278 / 842
足音
4
しおりを挟むその反応が予想外で、顔を上げると彼はお腹をおさえてゲラゲラ笑っていた。
「なんとなくわかってた。絶対振られるって思ってたからかもしれないけど、なんかあんまり傷つかなかったな。」
「……へ」
その言葉通り、本当に楽しそうに笑う俊介にぽかんとする。
やっぱり、こういう時でも俊介は爽やかに笑っていて。
「真冬がそういうなら、ずっと友達でいるのもいーかもしんねーな」
ははっと明るく笑って、そう言ってくれることにほっとする。
俺も安堵に肩の緊張を解いて頬を緩めて笑うと、軽くデコピンされた。
う、と眉を寄せてそこを手で押さえると、彼は俺を見て不意に真剣な口調で言う。
「お前は、早く自分の感情を理解できるようにならないと」
「…俺、何か間違ってる?」
何回考えても、自分の感情のどこを理解できないのか…正直わからない。
自分のことなんだから、自分で理解できていると思ってる。
…いや、思ってた。
でも、俊介の言葉を聞いて分からなくなってそう尋ねてみると、彼は悪戯っぽい笑みを浮かべて「自分でわかるようになるまで、教えてなんかやんねーよ」と言った。
「う…」
なんか自分で分かる日が来る気がしない。
そう思ってうめき声を零すと、俊介が苦笑しながら何かを指で指した。
そっちに目を向けると、酷く不機嫌オーラを醸し出している蒼がいて。
「ぁ…っ」
まずい、またこんな場面を見られてしまったと焦って、どうしよう。こんな状況のまま帰っていいのかと俊介の方に目を向けると、目を細めて俊介が手を上げる。
「じゃあ、また明日な。真冬」
「う、うん。俊介…っ、また明日」
その返事にほっとして、手を振って蒼のところへ走った。
蒼はずっと帰り道ムッとした表情をしていたけど、さっき話していた内容を説明すると少しは機嫌がマシになったらしかった。
そして、板本君から聞いたのか、蒼は俺と板本くんが今日友達になったことを知っていた。
「あいつは危ないから、今後は近づかないようにして」
「…危ない…?」
何故か少し強めの口調で言われて、戸惑っていると約束してほしいともう一度強く言われる。
結局できるだけ近づかないようにするってことで落ち着いたけど、それでも彼の表情は硬いままで、結局何も教えてくれることはなかった。
――――――――――
何が、あったんだろう。
29
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
【花言葉】
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。
◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる