142 / 356
涼とお家で隠しごと
19
しおりを挟む…その、姿に…驚きで、息が止まるかと思った。
心臓と呼吸とが、同時に消えた。
「………」
ごくり、と唾を呑む。
目に映る光景に、心臓が、跳ねる。
「………っ、……ごめん、」
「……?」
ぽつりと、その薄い唇から小さく呟かれる言葉。
「……っ、…ごめん、なさい、」
何を謝られているのか、わからない。
それに、小さい子供が、これ以上ないほど、悪いことをしたときみたいな謝り方で。
いつもの敬語でもなくて。
…というか、今はそのことより、
それより、
「――さっくん、なんで、…ない、て…、」
「…っ、……っ、」
彼の、綺麗で整った顔。
それが、見てるこっちの胸が張り裂けそうなほど悲痛な表情にくしゃって歪んでて、
寒いのか血の気が引いて余計に透き通るような白い肌に、明らかに雨とは違う透明な涙が幾度も零れて…
どうしてだろう。
……こんな状況で、…とても美しいと、思った。
切なげに、苦しそうに、けど、冷たいと思わせるほどの美しさを称えた目から、ただひたすらに零れる雫。
「夏空、様…、」
「…っ、わ」
彼の手がこっちに差し出された瞬間、固まっていたように動けなかった足が、突然力をなくす。
「…――っ、」
「……っ、う、ぁ、」
ぎゅう、
床に崩れようとした瞬間、捕らえるみたいに強く、抱きしめられた。
異常なほどに震えている身体が、氷みたいに冷えきっている。
冷たくて、寒すぎて、反射的に離れようとすれば、それを拒むように強く、密着する。
「………」
「ぐ、ぐるしい、ぞ…っ、」
壊れそうなモノを大切に、けど、すぐに飛んで行ってしまう何かを離すまいとぎゅうううっと腕の中に閉じ込められた。
26
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる