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普通の病院
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しおりを挟む「真白チャンが困ってるのがわかんねーのか、ばかやろう」
「だ、だって、皆気になってたし、次いつ話せるかわからないからいっぱい聞かないとーってなっちゃって…湊人も気にしてたじゃん…」
服の襟首をつかんで湊人に引きずり戻されたらしい寧音が、しょぼくれ半分不満半分の声を上げる。
「今のは余分だったけど、一応こいつなりに心配もあって、君があの魔性男に何かされてるんじゃないかって調査に来たってわけ」
「……何か、って…?」
まるでそういう前提があるかのような言い方に戸惑いを隠せずに呟けば、「取り越し苦労だった。色々聞けたし、問題ないってわかった」と返される。
「寧音、もう充分理解できただろ。真白チャンは何も知らない。負担をかけようとするなよ」
「…はーい」
「時間切れだ。戻るぞ」腕を掴んで寧音を立ち上がらせる湊人に、「ま、待って、」と遅れて呼び止める。
「何も知らないって、どういう意味?二人は知ってるの?」
オレの問いに、そろって口を噤む。
寧音が気まずそうに顔を背け、「ヨケ―なことを言って悪かったな。真白チャンには関係のない話だ」と、硬い声音で打ち切ろうとする湊人に食い下がる。
「っ、オレ、全然思い出せなくて、何でもいいんだ。何でもいいから、教えてくれるなら」「真白は、」
遮るように、強い声がかぶさる。
「……真白は、忘れちゃってよかったと思う」
見えない壁を作り、線を引くようにそう言った寧音が、唖然とするオレに目を向けてかすかに笑った。
「知らない方がいいよ。見ない方がいいよ。こんなにサイテーな、狂った地獄のことなんて、私も忘れちゃいたいくらいもん」
「寧音、」誡めを含んだ湊人の声に、「わかってる、もう言わないってば」と寧音は頭を振る。
「またね」
ばいばいと手が振られる。
それ以上言及することなく、二人は来た時とは違う重い雰囲気で病室を出ていった。
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