七分で読める官能小説 2

若葉おのえ

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借りを返す女 2

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 週末の夜、大北ミツルはノートパソコンに向かって短編ミステリーの応募原稿をせっせと書いていた。
 短編のミステリーだけで毎年十以上の新人賞公募があるが、多くはその後、版元から相手にしてもらえなかったり渡した原稿をことごとくボツにされたりして、〔短編の新人賞を獲ったことがある人〕で終わってしまうと言われている。
 そんな中、新人賞受賞者にその後も短編を小説雑誌に掲載するチャンスをくれたり、他の新人作家と共に短編集をアンソロジー出版してくれる良心的な出版社もある。ミツルはそういうタイプの出版社が主催する新人賞を重点的に狙って応募する方針を立てていた。
 平本スミレちゃんからLINEが届いたのは、キーボードを打つ手を止めて、次の場面はどう描くかを思案しているときだった。
 そういえば、何日か前に喫茶店で話をしたときに、スミレちゃんから求められてLINE交換をしたのだった。
〔三日前はありがとうございました! 私は楽しかったけど、飲み過ぎてしまって実は最後の方の記憶がなくて……だから怖くてしばらくは連絡できませんでした。もしご迷惑をかけたとしたら、ごめんなさい。〕とあり、泣き顔のスタンプがあった。
 ミツルは思案した。スミレちゃんからのこの言葉を真に受けて本当にいいのだろうか。
 もともと酒癖が悪くて、本当にあの日の記憶がないというのなら、特に何もなかったことにしておけばいい。スミレちゃんが住むマンション前まで一緒にタクシーに乗り、そこでスミレちゃんだけを降ろして普通に手を振り合って別れたよ、と返信すればいい。
 しかし、それだとこちらとしてはモヤモヤ感が残りそうだった。何しろ、酔ったスミレちゃんから服を脱がせてと言われ、さらには両足で首をはさまれて、結果的におっぱいを触りまくったり乳首を吸ったり、ベロチューまですることになったのだ。
 彼女の方から強引に仕掛けてきたとはいえ、酔っている状態に乗じてわいせつ行為に及んだ、と主張されたら反論しづらい。
 あるいは、うろ覚えではあるけれど、何があったかということは彼女も判っていて、あえて覚えていないふりをしているのか?
 ミツルは、最後の説が有力だなと思った。何しろ、スミレちゃんの方からLINE交換を求めてきて、飲みにも誘ったのだから、多少の好意は持ってくれていたはずだ。ところが酔って醜態をさらしてしまい、そのことが恥ずかしくて、できればあんなことはなかったことにしてほしい――そんなメッセージがこのLINEには込められているような気がするのだった。
 いずれにせよ、こちらからあのことをほじくり返すのは野暮というものだろう。もし本当にスミレちゃんの方に記憶がないとしたら、ヤブ蛇もいいところである。
 そこでミツルはこう返信した。
〔迷惑だなんて全然。 楽しかったから。ありがとう!〕
 すぐに既読になり、〔よかったー!〕と返ってきた。
 それで終わりだと思っていたら、しばらく経って、再びスミレちゃんからLINEが届いた。
〔うちの実家、もらいものの缶詰とか瓶詰めなんかがいっぱい余ってるんだけど、よかったらもらってくれる?〕

 数日後の夕方、ミツルはスミレちゃんが運転する軽自動車に乗って、彼女の実家に向かった。
 今の勤務先であるエステサロンへの通勤にもこの車を使っているという。
 スミレちゃんはこの日、紺のセーターにゆるめの白いパンツという軽装だったが、肩まである髪には少しウェーブがかかっていた。
 ミツルはグレーのパーカーにジーンズという、その辺をうろついてそうな地味な男の格好である。貧乏なバイト生活の身で、ファッションに凝る余裕はないし、もともとおしゃれにはたいして興味がない。
 助手席に座ったミツルは、「こんな厚かましいお願いをして、ごめんね」と言った。
「いいんですよ、本当にたくさんあって困ってるぐらいなんだから」
 ミツルにとっては、ありがたい話である。
「でも、お母さんにあいさつしなくて本当にいいのかな」
「あいさつなんて、しなくていいですよ」とスミレちゃんは笑って言った。「私が実家に寄って、勝手に持って行ったっていうテイにしとけばいいんで」
「何だか、ちょっと申し訳ないような……」
「全然ですよ、気にしないでください」
「あのさ、スミレちゃん。この前飲んでるときにはタメ口になってたから、そのままタメ口でいいよ。おごってもらったり、食べ物をいただいたりしておいて、敬語を使われると、何か居心地が悪いし」
「あー、なるほど」スミレちゃんは笑ってうなずいた。「じゃあ、そうさせてもらうね、ミツルくん」
 ミツルくん。タメというより、目上の女性からの言い方のような気がしないでもなかったが、悪い気はしなかった。ミツルは一瞬、授乳スタイルでスミレちゃんのおっぱいを吸っている自身の姿を想像した。
「お母さん、夜も仕事だなんて、大変だね」
「さあ。好きでやってるみたいだよ。多分今日も、ラブホテルの近くに車を駐めて、ターゲットが出入りするところを撮影したり、尾行したりでしょ」
「興信所の所長さんって聞いたけど、部下もいるの?」
「いやいや、そんなカッコいいんじゃなくて。普段は一人でやってて、人手が要るときは、同業者から派遣してもらってんのよ。逆に母が同業者から頼まれて応援に出向いたりもしてるみたい。割と同業者の横のつながりがしっかりしてるのよ」
「へえ、そんな世界なんだ」

 到着したスミレちゃんの実家は、平均よりちょっとおカネがかかってそうな、敷地も広めな二階建てだった。駐車スペースに何も駐まっていないのは、スミレちゃんのお母さんが出かけているからだろう。
 合鍵を差し込むときに、スミレちゃんが「この家、お母さんが離婚するときに慰謝料としてぶんどったのよ。私が幼稚園のとき」と言った。
「お父さんとは会ってない?」
「会ってないね」スミレちゃんは苦笑いをした。「よそで家庭作っちゃったからね」とつけ加えた。余計なことを尋ねてしまったようだった。
 食料は、キッチンの棚の上に箱が積まれていた。スミレちゃんから「ここにある分は持ってっていいやつだから」と教えられ、ミツルが少し遠慮して、ビーフシチューの缶詰とあられやせんべいが入っているらしい箱を両手で持って「じゃあ、これをいただくよ」と言うと、「まだ持てるでしょ」と笑いながら、さらに二つの箱を載せた。

 ミツルのコーポまで送ってもらう途中、「スミレちゃん、ありがとうね。バイト生活なんで、ほんと助かるよ」とあらためて礼を言った。
「ミツルくんにこれぐらいのお返しをするのは当然のことなんだから、気にしなくていいって。何しろ、引っ越し会社では私を助けようとしてくれた白馬の騎士なんだから……あれ? この前一緒に飲んだときに私、同じこと言った?」
「ああ、言ってたね。スミレちゃん、その頃からちょっと目が据わってきてて、ろれつも怪しくなってたよ」
「ごめんなさい。本当に迷惑かけてなかった?」
「大丈夫。迷惑どころか、すっごい楽しかったから」
 スミレちゃんのおっぱいを触って吸ったときのことがよみがえった。あれは楽しさの極みだった。
 スミレちゃん本人とその思い出を共有できないのが残念だけど。
 ミツルのコーポが近づいてきたとき、さて、この後どうしようと思った。高級食品の詰め合わせをもらうたけもらっておいて、しかも送ってもらって、じゃあさよならというのはさすがに冷たいような気がした。
 でも、部屋に上がるよう誘うのも、下心があると思われてしまいそうで……。
 態度を決められないまま、コーポに到着してしまった。するとスミレちゃんが言った。
「ここ、住人用の駐車スペースしかないんだね。駐めるところがあったらちょっと部屋に上げてもらおうかなって思ってたんだけど」
「ああ……悪いけど、駐車スペースはないね」
「しじゃあ、荷物置いてすぐ、私のマンションに行く? この前は送るだけ送ってもらって、そのまま帰らせるっていう、ちょっと失礼なことをしちゃったから」

 スミレちゃんの部屋に入るのは二度目だが、ミツルは「へえ、きれいにしてるんだね。ボクのコーポより広いし」と、初めて上がらせてもらったテイで室内を見回した。
 スミレちゃんが冷蔵庫から出した缶酎ハイを受け取って、ソファに並んで座り、一緒に飲んだ。スミレちゃんも飲んでるから、帰りはタクシーになりそうだた。
「どっかに晩ご飯食べに行く?」と聞かれ、「いやいや、何度もおごってもらうのは申し訳ないよ」と言った。
 結局、近くのコンビニで酒やつまみを買い、宅配ピザを頼むことになった。ミツルもおカネを出すと言ったが、スミレちゃんから「何言ってんのよ。ミツルくんはそんなことに気を遣わなくていいの。私は借りを返そうとしてるだけなんだから」と肩を叩かれた。
 ピザをたいらげ、ミツルが缶酎ハイ三本、スミレちゃんが二本を空にした頃になると、スミレちゃんはまたもや「でへへ」などと笑い始め、、明らかに酔いが回っていることが判った。
「ミツルくんって、彼女いないなだよね?」
「今頃になってそんなこと聞くなよ。貧乏なバイト生活してて、彼女なんかできるわけないだろ」
「ごめーん。当たり前のこと聞いちやったかー。きゃははは」
「スミレちゃんは、新しい彼氏とかは?」
 言いながら、何となく、これは誘われてる流れではないか、と感じた。
 スミレちゃんは三本目の酎ハイをグビグビと飲んで、「いない、いない」と笑って片手を振った。「エステサロンの仕事を覚えるの、結構大変だしぃ、当分彼氏とかはいいかなって。前の彼氏、経済観念ができてなくて、給料たいしたことないのにローン組んで高級車買ったりする人で、私、いろいろ苦労したから」
 カネを貸してくれと言われるようになって、最後は関係が破綻、そんなところだろうか。
 ミツルが「そんなやつとは別れて正解だよ」と言うと、ソファで隣に座っていたスミレちゃんは「だよねー」と笑って、ミツルの方に身体を預けてきた。
「スミレちゃん、ご機嫌なようで、それは結構なことなんだけど、大丈夫?」
 ミツルがそう尋ねると、スミレちゃんはミツルの首に片腕を回して、いきなりキスをしてきた。さらに「ミツルくん、いいコ、いいコ」と頭をなで、チュッチュッと何度もキスをしてから、舌が侵入してきた。

 頭に血が昇ったミツルは、スミレちゃんのベロチューに応えながら、セーターの下から手を入れ、手探りでシャツもめくって、プラに触れた。
 今日もフロントホックブラだと判り、片手で外すと、スミレちゃんが「あー、外しちゃったー」と笑った。
 スミレちゃんは自らセーター、アンダーシャツ、ブラを脱ぎ捨て、トップレス状態になってミツルをソファに寝かせ、覆い被さって左右の乳首を順にミツルの口や鼻先、ほおに触れさせた。
 さらに、スミレちゃんに促されるがままに、胸の谷間に顔をうずめ、乳首を吸った。「ほら」と手首をつかまれて導かれ、おっぱいをなで回した。
 途中でスミレちゃんが「ミツルくんって、紳士だね」と言った。
「こんなことしてるやつに紳士なんて言うの、おかしいだろ」
「だってこの前、私が寝入ったふりをしたら、優しくスウェットを着せてくれて、布団もかぶせて帰ったじゃん」
「あ……判ってたの?」
「判ってたよぉ。私の方は、最後までいってもいいって思ってたんだけどね。でもいいよ、もう、過ぎたことだから」
 あのとき、しっかり誘われてたのか……。
 ミツルは、ちょっと申し訳ない気持ちになった。結果的にスミレちゃんに恥をかかせてしまうことになった……。

 その後も下からスミレちゃんの小ぶりながらも整った形のおっぱいをまさぐり、口で吸い、なめ回し、ベロチューを繰り返した。
 スミレちゃんからパーカーとジーンズを脱がされ、ミツルは自分から下着を脱いで全裸になった。スミレちゃんも笑いながら自ら全裸になった。
 ソファに並んで座りながら、ミツルはスミレちゃんとディープキスを続けながら互いの陰部を愛撫した。
 スミレちゃんはすぐに濡れてきて、くちゅくちゅと音がし始めた。
 スミレちゃんから「ミツルくん、横になって」と言われ、スミレちゃんは上にまたがった。
 しかしすぐには挿入せず、ゆっくりと腰を動かしてこすりつけ始めた。
 素股だ。ミツルにとっては初めて体験するプレイだった。
 スミレちゃんの方は慣れているようで、互いの陰部をこすりつけながら、片手でミツルのものをつかんで、手コキも加えた。
 スミレちゃんの柔らかな手の感触は、まるで本当に挿入してるような感覚だった。
「スミレちゃん、気持ちいい……」
「前の彼氏が生挿入したがるので、それを避けるためにいろいろ工夫するようになったの」
 上になっているスミレちゃんが腰を動かすたびに、小ぶりなおっぱいとウェーブがかかった髪が揺れていた。
 スミレちゃんは「ああっ、いいっ……ミツルくん」と陶酔した表情になり、腰の動きの速さを変えたり、ぐりぐりと左右にこすりつけたりした。挿入していなくてもにスミレちゃんも結構な快感らしい。
 スミレちゃんの手の使い方は、本当に膣内に挿入しているかのような、柔らかさと温かさと圧力があった。
 前の彼氏を満足させるたために磨いたテクニック。ミツルは心の中で、会ったこともない前の彼氏に、ありがとう、あんたのお陰だと心の中で伝えた。
 ミツルは下からスミレちゃんのおっぱいをなで回し、乳首をつまんだりこねくり回したりし、さらには素股で接触している部分に片手を差し込んでスミレちゃんのクリトリスを愛撫した。
「ああーっ、ミツルくん、イくっ、イくっ、イくううっ……」
 その直後、スミレちゃんは身体を反らせて、びくんびくんとなった。
 それを見たミツルも興奮度がピークに達して、「ああーっ」という声と共に体液を放出した。
 白濁した液が、ミツルの首近くまで飛んできた。
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