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本編
第183話 マヨイは首根っこを掴む。
しおりを挟む⚫︎マヨイ
僕の疑問はすぐに氷解しました。
「それでそっちの3人も連れてきたと?」
「まぁ……うん、報告しなかったのは悪いと思ってる。ごめんなさい」
僕はシキたちをギルドホームに連れて行くこと、彼女たちも迷い家に参加するための試験を受けて貰うつもりであることを藍香たちに報告するのを忘れていた。
今回は報連相を忘れていた僕が全面的に悪いので素直に謝る。そうするとシキが何処か気まずそうな顔をして会話に混じってきた。
「あー、なんかゴメンね?」
「いいのよ。試験の内容は聞いてるかしら?」
シキには言ってなかったような気がする。
ここにきて報連相のし忘れが目立つな。
「ショウから聞いてるよ。模擬戦をするんだよね?」
「ええ、シキの相手は私がするわ」
「お手柔らかにね」
「もちろん……嫌よ?」
「ふふふ」
「ふふふ」
「「ふふふふふふ」」
藍香もシキもテンションがおかしい。それでも藍香のことだから手加減しないとは言いつつもシキたちの実力をしっかりと把握するよう立ち回るだろう。
そう思っていると服の端を後ろから引っ張られた。振り返るとルイが何やら期待感いっぱいの紅潮した表情で僕はを見つめてきた。
「マヨイと模擬戦?」
「ルイは僕と模擬戦したいの?」
「同じだから」
「同じ?」
「神様の使徒とテイムモンスター、おそろい」
確かにルイと僕には共通点が多いけど、それを言うなら……そういえば鋼王龍の巣にあった原竜の卵をアイテム欄にいれたままだ。これも早いところどうにかしないとな。
「お兄さん、おかえりなさい。ククルちゃんは帽子の中ですか?」
「ただいま。揺り籠の中にいるよ」
「揺り籠?」
「テイムモンスター専用の家みたいなものだよ」
ルイと話していたクレアがククルの所在を聞いてきたのでククルの入った揺り籠を取り出して見せる。
『ククル。起きてる?』
『起きてるー!お外出ていい?』
『いいよ』
『やったー!……クレアねーちゃ!』
許可を出すと揺り籠の中からククルが飛び出して来た。
床に着地して辺りをキョロキョロと見回してクレアを見つけると彼女に飛び掛かった。
「きゃっ……もう、ククルちゃんったら」
「小次郎も出していい?」
「小次郎?」
「ルイのテイムしている狼だよね。構わないよ」
「ありがとう。小次郎、出なさい」
「やっと外に出れたか」
「凄い色々とツッコミを入れたくなる"わん"だね」
随分とハードボイルドな印象を受ける副音声だ。
そんな小次郎を見たククルはクレアの腕に抱かれたまま目を輝かせた。
「このえさ、ククルがたべていいのー?」
「なんだコイツ!俺は餌じゃねぇ!!」
どうやら小次郎を野生の狼型モンスターと区別がついていないらしい。小次郎の声から必死さが滲み出ているように感じるけど、もしかして技能を使わずに実力差を理解したのだろうか。
「わかったー。えものだぁ!」
「獲物でもねぇって、おい、力強すぎんろ、この雌猫!」
「っ……めすねこじゃにゃいもん!ククルはりゅうだもん!」
傍目には中型犬くらいの大きさの狼と翼の生えた子猫がじゃれあっているようにしか見えないがククルが普段の温厚な様子からは考えられないほど荒ぶっている。あと普通に小次郎が力負けしていて少し哀れだ。
もうちょっと見ていたい気もするけど、ククルがなりふり構わず大技を放てばギルドホームが危ないので、僕は小次郎に猫パンチを繰り出すククルの首根っこを掴んで小次郎から離れる。
「ククル、この狼は小次郎って言って僕の友達のテイムモンスターなんだ。餌でも獲物でもないから襲い掛からないでね」
「ククルらめすねこじゃないもん……」
これまで何度も猫と言われて来たククルでも"雌猫"呼ばわりはお気に召さなかったらしい。ここまで過剰に反応するのは海外では女性に対する罵倒や侮辱に使われる言葉だからかな。
ちなみにククルの猫パンチを数発受けた小次郎の体力は風前の灯だ。ルイは少し呆れたような顔付きで小次郎を揺り籠に戻した。
「分かった。ルイの相手は僕がするよ」
「私、マヨイと友達?」
「違うの?」
「……違わない」
「でもやるからには殺す気でやるからね」
「っ………」
ステータスだけを考えればルイの相手は小次郎をルイの戦力としてカウントしてもククルだけでも事足りるんだけど、やっぱり自分のテイムモンスターが嫌な思いをさせられたんだから意趣返しくらいはしたい。
「クレアは予定通りカナデと……あとショウと模擬戦をして貰うわ」
「は、はいっ」
「この子、中学生くらい?いいの?」
「ショウ、油断してると蜂の巣になるよ」
「蜂の巣?」
「蜂の巣にはしませんっ」
蜂の巣にはならなくてもウニにはなりそうだ。
あれから数日、対人戦について暁や織姫と一緒に色々と調べたりしているようだから、クレアがどんな風に戦うのか楽しみだ。
「ねー、私はー?」
「「アホトキは見学」」
「そこでハモらなくていいじゃん!?」
「織姫から聞いてるぞ。ダンジョン崩落させたんだって?」
「うっ……」
こんなおっちょこちょいがダンジョンを崩落させるほどの火力を出せることに僕は不安しか感じない。僕も人のことを言えない気がするけど、それはそれ、これはこれだ。
「……そろそろ訓練場に行きましょう。それと試験は生配信するからよろしくね」
「「え」」
「……真宵、言ってなかったの?」
「え、vPイベント近いのに配信するの?」
「…………録画にしましょう」
「そうだね。ってことで模擬戦は録画するから」
「「え」」
その後の公正なくじ引きの結果、カナデとクレア、シキと藍香、ショウとクレア、ルイと僕の順番で模擬戦をすることになった。暁は見学だ。
「そういえば織姫は?」
「今日は用事があるからログイン出来ないそうよ」
なるほど。そんな日もあるよね。
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お読みいただきありがとうございます。
対戦カードを決めるだけの回になってしまい申し訳ありません。
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自筆です。
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