VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

文字の大きさ
89 / 228
本編

第74話 マヨイと人工魔石

しおりを挟む

⚫︎マヨイ

「まずは抗呪薬と抗毒薬の作成だな」

 昨日ウーバーヒール・ポーションを作っている途中で発生した端材──癒草の鍵と癒草の葉脈──を使った薬の作成から始める。これから取り掛かった理由は単にアイテム欄を圧迫しているからだ。

「あ、でも生活魔法まだ覚えてないや……組合で買えるんだっけ」

 そんなわけで受付に戻って生活魔法[乾燥]と生活魔法[灯火]のスクロールをそれぞれ100Rで購入した。スクロールというのは対応したスキルを習得可能状態にするアイテムだ。受付で質問するまで知らなかったけれど、組合では結構な種類のスクロールが売られていた。値段も習得可能になるスキルによって違う。アクティブスキルよりパッシブスキルの方が高い傾向にあった。その中でも1番高価だったのは錬金術のスクロールで、その額は驚愕の700万Rだ。
 加工施設に戻ってから錬金術指南書を読み返したけれど、スクロールを作る方法は錬金術指南書に書かれていなかった。おそらくNPCなどの特殊な方法でしか作れないんだろう。

「錬金術の性能やっぱおかしいよ……」

 端材をそれぞれ錬金術で加工したものを火であぶってから生活魔法で乾燥させ、それを粉状になるまで粉砕したものを魔力水に溶かした結果がこれだ。


名前:アンチカース・ポーション
分類:錬金術 薬品 ポーション
効果:抗呪作用の性質を持った特殊ポーション。
   [分類:呪詛]を祓い遠ざける。
状態:新品
分量:150
性質:抗呪作用(4500)

名前:アンチポイズン・ポーション
分類:錬金術 薬品 ポーション
効果:抗毒作用の性質を持った特殊ポーション。
   [分類:毒]を祓い遠ざける。
状態:新品
分量:150
性質:抗毒作用(4500)


 そして錬金術を使う工程を省いて作ったものはこうなった。


名前:抗呪薬
分類:薬品 素材
効果:抗呪作用の性質を持った薬。
   [分類:呪詛]を緩和させる。
状態:新品
分量:150
性質:抗呪作用(30)

名前:抗毒薬
分類:薬品 素材
効果:抗毒作用の性質を持った薬。
   [分類:毒]を緩和させる。
状態:新品
分量:150
性質:抗毒作用(30)


 錬金術を使って完成したものとの差は歴然だ。
 指南書の中に調合スキルは使用者の熟練度(?)によって効能が微増するという注意書きもあったが、この差は"微増"程度ではひっくり返らないだろう。ちなみに抗呪薬と抗毒薬の分類に素材と書いてあるのは上級の薬を作る際に素材として必要になるからだ。それを作るには聖水が必要になる。僕は聖水を持っていないし、手に入れるツテもない。ひとまず上級の薬を作るのは諦めた。

「自動作成ほんと楽だな……」

 わざわざ効果の低いものをストックしておく気にはなれないので僕はアンチカース・ポーションとアンチポイズン・ポーションを量産することにした。自動作成に頼ったため性質は4500から4050へと低下してしまったが、こればかりは諦めるしかないだろう。

「次は人工魔石だな」

 残った端材を全て使い切った僕はアイテム欄から水晶を取り出して指南書通りに加工を始めた。加工とは言っても水晶に錬金術を使用して不純物を取り除いたものを加工施設に備え付けられた研磨機で加工し、それにポーション類と同じように魔力を込めるだけの作業だ。
 指南書によれば研磨機で加工する工程は省いても問題ないらしい。しかし、原石のままでは見栄えがよくない気がするので八面体にしてみた。まぁ……正八面体というには少し歪な気がするけれど、素人が作ったにしては上出来な部類だろう。


名前:マヨイの魔石
分類:素材 人工魔石
効果:錬金術士によって魔力が込められた水晶。
   様々な利用方が存在している。
状態:美品
性質:無属性魔力(1152)


「これは他人に見せにくいな……」

 何とか名前だけでも変えられないかと色々と弄っていると、自作したアイテムは名前と効果を編集できるようだ。とりあえずアイテム名を人工魔石に変更、効果から"錬金術士によって"の部分を削除する。


名前:人工魔石
分類:素材 人工魔石
効果:魔力が込められた水晶。
   様々な利用方が存在している。
状態:美品
性質:無属性魔力(1152)


 これなら他人に売っても大丈夫だろう。ちなみに錬金術によって不純物を取り除く工程を挟まなければ魔力を込める段階で水晶は砕けてしまう。希少な宝石を使えば砕けないらしいけれど、それも錬金術で加工した方がより多くの魔力を込められるそうだ。
 ちなみに性質は魔力を込めた本人の持っている属性を付与できるらしいが、僕は属性に関するスキルは持っていないので無属性しか作れない。

「自動作成めっちゃ時間掛かるな、これ……」

 自動作成した人工魔石は綺麗な正八面体をしていた。
 自分で加工したものと比べると差は一目瞭然で少し悔しいけれど、僕は現実で石を削ったのは中学の美術の授業くらいしか経験がないので仕方ないだろう。
 しかし、人工魔石を1個作るのに20分近く掛かるのは釈然としない。手作業でも慣れれば20分より短い時間で作ることができる気がするのだ。

「いっか、同時に別の作業できることを考えたら自動作成の方が効率いいんだし」

 自動作成で設定できるのは1種類だけれど、自動作成をしている傍らで別のアイテムを作成することは出来る……はずだ。僕は人工魔石を自動作成に設定しながら、手作業でも人工魔石を作ることで計36個の人工魔石を作ることが出来た。

[警告:連続接続時間が8時間になりました。ただちにログアウトを実行してください]

「あ」

 視界の端に60のカウントダウンが表示された。おそらく0になった瞬間に強制ログアウトが実行されてしまうのだろう。強制ログアウトが実行された場合、出しっぱなしにしていたアイテムは消滅してしまう気がする。
 僕は出しっぱなしにしていたものを慌てて片付けてログアウトした。

「やらかしたなぁ……」

 僕が現実に戻ってくると時計の短針は11を回っていた。大人しく夕飯を食べて風呂に入って寝よう。

───────────────
お読みいただきありがとうございます。

蒼の使徒戦のラストとログアウトに関する警告文が異なるのは仕様です。
しおりを挟む
感想 576

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

処理中です...