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第五話『恋せよ乙女! ロマンスラバー誕生!』
その8 ロマンスラバー
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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第五話『恋せよ乙女! ロマンスラバー誕生!』
その8 ロマンスラバー
teller:河本 詩織
私は、目の前で起きていることを現実として受け止めることができなかった。
公園で暴れ回る砂のような怪物。
それと対峙するクラスメイトの小枝さん。
と言っても、いつもの小枝さんじゃない。
髪の色は燃えるように真っ赤だし、ピンク色の可愛らしいドレスを着ている。
一瞬で、小枝さんの姿が変わった。
これは、何?
私を庇うように立っているのは、本当に小枝さんなの?
怪物が咆哮を上げる。
私はその不快な音に耳を塞いだけど、小枝さんは怯みこそすれ、じっと前を見据えていた。
おとなしい小枝さんからは想像もできない姿。
それを見て、胸の辺りが少しざわつくのがわかった。
砂の怪物が、手らしき部分を小枝さんに伸ばす。
小枝さんはそれを高く飛んで避けて、落下しながら拳を握り締めて怪物に殴りかかった。
だけど、小枝さんの拳は砂の体をサラサラとすり抜けてしまう。
攻撃が当たらなかった小枝さんはバランスを崩し、その小さな体は砂場へと叩きつけられた。
「小枝さんっ!」
傷付いた小枝さんに駆け寄ろうとしたけど、それよりも前に小枝さんが上体を起こして、泣きそうな声で私に訴えかけた。
「だめです! 逃げてください、河本さんっ!」
逃げてって、そんな。
こんなことになった小枝さんを置いて逃げるなんて、私にできるわけないのに。
でも、私がこれ以上ここにいて、何ができるんだろう。
ただの足手まとい、役立たずにしかならない。
それでも。
頭がぐるぐるしてくる。
頭の出来は悪くないはずなのに、今は全く正常な判断が下せなかった。
怪物に襲われる、なんて非現実的かつ非日常的なこの状況も良くないんだと思う。
私がおろおろと立ち尽くしている間にも、小枝さんは傷付いた体に鞭を打って起き上がろうとする。
その姿に、胸が痛んだ。
しかし、そんな小枝さんの姿を『ネス』と呼ばれた大男は嘲笑う。
ネスが手をかざすと、小枝さんが伏していた砂場の砂がサラサラと宙に浮き、怪物の一部に吸収されていく。
砂は怪物の腕として固まっていき、やがて小枝さんの体に伸びて、蔦のように絡みついた。
「……っ、ぁ……!」
小枝さんが、声にならない悲鳴を上げる。
砂は相当強い力で小枝さんの体を締め付けているらしく、ぎちぎちと嫌な音が聞こえてきそうだった。
「小枝さんっ! 小枝さんっ!」
私は、みっともなく泣き叫ぶことしかできない。
だって、何で小枝さんがあんなに苦しまなくちゃいけないの。
こんなの、こんなのって。
「はっ、いいザマだな。ブレイブラバー。そのままオチちまえ」
ネスが、またしても小枝さんを嘲笑する。
懸命に砂の拘束から抜け出そうと痛みと戦う小枝さんを、貶す。
そんな姿を見たら、見てしまったら。
――悲しみが、明確な怒りになるのが変わった。
ゆっくりと、ネスに歩み寄る。
私の気配に気が付いたネスが、怪訝そうに振り向いた。
「ああ? んだよてめえ。てめえもエモーション、カラッカラにされてえのか?」
エモーション。
感情を意味するそれが、彼にとって何を指すのかは知らない。
でも、今はそんなこと関係ない。
私はネスを鋭く睨みつけ、ガッと彼の胸倉を掴んだ。
「貴方、最低よ!」
はっきりと怒鳴る。
ネスは、何が起こっているのかわからない、といった顔で私を見ていた。
「貴方がどんな立場で、どんな力を持っているのかなんて知らないけど、一人の女の子を苦しめて、傷付けてそんなに楽しい!? 恥を知りなさい!」
そこまで叫ぶように捲し立てた頃。
ネスが眉を顰め、こちらに敵意を剥き出しにしたのがわかった。
「てめえ……っ、調子乗ってんじゃねえぞ!」
「きゃっ!」
ネスが私を突き飛ばす。
私は情けなくも、その場に尻餅をついてしまった。
「河本さん!!」
小枝さんの声が聴こえる。
こんな時だっていうのに、自分だって辛いのに、私の心配をしてくれる。
……本当に、いい子なのね、貴方。
ネスが私を冷たく見下ろす。
それでも、私は怯えることはせず、その瞳を真正面から睨みつけた。
「偉そうな口利きやがって……てめえから先にいたぶってやろうか?」
私への殺意を隠そうともしないネス。
だけど、不思議と私の心は落ち着いていた。
脳裏を過ぎるのは、小枝さんと過ごした『今日』の思い出。
私の話を聞いてくれた、私の恋を応援してくれた、今こうして私を守ってくれようとした。
私だって。
そんな、大切な時間を過ごさせてくれた小枝さんを守りたい。
普通の女の子らしく生きるという楽しさを教えてくれた小枝さんは、私にとって大切な人だ。
だから。
「やれるものならやってみなさい! 小枝さんが貴方にいいようにされるのを黙って見てることしかできないなら……私は! 死んだ方がマシよ!」
「うにゃあ!?」
その時。
聞き覚えのない声が聞こえた。
男の人の声。
でも、ネスの物じゃない。
振り向くと、黒いコウモリのような生き物がぱたぱたとこちらに向かって飛んで来ているのが見えた。
何、あれ。
身体のベースは黒いんだけど、僅かに青く発光している。
コウモリは私の傍までやって来ると、息を吐き出す。
「アニマの気配があったから飛んできてみれば……まさか、三人目のハーツ・ラバーに会えるとはな」
……え?
