602 / 842
現在
26
しおりを挟むあと、結構多い「絶対に嫌だ項目」に意外にくーくんは独占欲が強いのかなって思った。…なら、今のも含めて、どうしようどんなのがいいかなと悩んで、んーとひたすら首を傾けていると、
「じゃあ、」とくーくんが小指を差し出してきた。
「俺は他の人とキスしない。まーくんは、俺以外に傷つけられないし、泣かないし笑わないし、触らせない。どう?」
「……」
ほら、と浴衣の大きな袖から見える腕と、子どものような仕草で差し出されている小指。
それに対して、並べ立てられた言葉とのギャップに一瞬絶句した。
…しかもなんか言ってなかったことも一個増えてるし。
そんなおれの反応に、「……何」と彼は眉を顰めて拗ねたような顔をする。
「…だめ?」と小首を傾げて上目遣いで見られれば、くっそうくーくん格好いいくせに可愛い!とよくわからない感情で…堪えられずに顔を手で覆った。
…うう…負けた。
「ちょ、ちょっとなんかくーくんのとおれのとで項目に差があるような気がしないでもないけど、…うん。だいじょうぶ」
「……まーくん、絶対に約束守れる?」
「うん」
疑い深く聞いてくるくーくんに、こくんと頷く。
傷つけられないっていうのはおれが悪いことさえしなければ大丈夫だし、泣かないっていうのも基本的にくーくん以外の前で泣いたことないから…大丈夫、だし、…笑わない、触らせないっていうのも、…なんとかなる。…う?…うむ。だいじょうぶ、だと思いたい。
「…絶対?」
「しない!!絶対にしません!!」
声高らかに宣言して、にへらっと笑ってみせた。
うん。だいじょーぶだいじょうぶ。
任せなさい!と若干開き直りつつ胸を張ってぽんぽんとそこを叩いた。
そうすると、少しだけくーくんの表情が明るくなる。
「くーくんは?」
「俺も、まーくん以外とはしない。約束する」
「うん!!」
指切げんまん!嘘ついたらーとちょっと音痴に歌いながら指を絡めた。
おれより少し大きくて長いくーくんの小指にきゅ、と絡めて振る。
「破ったら、…んー…どうしようかな」
「…どうする?」
「一生くーくんと話さない!絶交!」
ぷいと横を向く。
というか、想像もできないけど、…そんなことがあったら泣いて泣いてそもそも絶交とか言ってられない気がする。
ぶるぶると想像して震えた。
「それは嫌だな」
「お!じゃ、それで決定!」
「まぁ、絶交なんてそんなこと、まーくんに出来たらの話だけど」
「…ぐ、」
見透かされていたようで、悔しい。
「ちなみに、まーくんが破ったら…かなりキツめのお仕置き。」
「…え、何?」
「…ナイショ。だけどきっと凄く嫌がることだから、破らない方がいいよ」
「う、なんだろ…」
怖いな、とちょっと寒気を感じながら、だけど守ればいいんだからと元気よく指切りをした。
「少しは安心した?」
「うん。ありがとう、まーくん」
大分明るくなったくーくんの格好良い笑顔に見惚れて、こっちまで自然と笑顔になる。
「よし!くーくんと無事約束もしたことだし、ぎゅー」
「ぎゅー」
甘えたな声を出して、へへ、と嬉しさを頬に滲ませて笑う。くーくんはぎこちなくほぼほぼ棒読みだったけど、その口から珍しいぎゅーって言葉が聞けてきゅんとしてしまった。
…きっと、守れると思う。
だって、おれはくーくんがいれば他なんかいらないから当たり前なのだ。
69
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
【花言葉】
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。
◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
幼馴染みが屈折している
サトー
BL
「どの女もみんな最低だったよ。俺がちょっと優しくしただけで、全員簡単に俺なんかと寝てさ」
大学生の早川 ルイは、幼馴染みのヒカルに何をやっても勝てないといつも劣等感を感じていた。
勉強やスポーツはもちろんヒカルの方ができる、合コンはヒカルのオマケで呼ばれるし、好みの女子がいても皆ヒカルの方にとられてしまう。
コンプレックスを拗らせる日々だったが、ある日ヒカルの恋愛事情に口を挟んだことから急速に二人の関係は変化していく。
※レオとルイが結ばれるIFエピソードについては「IF ROOT」という作品で独立させました。今後レオとのエピソードはそちらに投稿します。
※この作品はムーンライトノベルズにも投稿しています。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる