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本編
第190話 ショウは弾ける。
しおりを挟む⚫︎クレア
[30秒後に決闘を開始します]
試合のカウントダウンが始まりました。
私とショウさんとの距離は51m11㎝あります。少し遠いですけど中てるだけなら問題のない距離です。接近戦が得意だというショウさんに不利な試合になってしまいます。しかし、ショウさんに管理棟から訓練場に来るまでの間に「アイさんとシキさんのように開始距離を縮めませんか」と聞いたら「大丈夫だよ」断られてしまいました。
[20秒後に決闘を開始します]
なのでショウさんには遠距離攻撃に対する対抗手段があるんだと思います。その対抗手段として真っ先に思い浮かべたのはお兄さんとの試合でした。あの時、お兄さんは杖を使って私の射った矢を"ぱりぃ"したんだそうです。
[10秒後に決闘を開始します]
あの時、お兄さんは私の視線で狙いを先読みしたと言っていました。お兄さんに攻撃を当てるにはどうしたらいいのかアカちゃんに相談すると色々な案を出して貰えました。
名前:フュージョンボウ
分類:武器 弓
説明:無限の可能性を秘めた弓。
効果:攻撃力+10
フュージョン[分類:弓](最大18種)
制限:位階100以上
筋力500000以上
器用500000以上
これはお兄さんに渡したフュージョンケインの弓バージョンです。武器の種類以外で違うのは、融合させることのできる武器の最大数を増やすために分離機能を無くして装備するための条件を厳しくした点です。まだ半分の枠しか使ってないけれど全部で30個の効果を持った自慢の弓です。
[決闘開始]
決闘が始まると同時に私は矢を番えました。
ショウさんは様子見をしているのか、ジリジリと少しづつ距離を詰め始めました。なので私は前もって考えていた作戦を実行するため弓の射角を僅かに上方へ向けました。
⚫︎ショウ
私の予想に反して開始早々から矢が放たれることはなかった。しかし、それも少し考えれば当然のことだと分かる。もし防がれてしまえば次の矢を番えるまでクレアは無防備になるからだ。その隙に距離を一気に詰められるクレアとしては無闇に攻撃することはできない。
「……っ!?」
クレアとの距離を数歩詰めたところでクレアは矢を放った。しかし、放たれた矢は"緩慢"という表現がピッタリだった。
「…………ふっ」
緩やかな放物線を描きながら飛んでくる矢をパリィするか回避するか少し迷ったけれど、私はパリィすることを選択して飛来してくる矢に集中した。
いや、集中してしまった。
「っ!?」
1本目の矢をパリィした次の瞬間、拳を出すため半歩下がった私の下半身を目掛けて1本目とは比べ物にならない速度の矢が飛来したのだ。
「ぐ……」
2本目の矢を回避した私の体勢は完全に崩れていた。
「やぁっ!」
だから3本目をパリィ出来たのは本当に偶然だ。
しかし、そのおかげで体勢を立て直すことに成功した私は少しでもクレアに近づくために足を前に出す。
「うぐっ」
1歩か2歩進んでは飛んできた矢をパリィする。近づくにつれて少しずつ余裕がなくなっていくのが分かる。もう見てから回避するなんて余裕はない。
「くっ」
私とクレアとの距離が30mを切った。あと少し近づいたら1回の縮地で接近戦に持ち込める距離だ。
しかし、ここにきて明らかに矢の弾速が上がった。
「ちっ」
それだけじゃない。
放たれる矢と矢の間隔も狭まっている気がする。
「縮地」
このままだと私の集中力が持たない。
そんな考えが脳裏を掠めた時、私は縮地を使ってしまっていた。縮地は1度の使用で魔力最大値の3割を消費するので連続で使用するには少しコストが重い。それに1日5回までしか使えないという制限もある。
「縮地」
そして私は縮地を連続で使ってクレアの懐に入り込む。これで私よ残り魔力は最大値の4割。私の攻撃技能はその多くが魔力を使うので若干心許ないけれど接近戦になればこちらのものだ。そう思っていた。
「え……!?」
クレアは弓を持っていなかった。
手に持っていたのは1mはありそうなハンマーだ。
「えいっ」
拳を突き出そうとしていた私にハンマーを回避する術はなかった。ハンマーの当たった腰の辺りからミシミシという嫌な音が身体から聞こえてくるけれど、私には残り体力50%以上の時に体力の50%を超えるダメージを受けたとき、残り体力1で耐えて30秒間だけ基礎ステータスを受けたダメージに比例して上昇させる"死中の活"という技能がある。一撃で死ぬことない。
「弓使いじゃなかった、の……?」
「………………」
ハンマーの当たった衝撃で少し後退してしまったけれど、私とクレアの距離は3mくらい。クレアは私の独り言に反応せずジリジリと近づいてくる。腰を落としてハンマーを構えるクレアの姿はかなり様になっている。もしかして弓だけじゃなくてハンマーも使いこなせるの?
「……」
「……」
ハンマーは取り回しの悪い武器だ。同じタイミングで攻撃を放てば私が有利なのは間違いない。そう思ってクレアとの距離を一気に詰めようとした瞬間、クレアはハンマーを横にスイングした……というより投げつけてきた。
「……くっ」
私は目の前に迫るハンマーをほぼ反射で交わして再びクレアの懐に入り込む。ここから攻撃を1回当てた程度じゃクレアを倒すことは出来ないのは分かっているけれど、お互いのステータス差を考えれば大金星だ。
「え……」
そして繰り出した拳が間違いなくクレアに当たると確信した瞬間────私は死んだ。
───────────────
お読みいただきありがとうございます。
クレアが使ったハンマーは第132話でクレアが作ったワレザクロ改です。
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自筆です。
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