喋った?
今このコウモリ、喋った?
頭が混乱するのがわかる。
だって、そんなの有り得ない。
だけど私の動揺をよそに、コウモリは私に話しかけてくる。
「説明は後だ、眼鏡っ娘。あそこの小枝こずえを助けたいなら、これを受け取ってくれ!」
私が呆然としていると、いつの間にかコウモリの体内から青い剣が現れていた。
それは私の片手にすんなりと収まる。
「それはラブセイバー。お前がどうすればいいのかは、もうお前の心がわかっているはずだ。……もし、覚悟があったら、それを使え」
心。
何故だかは知らないけど確かに私は、この剣をどう使うのか知っていた。
怖い。
恐ろしい。
そんな気持ちばかりが胸を占める。
だけど、小枝さんを助けられない方がもっと怖かった。
だから、私は。
「ハーツ・ラバー! アイ・ブレイク・ミー!」
私は自分を壊す。
小枝さんの前で見せることができた、『女の子』の姿にもう一度なりたいから。
その為に、これは必要な儀式だと思ったから。
私は、青い剣を――ラブセイバーを、自分の心臓に突き刺した。
◆
心が、ふわふわとしていた。
さっきまで公園にいたはずなのに、きらきらした不思議な空間に私は浮いていて。
髪がふわっと風に靡いたかと思えば、髪の色が薄い水色に変わっていく。
本のページをめくったように、制服が青いドレスに姿を変える。
胸の辺りが熱い。
確かに熱いんだけど、この世界は冬のように寒い気がした。
そして。
◆
地面を踏み締める。
今の私は、小枝さんと同じ格好になっている。
そして、何を言えばいいのかもわかっていた。
「恋する乙女の底力! 氷の戦士・ロマンスラバー!」
――こうして、私は、ハーツ・ラバー、『ロマンスラバー』に覚醒したのだ。
第五話『恋せよ乙女! ロマンスラバー誕生!』
その8 ロマンスラバー
teller:河本 詩織
私は、目の前で起きていることを現実として受け止めることができなかった。
公園で暴れ回る砂のような怪物。
それと対峙するクラスメイトの小枝さん。
と言っても、いつもの小枝さんじゃない。
髪の色は燃えるように真っ赤だし、ピンク色の可愛らしいドレスを着ている。
一瞬で、小枝さんの姿が変わった。
これは、何?
私を庇うように立っているのは、本当に小枝さんなの?
怪物が咆哮を上げる。
私はその不快な音に耳を塞いだけど、小枝さんは怯みこそすれ、じっと前を見据えていた。
おとなしい小枝さんからは想像もできない姿。
それを見て、胸の辺りが少しざわつくのがわかった。
砂の怪物が、手らしき部分を小枝さんに伸ばす。
小枝さんはそれを高く飛んで避けて、落下しながら拳を握り締めて怪物に殴りかかった。
だけど、小枝さんの拳は砂の体をサラサラとすり抜けてしまう。
攻撃が当たらなかった小枝さんはバランスを崩し、その小さな体は砂場へと叩きつけられた。
「小枝さんっ!」
傷付いた小枝さんに駆け寄ろうとしたけど、それよりも前に小枝さんが上体を起こして、泣きそうな声で私に訴えかけた。
「だめです! 逃げてください、河本さんっ!」
逃げてって、そんな。
こんなことになった小枝さんを置いて逃げるなんて、私にできるわけないのに。
でも、私がこれ以上ここにいて、何ができるんだろう。
ただの足手まとい、役立たずにしかならない。
それでも。
頭がぐるぐるしてくる。
頭の出来は悪くないはずなのに、今は全く正常な判断が下せなかった。
怪物に襲われる、なんて非現実的かつ非日常的なこの状況も良くないんだと思う。
私がおろおろと立ち尽くしている間にも、小枝さんは傷付いた体に鞭を打って起き上がろうとする。
その姿に、胸が痛んだ。
しかし、そんな小枝さんの姿を『ネス』と呼ばれた大男は嘲笑う。
ネスが手をかざすと、小枝さんが伏していた砂場の砂がサラサラと宙に浮き、怪物の一部に吸収されていく。
砂は怪物の腕として固まっていき、やがて小枝さんの体に伸びて、蔦のように絡みついた。
「……っ、ぁ……!」
小枝さんが、声にならない悲鳴を上げる。
砂は相当強い力で小枝さんの体を締め付けているらしく、ぎちぎちと嫌な音が聞こえてきそうだった。
「小枝さんっ! 小枝さんっ!」
私は、みっともなく泣き叫ぶことしかできない。
だって、何で小枝さんがあんなに苦しまなくちゃいけないの。
こんなの、こんなのって。
「はっ、いいザマだな。ブレイブラバー。そのままオチちまえ」
ネスが、またしても小枝さんを嘲笑する。
