VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重

文字の大きさ
162 / 228
本編

第148話 マヨイは説教する。

しおりを挟む

⚫︎マヨイ


[Forest Khimaira armyを討伐した]
[守護獣の魔石を24個入手した]
[守護獣の獣翼を16個入手した]
[守護獣の蛇親を14個入手した]
[守護獣の硬皮を14個入手した]
[守護獣の心臓を1個入手した]


「おわったぁぁぁああ!」

 暁やクレアからすれば格下の相手だったので2対5でも余裕をもって倒せたようだ。これで僕が周囲のキマイラを倒してなければどうなっていたのか気になるけど、おそらく少し手こずっても2人なら何とでもなっただろう。

「さて、アカトキ」

「な、なに?」

「正座」

「え」

「正座」

「な、なんで?」

「せ・い・ざ」

「っ」

 戦闘そのものには問題はなかったけど、僕は"不忍の杜"に入ってからの暁の行動に対してそれなり以上に怒っていた。空気が悪くなるのは承知の上で僕は暁にこの場で説教することにした。

「僕が怒っているのは分かるよな?」

「う、うん……」

「なんで怒ってるかは分かるか?」

「…………わから、ない」

「まずは森に入ってすぐの戦闘のことだ」

 まずはパーティプレイの否定。これは相手の強さを見誤った結果だけど、それは交戦を開始した時点ですぐに分かったことだ。織姫が突っ込んでからしばらくして助けを求めてきたけど、あれは状況判断が遅すぎた。

「そ、それは謝ったじゃん!?」

「あぁ。だから僕もそれに関してはついでだ。肝心なのは織姫に対して『邪魔』だと怒鳴ったことだ」

「っ……」

「織姫の今の位階はいくつだ?」

「え、あ、結構上がってる!69です」

「で、暁とクレアの位階は?」

「……100です」

 ちなみに僕は117だ。格下過ぎる相手を倒しても経験値が入らないのか"蜂の巣"のボスを倒しても位階は上がらなかった。

「猿にしてもキマイラにしてもステータス的には織姫と同じくらいだったよな。しかも複数同時に襲ってくるんだから普通に考えて織姫は相当キツかったはずだ」

「……うん」

「で、織姫は足を引っ張りたくない一心で弱音も吐かずに上手く立ち回ってたぞ。そんな織姫にお前は"邪魔"だと怒鳴ったんだ」

「……織姫、ごめん」

「え、あ、いいって!先輩も私が足手まといだったのは──」

「織姫ちゃん。何で弱音を吐かなかったの?」

 クレアがククルを撫でながら織姫に問いかけた。
 その目は据わっていて明らかに怒っている様子だった。

「先輩に足手まといだって思われたくなかったから……だと思う」

「で、実際は?」

「……足手まといだった」

「それが分かったのはいつ?」

「最初の戦闘のあとすぐ、くらい……」

「途中からお兄さんは織姫ちゃんが1対1で猿さんと戦えるようにしてくれてたもんね。それに何も言わずに甘えてた時点で織姫ちゃんは仲間じゃなくてお客さんだったんだよ?」

「!?」

 確かに織姫が"迷い家"に入ったことに浮かれていた様子だったのは事実だし、今回はパワーレベリングというほどではないけど僕は織姫に対して接待的な立ち回りをしていた。

「状況を分かってた私やお兄さんが途中で"撤退しよう"って言わなかったのも悪いし、お客さんして何も言わなかった織姫ちゃんも良くなかったよね」

「私は?」

「アカちゃんは論外」

「論外!?」

「そもそも最初に援護が要らないって言ったのも──」

 クレアが怒ってるのは織姫にじゃなくてクレア自身と暁に対してのようだ。しかし、ククルに気を取られて援護が疎かになったのは良くなかったけど、それ以外は特に問題なかった気がする。
 その後、しばらくクレアによる暁への説教は10分ほど続いた。

…………………………………


……………………………


………………………


「さて。空気を悪くしちゃった僕が言うのもあれだけど先に進もうか」

すすもーみにゃぁ!」

「は、はい!」

「クレアもそろそろ落ち着こうか。あとはログアウトしてから説教するから」

「えぇっ、まだするの!?」

「……分かりました。アカちゃん、しっかり反省してくださいね?」

「うぅ……わかったよぉ……」

「アカちゃん?」

「反省する、反省するからハイライトが消えた目で見ないで!」

 説教中、何かと反論しようとして尽く論破された暁は少し同情するくらい落ち込んでいた。反論も何も今回は全面的に暁が悪いのでこの場にいる誰も庇い立てなんてしないのだけどね。

「先輩、ダンジョンってボスを倒して終わりなんじゃないんですか?」

「テコにあるダンジョンにクレアと入った時にはボス戦の後で素材収集が出来るエリアを見つけたんだよ。この森も更に先があるみたいだし何かあるんじゃないかな?」

「え、クレアと2人でですか!?」

「「そうだよ?」」

「デートじゃないですか!」

「え、デートだったんですか!?……あっ」

 顔を真っ赤に染めてモジモジし始めるクレアからククルが逃げ出した。パタパタと飛んで暁の頭の上に着地したククルは暁を慰めるかのように頭をポンポンと叩いている。

「あんな薄暗くて羽虫が大量に出てくるダンジョンだよ?デートならもう少し楽しめるところに行くって……あとククル、これ以上アカトキが馬鹿になると困るから叩くのはやめなさい」

ママはばかなのーみぃ?」

「「「そうだよ」」」

「ちょっ……ひどっ!?」

 ククルのおかげでクレアや織姫も落ち着いたようだ。
 こういうのもアニマルセラピーって言うんだろうか。

「さて、気を取り直して進もうか」

「はいっ」


───────────────
お読みいただきありがとうございます。
ちょっと雰囲気悪い回ですけど織姫をお客さん状態から仲間として扱うために必要なプロセスということで許してください。
しおりを挟む
感想 576

あなたにおすすめの小説

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

処理中です...