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涼とお家で隠しごと
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しおりを挟む勝手に不安になるなって文句も言いたくなる。
あんなに簡単に桃井の方に行ったくせに。
あんな風に抱っこしたり、頭撫でたり…他にも色々と見せつけてきたくせに。
あんなに、…胸が、心臓が怖いぐらいにぎゅーぎゅーして痛くさせられたのに。
……そのはずなのに、一瞬でそんなことはどうでもよくなってしまった。
今大事なのはオレの気持ちではない。不安になって、置き去りにされた子どもみたいな表情をしてるさっくんの方だ。
「だから、あれだ。つまりだな、」
手を離して、顔を背けた。
今から言おうとしてることにちょっとだけ頬が熱くなるのを感じる。
家族間では普通だろうけど、こうして面と向かってちゃんと言葉にしようとすると、…凄く恥ずかしいような気持ちに駆られた。
緊張して、足がぶるぶるする。
その、あれだ、あれ、とぼそぼそ呟いて、…ええい、と気合を入れた。
「…――オレにとって大事なのも、最愛なのも、さっくんだってことだ」
ずっと一緒にいた家族なんだ。
絶対に売ったりしないし、それ以上に大事な存在なんかない。
わかったか、ととんでもない照れくささを隠すために勿論顔を見てはいえないから、明後日の方向をとりあえずにらみつけるようにして吐き捨てた。
「………」
「…………」
どっか適当ににらみつけたまま、…む、……むむむ、とこれでもかってほど沈黙に耐え切れずに睨み続けた。
おい。反応は、返答はどうした。返事がないと無性に恥ずかしいというか、居たたまれないではないか。
…というか、もしかして嫌だっただろうか。もしかしなくても今のオレの言葉は迷惑だっただろうか。
ぐちゃぐちゃ悩み始めて暗くなってきた気持ちを振り絞り、
チラリ。
さっくんの反応をうかがうためにそっちを、見て
……目が、合う。
と、
「ぇ、」
彼の、顔が、
………一瞬間をおいて、くしゃりと崩れ、今にも泣き出しそうに歪む。
ぁ、と、音を出す間もなかった。
「……―――――」
苦しそうに。
悲しそうに。
辛そうに。
痛そうに。
嬉しそうに。
幸せそうに。
声もなく、涙が頬に零れ落ちていく。
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