懸命に砂の拘束から抜け出そうと痛みと戦う小枝さんを、貶す。
そんな姿を見たら、見てしまったら。
――悲しみが、明確な怒りになるのが変わった。
ゆっくりと、ネスに歩み寄る。
私の気配に気が付いたネスが、怪訝そうに振り向いた。
「ああ? んだよてめえ。てめえもエモーション、カラッカラにされてえのか?」
エモーション。
感情を意味するそれが、彼にとって何を指すのかは知らない。
でも、今はそんなこと関係ない。
私はネスを鋭く睨みつけ、ガッと彼の胸倉を掴んだ。
「貴方、最低よ!」
はっきりと怒鳴る。
ネスは、何が起こっているのかわからない、といった顔で私を見ていた。
「貴方がどんな立場で、どんな力を持っているのかなんて知らないけど、一人の女の子を苦しめて、傷付けてそんなに楽しい!? 恥を知りなさい!」
そこまで叫ぶように捲し立てた頃。
ネスが眉を顰め、こちらに敵意を剥き出しにしたのがわかった。
「てめえ……っ、調子乗ってんじゃねえぞ!」
「きゃっ!」
ネスが私を突き飛ばす。
私は情けなくも、その場に尻餅をついてしまった。
「河本さん!!」
小枝さんの声が聴こえる。
こんな時だっていうのに、自分だって辛いのに、私の心配をしてくれる。
……本当に、いい子なのね、貴方。
ネスが私を冷たく見下ろす。
それでも、私は怯えることはせず、その瞳を真正面から睨みつけた。
「偉そうな口利きやがって……てめえから先にいたぶってやろうか?」
私への殺意を隠そうともしないネス。
だけど、不思議と私の心は落ち着いていた。
脳裏を過ぎるのは、小枝さんと過ごした『今日』の思い出。
私の話を聞いてくれた、私の恋を応援してくれた、今こうして私を守ってくれようとした。
私だって。
そんな、大切な時間を過ごさせてくれた小枝さんを守りたい。
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だから。
「やれるものならやってみなさい! 小枝さんが貴方にいいようにされるのを黙って見てることしかできないなら……私は! 死んだ方がマシよ!」
「うにゃあ!?」
その時。
聞き覚えのない声が聞こえた。
男の人の声。
でも、ネスの物じゃない。
振り向くと、黒いコウモリのような生き物がぱたぱたとこちらに向かって飛んで来ているのが見えた。
何、あれ。
身体のベースは黒いんだけど、僅かに青く発光している。
コウモリは私の傍までやって来ると、息を吐き出す。
「アニマの気配があったから飛んできてみれば……まさか、三人目のハーツ・ラバーに会えるとはな」
……え?
喋った?
今このコウモリ、喋った?
頭が混乱するのがわかる。
だって、そんなの有り得ない。
だけど私の動揺をよそに、コウモリは私に話しかけてくる。
「説明は後だ、眼鏡っ娘。あそこの小枝こずえを助けたいなら、これを受け取ってくれ!」
私が呆然としていると、いつの間にかコウモリの体内から青い剣が現れていた。
それは私の片手にすんなりと収まる。
「それはラブセイバー。お前がどうすればいいのかは、もうお前の心がわかっているはずだ。……もし、覚悟があったら、それを使え」
心。
何故だかは知らないけど確かに私は、この剣をどう使うのか知っていた。
怖い。
恐ろしい。
そんな気持ちばかりが胸を占める。
だけど、小枝さんを助けられない方がもっと怖かった。
だから、私は。
「ハーツ・ラバー! アイ・ブレイク・ミー!」
私は自分を壊す。
小枝さんの前で見せることができた、『女の子』の姿にもう一度なりたいから。
その為に、これは必要な儀式だと思ったから。
私は、青い剣を――ラブセイバーを、自分の心臓に突き刺した。
◆
心が、ふわふわとしていた。
さっきまで公園にいたはずなのに、きらきらした不思議な空間に私は浮いていて。
髪がふわっと風に靡いたかと思えば、髪の色が薄い水色に変わっていく。
本のページをめくったように、制服が青いドレスに姿を変える。
胸の辺りが熱い。
確かに熱いんだけど、この世界は冬のように寒い気がした。
そして。
◆
地面を踏み締める。
今の私は、小枝さんと同じ格好になっている。
そして、何を言えばいいのかもわかっていた。
「恋する乙女の底力! 氷の戦士・ロマンスラバー!」
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