも近いこの都市は規模からしても遊撃隊にとって決して奪われてはならないところである。とはいっても攻め落とすのは用意ではないが。
「あれ、あそこにいるのは誰かしら。」
「人影?まさかね。」
二人はビルから別のビルに飛び降りる3人の人影を偶然見つけ、目で追っていた。
「さて、なにしようか。」
「このお店のケバブというのはおいしいですねえ。」
「あの、さっき食べなかったか?また食べて太るぞ。」
「太りません!この体少し燃費悪いのです。」
リシェルは公園のベンチに座り青空を見ていた、がエレクトリールが早速何かを買って食べながら戻ってくるのが見えて起き上がった。城でもそうだったが彼女の食欲は尋常ではなく、ハーネイトもリシェルも目をくぎ付けにして彼女が食べているところを見ていたほどである。
「ねえ、あなたたちは外から来たの?」
そんなやり取りをしている二人の前に突然一人の少女が現れ、二人に話しかける。
「確かにそうですが、いきなりはなしかけてどうしたのですか?」
「あなたたち、あの紺色のコートの人と知り合いなの?」
「そうだが、それがどうしたのだい?」
「そう。ねえ、私はギリアムという男の人を探しているの。」
そう言いつつローレシアは写真を見せる。りシェルはその男の顔を見て何かを思い出した。
「この男、機士国のだな。しかもギリアム、あっ!」
「リシェルさん、なにか覚えているのですか?」
「ギリアム先輩…。」
「 知っているのですか?私の兄のことを?」
「え、えーーー!妹さんがいたのか。ギリアム先生。」
「 実はその話なんだけどね。」
ローレシアは兄が何者かに捕まったこと、そして居場所だけはどうにか掴んだものの救出が困難なところにいることを話した。
「場所は、ここから北西におよそ120キロほど離れた場所にある、古いお城、ガンダス城よ。友達が教えてくれたわ。」
「私たちがいくところと同じですね。住民たちと一緒に囚われている可能性があります。」
「しかし王様から聞いたが、今回の作戦に参加し諜報活動をしていると聞いたぜ。先生、無事だといいが。」
リシェルはギリアムという男のことを思い出していた。彼が軍学校に入って一番最初に担任になった陽気で快活な軍人。それがギリアム・ラシュメール・ラスラという人物である。ハーネイトの知り合いであり、昔彼が機士国を訪れた際に助けてもらった人物でもある。近接銃術とサーベルの使い手であり彼によく訓練をつけてもらったことを懐かしんでいた。
「早く助けにいきたいですが、私たちも旅をして疲れているのです。」
「そうですか、でも、兄が無事だったら助けてもらえませんか?諜報活動をしているとは教えてくれたのですがあれから連絡がないのです。」
ローレシアは不安そうに顔を俯ける。
「それは任せてくれ。先生のためにも必ずな。」
「救出はどのみち明日の夜に行いますから待っていてください。それで他になにか知っていることは?」
「 あの辺りでは最近、今まで現れなかった魔獣が現れているようです。」
エレクトリールの質問に対しローレシアは他にも気になったことを説明する。城の周辺で今までいなかった魔物が出現し、その数を増やしているということである。
「それは重要な情報だな。」
「しかもほとんどが何か別の生物と合わさった物と友達から聞きました。」
「アル爺さんやルズイーク隊長が出会ったあれみたいなものか。戦うとしたら厄介かもしれないな。」
リシェルは城で聞いた話を思い出し、今まで戦ってきた魔獣とは違う存在にどう戦うか考えてみた。
「どうかお気を付けてください。これが私の連絡先です、」
ローレシアはリシェルに連絡先を書いた紙を渡す。
「ああ。ギリアム先生を必ず連れて帰るからな。」
「よろしくお願いします。」
そういい、リシェルとエレクトリールはローレシアと別れ広場のほうに向かった。
「面白いでござるな。機士国よりも立派だ。」
「そうね。しかし迷子にならないでね?探すの大変だから。」
そのころ南雲と風魔は街の中を駆けながら偵察をしていた。
「あ、いたいた!南雲先輩、お久しぶりです。」
「その声は、葉隠か!」
二人の前に突然白い忍び装束を着た若い男がスッと現れ、南雲に話しかけた。彼の名は葉隠才刃。変装と追跡で右に出るものがない諜報型忍者である。
「はい、藍之進様より諜報任務に長らく就いてます。しかし先輩がここにいるとは、あの試験の話を聞いたのですが受かったのですね?」
「ま、まあな。」
「風魔さんも?」
「そう。念願の解決屋デビューよ。愛しのハーネイト様のそばに居られて今一番幸せ。」
風魔は満面の笑みを浮かべ、嬉しいことを強調していた。
「おめでとうございます。風魔先輩の夢でしたからね。」
「ありがとう。そういや才刃、零の噂は知っている?」
風魔の顔がいつも通りの顔に戻り、まじめな顔になった。そして才刃に零について尋ねてみた。
「はい、中堅の忍が計五名死亡しております。彼の手によって。」
「その後の行方は?」
「いまだ調査中です。彼の行方を掴む事すら容易ではありません。」
「そうか、あれほどの人がなぜ…。」
南雲は昔のことを思い出していた。零は南雲の兄のようなものであり、幼くして両親を亡くした彼にとって零は血は繋がらなくとも本当の兄のような存在であった。そんな彼が今では行方不明になり、同じ忍の仲間たちを手にかけるなど信じることがいまだできずにいた。
「前に聞いたある任務の派遣後から様子がおかしいと言う話と関係があるのかしら。」
「あの任務ですか。あのとき生き残ったのも零一人だけ。その時に何があったか調査しないといけないですね。」
零がおかしくなったのは機士国でクーデターが始まる少し前であった。ある小国で不穏な動きがあると独自に調査団が組まれたのだがそれに零は入っていた。だがその任務で帰ってきたものはその零だけであった。明るい性格の零が暗く陰鬱な性格になり、それから少しして行方をくらませたのである。
「そうね、これは里の信用に関わる問題。早く見つけなければ。」
「はい。そういえばハーネイト様とは今は一緒にはいないのですか?」
「いまは自由行動だ。どうかしたのか?」
「彼にこれを渡してほしいのです。そろそろいかなければ。」
才刃は南雲に手紙を渡した。
「手紙、か。わかった。才刃も気を付けろよ?」
「先輩もお気をつけて。では。」
そういい、才刃は人ごみの中に消えていった。戦いとは無縁のこの古代人の街はいまだ人々の活気で満ち溢れていた。それは他の所、そしてDGの影響を受けているところでさえ。この星にいる多くの人々は、かつて襲来したDGのことを忘れている人が多かった。そしてまたその脅威が迫っていることに気づいていない人が非常に多かった。ハーネイトたちの活躍やガルバルサスの奇策、エージェントたちの活躍で今のところ北大陸の東側の領域では特に目立った戦闘は起きていなかったのである。
「同胞の者に出会えるとほっとするわね。」
「そうだな。しかし敵は多いなあ。少しでも貢献できる方法を探さないとな。」
二人はそういいながら偵察を続ける。その頃、ハーネイトは市街の中央部にあるとあるホテルを訪れていた。
「お、お久しぶりですハーネイト様。」
「いつもご苦労だな。
「いえいえ。このホテルの管理はお任せください。」
「お久しぶりです。今日はどのようなご用件で?」
ホテルの受付にいる男女はミランダとローレミッドという。このホテル「ウルシュトラ」の従業員であり、優秀な人材でもある。
「連れを数名宿泊させたいのだが空き部屋はあるか?」
「確認します。…ありますよ。しかしそれでしたらハーネイト様専用の棟の方がよろしいのでは?」
「それもあったか。いや、こうしてこの拠点を守ってもらっている君たちにボーナスをあげたくてな。」
ハーネイトはお金をわざわざ出して従業員の給料が不自然なく上がるようにそう言う。
「ありがとうございます。ですがフロアの方もいつでも使えますよ。」
「わかった、別に特別手当て出しとくから後で来たときに案内してくれ。だがホテル内に不振な人物がいたら普通の部屋を案内してくれ。」
ハーネイトは二人に指示を出しながら周囲を見渡す。今のところ特に不審な人物はいないと確認した。
「わかりました。警戒を怠らないようにします。」
「ありがとう。では一旦外に出る。」
ハーネイトはホテルを後にし、広場の方に向かう。その途中で背後から突然声をかけられる。
「ねえ、そこのお兄さん。」
「うわ、いきなりなにかな?」
何も気配がなくいきなり話しかけられ、警戒するハーネイトは、目の前にいる銀髪で腰まではねた髪を伸ばした少女を見た。
「お兄さん、あのハーネイトさんよね?」
「如何にも、そうだが。顔を見せて欲しいが。」
「よかった、あのね、ある人からハーネイトさんに手紙を渡してほしいと言われて探していたの。人を待たせて急いでいるの。」
少女の言動にやや怪しいところがあるものの、少々のことで動じないハーネイトは手紙を少女から受け取った。
「しかしあまりここにはいま来ないのにな。事務所の広告は確か幾つかこの街にあるはずだが。
「事情があって、そこまでいけなかったの。でも友達があなたがここに向かっていることを教えてくれたから待っていたのよ。」
「なんか怪しいが、まあいい。後で手紙は読むが。」
「すみません、失礼します。今度もしよければお茶したいですね。ありがとうございました。
彼女はそう言いその場を立ち去った。そして道路を挟んだ向こう側で3人の人物とその少女が何かを話し、ひげを生やした男が笑顔で少女にお金を渡しているのをみた。
「変なやつだ。はあ、ホテルについたら読んでみるか。しかしあの顔…。まさか!
ハーネイトは少女にお金を渡した男の顔を見て、すかさず手紙の封を破り中の手紙を確認する。一つはホミルドと言う男からの手紙だった。
「ホミルド、まさかあのホミルドか。そういうことになっていたとはな。これは早く助けなければ。いろいろ世話になったしな。遺伝子研究の第一人者、キメラというのとかかわりがありそうだ。そして…。」
見るからに派手なもう一枚の紙。それをよく見ると、北地区にある博物館に保管されている宝石を今夜の夜10時に盗むからよろしくという文章が書いてあった。つまりこれは、解答からの予告状である。そしてその名前を見て、ハーネイトの表情が鬼と化した。
「どういう、ことだ。ホミルドと知り合いで、なおかつこの予告状。ふざけた真似を。」
「あっ、ハーネイト!」
「よう相棒。血相変えてよ。というかどうした。」
「二人ともこれをみてくれ。」
ハーネイトは伯爵とリリーに予告状とホミルドからのを見せた。
「わあ、始めてみたわ。予告状とか何があったのよ。」
「へえ、それはお前さんを呼び出す罠かもしれないな。」
「しかしホミルドの手紙は直筆だ。このおじさんは独特の文体をしていたからよく覚えている。」
「そういうなら、ホミルドと言うおっさんの手紙のことは事実だろうな。こちらも更に調査を部下たちに命じたが、やはりあの城は怪しい研究の拠点だ。」
「それは逆にうまくいけばそこを押さえれば敵の計画に大打撃与えられるわね。」
「ああ、そこさえ攻略できれば、他は白い男とエージェントたちによりどうにかできる。しかしこの怪盗からの予告状も無視できない。もし美術品が盗まれたらこちらの信用問題だ。」
「だよねー。ねえ伯爵。久しぶりに一人で暴れてきたら?そもそもひとりでなんでもできるよね?」
リリーは伯爵に一人で城を攻めに行ったらどうだと提案した。
「えー、めんどくせえな。無差別にやりかねないからぜ。」
「リリー、問題ない。時間を見てみろ。今日の夜10時だ。朝までにけりをつければいいんだ。あの怪盗たちを捕らえて事情を聴く。それでわかることもあるだろう。」
「まあ保険懸けとくか。ウェルシュとビブリオの二人に指示をだそう。」
「面倒なことに巻き込んですまない。」
ハーネイトは伯爵とリリーに頭を下げた。
「それはしゃーないない。だがその博物館にいきたいんだがなあ。」
「私もいきたいわ。」
二人は生の怪盗が見られると興奮していた。
「分かったよ。但し捕らえるのは俺がやる。」
「いいぜ。そろそろ時間じゃないか、広場に行こうぜ。」
全員は広場に集まった。ハーネイトが全員いるか確認しているときリシェルが寄ってきた。
「ハーネイトさん、ギリアムという男は聞いたことありますか?」
「ギリアム・ラシュメールか?」
「そうです。」
リシェルがハーネイトに、ローレシアから頼まれたことを伝える。
「ギリアムがどうしたのだ?」
「先ほどそのギリアムさんの妹さんと出会いまして、ギリアム先生がガンダス城で囚われているようです。」
「確か諜報組織ブラックストームの第一隊長だったな。そして今回の作戦にも参加してはずだがあれほどの男がなぜ。わかった、もし発見したら優先的に保護だ。」
「イェッサー!ハーネイト師匠。」
リシェルが敬礼をし報告を終え、一歩下がる。次に南雲が話しかけてきた。
「次は拙者だが、後輩の忍者から手紙を渡してほしいと言われた。これがその手紙です。」
「これは藍之進からの手紙か。…そうか。里の方も情報収集に協力してくれてありがたいな。一方の伯爵は…。」
ハーネイトは伯爵の方をじとっと見つめた。
「なんだよ、俺の能力も一度いったところじゃないと精度が落ちるんだよ。微生物の種類も少し特殊だし、従えるのに少し時間がかかる。」
伯爵は探知系の能力についてまだ完全状態ではないことを説明した。それを聞きハーネイトは呆れていた。
「ちょ、それをなぜ早く言わないのだ。はあ、とにかく藍之進さんのメッセージは確認した。」
「という事で長くお世話になります。」
手紙の内容は、零に関する情報と、南雲と風魔の契約に関しての話であった。風魔は長くハーネイトのそばにいられることにほっとしていた。
「次に、この街で変な三人組がビルの間を駆け抜けているのを見たんだけど。」
「ミカ姉、特徴はなにかあった?」
「そこまでははっきりと見えなかったわ。」
「だけど、帽子と杖を身に付けていたわ。しかも3人とも同じのをね。」
ルシエルの言葉を聞きハーネイトは大きく肩を落としため息をつく。久しぶりのため息に全員が心配していた。
「いや、それで十分だ。ルシエル、助かった。」
「どうもです。私目は良いので。」
ルシエルに感謝をするも表情はどこか虚ろであった。
「なぜそのようなことを聞くのですか?」
エレクトリールが突然質問を切り出す。
「嫌な予感が確信に変わったのさ。あーあ。こんな時にもう!覚悟しておけよあいつら。」
「それは、あの教え子たちのことですか?」
「魔法で犯罪を働く者がいると仕事中に耳にしたことがありますな。」
普段見せない表情で今の現状に苛立つハーネイト。しかし以前よりも表情が豊かになった彼 を見て、伯爵や南雲たちは安心していた。そしてミロクとシャムロックが事情を察し話しかけた。ハーネイトに予告状を叩きつけた怪盗の名前はアルシャイーン3兄妹といい、ハーネイトと関係のある人物であった。ミロク含め召使たちもその話を聞かされており、事情は理解していた。
「本当に、下衆な連中ですわね。」
ミレイシアもあまりその人たちのことを言えないのだが、その怪盗たちのやり方が気に食わないようであり、ましてや今の現状から心の中で相当腹が立っていたのである。どうせ盗むなら、DGに関連するところから盗めばいいのにと。
「そ、そうなのですね。私も手伝います。」
「まあまあ、そろそろ日も落ちそうだしホテルにいこうぜ。」
「そうだな、案内しよう。」
一行はホテルの中に入った。
「お待ちしておりましたハーネイト様。」
「待たせた。さて、大丈夫だな。フロアの方へ案内を頼む。」
「了解しました、ハーネイト様。」
そして周囲を確認すると、奥の方にあるエレベーターに乗り込む。このエレベーターは魔力で動いているハーネイトとその教え子が考えた装置である。
「この街の建物、色々進んでいるな。」
「そうですね、今まで見た中では一番発展しています。面白いです。」
リシェルとエレクトリールがエレベーター内でそう話していると目的の15階につく。そこに先回りしていたミランダが部屋を案内する。赤い絨毯が長い廊下に敷き詰められており、手入れも行き渡っている。そして和風の大部屋に全員が入った。
「 これは、いいものだ。」
「これが日之国の文化、こんなところでも出会えるとは。」
「ルシエルは本当に昔から好きよね。」
「ええ、お姉さま。私は侍の家に生まれたかったわ、なんてね。」
ミカエルとルシエルは日之国のことを思い出す。ルシエルは日本、そしてその影響を強く受けている日之国の文化が特に好きで、その話になると寡黙な彼女も饒舌になるほどであった。
「本当に不思議ね。刀やあの衣装、美しい。」
「終わったら、みんなを連れて日之国でしばらく遊ぶのもいいな。温泉巡りしたい。」
「ハーネイトも相当よね。断ることを知らない解決屋の鏡、も少しづつ変わってきているのかしらね。」
「その呼び名はやめてほしい。さあね、素を出しやすくなっているのかもしれない。」
ミカエルの言葉にそう言いながら自身で茶を湯飲みに入れてゆっくりと飲む。
「これなら落ち着けそうだわ。」
「えーと、靴は脱がないといけなかったな?城にいたときと同じか。」
「まあ俺様は浮いているから関係ないな。」
「さて、早速だが明日の早朝にここを出て、ガンダス城まで向かう。シャムロック、いつも運転を任せてすまないな。」
「構いませんが、時間ができたらバイクや車の運転でも習いますか?」
「そうだなあ、折角シャムロックにカッコいいもの作ってもらったし、この際そうだな。」
「了解しました。ベイリックスはいつでもいけますぞ。」
シャムロックに確認を取り、次に南雲たちに話しかける。
「風魔、南雲。例の地図を。」
「は、はい。」
ハーネイトは、二人から地図を受け取り、部屋の中央にある机に地図を置いた。
「今回は遊撃隊初の大規模な作戦だ。各々が力を発揮し、救出と施設の占拠を行わないといけない。」
「俺様ワクワクしてきたぜ。別にすべて醸しても構わないよな?」
「ああ。という事で先に伯爵は施設内に。そして囮になってもらおう。」
「 囮かよ!」
伯爵がハーネイトに思いっきり突っ込みを入れる。
「一番タフなのは伯爵しかいないだろう?それに伯爵がいるだけで敵の士気は大幅に下がるからな。俺もあの一撃を食らって大分精神に来たからな。」
「ふ、ふん。まあそれなら。やってやるよ。」
少々納得がいかないものの、伯爵はその指示に従うことにした。
「私はどうしようかしら。」
「リリーはついてきてほしい。大魔法は2人以上で使った方が効率がいい。一番優秀な魔法使いの弟子はリリー。君だ。頼む。」
「え、ええ。承ったわ。」
「次に、南雲と風魔は私に続いて施設内に入る。」
「わかりました、マスター。」
「ミカエルとルシエルは上空の監視を頼む。それと空からの魔法爆撃も隙をみてやってほしい。」
「 わかったわ。」
空を飛ぶ使い魔による機動力は今のメンバー内でもレアなため、ハーネイトは二人に空中からの支援をお願いした。
「最後にリシェルは狙撃ポジションからの支援砲撃を頼む。エレクトリールはリシェルを守れ。ある意味危険が大きい。だからこそ実力のあるエレクトリールを護衛に置く。」
「分かりました。全力でリシェルさんを護衛します。」
「怪しいやつは悪即バン!でよろしいんですね?」
「その通りだ。遠慮はいらん。各人は準備を怠らないでほしい。出発は、明日の朝8時だ。それとホテル内にはレストランやお店、大浴場もある。不足品を補充したり疲れを癒してほしい。以上だ。」
最後にリシェルとエレクトリールにポジションの説明をし、ハーネイトはホテル内の施設を好きに使っていいと指示を出す。
「さすがですねマスター。」
「では、私たちも。」
こうして各々が自由行動をとり始めたが、ハーネイトの表情はまだ険しいものがあった。予告状を突き付けられた以上、引くわけにはいかないと。
「では私は外出する。後は頼んだ。」
「師匠、お気をつけて。あれ。これは一体。」
リシェルはハーネイトを見送ったが、床に落ちていた資料の中にあった派手な一枚の紙を見つけ手に取る。
「こ、これは。アルシャイーンの兄貴に姉貴たちじゃないか。ちょ、しかもハーネイトさんご指名かよ。これはただ事じゃない。俺的にも!」
心の中でそう言いながら、リシェルもライフルを背中に担ぎ部屋の外に急いで出た。
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