VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

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本編

第45話 マヨイはリスキルする。

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⚫︎マヨイ

「え、嫌です。そこをどいて貰えませんか?」

 一方的に見知っているとはいえ、知らない人に「ちょっといいか?」と言われて「はい、なんですか」と応えるのは警戒心がなさすぎると思う。まどろっこしいから用件まで一息に言って欲しいというのが本音だ。それに応じるかはまた別問題だけどね。

「断る!僕は君を正しい道に導いてあげなきゃいけないんだ!」

「は?何言ってんの?」

 思わず素で聞き返してしまった。
 そりゃそうだろう。もしチャラ王の関係者だとしても本人不在、自己紹介もなし、そもそも僕らの名前をたずねる気配もない、慇懃無礼どころか普通に無礼だ。


【名無し:イタ過ぎるww】
【名無し:会話が成立しないタイプかー】
【名無し:逆に面白いw】
【名無し:たまにいるよね、こういうタイプ】


「君のような幼気いたいけがあんな真似しちゃいけないんだ」

 あぁ……髪の毛長くなってて勘違いしたのだろうか。
 これは性別だけは公開情報にした方がいいのかもしれない。

「まーちゃん可愛いから仕方ないわね」

「まーちゃん、かわいい」

「まーちゃんって言うのか。そうだ、後ろの女の子も一緒に僕とパーティを組もうよ。そうだ、それがいい!」


【名無し:まーちゃんw】
【名無し:悪ノリよくない】
【名無し:まーちゃんは笑う】
【名無し:あー、名前バレ回避狙いか】
【名無し:なるほどw】


 彼のようなプレイヤーに名前を知られて得することがないのは分かる。いつの間にかオリオンさんも名前を非公開にしているし、僕も彼に名前を知られたいとは思わない。
 だからって『まーちゃん』はないだろう……


[ユウジからフレンド申請が届きました]
[ユウジからパーティ申請が届きました]


「生理的に無理」

「私も無理ね。君と組む価値が見出せそうにないわ」

「そうだね。僕も君とパーティを組む気はない。会話が成り立たない相手とパーティプレイなんて嫌だからね。フレンド申請に関しては論外だ」


【名無し:価値の問題なのか】
【名無し:お断り×3】
【名無し:生理的に無理は笑う】
【名無し:利用価値すらないってことだろ、たぶん】
【名無し:フレンド申請も送られてたのか】


 そもそも僕からすれば妹の友達クレアちゃんのストーカーだ。そんな人物とゲーム内でとはいえ友達フレンドになるのは手酷い裏切りのような感じがして嫌なんだよ。

「こうしてお願いしてるのに何で断るんだ!」

「お願いされたっけ?」

「「されてない(わね)」」

「だよね」


【名無し:生理的に無理だから(以下ループ)】
【名無し:これは面倒くさい】
【名無し:「組もうよ」っていうお願い】
【名無し:提案はしてた】
【名無し:断られるとは思ってなかった感じか】


「してるだろ!って何で申請できないんだ!君たち、いったい何をした、言え!」

 何もしてないんだよね。
 ちなみに申請できない理由も分からない。

「申請拒否されたらインターバル必要」

「「なるほど」」

 パーティやフレンドの申請を拒否された場合、同じ人物に再び同じ申請をするためには時間をおく必要があるらしい。
 たぶん、目の前の彼のように何度も連続して申請して相手を不快にするプレイヤーへの対策だろう。細かなところに気づいてくれている運営に感謝だ。


【名無し:なるほど?】
【名無し:どゆこと?】
【名無し:再申請は時間おかないといけない】
【名無し:今回は理解できた】
【名無し:通訳ニキ助かる】


「ふざけるなよ。お、俺を、俺を馬鹿にするなぁぁ!!」

 突然キレたユウジはよりにもよって腰に差した長剣を抜いてオリオンさんに斬りかかった。正面にいた僕じゃなくてオリオンさんに斬りかかったのは彼女の言動が彼の琴線に触れたからかな。
 斬りかかったユウジの剣が鞘から抜き放たれた瞬間、ユウジのプレイヤー名が赤く染まる。ここら辺の判定はヘルプにも法則性が書かれていはいので推測でしかないけど、おそらく武器を構えていない相手に攻撃を仕掛けたからだろう。

「ホーリーレイ」

 オリオンさんがユウジに向けた指先からのレーザービームが放たれた。ホーリーレイは聖術スキルの攻撃魔術だったはずだ。スキル関連情報スレで『味方に当たると回復、敵に当たるとダメージの便利な魔術。ただし回復量もダメージ量も他の術より効率が悪い』と書いてあった気がする。
 まぁ……ダメージ量に関しては今回は関係ないだろう。

「さすがのエイム技術ね」

 オリオンさんが放ったレーザービームはユウジの眉間を貫通していたのだ。もちろん即死だ。


【名無し:すごっ】
【名無し:CiLってエイム難しいんじゃなかったけ?】
【名無し:さすがプロ】
【名無し:難しい。普通はセミオートが限界】


「虫を払っただけだから全然誇れない」

「「それは虫に失礼だから謝って?」」

「虫さん、ごめんなさい」

 こうして場を和ませている間に即死したはずのユウジが復活した。訓練場で死亡した場合、入り口で復活するらしいので何となく予想できた事態だ。ただステータスダウンの状態異常を受けているのは何故なんだ?


【名無し:デスペナにステータスダウンなんてあった?】
【名無し:訓練場だから死んでもその場で復活する】
【名無し:犯罪者はデスペナが普通と違うんだぞ】


 リスナーさんありがとう。
 通常のプレイヤーと違い犯罪者プレイヤーでは復活時のペナルティが違うらしい。詳しくは配信が終わった後でヘルプからチェックしておこう。

「はぁ……面倒くさいわね。もう無視して組合から出ましょ?」

「ふざけんな、てめぇ!!ぶっころしてやる!」

 今度は藍香に向かって斬り掛かるユウジ。
 藍香なら余裕で反応できるだろう距離と速度だ。

「お前が死ね」

────ぱーんッッ

 それでも僕はユウジの頭を全力でぶん殴った。
 結果、トモアキを"猪突王の短剣"の柄で殴った時と同様にユウジの頭は弾け飛んだ。汚い花火だなぁ。

「これで2回だ。あと2回殺してやるから強制ログアウトくらって頭冷やしてこい」


【名無し:犯罪者は3回死ぬとキャラロスだぞー】
【名無し:もう1回死んだらキャラ消滅するよ】
【名無し:勢い余って殺しちゃいそうだな】


 あー、そうなのか。
 前言撤回するようで格好悪いけど流石にキャラクターの強制削除までするのは可哀想な気がする。会話は成立しないだろうけど、どうにか説得して引いて貰おう。
 引いてくれないなら仕方ないってことで。

「なんだいm……」

────ぐしゃり

「あれ、真宵みたいにいかなかったわね。なんで?」

「「………………」」

 復活したユウジは僕が声を掛ける間もなく藍香に顔を殴られて死んだ。リスナーさんの話が本当ならばユウジはキャラロスという事になる。


【名無し:南無】
【名無し:惜しくない人物を亡くした】
【名無し:3連続頭部破壊】
【名無し:最後まで会話が成立しなかったな】


 たぶん藍香はコメント欄を見てなかったんだと思う。それでもチャラ王との拷問紛いの決闘に引き続き、絡んできたプレイヤーをキャラクター消滅までリスポーンキルすれば僕らの評判は間違いなく最悪のものになるだろう。

「あれ、なんで復活しないの?」

 まぁ……誰にでもミスはあるよね。
 気を取り直してテコへ向かうとしよう。

───────────────
お読みいただきありがとうございます。

ユウジ君の来世にご期待ください
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